1515.日本経済の次の動きについて



日本経済は、新しいことを開発していないと持たない。しかし、
その視点が重要である。   Fより

T君と話すと、技術的な革新性はそんなにどんどんは出来ないこと
が分かる。RFID(無線タグ)についても、問題点が出てきて、
そう急には普及しないことが分かるし、液晶テレビやPDPテレビ
の次を開発することはそう容易ではない。それなら、日本の経済を
引っ張るのは、どのような視点に立てばいいのであろうか??

技術革新された製品は、デジタルカメラのように開発が成功して、
ブームになると急に売上高が伸びる。その裏側でフィルムカメラと
フィルムは全然売れなくなる。コダックはデジタルカメラの普及ス
ピードを読み間違えて、大リストラをすることになるが、富士フィ
ルムはデジタルカメラとコピー機にいち早くシフトして生き残るこ
とができそうである。このように技術が変革する時に企業の生死が
決まる。

これは液晶テレビにも言える。ソニーは液晶テレビを読み間違えた
。それに引き換え、シャープは液晶テレビで1兆円企業に飛躍して
いる。電話の交換機の世界でも同様なことが起きている。IP電話
で、今までの交換機が必要なくなる。それに代わってルータが交換
機的動作を行う。このため、富士通・日立・NEC・沖などの交換
機の製造会社が振るわない。ルーセントなどの海外企業もダメにな
っている。

まだ、この技術革新の範囲が広がっている。ユビキタス社会の意味
は、人と機械が会話する環境を構築することであるから、今まで独
自の方式で接続していた通信は、オープンなインターネットの通信
に置き換わり、世界的な標準の言葉でお話をすることになる。特に
家庭内の機械同士の相互の接続は世界標準な言葉でやらないと普及
しない。

このユーザが望む姿を日本の一部の専門家が邪魔していたが、イン
ターネットの機器が安くなって実現が間近になっているように感じ
る。この動きを止められない。

このようにメーカの囲い込みの論理が通用しない状況になってきて
いる。やはりユーザの利便性が高い方向にシフトするようだ。

しかし、ユーザの利便性向上は技術革新が無くてもできる。ちょっ
としたアイデアや他の業界の知恵などを活用すると、値段が下がる
とか機能が高まるとかですが、このような方向に当分シフトして、
新しい目を掴むしかない。例えば、PCとAV系家電の技術がほと
んど同じになってきて、今までのコンピュータの検索ソフトが使え
るようだ。ソニーのすご録などはその例でしょうね。このような観
点をデジタルAV装置は実現して、ユーザのニーズを引き出して欲
しい物である。PCのような汎用性はいらない。しかし、AVとし
ての面白い機能をつけて欲しい。

タカラの家電も同じで、デザインを玩具風にして売れている。この
ように当分、目新しさや購買対象者を変化させるなどの追求をする
ことが必要なのでしょうね。
日本の景気動向は、このような企業の製品の追及で行う必要があり
、米国のような戦争景気を起こしたり、ちょっと昔の日本のように
公共事業ラッシュを起こすこと景気を上げようとするのはいけない。

日本のユーザが満足する物は、世界に売れることになり、企業の世
界戦略にもいい影響を与えることになる。トヨタのように世界の1
位、2位の企業を多く輩出したですね。このためにも、早く企業エ
ゴやユーザ囲い込みの意識を止めて、ユーザの本当の利便性を追求
してほしいものですね。
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トヨタ、フォード抜き世界自動車販売2位に(nikkei)

 【ニューヨーク=田中昭彦】トヨタ自動車が2003年の世界の自動
車販売台数で米フォード・モーターを抜き、米ゼネラル・モーター
ズ(GM)に次ぐ世界第2位に躍り出た。フォードが22日、同社の
同年の世界販売台数が前年比3.6%減の672万台だったと発表。678万
台のトヨタ自動車グループとわずか6万台の差で3位に転落した。経
営再建中のフォードは財務基盤の安定を最優先しており、トヨタと
の格差は今後も広がりそうだ。 

フォードは1908年に世界初の量産車「T型フォード」を開発。世界
の自動車産業の革新を先導してきたが、1930年前後にGMに首位の
座を奪われて2番手に転落。さらに創業100年目に後発のトヨタに追
い抜かれたことになる。 

フォードの世界販売台数が680万台を下回ったのは1996年の665万台
以来。ウィリアム・フォード会長は販売台数より財務基盤の安定を
優先する方針だ。 (22:56) 
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日経ビジネス Express Mail ◇ 2004.01.23 金曜日◇
デジタルAV景気はいつまで続く?「急落論」に乗れない独断の理由

「デジタルAV(音響・映像)景気」はいつまで続くのか。2004年の
世界経済を占うのに、避けて通れない視点と言っていい。

本誌2003年7月14日号で「来たぞ デジタルAV景気」という特集を執
筆した張本人として、今年はぜひ「続編」や「追加情報」をお届け
したいと意気込んでいる。

その大前提として、1月14日に開かれた三洋電機の年頭社長会見に出
席し、自分自身も陥っている1つの誤解に気がついた。「デジタルAV
時代はすなわちデフレの時代」という一種の思い込みである。

(寺山 正一)
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件名:ゴーン氏は本当に「名経営者」か?  

