1534.江田島コラムと木村コラム



国際戦略コラム御中
江田島です。
「中国・ロシア・東欧などは経済発展が可能です。この経済発展を
見越して、欧州と米国は陣取り合戦している。残念ながら、日本の
国家としては、そのような動きをしていません。」
 
とのことですが、日本政府は現政権で米国の完全な下僕です。
戦略的な動きができるわけありません。日朝交渉で田中を切ったの
も米国の指示だし、MD反対の真紀子を切ったのも米国の指示です。
アーミテージレポートに従い派兵までさせられました。そのような
条件のなかで取りうる最大の選択を考えるのが戦略です。
できるだけ、アメリカの政策と矛盾しない形で考えたのが環太平洋
連合です。欧州や中露との提携はアメリカを完全に敵に回します。
よって、私は否定的なのです。
 
「制陸権<制海権<制空権<(平和が確保されれば)制経権<制金
権ですよ。」
 
とのことですが、私が見るに、世界はアメリカの衰退から戦国時代
を迎える可能性が高いとの認識が前提にあります。そこで、島国日
本にとって、安全保障の観点から制海権確保が重要であり、海洋国
家間の同盟を提唱したものです。貴兄も制海権が制陸権に勝るとい
うことを認められてるようなので、一応ご理解いただけたと思いま
す。制空権は制海権をとるために必要な要素だと思います。制空権
だけを持っていても、シーレーンで原油運べませんから。兵員を含
む大規模輸送はいつの時代も船なのです。
 
制経権ですが、貴兄も条件と付しているように、「平和の確保」が
難しい時代に入ったのです。
昨年の火星大接近はこのことを暗示していたのです。火星は軍神マ
ルスの星、すなわち、戦争の時代の始まりです。イラク戦争への参
戦も決まり、戦後日本はこのような環境に無かったため、あえて、
危機に目を向け、豪州や英国との安保上の連携を主張することが喫
緊であると考えたのです。
 
しかしながら、「もう1つの戦いが、現物(石油、金)経済と貨幣
経済との戦いです。ロシアは石油と金を産出するために、この現物
を貨幣価値より上位に置く動きをするはずです。ドル暴落は現物経
済に戻る可能性もあり、その準備をプーチンはしている。このため
、石油価値を上げるために、サウジと組むことも視野に入れている
。このように経済価値の戦いで世界を見ることが必要です。ユコス
は米国の息がかかっている為に、社長を逮捕したのです。これに怒
って、パウエルがプーチンに抗議しているのです。

中国・インドは、優秀な人を輩出して世界の工場またはバックオフ
ィスになり、経済価値を上げる戦いにいる。制経権、制金権の戦い
として、再整理することが地経学の目指す方向ですよ。

そして、この現物は世界的に偏在している。タイアモンドと金は、
ロシアと南ア、オーストラリアにあるのです。石油は中東とロシア
にある。人的資源はインド、中国にある。経済先進地域が米国、欧
州、日本でこの3者は、基軸通貨争奪戦となるのですね。地域性が
色濃くあるのです。その組み合わせの理論が必要になっている。

その意味では、地政学的な見解とは違う局面で欧米対決やロシア、
中国、インドで行われている。シーパワーでもなくランドパワーで
もない経済覇権の取り合いなのですよ。その面からの解析がない。」


との指摘は正しく、そうだと思います。あえて付け加えれば海洋資
源と南極に眠る鉱物資源そして、水資源についても解析の対象にす
べきです。
私見では、上記の陸上資源の獲得競争は戦争に直結しやすいと思い
ます。環太平洋海洋国家間連合で技術開発し、海洋資源と豪州、NZ
の資源開発そして、行く行くは南極の鉱物資源を目指すべきという
のが試案です。
これこそが、環太平洋連合の真の目的です。はっきり言って、環太
平洋連合で太平洋大陸棚に眠る鉱物、海洋資源と南極の鉱物資源(
氷は飲み水になる!)を総取りすれば、ロシアやインドの資源をリ
スク犯して取得するまでも無いように思いますが、いかがでしょう
か?
 
これは、地政学リスクの比較的少ない選択肢だと思います。日本の
切り札は水と海洋資源そして四季がある環境そして、最先端の技術
だと思います。
 
中国やインド、ロシアや欧州といった内陸部は今後環境破壊から飲
み水にも事欠くし、農業生産力も水不足の影響を受けると思います
。(下記参照)

石油については、長期的には代替エネルギー開発を目指すべきでは
ないでしょうか。金やダイヤモンドは本当に必要性があるのでしょ
うか。プラチナやコバルトなどの稀少金属の方がまだ実用用途があ
るだけ価値があると思いますが。
 
豪州は確かウランの埋蔵量もかなりあるんですよね。
さらに、技術が進み、地下数千メートルまでボーリングすれば、
日本は火山活動の影響で大量の鉱物が必ず見つかることもお忘れな
く。推測ですが、ダイヤも相当あるんじゃないでしょうか。
 
戦国時代以降、日本の金山、銀山は世界の金銀相場を左右するほど
の輸出をしてましたからね。日本は潜在的鉱物資源国なんです。
火山活動のおかげで。
 
要は安全保障と資源獲得競争の戦略的枠組みをどう構築するかだと
いうことです。当然、技術革新による、資源の有用性の変動を睨ん
で議論すべきです。
海洋国家は大陸国家に比べ相対的に技術水準が高く、資源に乏しい
という点から技術開発の協力関係を築けるでしょうね。特に、下記
に示す海洋資源開発や海洋エネルギーや海水の淡水化を低コスト化
の分野で。
われわれのフロンティアは海であるべきです。陸上の資源獲得はイ
ラク戦争や米露対立のような地政学リスクが高すぎ、本当にコスト
的にあうのかを考えるべきです。
 
太平洋をその名のとおり、平和の海にすることが環太平洋連合の真
の意味です。
 
いずれにせよ、アメリカが今のまま中東で消耗し、衰退していくと
、環太平洋連合も画米かもしれません。一刻も早く米国を正道に戻
す必要があります。
更に、今後は月や火星の資源も分析の対象とすべきです。
<参考>
シーパワーに開発のアドバンテージ、地の利(海の利?)がある、
今後成長が見込める新たな海洋開発に関する分野を以下に記す。
重要な点は、陸上の資源(石油、鉱物等)の獲得は関係国の利害対
立から容易に戦争、環境破壊に至った。これは20世紀が人類に教
える教訓である。更に言えば、上述の様に、農耕の開始から、戦争
は始まった。すなわち、陸のパラダイムは不断の対立と戦争のパラ
ダイムでもあったのだ。一方、無限の可能性を秘めた海洋開発につ
いては、一国でも制海権は保持できる国があれば、戦争の可能性は
極小化できる。シーパワーはこのことに気がつくべきである。中国
内陸部への投資や日本国内の新幹線、高速道路建設を止め、国家戦
略的に海洋開発の比重を高め、国費を投入し、水圧と戦う技術向上
、コスト削減を目指していくべきだ。海に選挙民がいず、票になら
ないからやらないというのではいけない。真の構造改革とは、内政
のパラダイムを陸から海にシフトさせていくことである。

海洋開発
日本の特性として海岸線が長く、しかも太平洋に面している部分が
非常に長い。この大陸棚は豊富な資源の宝庫であり、うまく開発す
ると資源輸出国となれる。

日本の200海里排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)
が世界第六位の451マン平方キロ(第一位はアメリカの762万
平方キロ)であることをご存知であろうか。

200海里排他的経済水域とは、第二次世界大戦後、大陸棚や漁業
資源に対する各国の主張が高まり、国連海洋会議が開催されるよう
になり、1982年、国連海洋法条約を採択した。排他的経済水域
は領海の基線から200海里の水域であり、沿岸国は次のような権
利や義務を持つとされている。

@)海底とその下にある生物や非生物の天然資源の探査、開発などの権利
A)海水や海流または風からのエネルギー生産のような経済的利用の権利
B)人工島などの設置や利用、科学的調査、環境保全についての管轄権

他方すべての国は漁業など資源利用権はないが、航行、上空飛行な
ど交通通信権は保持する。                                 

(@)海洋生物資源
近未来に想定される食糧危機に対応するため、緊急かつ重点的に取
り組むべき項目である。この資源を開発、持続できればシーパワー
諸国に食糧危機はなく、内陸部の環境破壊が食糧不足を招くことは
必至である、ランドパワーに対して優位に立てる。南氷洋のおきあ
み等、手付かずの資源もまだある。

(A)海底鉱物資源
マンガン団塊、コバルトリッチクラスト、メタンハイドレートなど
の有限な海底鉱物資源については、当面は、200海里水域内での鉱物
資源の把握と開発利用に向けた試験研究活動、開発技術の向上に積
極的に取り組む必要がある。

一般に、大洋の海底は、海岸から沖合い200キロ(約108カイリ)を
境に急激に深度を増すが、この200キロまでの比較的浅い海を「大陸
棚(continental shelf)」と呼ぶ。ここには、全世界の40%以上の
鉱物資源が眠っていると試算されている。

(B)海水の淡水化
海水の淡水化については、日本でも、近年水源の乏しい離島等にお
いて事業化されている。
なお、海水淡水化の費用は1立方メートル当たり概ね300円程度が必
要とされている。更なる技術革新、大量生産により、コスト削減を
目指し、国内の需要の何割かを賄い、さらには、飢饉、旱魃等がラ
ンドパワーで発生した場合の輸出用にできればよい。

(W)海洋エネルギー開発
海洋エネルギーの開発は、日本のみならず、世界的にも微少電力利
用を除き、まだ実用化されていない。波力発電、潮汐発電、海上風
力発電等につき、技術革新が待たれる。

これらの海洋エネルギーは、全て、シーパワー日本にとって、潜在
的にエネルギー需要に応える可能性を持っているが、コスト面で高
くついてしまうという問題から、実用化に至っていない。国家戦略
として、設備の国費による大量生産を実施し、国が買い上げ、それ
を民間に貸与するなどの手法で普及させていくべきであろう。

(X)海洋スペースによる都市建設(メガフロート)
メガフロートはギリシャ語で大きいという意味の Mega と英語で浮
体を表す Float を合わせた造語で、超大型浮体式構造物の事を指す。 

これも、海上都市としての利用が可能であり、海岸線が長い日本に
はうってつけである。 
以下のような利用が考えられる。

・首都機能を東京湾上に浮かぶメガフロートに移転する。
・進出企業への税制優遇を行い、経済センターをつくる。
・災害時の対応施設、非常用食料、設備の設置により、災害への対
  応能力向上をはかる。
・メガフロートに中東で利用されているような脱塩施設を設置し、
  水の補給を確保する。
・空港やレジャーセンターとする。
・物資集積基地
・IT化に伴うコンピュータ設置

本技術が確立し、海水の淡水化が低コスト化されたなら、長期的に
は環境悪化の観点から内陸部居住者の何割かを移住させ、更には地
球温暖化の影響により海面上昇が現実化した場合、沿岸部居住者を
移住させ、海上都市を建設することが可能となり、人類の持続的生
存に資する。

(Y)海洋汚染への対応
一方、海洋の汚染も最近の大きな問題である。近代文明の伸張、拡
大は、大量生産、大量消費に支えられてきたが、同時に大量の廃棄
物を生んできた。その廃棄物の大部分は、河川を経由して、最終的
に海洋に吸収されている。現在では、沿岸部においては、この廃棄
量が海洋の浄化力を超える程までに達している地域もある。 

このような海洋の汚染は主として陸域の経済的諸活動によるもので
、本来の海洋開発の活動によるものは比較的少ない。しかしながら
、海洋が自然環境維持に果たす役割の重大性を考え、総合的に海洋
環境の維持を図ることは、喫緊の課題である。

海洋汚染は、海を共有するシーパワーの国々の共通問題であり、国
と国を超えた国際的な協力が望まれる。現在、海洋に関する国際的
な取り決めには、1972年の「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚
染防止に関する条約(ロンドン条約)」、1996年の「ロンドン条約
改定議定書」、「MARPOL73/78条約」、「OPRC条約」、「国連海洋法
条約」などがある。こうした国際的な取り決めに一つでも多くのシ
ーパワーが参加し、地球規模で海洋汚染をとらえていく視点が求め
られている。

B 環境的観点に立脚した国土再利用
日本は島国で海岸線が長く、中緯度で四季がある。この条件を満た
す地域は多くない。地球温暖化が現実のものになりつつある現在、
日本はその影響を大陸の内陸よりは受けないのである。洪水、旱魃
、酷暑、酷寒は今後大陸の内陸部で恒常化するだろう。生存に適し
た日本はかならずやこの点でアドバンテージがあるのである。卑近
な例でいえば、飲み水にことかかない事は近い将来必ずや戦略的ア
ドバンテージになる。中国を含む大陸内部の乾燥化、砂漠化は間違
いなく飲み水の欠乏を招く。海水の淡水化が技術的には可能でもコ
スト高である以上、近い将来、天然の水が最大の戦略資源として輸
出対象に成り得るのである。エジプトとスーダン、イスラエルとシ
リア、インドとバングラディシュの対立の理由にはこの水源を巡る
争いがあるのである。

日本人はこのことの有用性に気づいているであろうか。台風、梅雨
や豪雪は神の恵みなのである。この水資源を有効活用し、ランドパ
ワーに対して有利な立場に立つことができる。

参考までに、世界の水事情を見てみたい。

人口の急増、産業の著しい発展によって水不足が増大しており、現
在、アジア、アフリカなど31ヶ国で水の絶対的な不足に悩んでいる
。また、水不足が深刻な食料不足をもたらしている地域も拡がって
いる。

・水が原因で、年間500〜1、000万人が死亡
・12億人が安全な飲料水の確保ができない。
・8億人(=世界人口15%)が1日2、000カロリー
 未満の栄養しか摂取できず
・30億人が十分な衛生設備を利用できない
・2025年には48ヶ国で水が不足する見込み
急激な人口増加や工業の発展などに伴い、下水道等の施設整備が追
いつかない途上国を中心に著しい水質汚染が問題となっておりこの
事態について国連は1998年に以下のような報告をしている。

・途上国における病気の80%の原因は汚水
・水が原因とされる病気で、子供たちが8秒に一人ずつ死亡
・世界人口の50%に対し、下水道施設が未整備
・淡水魚の20%の種は、水の汚染により絶滅の危機
・内分秘かく乱物質等の有害物質による水の汚染
増大する水需要への対応やポンプ等用水技術の進歩によって、過剰
な地下水の汲み上げが行われ、これに伴う地下水位の低下、地盤沈
下が世界各地で発生しています。さらに地下水の影響は水循環全体
に現れ、地下水の水質の悪化や河川流量の減少などによって生態系
にまで及ぶ問題に発展している。

・中国の穀物の約40%を生産する華北平原の大半の地域で、地下水位
  が1年間に1〜1.5mずつ低下
・現在のサウジアラビアにおける地下水使用量ベースを続ければ、
  2040年までに地下水資源が完全に枯渇

都市化による急激な土地利用の変化や森林の伐採により、洪水時の
流出量が増大するとともに、人口急増のために危険な氾濫区域に多
くの人が居住するようになった結果、洪水による被害は大きくなっ
ている。

急激な人口増加は都市において特に顕著で、水供給に限界に直面し
た国々では都市の増大する水需要を満たすためにかんがい用水を転
換利用したり、水資源開発施設を建設したりして都市周辺、あるい
は遠方から都市に大量の水を集めています。さらにこの水は都市に
おいて大量に消費されるとともに、大量の下水が発生する。

また、急激な都市化は、土地利用の変化に伴う流域保有能力の低下
や、氾濫区域への居住地の進出を引き起こし、この結果、洪水被害
が増大している。

地球温暖化は気候に影響を与え、そして水の循環が洪水や渇水被害
をより大きく、かつ頻発させる原因となると考えられており、世界
の多くの地域に深刻な影響を与えている。

予想される海面上昇は、バングラデシュ、中国、エジプト、ナイジ
ェリアのような標高の低い沿岸地域に多くの人々が住んでいる地域
で、大規模な氾濫が発生するのではないかという不安を与えている。

鉱物資源の宝庫、ニュージーランド沖海底火山調査
Kim Griggs
http://ad.jp.doubleclick.net/adj/rectangle.hotwired.co.jp/
sponsor-button/rectangle;sz=300x250;ord=204437461385.78635?">   
2002年5月6日 2:00am PDT  ニュージーランド、ウェリントン発――
これから2週間、はるかに遠いニュージーランドの海域で、日米の科
学者の協力のもとに、海面下数百メートルにある海底火山から湧き出
る温泉探索が行なわれる。

「実に先駆的な探索型プロジェクトだ」と語るのは、ニュージーラ
ンドの『地質・核科学研究所』(GNS)に所属する海洋地質学者で、
このプロジェクトのリーダーを務めるコーネル・ド・ロンド氏だ。

プロジェクトでは、米海洋気象局(NOAA)からの専門家を含む多数の
科学者が、ニュージーランドとケルマデク諸島の間で新たに確認さ
れた10あまりの海底火山(図)についての調査を行なう。

 1999年には、ニュージーランド近くの13の火山を調査し、そのう
ち7つが活火山であることを突き止めた。ニュージーランドとトンガ
の間では2つの地殻プレートが衝突しており、海底火山が90はあるも
のとド・ロンド氏は考えている。西太平洋にはおそらく220ほどの海
底火山が存在していると思われるが、「本格的な調査はまだなされ
ていない」とド・ロンド氏は言う。

このほど、ニュージーランドの国立水・大気研究所(NIWA)が、海底
火山分布図を完成させたばかりであり、GNSを中心にした海洋地質学
者チームは、これに基づいて熱水活動の有無を調べることにしてい
る。

海底温泉を見つけるためには、金属製フレームに調査用機器を取り
付けた探知装置を洋上の船から海中にぶら下げる。「温水の流れは
海面下200メートルから2キロの範囲で発生する。だから、探知器が
見つけたときにすぐに伝えてくる仕組みにするには、かなり高性能
なツールが必要になる。それを実現してくれるのがこの装置だ」と
ド・ロンド氏は述べる。

この探知装置は、備え付けのセンサーが集めた情報を船のコンピュ
ーターへと送る。

基準を超える硫化水素やメタン、水温の上昇、水の濁り(「ブラック
・スモーカー」と呼ばれる、海底温泉が黒煙状に吹き上げる現象)は
すべて、温水の吹き出し口があることを示す手がかりになる。水の濁
りは、海中の光探知装置――そして船のコンピューター――に激しい
反応を引き起こす。「だから、熱水の柱にさしかかったことがすぐわ
かる」とド・ロンド氏。

「こういったブラック・スモーカーは……海底の火口から吹き出す
とき、鉱物の粒子を非常に多く含む雲状の濃い煙をあげる。ちょう
ど、工場の煙突からモクモクと出る煙のようなものだ」とド・ロン
ド氏は説明する。

熱水の柱が見つかると、科学者チームは探知装置(写真)に信号を送
り、フレームに備えつけたボトルの栓を閉じさせて水柱の周囲の海
水を採取させる。

ド・ロンド氏は、こういう希少な海底噴出口を理解することは重要
だと力説する。まず第一に、熱水の噴出によって海水内にマンガン
や鉄分が供給される。「海にとって、こういった熱水噴出システム
は自らを維持していく上で必要なものなのだ」とド・ロンド氏。

さらに、太平洋にある海底の噴出口の周囲には豊富な資源が眠って
いると見られる。1999年の調査では、採集したガスや水のサンプル
に鉄分やマンガンが豊富に含まれていた。また、熱水の噴き出し口
周辺の海底に金や銅、亜鉛、鉛が多量に堆積していることも確認さ
れた。

さらに、この地域の海底火山調査の大きな利点は、ブラック・スモ
ーカーが他の海域よりもずっと海面に近い位置に存在していること
だ。

ド・ロンド氏は言う。「戻ったら政府にこう言ってやりたいものだ
。この火山の頂上には大量の銅がある。しかも、海面下ほんの数百
メートルのところだ。いい知らせだろう、ってね」

シーパワー大国の夢■
中国の膨脹に脅かされている石油輸入のシーレーンにしろ、上記の
シベリア石油パイプラインにしろ、安定的なエネルギー確保に不安
があるのが、近代日本の安全保障上の大きな問題であった。この問
題は大東亜戦争において、連合国側の対日石油禁輸から開戦に踏み
切らざるを得なかった時から、少しも変わらない。
    
しかし、シーパワーとして生きる戦略を固めれば、この問題を根本
的に解決しうる望みが生まれる。それは我が国が世界第6位、
451万平方キロに及ぶ200海里排他的経済水域(EEZ)を持
っていることである。この広大な海洋を開発することで、我が国は
一挙に資源・エネルギー大国となりうる。
    
海はエネルギーの宝庫でもある。波力発電、潮汐発電、海上風力発
電などは自然に優しいエネルギー源である。また海底に眠るメタン
ハイドレートは天然ガスに替わるクリーンなエネルギーであり、
日本周辺の埋蔵量は、日本の天然ガス消費量の約100年分に相当する
と言われている。これらを開拓すれば、エネルギーの自立も夢では
ない。海底にはマンガンやコバルトなど、近代工業に不可欠の戦略
物資も豊富に存在している。

また食料面でも、我が国の魚類養殖は世界で最も事業化が進んでい
るが、その技術をさらに発展させて人工的に孵化した稚魚を海に放
流して,自然界の生産力によって成育させる「海洋牧場」が実現す
れば、食料の自給率を大幅に上げることができ、今後の食糧危機に
も相当の対応ができるようになる。
    
さらに海上に巨大な鋼鉄製ブロックをつなげて浮かべる「メガフロ
ート」により、海上空港や、海上都市の実現も実用レベルに近づい
ている。これにより、国土の狭さも問題にならなくなる。
    
世界第六位の広大な経済水域に、我が国の先進的な科学技術を適用
すれば、資源・エネルギー・食料の豊富なシーパワー大国としての
未来が開けていくだろう。海こそが我らのフロンティアである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(Fのコメント)
100年程度先のことを想定しているのですね。専門家に聞くと、
相当なコストが必要で、採算上な無理であるという答えです。

水資源は農業生産に必要で、上流地域の森を切ると、保水性が無い
ために一気に流れてしまい、年間通しての水量を確保できないよう
ですね。森林の保護が必要ですね。

江田島さん、奥山さんの「地政学」を読んで、シーパワーの世の中
での使われ方や、基本的な地政学の理論を知ってほしいですね。
どうもリムランドやハートランドの地域を押さえていないような気
がする。会話の前提条件があまりにも違いすぎるようです。

私は、基本的に江田島さんが、マッキンダーのシーパワー、ランド
パワーの定義やハートランド、リムランドの定義を知っていると思
って論議しているのですが、どうも前提条件を満足していないよう
ですね。言葉の定義があまりにも違いすぎる。地政学は、用語の定
義をしっかりしていないと、議論がかみ合わない。

江田島さんのシーパワーとランドパワーの用語を複数の用語に分解
して、議論する必要があると思いますが??
==============================
戦後 の歴史 
江田島