人気先行型の日経アンケート/真価問われる“リストラ成功”後
時代の流れを反映した結果に

二〇〇四年一月十四日の朝刊で日本経済新聞社は「平成の名経営者調
査」の結果を大々的に発表した。

この調査は日経の記者を中心として経営者、読者、市場関係者らに対
するアンケートの結果をまとめたものだが、そのランキングは芸能人
の人気ランキングにも似ている。

「平成の名経営者」というよりも「平成の人気経営者」と呼ぶべきで
あろう。

首位に立ったのは日産自動車のカルロス・ゴーン社長だった。それは
昨今の“ゴーンブーム”を反映したものだ。続いてトヨタ自動車会長
で日本経団連会長を務める奥田碩氏が順当に第二位に入った。

そして三位に御手洗冨士夫キヤノン社長、四位に鈴木敏文イトーヨー
カ堂会長、五位に永守重信日本電産社長と続く。百位までがランキン
グされているが、“実力”というよりも話題をふりまいたり、マスコ
ミ登場の頻度が高かったり、特異な経歴などが優先しているように思
われる。

だが、時代の流れを敏感に反映していることも確かだ。それは国際派
といわれながらも独自な経営理念を持つ経営者、そして強引なリスト
ラで業績を急回復させた社長、また業界の秩序に挑戦した改革者たち
が目立つからである。

例えば非製造業の金融、証券、総合商社の大手の経営者は百人の中に
一人も登場しない。例外的に伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長が第十四位
にランクされているが、証券では松井道郎松井証券社長が二十二位、
オリックスの宮内義彦会長が二十七位、住友信託銀行の高橋温社長の
五十九位、新生銀行の八城政基社長が七十九位に位置付けされている
のみだ。

大企業経営者の人材不足示す
いずれもトップ企業の経営者はランク外なのである。日本経済の背骨
を担う大企業経営者は驚くほど人気がない。それは果たして大企業経
営者の人材不足を表すバロメーターなのか。もしそうなら日本経済の
長い低迷の理由に大企業経営者の人材不足を挙げなければならない。
ユニクロの柳井正会長(二十位)、楽天の三木谷浩史社長(三十位)
、エイチ・アイ・エスの沢田秀雄社長(三十五位)、ドン・キホーテ
の安田隆夫社長(三十九位)、さらにバンダイの高須武男社長
(四十二位)といった経営者は「平成の名経営者」のタイトルを冠し
ていいものか。

いずれも挑戦者として成功を収めつつあるが、前途は決して楽観でき
ない。
日本最大の企業集団の三菱グループの社長会である金曜会(二十八社
)のメンバーは全員がランク外なのである。いかに三菱、三井、住友
などの企業集団のパワーが衰えた証拠であるか。

全体に人気先行型で真の“実力経営者”“名経営者”を示す調査では
ないものの、日本経済の人材不足の傾向は否定すべくもない。だから
こそ首位の座にカルロス・ゴーンという外国人経営者が座ることにな
ったのだろう。

確かにカルロス・ゴーン社長は奇跡的な業績回復の手腕で財界はじめ
中小企業に至るまで大きな衝撃を与えた。
小泉首相に「ゴーン氏にあやかって改革を進めたい」とも言わしめた。

しかし、このゴーン社長を当代随一の“名経営者”とは思えない。ゴ
ーン氏の成功は“強運”に支えられた面が強いからである。

これはゴーン社長自らも世界第二位の経済大国ニッポンのナンバーワ
ン実力経営者にランクされるとは思ってもみなかったはずだ。

ゴーン氏がCEO(最高経営責任者)就任直後の円安の環境、全社員
と取引先の危機感から思い切ったリストラが可能だった状況、さらに
加えて日産自動車の潜在的な底力が土台にあった。

五十歳前の若さと行動力、派手なパフォーマンスは、泥沼の不況にあ
えぐ日本経済の中でたちまち脚光を浴びた。それがプラス方向に増幅
されてリストラの神様、名経営者という“ゴーン神話”ができ上がっ
た。

未来技術を犠牲にした面も
故人の中で唯一、十位以内に入ったソニー元会長の盛田昭夫(九位)
は、いみじくも生前にこう語っていた。
「リストラは素人ほどやりやすい。なぜなら一切のしがらみがないか
らだ。会社の事情や歴史を知らない外国人ならなおさらだ。八〇年代
のアメリカではIBMをはじめ、こうして立ち直った大企業は無数に
ある。だが、問題はそれから成長路線に乗せられるかどうかだ。とい
うのは過度のリストラは成長の芽を摘んでしまう傾向がある……」

日産自動車の場合も研究開発費、特に未来技術の芽を犠牲にした傾向
が強い。燃料電池車をはじめとする未来技術は明らかにトヨタ、ホン
ダに見劣りがする。

その意味でカルロス・ゴーン氏が名実ともに「平成の名経営者」にな
るのは先の話であろう。刹那的な業績回復だけでは“名経営者”とは
言えないからである。やはり日経のアンケートは人気投票と解釈する
のが妥当だ。 経営評論家 梶原 一明
       世界日報 △掲載許可済み
Kenzo Yamaoka


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