2.26事件以降陸軍というランドパワーに牛耳られてきた日本で
あるが、戦後はアメリカというシーパワーによって武装解除され、
外交的には、再度シーパワーの一員になった。しかし、日本内部に
は陸軍の残党および、シベリアから渡来した北方モンゴロイドのDNA
を受け継ぐランドパワー(主に東日本に住む)が根強く、これが結
実しシーパワーに反旗を翻したのが田中角栄以降の田中派、中川一
郎、金丸信などであり、野中広務、鈴木宗男につらなる系譜である
。田中による日中国交回復はその白眉であり、彼がロッキード事件
によりアメリカから潰された事は、シーパワーたるアメリカが彼の
政策(日中国交回復、資源外交)をどう見ていたかを物語る。

反対にシーパワーは吉田茂、岸信介、佐藤栄作から中曽根康弘に連
なる流れである。現在の清和会に代表されるいわゆる台湾派である
。田中角栄以来のランドパワーの総本山である橋本派の影響力が落
ち、こうみてくるとシーパワーにとって、「好ましからざる」ラン
ドパワーが駆逐されていることが理解できよう。2000年10月
に発表された、「米国と日本:成熟したパートナーシップに向けて
」(‘The United States and Japan: Advancing toward a Mature 
Partnership’)と題する報告は、ブッシュ政権の国務副長官に就任
したアーミテージが深く関わったもの)。いわゆるアーミテージレ
ポートにおいて、高速道路や橋といった彼らの利権に基づく社会イ
ンフラ整備の中止を求めていることは興味深い。彼らは現在では
マスコミによって「抵抗勢力」という呼称が与えられているが、
その本質はランドパワーである。はっきり言えば、橋本派(田中派
)を中国の代理人と見なして、巧妙につぶし、従米の小泉政権を作
ったのはアメリカの意思である。ランドパワーにも使い道はある。
韓国や台湾には帝国陸軍出身者がかなりの層でおり、かれらとのチ
ャネリングをやらせればいいのだ。アメリカには気づかれない程度
で。余談ではあるが北朝鮮は大日本帝国陸軍の鬼っ子であるという
気がする。

(1)冷戦
戦後、アメリカ傘下のシーパワー国家として復興への道を歩む日本
であるが、ここで冷戦と中国の共産化という神風が吹いた。また、
戦前のブロック経済が戦争を惹起したことへの反省から自由貿易体
制が模索され、伝統的に保護貿易を取ってきたアメリカでさえ市場
を開放し、あまつさえ360円という復興レートでもって日本の経
済復興を支援してくれた。かつ、中国市場を争って対日戦に勝利し
たアメリカであるが、肝心の中国市場を失った結果セカンドベスト
としての日本市場を育成する方針を打ち出した。   

さらに、ソ連の台頭、海洋への進出を封じ込めるための戦略拠点、
いわゆるリムランドの位置に日本が存在したことも見逃せない。ア
メリカとしてはソ連の海洋への進出を封じ込めるために日本を支え
る以外の選択肢はなかったのである。戦後の復興、繁栄とはこれら
所与の条件の産物であり、日本人はそのことを決して忘れるべきで
はない。決して「勤勉」だからという理由のみでここまで来ること
ができたのではないのである。さらに大事な点を再度強調したい。
冷戦とは資本主義VS共産主義ではない。シーパワーたるアメリカが
ユーラシア大陸外延部(スパイクスマンの用語で言えばリムランド
)の日本、イギリスを基地にして大ランドパワーたるソ連の大西洋
、太平洋といった海洋への進出を封じ込めたのである。このことは
冷戦期のNATO(実質米英)の戦略によって、証明される。冷戦とは
主に欧州を舞台に戦われた。NATOの戦略はこうだ。

 もし、東欧から、ソ連およびワルシャワ条約機構の機甲師団が西
独に進出してきたら、西独奥地に戦車部隊を引き込んで戦線が延び
きった時点で反撃する。万一通常戦力による反撃が不首尾に終わっ
た場合、西独、フランスを見捨てて限定核攻撃(中短距離核)でワ
ルシャワ条約軍、及び東欧を攻撃し、反撃にソ連はSS20(中距離
核)を仏独に打ち込むということである。どちらに転んでも、アメ
リカは仏独といった資本主義国を守ろうとしていた訳ではないので
ある。仏独もそれは十分承知しており、フランスのNATO脱退時のド
ゴールの有名な言葉「アメリカ人はニューヨークを犠牲にしてもパ
リを守るわけはない」に繋がり、西独はGSG9という特殊部隊を結成
し、もし、西独駐留米陸軍が西独政府の許可なく、パーシング(短
距離核)を発射しようとしたら、突入して阻止する使命を帯びてい
たのでる。この、独仏を犠牲にして、イギリスを守るというのが、
冷戦期、アメリカの戦略であり、リムランドの重要性を物語る。
パーシングがイギリスではなく、西独に配備された真の理由をお分
かりいただけたであろうか。冷戦といっても単純ではないのである
。このことは、近い将来、極東有事の際、リムランドたる日本を防
衛線にして、韓国を見捨てる可能性を示す。在韓米軍撤退はこの文
脈で考えるべきである。

冷戦期に登場した核兵器と戦略ミサイルの登場は地政学を無用の長
物にしたという意見がある。しかし、相互確証破壊(MAD(Mutual 
Assured Destruction)のことであり、冷戦期に米ソで採られた核戦
略である。米ソともに相手の第一撃に生き残り、相手を確実に破壊
しうる第二撃能力を持つことによって、相互に核兵器を使用できな
い状態とした。そのために、防衛兵器を制限する必要も認められ、
ABM条約が締結された。第二撃能力は主としてSLBMによって維持され
るSLBMは潜水艦発射型の弾道ミサイルであり、射程に特に定義はな
い。潜水艦は隠密性を有しているため、これに搭載した核ミサイル
は核戦争が起きて、先にICBM発射基地を破壊されても、報復攻撃を
実施できる「第2撃能力」としての効果を発揮する。現在、アメリ
カ、ロシア、イギリス、フランス、中国が保有しており、このうち
、イギリスとフランスは核抑止力をSLBMのみとする戦略を採ってい
る。)が達成され、核が実質的に「使えない」兵器となり、大国間
の戦争を抑止したことが、結果として地政学的観点からの「封じ込
め」政策を生んだといえる。核ミサイルの登場はむしろ、地政学の
必要性を高めたのである。

(2)プラザ合意
1980年代まで、上記の冷戦構造の中、日本に対する保護育成方
針をとってきたアメリカではあるが、ベトナム戦争以後、財政的に
もたなくなり、大幅な戦略の変更に踏み切った。

これが製造業をあきらめ、金融業により利益を上げるということで
あり、さらに国債を発行しその大部分を日系機関投資家が買うとい
う構図つまり、日本の資本でアメリカを運営するということである
。日本経済がおかしくなったのは1985年9月のプラザ合意以降
である。プラザ合意とは、1985年9月にニ ューヨークのプラザホテ
ルで開催されたG5(先進5カ国蔵相中央銀行総裁会議)における「ド
ル高是正のための協調介入」に関する合意である。プラザ合意後、
円相場は「1ドル=260円台」から「1ドル=120円台」に急騰した。
要するに、当時の「円安ドル高」を「円高ドル安」に誘導しようと
いうのがプラザ合意であった。 

昭和59年末に、円、ドルレートは1ドル=251円のドル高円安
であった。これは第二次オイルショックによって国際資金をアメリ
カに集中させた結果である。1985年(昭和60年)に五カ国蔵
相・中央銀行総裁会議(G5)がニューヨークのプラザホテルで開か
れ、
(@)経済政策の協調をいっそう進める。
(A)為替レートの適正化のため、より密接に協力する。 
(B)保護主義に反対する。
で意見の一致をみた。というよりも押し付けられたというのが真相
であろう。この、「為替レートの適正化のため、より密接に協力す
る」、が問題であり、特にドル高を是正するため、アメリカを含め
て各国は協調してドルを売り、円とマルクを買うという「協調介入
」をするという趣旨の共同声明を発表した。日銀は大量のドルを売
って円を買うという操作を行って、前日比11円90銭高の
1ドル=230円10銭となり円は急騰した。昭和61年1月には
1ドル=200円となったがこれまでは各国が合意したドル高修正
である。その後、アメリカ政府高官のドル安容認発言の「口先介入
」でドル安は進み昭和62年2月には1ドル=150円台となり、
「誘導されたドル安」が「勝手に下がるドル」へと変質した。そし
て、パリG7はつぎの骨子の共同声明(ルーブル合意)を行った。

(@)各国は現行水準程度で為替相場を安定させるため、緊密に協
      力する。
(A)これ以上の急激な為替相場の変動は、各国の経済成長と構造
      調整を阻害する。
(B)現在の為替相場は各国経済の基礎的条件とおおむね合致した
      範囲内ある。

政策協調の一環として、日本は内需拡大対外黒字削減のための財政
金融政策を続け、アメリカはGNPに対する財政赤字比率を圧縮し、西
ドイツは減税規模を拡大するこのルーブル合意によって、円・ドル
レートはしばらく安定し、1ドル=140円台が厚い壁とみられて
いた。しかし1987年のブラックマンデー後、ドロールEC委員長
の「アメリカは1ドル=1.60マルクを切るドル安を検討してい
る」とアメリカのニスカネン前経済諮問委員長代理の「ルーブル為
替安定合意の明確な中断が望ましい」の発言から、ルーブル合意に
よる国際協調体制の足並みの乱れを読み取り、ドルは売られ、
1ドル=140円の壁はいとも簡単に破られ、昭和63年には東京
市場は1ドル=121円となり、1ドル=100円時代の到来が、
にわかに現実化した. 

プラザ合意によって、ドルの切り下げによりアメリカは自国の借金
の負担を軽減することに成功し、日本は大幅な円高を選択し製造業
における競争力を放棄することを余儀なくされた。そのことにより
日本は国際的に生産コストがドルベースで倍増することとなり企業
は国際競争力を維持するため生産拠点を海外に移すしかない状態と
なり産業の空洞化が進んだ。(日本の製造業は優秀だったため1ドル
240円ではアメリカは太刀打ちできなかった。1ドル120円になり24万
円の商品が1000ドルから2000ドルになりようやく太刀打ちできるよ
うになった。この結果、日本製品は100%の関税をかけられたのと同
様の事態になった。)また一方で日本が数百兆円の公共投資を行い
国として大幅な債務を負うことを約束した。(これは後に1990年の
公共投資基本計画でより一層具現化する。) 

このプラザ合意以降、日本の経済政策は完全にアメリカに対し従属
を続けている。そして、不自然な円高を続けることによって内外価
格差は拡大したままとなり果てしないデフレ不況に陥る遠因となっ
た。デフレの理由はもちろん為替だけではない。しかし、このプラ
ザ合意により為替を実質的に「放棄」した(させられた)ことが響
いていることは間違いない。プラザ合意に続いて協調利下げがあっ
たことも見逃せない。実際はアメリカ内でインフレによりバブルを
起こそうとしたFRBが金利差があると資金が日本へ流出することを恐
れ、利下げを日本に強要したものと推定される。これが現在にいた
る日本経済の根幹的破壊たるバブルを生み、不良債権を発生させた
のである。当時のアメリカはランドパワーソ連との冷戦の真っ最中
であり、アメリカに安全保障を依存している日本としてはアメリカ
の為替、金利圧力受け入れは安全保障コストであるという認識であ
ったのであろうか。当事者はその意味を後世に明確に伝えるべきで
ある。

(3)冷戦の終了
ソ連はアメリカとの経済力の差から軍拡に耐え切れず内部崩壊した
。米ソ冷戦の終結により、世界は平和に向かうと思われた。しかし
、実際は地域紛争、民族紛争が頻発した。これは冷戦時代は米ソに
より押さえ込まれていた、別に言えば管理されていたランドパワー
相互の歴史的対立が再燃しただけである。

より重要な視点は、ソ連という大ランドパワーを失い、結果として
アメリカ一国でユーラシア大陸のランドパワーを直接間接に支配し
秩序を維持する必要がでてきたことである。具体的に言うとイスラ
ム諸国と中国、北朝鮮である。例としてサウジアラビア、パキスタ
ン、アフガニスタン、CIS諸国に対するアメリカのアプローチが挙げ
られる。

海外における米軍の展開も、冷戦の終結とともに再編成が迫られる
。在日米軍はアメリカの最大の関心が寄せられる中東への戦力投射
能力を担保するものであり、削減はあっても、撤退はありえない。
大国間の大規模戦争はなくなったが、テロ、地域紛争といった低強
度戦争への対応が急務となった。低強度紛争(Low Intensity 
Conflict ; LIC)は以下のように定義される。

低強度紛争とは、通常戦争よりも下であるが、国家間の日常的で平
和的な競争関係よりも上の、対立する国家または集団間における政
治的・軍事的紛争である。それにおいてはしばしば、対立する主義
及びイデオロギー間の争いが長期化する。低強度紛争の範囲は破壊
活動から軍隊の使用にまでわたる。それは政治、経済、情報、そし
て軍事諸機関を通じ、様々な手段を複合的に用いて行使される。
低強度紛争は一般的に第三世界地域に局地化されるが、地域的およ
び国際的安全保障に密接な関係を有している。

また、低強度紛争戦略の目標は以下のように記述されている。低強
度紛争戦略の成功は、アメリカの利益及び法と一致し、なおかつそ
れによって自由、民主主義制度、そして自由市場経済の発展という
アメリカの国際的目標が促進される。

すなわち、低強度紛争戦略とは、アメリカを中心とする、シーパワ
ー連合諸国を維持する戦略であるということである。また、「低強
度」とは世界一の軍事力を有するアメリカにとっての「低強度」で
あるので、アメリカに対する反抗を「低強度」すなわち未然に処理
してしまおうという戦略だと言うことが出来る。先制攻撃オプショ
ンの採用もこの文脈で理解するべきである。

冷戦後の、より重要な視点は欧州の枠組みの変容である。ソ連の脅
威が無くなった今日、独仏といったランドパワーがアメリカに対ソ
安全保障のため服従する必要も無くなった。これが、EU統合、ユー
ロ導入、国連安保理での反米行動に繋がる。(ロシアも対米対抗上
フランスと接近しているが、その本質は獰猛狡猾残忍なランドパワ
ーであり、フランスはその本性を見誤っていると考えられる。欧州
の大国とロシアが長期的な友好関係を築けた試しは無いのである。
)フランスは冷戦期を通じて社会主義に寛容な政策をとり、ドイツ
は東西ドイツ統合により2000万人の社会主義者を国内に抱えた
。より根本的には両国ともランドパワーの閉鎖的経済システムを採
用していたのであり、この点でも英米シーパワーとは大きく異なる
。結果として組合の力が非常に強くなり、反米傾向を後押しするこ
とになる。イスラム系住民の増大もこのことに拍車をかける。両国
のイラク戦反対の背景にはこれらの状況すなわち、独仏のランドパ
ワー化があるのであり、それ以上にユーロ圏を中東諸国に広めると
いう思惑があるのである。これは、ドル機軸体制への挑戦であり、
アメリカは絶対に座視できない。そして忘れてはならないかが、フ
ランスにはラテン文化の正当な継承者として、ローマを復活させた
いという衝動が強くある。彼らは、安全保障、経済、文化の全ての
点でアメリカに従う気が失せているのだ。

この一連の動きは、地政学的にみた場合、シーパワーたるアメリカ
が防衛線をリムランド外延の島国たるイギリスに置き(海空軍で防
衛でき欧州を封じ込める戦略拠点であるため)、独仏は防衛圏外(
いざという時は見捨てる)とする、二度の世界大戦から、冷戦期を
貫く戦略をとっていたことに対する独仏からの回答なのである。
アメリカは第二次大戦において、フランスを解放したではないかと
いう向きもあろうが、44年6月という時期は、既に東部戦線で決
着が着いていたのであり、ノルマンディー上陸はナチスを打倒する
のに必要であったとはいえない。遅すぎたのである。この対米不信
感は戦後のスランス人の深層心理に深く刻まれた。シーパワーがラ
ンドパワーに対峙するのは海峡を挟んでというのが鉄則なのである。

裏を返せば、大陸欧州の大国に伝統的勢力均衡で単独では対抗でき
なくなったイギリスは、二度の世界大戦、さらに冷戦期を通じて、
リムランドとしてアメリカの欧州関与の最前線となることを受け入
れ、代償としてアメリカに安全保障を依存したということである。
これが、アメリカの軍事戦略にイギリスが全面的に付き合う、付き
合わざるを得ない本当の理由である。単なる共通の利権があるとか
、同じアングロサクソンだからといった次元の低い話では全くない
のである。そして、我々はこの欧州におけるイギリスの立場はアジ
アにおける日本のそれと全く同じであることを自覚せねばならない
。2000年10月に発表された、上述のアーミテージレポートは
日本に対して、明確にイギリスと同じような軍事的コミットメント
を求めている。はっきり言えば、小泉政権とはこのアーミテージレ
ポートを実現することを目的とした政権である。そして、イラク派
兵で日本のイギリス化=自衛隊の米軍補助部隊化は先鞭がついたの
である。いずれは英軍と同じような使われ方をするであろう。

アジアを見ると、ケ小平が進めた改革開放により市場経済を取り入
れた中国。
これらは冷戦後の世界秩序を大きく変えたが、日本経済にとって意
味があるのは中国の開放である。これにより労働市場として低賃金
な中国が世界の工場の座を日本から奪うことになった。

近未来
以上、徳川家康がウイリアム・アダムス、ヤン・ヨーステンを外交
顧問に迎えて以来、2.26から敗戦にいたる期間を除き、日本は
外交的にシーパワー、内政はランドパワーであったことをご理解い
ただけたと思う。近代において、明治維新を主導した薩長がシーパ
ワーであったために欧米の技術を導入し、発展できたのである。
日本を除くアジア諸国が近代化に失敗したのはとどのつまり、ラン
ドパワーであったからである。ランドパワーは上述のように、閉鎖
的な精神社会構造により、外部の技術や知識の導入には保守的で否
定的である。ここで、次の命題を提起したい。

「国家や文明をアジアだ欧州だ、東洋だ西洋だと地理的な位置だけ
で分類するのは意味をなさない。」
余談だが、私は「アジア」と聞くと失笑を禁じえない。「アジア」
とは何か。古代ギリシャ人がエーゲ海を挟んだ対岸を「アジア」と
呼んだのである。元の意味は古代トルコの沿岸部である。近代以降
、ユーラシア大陸からヨーロッパを除いた地域を一まとめにした地
域を指すことになる。この呼称は、ヨーロッパ人の「アジア」に対
する無知を物語る。さらに許しがたいのは、近代以降、日本を含む
「アジア」諸国が何の批判もせず、この枠組みを受け入れてきたこ
とである。このパラダイムがいかに「アジア」および日本の近代を
阻害し、機会損失を生んできたことか。

「アジアは一つ」、「大陸の王道楽土」、「シナにゃ四億の民が待
つ」、「38度線の北は花園」等の軽薄な論調にいくらの日本人が
騙され、大陸に渡り、結果として大陸諸国民共々苦しんだか。全て
の前提はこの明治以降の間違ったパラダイムなのであり、真のパラ
ダイム、区分はこのシーパワーかランドパワーかという区分けなの
である。そして、何よりも重要なことは、この両者はお互いの違い
を認識し、相互不干渉を貫くべきで、両者の関与の度合いは必要最
小限に留めるべきである。両者が必要以上に関わりを持つと、不幸
な結果しかもたらさない。これは歴史を貫く黄金律である。もっと
言えば、今までの世界史は人類にこの教訓を与えるために存在した
と考える。

この観点から、日本は朝鮮半島や華北政権とは相容れないことがわ
かる。マインドが違うのである。このような視点から、鎖国につい
て考えてみたい。江戸幕府が鎖国(選択的開国)を選んだ理由は
いくつかあるが、一つには、明という華南シーパワー政権が滅び、
清というランドパワー政権が大陸に樹立したためであろうと考える
。華北政権と華南政権マインドの違いを何よりも理解していたので
ある。さらに進んで、鎌倉幕府が大ランドパワーたる、元(モンゴ
ル)と外交関係を持たなかった点も評価したい。元の本質が狼(大
ランドパワー)であり、外交関係を持つということがとりもなおさ
ず、支配従属関係に陥ることを幕府執権平時宗(北条時宗)をはじ
め、当時の鎌倉幕府御家人は正確に理解していたため、国書受け入
れを拒否し、文永、弘安の二度にわたり、撃退した。よく言われる
台風(神風)のおかげのみで撃退できたのではない。鎌倉武士団が
良く戦い、蒙古、高麗兵の上陸を許さなかったことが大きいのであ
る。 

では結ぶべき相手はどこか。アメリカは別として、台湾と上海(華
南)である。日本の古代から現代にいたる歴代政権は華南の政権と
良好な関係を構築していたことを、歴史に造詣が深い読者諸兄なら
ご理解いただけるであろう。

読者諸兄には、自分がランドパワーかシーパワーかを自問していた
だきたい。そして日本のとるべき道はシーパワー優位の構造を取り
、実権を握り、ランドパワーを下部構造に組み込み包摂していく以
外にないことをご理解いただきたい。追い詰められたランドパワー
はシーパワーに対するテロを起こすであろう。しかしそれに負ける
とまたかっての道を辿ることになってしまう。冷戦期、ソ連との核
に関する大幅な軍縮に応じたアメリカであるが、海軍力に関しては
決して削減交渉をしなかったことはシーパワーの重要性を物語る。
そしてそのことが結局は世界経済の発展および冷戦の勝利につなが
るのである。また、ユーラシア大陸内部は今後の環境破壊によって
人類の生存に相応しくない地域が大部分となることが予想され、
その外縁部のみが生存できるのである。すなわち環境的にもシーパ
ワーが有利である。この観点から、現在小泉政権が押し進めている
日朝交渉やロシアと組んでのシベリア開発、さらに中国西部開発へ
の資金提供に私は反対である。シーパワーは大陸奥地に嘴をつっこ
むべきではないことは歴史が証明している。いいように鴨にされる
のは目にみえている。

近未来を眺望するに、インターネット、安価な移動、輸送手段の出
現により、国家という枠組みを超えて、今以上の速度で人、物、金
、情報の流通、移動は行われるだろう。多国籍企業やNPO、NGOのよ
うに国境を超越するグローバル組織がさらに台頭してくる。

相互依存関係の進行から国家の枠組み、役割についても見直しが必
要でる。
しかし、国民の生存に対して最後の責任を持つのは、現時点では国
家しかない。そこで、近未来ではこの両者の調和点すなわち、国家
間で経済提携することによって自立した経済圏を形成し、圏内の国
家同志の産業と国民の利益を保護しようとするしかない。この顕著
な例がヨーロッパ連合である。

アメリカについては、メキシコを含めた北米でNAFTを形成し、経済
圏としている。 ここで注意しなければならない点として、90年代
から現在にいたるまで、世界を席捲した「グローバリズム」は世界
を同質的なものと見做し、一つの価値基準で統合できると考えた点
に根本的問題がある。アメリカ人の世界史に対する無知が根底にあ
ると思えるのだが、国連をはじめとする国際機関が実効性を有しな
い点についても同じことが言え、世界は均一ではなく、ランドパワ
ー、シーパワーの観点から国家、民族を分類し、その域内での価値
基準はそれぞれ異なるのである。そして両者の関与は「必要最小限
」に留め、棲み分けなければ不幸な結果を招く、というのが聖書、
古史古伝の時代から現在にいたるまでの人類史の鉄則なのだ。グロ
ーバリズムのご本尊のシーパワーアメリカがこの鉄則を破り、サウ
ジアラビアへの軍事駐留以来、ランドパワーたるイスラム諸国から
の人の流入、攻撃にあっているのはこのことを如実に物語る。

イラク戦争を見れば分かるが、ランドパワーに手を出せば泥沼化す
るのだ。兵の多寡は本質ではない。本質は周辺国や周辺地域支配の
必要から、際限なく戦線拡大し、結果として内陸部へ引きずり込ま
れ戦線や補給線が延びきり、かつ地域住民を敵に回すことである。
こうなったら勝ち目はない。これはナチス(300万人を独ソ戦に投入
)、ソ連、日本陸軍、ベトナム、レバノンその他歴史上かつ、地政
学上の鉄則である。さらに、十字軍の頃から、キリスト教徒がイス
ラム教徒を支配してうまくいったことはない。これも歴史の鉄則。

アメリカはこの二つの鉄則をともに破っている。
<参考>
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/
==============================
木村愛二さんへ
'04/01/09 1499[木村コラム]
asyura-掲示板[戦争]投稿者bouton-d'or
についての記事を読みました。
投稿者bouton-d'or からご挨拶
  確かにフランス語を用いましたが、その発端は全く小生の私事に
基づくもので、貴君ご指摘のような深い思い入れがあるわけではあ
りません。
 今を去ること四十数年前、小生の妻は美容師をしていました。
当時、女性たちのヘアモードの最先端を行っていたのが、
「ブートンドール」だったのです。その後、大学でフランス語を選
択していた実弟がくれた辞書で、
 「bouton-d'or=きんぽうげ(金鳳華)」
を知り得ました。
 今回、asyura掲示板[戦争]の投稿者名を設定するに当たり、「何
とか金鳳華のような馥郁たる国際社会を作りたいものだ」という祈
りを込めたところです。
従って、小生がフランス語が好きでたまらんということではないの
です。小生こと、「asyura-掲示板」の投稿者名はタイトルテーマ
ごとに設定していますが、すべてフランス語でというわけではあり
ません。
大柳一彦
==============================
『亜空間通信』731号(2004/02/03)
【英BBCケリー事件逆転の先例に米CBCヴェトナム嘘報道攻撃先例あり日本で朝日新聞
実質敗訴快報】

 私は、昨年、イギリスの化学兵器専門家、ケリー博士の謎の死に関して、英米イ筋
の謀殺の線で、数多い投稿を発した。以下は、亜空間通信の一つである。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/2003aku/aku672.html
http://www.asyura.biz/biz0310/war40/msg/116.html
『亜空間通信』672号(2003/09/30)
【ガーデイアン:ハットン委員会でケリー事件の陰謀論の終わりと言うが、こりゃ逆
に読めるぜ】
[中略
 記事の全体の流れは混濁しているが、誰がケリーを殺したか、とか、労働党の会議
で過去の21人の科学者の1人としての殺人を疑うリーフレットを配布していた、とか、
アラブのテレヴィ放送局がケリーの死後、1時間以内に、殺人の線で聞いてきた、と
か、むしろ、わが阿修羅戦争掲示板などの疑惑情報を裏付ける記事になっちょるので
ある。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

つまり、簡単に言うと、私は、ハットン委員会を疑っていたのだが、「法律は手品の
一種」(イギリスの俳優、劇作家、マクリン)、その疑いは見事に的中した。すでに
各種の既報があるので、細部は省略するが、ハットン委員会は、BBCの取材の仕方に、
簡単に言うと、「裏取り不十分」と難癖を付けて、ブレア首相らを免罪にしたのであ
る。

これと同じことは、ヴェトナム戦争の時のウェストモーランド米援助軍司令官の「輝
ける嘘」こと、ヴェトナム側の兵力を過小評価し、兵力増派を求めた情報操作、米軍
部の大嘘に関してのCBS報道への報復攻撃でも起きた。

私は、湾岸戦争後、1994年に発表した拙著、『電波メディアの神話』の中で、ヴェト
ナム戦争から湾岸戦争に至る過程でのアメリカの大手メディア再編の状況を描き、
CBSについては、以下のように記していた。

---------- 引用ここから ----------
 CBSは、投機会社に買収された。CBSの株を二五パーセント買いしめて役員会
にのりこみ、たくみな戦術で社長としての最高権限をにぎるにいたったティッシュは、
ホテル・チェーン経営で成功したのち、評判のわるいやり方で企業のっとりをつづけ
ていた。ふだんは「主義主張にからずらわる人間ではない」が、「イスラエル国家の
存続問題」は唯一の例外」だった。CBS株買収に「異常ともいえる」ほど「熱中」
した際には、「大
ニューヨーク・ユダヤ人連合前会長」の立場と関係づける言動をしめした。ニュウズ
ウィークはその当時、ティッシュの前任のCBS社長、ワイマンが、「ティッシュは
熱烈なイスラエル支持者なので、そのためにCBSニュースの独立した報道を傷つけ
るのではないかと心配していると無造作に発言した」と報道した。ワイマンは発言を
否定したが、別に記事の訂正や謝罪をもとめてはいない。
 ティッシュがCBSの実権をにぎるにいたった経過に関しては、湾岸戦争勃発のちょ
うど一ヵ月前にあたる一九九〇年一二月一七日に日本語訳がでた『ニュース帝国の苦
悩/CBSに何が起こったか』にもかなりくわしくえがかれている。原題の直訳は
『だれがCBSをころしたか?/アメリカ随一のニュウズ・ネットワークの堕落』で
ある。ただし、原題および日本語訳の題のように、この本の記述はCBSのニュウズ
部門を中心としている。ティッシュがユダヤ系で「熱烈なイスラエル支持者」だった
ことにはふれていない。
 なお、カーター政権の国防長官だったハロルド・ブラウンも当時のCBSの役員だっ
た。私は拙著『湾岸報道に偽りあり』や『週刊金曜日』(94・1・14)の掲載記事
「誰が水鳥を殺したか」などで、アメリカが一九八〇年からイラクを仮想敵国とする
湾岸戦争の準備をはじめていた証拠の議会記録の存在を指摘した。ブラウンは、その
ときに国防長官として最初の予算請求をした責任者だった。つまりブラウンはすくな
くとも、湾岸戦争の準備がすすんでいることを熟知しながら、CBSの重役会に出席
していたことになる。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 この時のアメリカの体制派で、アメリカ国内においてでさえ、「右翼」と位置付け
られる連中の攻撃の手法は、やはり、CBSの軍部批判特集番組、日本語の題名で「輝
ける嘘」の「裏取り不十分」であった。

 以下は、このウェストモーランドの件に関する電網検索のごく一部である。

1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/beheiren/nen1968.htm
年表1968
[中略]
1968年2月

13 米国防総省、ウェストモーランド司令官の要請に応じ米軍、1万5千を急派。
◎この月末、CBS,NBC放送など、戦争に対する強い疑念を報道。
1968年3月
22 更迭。後任はクレイトン・エイプラムズ将軍。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

2)・・・・・・・・・・・・・・・・
http://rkrc5w2q.dyndns.org/army_intelli/961133161.html
なぜアメリカはベトナム戦争で負けたの?
[中略]
16 名前:米派遣軍最大54万とかいうけど、投稿日:2000/06/16(金) 21:25
実戦部隊はその1割、五万4千人です。ハルバースタムの「ベスト&ブライデスト」
からの引用だけど、南越+米軍は、毎年、北ベトナム兵士を10万人以下しか殺せな
かったけど、北は毎年、10万人以上の兵士を補充できたんだと。

こりゃウェストモーランドならずとも、もっと米軍を!!と叫びたくなるわ。

ちなみに南ベトナム解放戦線は1968年のテト攻勢で消耗させられ、あとは北ベト
ナム共産党にのっとられたというのが当方の意見。

当時、開高健、日野なんとかとか、皆、上記意見を主張したが、ベ平連に罵倒された。
22 名前:ヴェトナム戦争ファン 投稿日:2000/06/17(土) 22:27
以下の3冊は、冗談抜きで、1962〜64年に、75年の敗北を予言した名著。南
ベトナム軍が、いかに戦う気がなかったか、どれだけ米軍を投入しても絶対勝てるわ
けなかった、ということを肌で感じた人々の著作。
[後略]

開高健「輝ける闇」(新潮文庫)
デビッド・ハルバースタイム「ベスト&ブライテスト」(朝日文庫)
ニール・シーハン「輝ける嘘」(集英社)

この3冊を読むと、1965年のダナン上陸にはじまる米軍の武力介入など、まるで
無駄だったと叫びたくなる絶望的名著。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

つまり、ウェストモーランドの「輝ける嘘」は、世間周知の事実である。しかし、そ
の後、大手メディアが体制派の攻撃に屈し、報道、批判が途絶えると、「喉元過ぎれ
ば熱さを忘れる」民衆は、再び、騙されるのである。

 もともと、憎まれっこ世にはびこる」のであって、私自身も、直接、自称平和主義
者、「偽」市民運動家、潜り込んでは「女たらし」専門の破落戸に、「証拠があるの
か」と、居直られた経験がある。その破落戸は、つい最近にも、「有事法制を立ち枯
れする」云々集会では、集会の実行委員会の顔役風で、うろうろしていた。

 似たような下品の標本、「心情左翼と食い物にする商売」の典型が、似非紳士、朝
日新聞であるが、その朝日新聞が、上記の英米の実例、「裏取り不十分」攻撃を駆使
した裁判で、実質敗訴となった。

 御同慶の至りである。これも、すでに報道例が多いが、スキャナー読み込みで、週
刊新潮記事だけを紹介する。

---------- 引用ここから ----------
週刊新潮04.2.5[特集]
「朝日新聞の良心」と言われた
看板記者が受けていた
「豪華スキー接待」

安比高原スキー場と岩瀬氏
朝日の看板が泣く(本多氏と右は故・疋田氏)


元朝日新聞記者の疋田(ひきた)桂一郎(02年に死去)、本多勝一(72)の両氏
が、リクルート社からスキー旅行の接待を受けていたと報じられた記事を巡る訴訟に、
1月21日、東京地裁の判決が下った。「旅行はリクルートの接待と言える」。裁判
所の見解は明快だったが、両氏と争っていたジャーナリスト、岩瀬達哉氏(48)に
も損害賠償を命じるなど、スッキリしない面が残った。

 足掛け7年に及んだ裁判の争点はリ社による元朝日記者への接待の有無だった。小
野剛裁判長は、リ杜の江副浩正社長(当時)が現地で主催した高額の懇親会を含め、
「費用のほぼ半分しか負担しておらず、旅行はリクルートの接待と言える」
 と明確に述べ、本多氏に200万円、故・疋田氏にも50万円をそれぞれ岩瀬氏に
支払うように命じた。が、一方の岩瀬氏に対しても、
「ホテル代とリフト代を一切支払わなかったという記述は真実ではない」
 として計176万円の支払いを命じた。何とも歯切れの悪い判決である。
 講談社が発行していた月刊誌『Views』(休刊)誌上で、岩瀬氏が朝日新聞批判の
連載記事を開始したのは、97年1月号から。訴訟に発展したのは「朝日にもあった
リクルート汚染」と題された第1回目の記事である。
〈朝日新聞東京本社内には、社会的にも著名な大記者たちで作られていたインフォー
マルなスキーグループがあった〉(同誌記事)
 岩瀬氏はこのグループが、87年4月、リ杜の関連会社が経営する岩手県「安比高
原スキー場」へ2泊3日のスキー旅行に出かけ、リ社の接待を受けたと書いている。
記事中、イニシャル表記されていたのが、本多氏と疋田氏だった。
91年に朝日を退社した本多氏は、カツラとサングラスがトレードマークの名物記
者で、『戦場の村』など多数の著作がある。もう1人の疋田氏も『天声人語』を執筆
していた名文記者で、「在籍当時は朝日随一の記者と言われていました。エリート行
員が幼い娘を餓死させて自殺をしたという自社の記事に疑問を抱き、幹部向けの『調
研室報』に書いたレポートは、上前淳一郎氏の著書『支店長はなぜ死んだか』で採り
上げられたほど。“朝日の良心”と言われた大記者でした」(朝日OB)
 その2人の看板記者がリ杜の接待を受けていたというのだ。岩瀬氏が言う。
「本多氏側の反論は、当初は“接待ではない”といったものでしたが、徐々にエスカ
レートして僕の記事を捏造とまで主張するようになった。そうまで言われては黙って
いられないので、僕が先に1000万円の損害賠償を求めて告訴したら、彼らが併せ
て1億7800万円を求めて反訴してきたんです。判決では9割方、こちらの主張が
認められたと思っています」
 岩瀬氏の記事が出た後、本多氏は『週刊金曜日』などで反論し、疋田氏も『書かれ
たらそれまでよ日誌』という本を自費出版したが、特に本多氏の反論は凄まじかった。
一例を挙げよう。
〈この捏造記事を書いたのは岩瀬達哉というパパラッチ記者であり(中略)、講談社
の飼い主にカネで雇われた番犬・狂犬の類であって、よく卑しい職業の例にあげられ
る売春婦よりも本質的に下等な、人類最低の、真の意味で卑しい職業の連中である〉
(『週刊金曜回」97年
10月3日号)
 到底、『日本語の作文技術』などを著している記者の文章とは思えない。
〈被告本多記事は、原告に対する人身攻撃であって、原告記事と対比してその方法、
内容においてやむを得ないものと考えられる限度を超えているといわざるを得ない〉
(判決文)
 ホテル代一つとってみても、「接待」の事実は明白だ。「ホテル安比グランド」に
宿泊した本多氏らのスキーグループは、チェックアウト時に21万円余を支払ってい
るが、実際の費用は66万円強。ホテル側はリクルートコスモスに残額の支払いを求
める請求書を発行している。〈リクルートコスモスないしリクルートは、本件請求書
にかかる45万4000円を安比グランドに対して支払ったと認めるのが相当である〉
(同)
 本多氏の代理人である高見澤昭治弁護士は、「依頼人と語し合い、近く控訴するか
どうか決めます」と言うが、「接待はなかった」とする看板記者たちの主張は、まる
で説得力がない。
 朝日新聞社広報部は、
「弊社のOBが退職後に個人として起こした訴訟であり、社としてコメントする立場
にありません」
 と言う。朝日の記者だからこそ、接待を受けたのだという認識はないようだ。

腰が引けた判決

「スキーツアーの前に、朝日は就職問題を巡りリクルートに対する批判キャンペーン
を展開していました。疋田さんや本多君は、そのへんのことをどう思っていたのでしょ
うかね」
 と言うのは、本多氏の同期である本郷美則氏(朝日新聞・元研修所長)である。
「費用の一部を払っているから接待ではないという論理は通用しません。本多君は
“接待だったら筆を折る”とまで書いていた。裁判所から接待であると認定されたこ
とで、今後の自身のあり方にも腹をくくらなければならないでしよう」
 本多氏は知床の自然を保護すべきだという主張をしてきた。その氏が、自然破壊そ
のものとも言えるスキーリゾートで「接待を受けていた」と認定されたのだ。
「要するに言行不一致なんです。判決文を読むと接待を受けたのは明らか。現役なら
厳罰は当然で、社友の資格も剥奪するべきです。朝日人の多くは、本多氏らの弁解は
強引すぎると見ていました。“腰が引けた判決だ”と電話をかけてきたOBもいまし
たよ」(別の朝日新聞関係者)
 日大の板倉宏教授の話。
「判決文には訴訟費用の8割を本多氏が負担せよとあります。これを見ただけでも本
多氏の実質的敗訴であることは明らか。記事の基本的なところは真実だと認めながら、
一方の請求も認めるというのは最近の裁判の傾向なんですが、こういうのは問題です。
相手が朝日の記者だから、両成敗的な決着のつけ方をしたとは思いたくありませんが」
 このスキーツアーの翌年、朝日の報道でリクルート事件が社会問題化したわけだが、
「竹下内閣を倒した朝日のリ社報道を貶めた」というOBらの声を本多氏はどう聞く
だろうか。
 ---------- 引用ここまで ----------
 
 私は、この裁判のほとんどを傍聴した。これも論評の時間がないが、簡単に言うと、
何と、「人権派」として知られる旧知の弁護士が、『Views』の取材を、朝日新聞の
関係者への「裏取り不十分」として、法廷の床の上で、演技過剰の熱弁を振るったの
である。
 
 それでも、判決の基本は、「「旅行はリクルートの接待と言える」となったのだか
ら、実質、大勝利なのである。私は、傍聴の際には、朝日新聞側の旧知の弁護士の面
を、しげしげ眺め、時には「ぶつぶつ」批判の野次を飛ばし、裁判官に注意されたが、
それぐらいやれば、裁判所も、少しは役に立つのである。
 
 しかし、心は無限、身は一つ、ハットン委員会の傍聴までは、手が回らなかった。
 
 似非紳士、朝日新聞の報道は、現在のイラクの問題とも深い関係があるので、の全
体像に関してのみ、手打ち、いや、刀で首を斬るのではなくて、電網にはないので、
仕方なく、『Views』の複写を見ながら、パソコンのキーボードを、わが手の指で打っ
て、いささか論評する。
 
 問題の『Views』の連載は、大型も大型、6回にも及ぶものだった。今は、岩瀬達哉
著の文庫版になっているそうであるが。題名と要点のみ示す。手許には、1回から6回
の『Views』の連載記事の実物の複写がある。
 
 この内、裁判で問題となったのは、1回目の「朝日にもあったリクルート汚染」の
ごくごく一部、スキー接待の件だけなのである。
 
 連載の題名は、「正義を売る商店」「株式会社朝日新聞社の正体」であった。取材・
文=岩瀬達哉となっている。「怒りの内部情報が噴出!」ともある。
 
 毎回の記事の扉には、毎回、違ったリードの文章が掲載されているが、最後の6回
目では、以下のようになっている。
 
 日本を代表するオピニオンリーダーとしてふるまっている朝日新聞。だが、その実
情を知れば知るほど、彼らが日頃、唱えている「正義」のうすっぺらさが見えてくる。
企業からの接待、情実入社、天下り、税金を使ったイベント・・・・・・・・。リス
トラもやれば、社内いじめも差別もある。いったいどこが「社会の公器」なのか。
 
 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』730号(2004/02/02)
【訂正:石破が劣化ウラン重金属毒性認め発現が経皮的吸収で起こる発言は情報源の
聞き間違い判明】

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※※

 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
 
 私は、昨晩(2004/02/01)、以下の『亜空間通信』729号を発行し、阿修羅戦争47掲
示板にも投稿したが、そこで引いた別人の投稿の情報源には、電網放送の聞き間違い
があることが判明したので、緊急に訂正する。
 
 その別人の投稿に含まれる情報は、衆議院イラク特別委員会の電網放送(文字の電
網発表は2月6日以後、印刷物の会議録発行は2月9日以後)を視聴した情報源(下記の
「グローバル反戦メディアアクション」氏が、電網放送を視聴して文字化したもので、
私が直接、情報源の本人に確認を求めたところ、いわゆる「思い込み」、もしくは
「希望」に基づく聞き間違いの文字起こしであることが判明した。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/2003aku/aku729.html
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/487.html
『亜空間通信』729号(2004/02/01)
【劣化ウラン弾燃え滓の重金属毒性は焦眉の急を告ぐ緊急課題で集中徹底議論と調査
研究提言求む】
[中略]
昨晩、阿修羅戦争47掲示板に、以下に該当部分のみを要約紹介する非常に複雑な投稿
が出現した。

---------- 引用ここから ----------
天木直人氏、国会質問で小泉首相を追い詰める方法提案 [public−peace]【石破、劣
化ウランによる重金属毒性認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言】
[中略]
 照屋議員の質問にたいする答弁で注目すべきは、石破が劣化ウランによる重金属毒
性を認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言したこと。この根拠をただすべ
きです。
グローバル反戦メディアアクション
[中略]
http://homepage3.nifty.com/antiwar/
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 私自身も、この情報を、投稿の一部として存在することは、確かに事実なのだが、
やはり、再確認してから引くべきであったので、「早とちり」のそしりを甘受する。

「電網放送の聞き間違い」を確認した経過は複雑なので、省略するが、興味のある方
は、阿修羅戦争47掲示板の関連投稿を参照されたい。

 以下が、その関連投稿の最後である。
 
---------- 引用ここから ---------- 
「重金属毒性を認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言」は完全な聞き違い。
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/529.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 2 月 02 日 09:43:33:CjMHiEP28ibKM

 下記の阿修羅戦争47掲示板投稿の記述は、基本的には、まったくの逆だった。これ
は、よくあることで、思い込み視聴、うろ覚えの文字起こしの恐ろしさの典型例であ
る。敵は、そう甘くはない。要注意である。
 
 いずれ速記録から起こした公式記録の文章も確保して、再論するが、石破防衛庁長
官は、「重金属性」と言っているとしても、「毒性」とは言っていないようである。
当面は逃げおおせたと思える。

 実際には、猛毒の燃え滓の微細粉末が、砂や土に混じり、空中にも浮遊し、呼吸で
肺に入り、肺炎の症状を呈し、全身を冒すのである。

 私は、昨日、石破防衛庁長官が、「劣化ウランによる重金属毒性を認め、毒性の発
現が経皮的な吸収で起こると発言した」、との阿修羅戦争47掲示板投稿に接し、上記
の『亜空間通信』729号に引いたものの、やはり、これはおかしいと思い直し、その
直後に、最初の情報源を探して、直接確認し、指定の国会質問場面の電網放送を視聴
した。
 
 ところが、何度聞いても、該当部分がないので、再度確認を求めたところ、情報源
が、以下のように回答してきた。

---------- 引用ここから ----------
石破:(どなたかの質問に対して)
劣化ウラン弾というものが人体に与える評価・影響というものは、皮膚を通過しない、
直接採取しない限り影響は生じない、それも重金属性によるものである」と答弁しま
した。
---------- 引用ここまで ----------

これは、注意深く読み直せば、「重金属性」、つまり、「放射性」ではなくて「固体」
なのだから、「皮膚を通過しない」、直接採取つまり、飲み込んだり、食べたりし
なければ、害はない、という主旨の答弁になっており、「放射能」一本槍の不十分な
質問を、とにもかくにも、当面は、振り切ったのである。しかも、「毒性」という言
葉は使っていないのである。

 ところが、情報源のグローバル反戦メディアアクション」氏は、この石破防衛庁長
官の答弁を、「劣化ウランによる重金属毒性を認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起
こると発言した」と記していたのである。
 
 まったく逆だったのである。

 確認のために再度引くが、以下が、阿修羅戦争47掲示板投稿の該当部分である。

---------- 引用ここから ----------
天木直人氏、国会質問で小泉首相を追い詰める方法提案 [public−peace]【石破、劣
化ウランによる重金属毒性認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言】
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/409.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 1 月 30 日 20:33:10:dfhdU2/i2Qkk2
[中略]
照屋議員の質問にたいする答弁で注目すべきは、石破が劣化ウランによる重金属毒性
を認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言したこと。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上の経過は、やはり、野党議員の質問を支えるべき「反戦」などの「政治的」市
民の研究不足、努力不足、そのためのメディアの「恐米萎縮症」報道など、わが下記
電網宝庫特集の指摘通りの事態の何よりの証明である。わが指摘が、厳しすぎるとの
意見もあったが、むしろ、まだまだ厳しさが不足していたと、改めて、再認識する次
第である。
 
 実は、この種の「反体制」の甘え、思い込み、研究不足の」事例は非常に多く、し
かも、いわゆる下積みの辛酸を嘗めてきた私は、そのような事態の長年の被害者なの
である。最も重大な事例は、ああ、あの、あの、あの、ソ連の理想化であった。
 
 ああ、ああ、ああ、私は、まだ、まだ、まだ、反省が足りない。だから、今も、つ
いつい、「早とちり」してしまうのである。めっ!
 
 この通信も、当然、以下の「リンク集」に加えることになる。
 
 http://www.jca.apc.org/?altmedka/iraq-uran.html
『憎まれ愚痴』劣化ウラン弾重金属毒性・無視・無知・批判問題リンク集

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』729号(2004/02/01)
【劣化ウラン弾燃え滓の重金属毒性は焦眉の急を告ぐ緊急課題で集中徹底議論と調査
研究提言求む】

時局柄、焦眉の急を告げる緊急課題は、他にも山積しているが、今の今、イラクで多
数の日本人が、劣化ウラン弾の燃え滓の微細粉末の重金属毒性に関して、間違った、
または不十分な、歪んだ知識に基づく、実に危険な事態に直面しつある状況が進行中
なので、この問題を最優先にせざるを得ない。

私は、一昨昨日(2004/01/28)、以下の通信を発した。「善意」(と彼等が思いこんで
いる人々)の情報の誤りは、「味方」を迷わすから、この際、もっとも危険なので、
厳しく批判した。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/2003aku/aku728.html
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/365.html
『亜空間通信』728号(2004/01/28)
【放射能兵器劣化ウラン弾表現の安易な姿勢に露呈す自称平和主義思い込み傲慢不遜
不勉強長年性癖】
[中略]
 論理的には非常に簡単なことなのに、いわゆる右翼にも、そういう連中が多いが、
左翼、自称平和主義の個人や、「政治的」集団なら、なおさらのことに、丸で話が通
じないことが、非常に多い。この連中は、一種の狂信者だから、一度思いこんだら、
脳の神経の回路が固まってしまって、柔軟性を失い、金輪際、他人の忠告に耳を傾け
ようとしなくなるのである。
 
 劣化ウラン弾の「燃え滓」、酸化ウランの微細粉末の重金属毒性に関する「左翼」、
自称平和主義の個人や、集団の自己宣伝も、この思い込み。傲慢、不遜、不勉強の長
年の性癖の典型である。
 
 手のつけようがないので、仕方なしに、私は、わが電網宝庫に以下の「リンク集」
を設けた。
 http://www.jca.apc.org/?altmedka/iraq-uran.html
『憎まれ愚痴』劣化ウラン弾の重金属毒性・無視・無知・不勉強・批判記事リンク集
[中略]
「核禁」と略称される連中は、「原水禁」と勢力争いを繰り広げて、双方ともに「減
衰」している。
[後略]
---------- 引用まで ----------

 この通信を受けた友人が、厳し過ぎて、批判の相手を潰してしまうという主旨の忠
告をしてくれた。そこで、本日、緊急に本通信を発することにしたのである。
 
 時間がないからという弁解はしないが、事実、時間がない。最初に一部改訂を発表
する。上記の通信、『亜空間通信』728号の中の「原水禁」は、以下の「主導権争い」
の状況下で、「核禁」と区別するために、「原水協」が普通になっていたので、そう
改訂する。
 
「原水協」と「核禁」とは、日本共産党系と日本社会党系の主導権争いを続けてきた。
その件は後述する。最新情報から、急ぎ、紹介する。

昨晩、阿修羅戦争47掲示板に、以下に該当部分のみを要約紹介する非常に複雑な投稿
が出現した。

---------- 引用ここから ----------
天木直人氏、国会質問で小泉首相を追い詰める方法提案 [public−peace]【石破、劣
化ウランによる重金属毒性認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こると発言】
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/409.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 1 月 30 日 20:33:10:dfhdU2/i2Qkk2

○天木p.p.>さくらさん、ありがとうございます。私は今日民主党の石井一議員主催
の勉強会に呼ばれて行ってきましたがそのとき劣化ウランの事を伝えて国会で質問す
るように要求してきました。メールでいただいたコピーも渡して勉強の上、質問を事
前に教えずに爆弾質問をして小泉首相が劣化ウランの件で間違った答弁をしたら審議
をストップさせるぐらいの気迫をもって質問してくれと注文をつけて来ました。彼は
半分居眠りをしながらそれでも私が大きな声を出すたびにメモを取っていましたので
大丈夫でしょう。
[中略]
民主議員に質問原稿を用意する計画を立てておられるようですが、まず、照屋議員の
質問を聞いておくのがよいと思います。照屋議員の質問にたいする答弁で注目すべき
は、石破が劣化ウランによる重金属毒性を認め、毒性の発現が経皮的な吸収で起こる
と発言したこと。この根拠をただすべきです。
グローバル反戦メディアアクション  太田光征
 tel:047-360-1470cqf01034@nifty.com http://homepage3.nifty.com/antiwar/
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

私は、先月末の2004年1月30日のワールドフォーラム1月例会、天木直人講師の特別講
演、後半には天木直人・木村愛二・マッド天野鼎談に向けて、緊急出版『外交官惨殺
事件の真相と背景』の作業に掛かりきりだったが、それでも、その緊急性に鑑み、1
月10日には、以下の投稿をしている。

---------- 引用ここから ----------
漫画ったら漫画、陸自、劣化ウラン弾恐くて線量計携行検討中で重金属毒性無知の日
経記事
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/392.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 1 月 10 日 11:51:14:CjMHiEP28ibKM

 漫画ったら漫画、陸自、劣化ウラン弾恐くて線量計携行検討中で重金属毒性知らぬ
日経報道。

 本日、日経朝刊、35面、「陸自にイラク派遣命令」「残った劣化ウラン弾から放射
能」「『見えぬ脅威』に備え」「隊員、線量計を携行へ」

いわゆる学者の肩書き、慶応大学(あっ、あの婦女暴行逮捕歴首相が幼稚舎から通っ
ていたとこか)助教授、61歳(この年でまだ助教授?)藤田裕幸の談話で、漫画った
ら漫画記事を掲載している。

ああ、これ、実にドぎつい、極悪非情漫画なのである。

全言語のページから藤田祐幸、劣化ウラン、重金属毒性、イラクを検索しました。 
約24件中1 - 15件目 ・検索にかかった時間0.28秒

藤田裕幸は、最近、似非紳士、朝日新聞記事に載ったものだから、俗悪テレヴィにも
出て、「現地」でガイガーカウンター使ってみたりして、安手の平和売人が、肩書き
で「人寄せパンダ」に使い、にわかに、いかにも劣化ウラン弾の専門家であるかのよ
うに、売り出したが、わが調査では、超高温で燃焼した後の「セラミック状の酸化ウ
ランの重金属毒性については、まるで、しゃべってもいないようなのである。

即刻、日経だけでなく、防衛庁にも電話をして、、防衛大学校三期生の木村愛二であ
る。このままでは危ないから、即刻、調べ直せ、」と「命令」した。

湾岸戦争症候群として知られる状況の元米兵は、あれの最中に、灼熱の痛みを覚える
そうである。婦女暴行逮捕歴首相や「薄ら馬鹿」風の防衛庁長官に言っても無駄だか
ら、自衛隊員の妻、婚約者、恋人、まあ付き合っている女性に、直接、ご注意、申し
上げる。これは老婆心ならぬ老爺心の発露である。
---------- 引用ここまで ----------

 以上、最近の急ぎの情報を紹介した上で、以下の問題に話を戻す。
 (承前)
「原水協」と「核禁」とは、日本共産党系と日本社会党系の主導権争いを続けてきた。
 以下が、双方の電網宝庫の自己紹介の要旨である。

1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
http://www10.plala.or.jp/antiatom/
原水協日本語もくじ
原水爆禁止日本協議会は、1955年に創立されてから、
核戦争を防ぎ、核兵器をなくすために、そして広島・長崎の被爆者と
世界の核兵器の被害者を援護するために、活動をつづけています。
あなたの参加をお待ちしています。
---------- 引用ここまで ----------

2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
http://homepage2.nifty.com/ui-net/kakkinn-shoukai.htm
核禁会議の歴史・理念・活動
核禁会議とは
 核禁会議は核兵器廃絶、被爆者援護、平和建設のため1961年に結成され、今日
も積極的な活動を続けている団体です。
 核禁会議はいかなる国のいかなる理由による核兵器の保有も許さないとする趣旨に
賛同した個人、団体によって組織されています。
 核禁会議の理念・活動
 核禁会議は現在、核兵器廃絶をめざす運動・・・中央、地方集会の開催、啓蒙活動、
世論喚起、国際活動
?A世界の恒久平和実現のための運動・・・各種啓蒙活動、広島の「平和の灯」や長崎の
「平和の泉」「平和の森」の建設など
被爆者援護運動・・・カンパ活動による医療施設への各種器機の贈呈など
原子力の平和利用を推進する運動・・・安全・自主・民主・公開を原則とした環境にや
さしい原子力発電などの活動に取り組んでいます。

核禁会議の特徴の一つは、永年にわたって続けられてきた被爆者援護運動にあります。
核禁会議は、個人・団体により街頭や職場で集められたカンパ金で、レントゲンなど
の医療器具や送迎バス、リハビリ器材等を購入し、医療施設への寄贈を毎年行ってき
ました。また、広島、長崎で被爆し、韓国に帰国した人々のために、韓国に原爆被爆
者診療センターを建設し、毎年診療のため医師団を派遣してきました。この活動に対
し、1996年、韓国赤十字社から核禁会議に対し感謝状が贈呈されましたが、この
ような活動は核禁会議だけの取り組みと言えます。

核禁会議の三原則

核禁会議の40年余りにわたる活動の基本は、結成大会で確認された次の3原則です。

1.いかなる国の核武装にも反対する。
2.特定政党および政治勢力の干渉と支配を受けない核兵器禁止運動を展開する
3.人道主義を基調とする
---------- 引用ここまで ----------

上記のごとく、「核禁会議の40年余りにわたる活動」とあるように、「核禁」の方は、
2004−40=1964であるから、1960年代、つまり、「1955年に創立」の「原水協」
よりも、5年以上は遅れて発足している。

それぞれが、「特定政党および政治勢力の干渉と支配を受けない」という主旨の原則
を発表しているが、この種の基本姿勢が、守られると思うのは、ほとんど白痴である。
「法律は手品の一種」(マクリン)であり、「原則は破られるためにある」のである。

 政党と称する政治屋の集団は、宗教と選ぶところのない狂信の教条の御幣担ぎを常
套手段にしていて、競争相手が多ければ多いほど、ますます強力に、支配下の愚衆を
思想支配するようになる。その種の支配に屈した弱い頭脳の中には、特殊で強固な神
経回路が形成され、本通信の冒頭に再録した以下の状況に陥るのである。

---------- 引用ここから ----------
『亜空間通信』728号(2004/01/28)
【放射能兵器劣化ウラン弾表現の安易な姿勢に露呈す自称平和主義思い込み傲慢不遜
不勉強長年性癖】
[中略]
論理的には非常に簡単なことなのに、いわゆる右翼にも、そういう連中が多いが、左
翼、自称平和主義の個人や、「政治的」集団なら、なおさらのことに、丸で話が通じ
ないことが、非常に多い。この連中は、一種の狂信者だから、一度思いこんだら、脳
の神経の回路が固まってしまって、柔軟性を失い、金輪際、他人の忠告に耳を傾けよ
うとしなくなるのである。
---------- 引用ここまで ----------

この状況の怖さは、その「思い込み」の被害者になってみないと、本当には理解し難
いのである。だから私は、劣化ウラン問題でも、何度も厳しく、この「核」気違いの
「思い込み」の危険性を指摘したのである。

 再び、論理的に指摘すると、まずは、劣化ウランそのものについて、「天然のウラ
ンにおける235Uの存在比率およそ0.72%から、0.2%程度にまで低くなった」という研
究データを示す。
 
---------- 引用ここから ---------- 
http://www.nodu-hiroshima.org/nodu22.htm
ヒロシマ・アピール」より転載
平成15年7月26日
イラク劣化ウラン弾サンプルの測定結果について
星正治(ほし・まさはる)広島大学 原爆放射線医科学研究所 附属国際放射線情報
センター教授
田中憲一(たなか・けんいち)広島大学 原爆放射線医科学研究所 附属国際放射線
情報センター助手
はじめに

 ウランは、核分裂をしてエネルギーを生み出す(235U)と、核分裂を起こしにくい
ウラン238(238U)から成り立っています。天然のウランにおける235Uの存在比率は、
ウラン全体に対しておよそ0.72%です。原子力発電では、この235Uの存在比率を3〜5%
まで高めて、つまり、"濃縮"して使用しています。ウランを濃縮する過程においては、
しぼりかすとして、天然の状態よりも235Uの存在比率が低くなったウランが出来ます。
これを“劣化ウラン”と呼びます。この場合、235Uの存在比率は0.2%程度です。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 この235Uの存在比率が、0まで下がると仮定すると、核分裂を起こしにくいウラ
ン238(238U)ばかりになるが、それでも、重金属のウランであり、比重は天然ウラ
ンよりもよりも高いのであるから、重金属毒性が比重に比例すると仮定すると、この
製品を使った劣化ウラン弾の燃え滓の放射能は、ほとんど検出されないが、重金属毒
性の方は強いことになる。
 
 これでもまだ、「放射能兵器・劣化ウラン弾」と叫ぶ方が、「世のため、人のため」
と主張する者がいれば、脳の神経回路を精査することを、お勧めする。
 
 中野好夫「悪人礼賛」参照、 自分を善人と思いこむ人種は、非常に傍迷惑だから
である。
 
 ---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/pro-16.html
元日本共産党『二重秘密党員』の遺言
(その16)「渾名はクレムリン」による告発も拙劣な偽善
[中略]
 悪人礼賛
(1949.10)

 ぼくの最も嫌いなものは、善意と純情との2つにつきる。

 考えてみると、およそ世の中に、善意の善人ほど始末に困るものはないのである。
ぼく自身の記憶からいっても、ぼくは善意、純情の善人から、思わぬ迷惑をかけられ
た苦い経験は数限りなくあるが、聡明な悪人から苦杯を嘗めさせられた覚えは、かえっ
てほとんどないからである。悪人というものは、ぼくにとっては案外始末のよい、付
き合い易い人間なのだ。という意味は、悪人というのは概して聡明な人間に決ってい
るし、それに悪というもの自体に、なるほど現象的には無限の変化を示しているかも
しらぬが、本質的には自らにして基本的グラマーとでもいうべきものがあるからであ
る。悪は決して無法でない。そこでまずぼくの方で、彼らの悪のグラマーを一応心得
てさえいれば、決して彼らは無軌道に、下手な剣術使いのような手では打ってこない。
むしろ多くの場合、彼らは彼らのグラマーが相手によっても心得られていると気づけ
ば、その相手に対しては仕掛けをしないのが常のようである。

 それにひきかえ、善意、純情の犯す悪ほど困ったものはない。第一に退屈である。
さらに最もいけないのは、彼らはただその動機が善意であるというだけの理由で、一
切の責任は解除されるものとでも考えているらしい。

 かりにぼくがある不当の迷惑を蒙ったと仮定する。開き直って詰問すると、彼らは
さも待っていましたとでもいわんばかりに、切々、咄々としてその善意を語り、純情
を披瀝する。驚いたことに、途端にぼくは、結果であるところの不当な被害を、黙々
として忍ばなければならぬばかりか、おまけに底知れぬ彼らの善意に対し、逆にぼく
は深く一揖して、深甚な感謝をさえ示さなげればならぬという、まことに奇怪な義務
を員っていることを発見する。驚くべき錦の御旗なのだ。もしそれ純情にいたっては、
世には人間40を過ぎ、50を越え、なおかつその小児の如き純情を売り物にしていると
いう、不思議な人物さえ現にいるのだ。だが、40を越えた純情などというのは、ばく
にはほとんど精神的奇形[ルビ:モーローン。註]としか思えないのである。

註 [2001.6.8.]:原語はmoron。ギリシャ語の「愚か」に由来し、わがiMac内臓の小
学館ランダムハウス辞書には、「【1】 (一般に)愚か者,ばか,まぬけ.【2】心理「軽
度精神薄弱者. 【3】性的変質者.」とある。
(上記註2002.11.22差換変更。別掲載記事で変更したものを反映し忘れていたため)

 それにしても世上、なんと善意、純情の売り物の夥しいことか。ひそかに思うに、
ぼくはオセロとともに天国にあるのは、その退屈さ加減を想像しただけでもたまらぬ
が、それに反してイアゴーとともにある地獄の日々は、それこそ最も新鮮な、尽きる
ことを知らぬ知的エンジョイメントの連続なのではあるまいか。

 善意から起る近所迷惑の最も悪い点は一にその無法さにある。無文法にある。警戒
の手が利かぬのだ。悪人における始末のよさは、彼らのゲームにルールがあること、
したがって、ルールにしたがって警戒をさえしていれば、彼らはむしろきわめて付合
いやすい、後くされのない人たちばかりなのだ。ところが、善人のゲームにはルール
がない。どこから飛んでくるかわからぬ一撃を、絶えずぼくは恟々としておそれてい
なければならぬのである。

 その意味からいえば、ぼくは聡明な悪人こそは地の塩であり、世の宝であるとさえ
信じている。狡知とか、奸知とか、権謀とか、術数とかは、およそ世の道学的価値観
念からしては評判の悪いものであるが、むしろぼくはこれらマキアベリズムの名とと
もに連想される一切の観念は、それによって欺かれる愚かな善人さえいなくなれば、
すべてこれ得難い美徳だとさえ思っているのだが、どうだろうか。

 友情というものがある。一応常識では、人間相互の深い尊敬によってのみ成立し、
永続するもののように説かれているが、年来ぼくは深い疑いをもっている。むしろ正
直なところ真の友情とは、相互間の正しい軽蔑の上においてこそ、はじめて永続性を
もつものではないのだろうか。

「世にも美しい相互間の崇敬によって結ばれた」といわれるニ−チェとワーグナーの
友惰が、僅々数年にしてはやくも無残な破綻を見たということも、ぼくにはむしろ最
初からの当然結果だとさえ思えるのだ。伯牙に対する鍾子期の伝説的友情が、前者の
人間全体に対するそれではなく、単に琴における伯牙の技に対する知音としてだげで
伝えられているのは幸いである。伯牙という奴は馬鹿であるが、あの琴の技だけはな
んとしても絶品だという、もしそうした根拠の上にあの友情が成立していたのであれ
ば、ぼくなどむしろほとんど考えられる限りの理想的な友情だったのではないかとの
思いがする。

 友情とは、相手の人間に対する9分の侮蔑と、その侮蔑をもってしてすら、なおか
つ磨消し切れぬ残る1分に対するどうにもならぬ畏敬と、この両者の配合の上に成立
する時においてこそ、最も永続性の可能があるのではあるまいか。10分に対するベタ
惚れ的盲目友情こそ、まことにもって禍なるかな、である。金はいらぬ、名誉はいら
ぬ、自分はただ無欲でしてと、こんな大それた言葉を軽々しく口にできる人間ほど、
ぼくをしてアクビを催させる存在はない。

 それに反して、金が好きで、女が好きで、名誉心が強くて、利得になることならな
んでもする、という人たちほど、ぼくは付合いやすい人間を知らぬのだ。第一、サバ
サバしていて気持がよい。安心して付き合える。金が好きでも、ぼくに金さえなけれ
ば取られる心配はないし、女が好きでも、ぼくが男である限り迷惑を蒙るおそれはな
い。名誉心が強ければ、どこかよそでそれを掴んでくれればよいのだし、利得になる
ことならどんなことでもするといっても、ぼくに利権さえなければ一切は風馬牛であ
る。これならば常に淡々として、君子の交りができるからである。

 金がいらぬという男は怖ろしい。名誉がいらぬという男も怖ろしい。無私、無欲、
滅私奉公などという人間にいたっては、ぼくは逸早くおぞ気をふるって、厳重な警戒
を怠らぬようにしてきている。いいかえれば、この種の人間は何をしでかすかわから
ぬからである。しかも情ないことに、そうした警戒をしておいて、後になってよかっ
たと思うことはあっても、後悔したなどということは一度もない。

 近来のぼくは偽善者として悪名高いそうである。だが、もしさいわいにしてそれが
真実ならば、ぼくは非常に嬉しいと思っている。ぼく年来の念願だった偽善修業も、
ようやく齢知命に近づいて、ほぼそこまで到達しえたかと思うと、いささかもって嬉
しいのである。

 景岳橋本左内でないが、ぼくもまた15にして稚心を去ることを念願とした。そして
さらに20代以来は、いかにして偽善者となり、いかにして悪人となるかに、苦心修業
に努めて来たからである。それにもかかわらず、ぼく自身では今日なお時に、無意識
に、ぼくの純情や善意がぼくを裏切り、思わぬぶざまな道化踊りを演じるのを、修業
の未熟と密かに深く恥じるところだっただげに、この定評、いささかぼくを満足させ
てくれるのだ。

 もっとも、これはなにもぼくだけが1人悪人となり、偽善者たることを念願するの
ではない。ぼくはむしろ世上1人でも多くの聡明なる悪人、偽善者の増加することを、
どれだけ希求しているかしれぬのである。理想をいえば、もしこの世界に1人として
善意の善人はいなくなり、1人の純情の成人小児もいなくなれば、人生はどんなに楽
しいものであろうか、考えるだけでも胸のときめきを覚えるのだ。その時こそは誰1
人、不当、不法なルール外の迷惑を蒙るものはなく、すべて整然たるルールをまもる
フェアプレーのみの行われる世界となるだろうからである。

 されば世のすべての悪人と偽善者との上に祝福あれ!
 [後略]
 ---------- 引用ここまで ----------
 
 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長


コラム目次に戻る
トップページに戻る