1513.江田島コラムと木村コラム



拙著環太平洋連合の一節です。 http://www.boon-gate.com/12/
江田島
国と地方の関係の再構築

国(国家公務員と国会議員)及び、地方(地方公務員と地方議員)
の内情をつぶさに見ていくとかれらが土着の抜きがたい閉鎖的ラン
ドパワー体質を有していることが分かる。

ランドパワーとは集団の維持調和を合理性より重視する。その結果
が現在の国地方を合わせて約1000兆円の負債なのである。以下
は2003年1月25日の朝日新聞記事である。

しばしの引用をお許しいただきたい。
『財務省は1月24日、03年度一般会計予算案のうち、地方自治
体や特殊法人などに対する補助金の概要を発表した。総額は前年度
比1.1%増の22兆3234億円となり、5年連続で過去最高を
更新した。高齢化が進んだことや景気悪化による雇用環境の悪化で
社会保障関係費が膨らんだ。社会保障関係で補助金全体の5割を超
えた。政府は補助金削減の方針を打ち出しているが、膨張を抑えら
れなかった。

03年度予算案の一般歳出は前年度比0.1%増の47兆5922
億円で、補助金の伸びがこれを上回ったため、一般歳出に占める補
助金の割合は80年度以降では最高の46.9%になった。

経費別の内訳では、社会保障費が前年度比5.6%増の11兆2789
億円。老人医療給付費負担金や療養給付費等負担金、生活保護費負
担金などが増えた。一方、文 教・科学振興費は4.4%減の
4兆6794億円、公共事業関係費は3.8%減の3 兆5745億
円と削減した。

補助金の8割近くは地方自治体向けで、0.6%増の17兆4515
億円。公共事業、文教費などを中心に4455億円を削減したもの
の、社会保障費の増加分を補うだけの削減はできなかった。

一方、特殊法人と独立行政法人向けの補助金も前年度より494億
円増え、3兆6093億円に膨らんだ。これまで補助金を補正予算
で手当てしていた都市基盤整備公団分を当初予算に組み入れたこと
が主な要因。

ただ、03年度の特別会計分の補助金については前年度に比べ
6854億円、10%減らしたため、一般会計・特別会計の合計で
は前年度比1.6%減の28兆4730億円となった。』さらに、
朝日新聞が全国の首長を対象に、地方分権や自治のあり方をアンケ
ートした結果、国の補助を受けた公共事業については、76%の首
長が「必要だが負担が増えるのは困る」と回答。地域経済振興のた
め公共事業には頼りたいが、自治体の財政負担をこれ以上増やした
くないという本音をのぞかせている。

補助金削減と交付税見直し、税源移譲を三位一体で行う「小泉地方
改革」の現状については、「あまり評価できない」が66%。「ま
ったく評価できない」の13%と合わせて否定派が79%と厳しい
結果が出た。評価できない理由は「財源移譲が進ん でいない」
(38%)、「地方交付税は削減すべきでない」(32%)、「国
と地方の将来の姿がはっきりしない」(23%)の順だった。

国の財政危機を背景に税源移譲がなかなか進まず、財務省や補助金
関係省庁の抵抗が強まるなか、首相がリーダーシップを発揮できて
いないことに首長側がいら立っている様子がうかがえる。

いかがであろうか。彼らが、自分で責任をとるという姿勢に欠け、
抜きがたい中央依存に陥っていることがお分かりいただけるであろ
う。戦時体制の中央集権を戦時という緊張状況でもなく続けていく
と、このような思考停止に陥るのである。真の改革とは彼らの補助
金頼り、親方日の丸意識といったマインドをシーパワーに変えさせ
、自主独立し、交易によって、すなわち、自分の責任において富を
獲得する手段を身に着けさせることなのである。自治体も国が面倒
見てくれなくなることは火を見るよりあきらかであることを肝に銘
じ、それぞれがNYに上場するぐらいの気構えがなくてはならない。
今のままで行くとランドパワーの問題解決すなわち一部の非を認め
責任を問うよりも集団自決、玉砕しかもたらさない。赤信号みんな
で渡れば怖くないのままではいけないのである。

しかしながら、明治以降今日まで150年近く続いた「最後は国がなん
とかしてくれる」という意識は容易には変えられないだろう。にも
かかわらず、中央政府も財源の枯渇により、地方への財源移譲と地
方交付税、補助金削減はセットで行われるだろう。そして補助金頼
りの弱小自治体は救済合併しかない。その合併ですら救済できない
ような自治体は首長公選や議会制度を廃止して、行政コストを削減
した後、総務省の直轄地にして最低限の行政サービスは国が保障す
るような形になろう。

さらに、今まで述べてきたことと矛盾するようではあるが、ランド
パワーの価値観を全ては否定できない。地域共同体、家族、親族と
いったシーパワーとしての英国が覇権を握る以前の、前近代的価値
は今後ますます重要になっていくと予想される。国が自治体を見放
し、会社が社員を切り捨てるとき人が頼るべきは地域や家族ではな
いか。考えてみれば江戸時代までわが国は各藩毎に主要な産業があ
り、それが全国規模で流通して潤っていた。明治以降の中央政府は
近代化を急ぐあまり、この地域性を否定し、中央集権による上から
の近代化を推し進め、結果として地方を中央に隷属させるシステム
を構築した。このシステムの破綻は誰の目から見ても明らかである
。要はこの歴史認識に立脚し、中央政府頼りから脱却し、かっての
地域色に富んだ伝統を再発見し受け継ぐことがグローバリズムの中
で逆説的ではあるが価値をもつのである。人々がイタリアにあこが
れるのは大量生産、大量消費、利潤追求といった資本主義的視点か
らは劣等生であっても、伝統と地域色に彩られた多様な文化を保持
しそのローカル性をとことん追及する姿勢に価値が見出されてるか
らなのだ。フェラーリやグッチは大量生産できないからこそ価値が
あるのである。大いに見習うべきである。

具体的には規制特区の推進により、地方に責任を持たせた経済運営
を行わせるのである。規制には経済的規制と社会的規制とがある。
経済的規制については、発展の袋小路に陥っている日本経済におい
ては、原則無規制、例外規制、つまり一度全ての規制を無くして、
本当に必要なものだけ再規制するべきである。これに対して、社会
的規制はそうはいかない。騒音規制や排ガス規制は直接社会生活の
円滑な運営に直結する。その類で行けば、食の安全、医薬品の検査
なども同様で、また薬物、銃、不法入国しようとする者等を取り締
まり、水際で犯罪組織の入国を防御することも、絶対に必要である
。従って、規制緩和については、何でも緩和すればよいという単純
なものではなく、国益、社会の要請に照らして見て、緩和してはい
けないものについては、規制を維持するべきである。 

特区については、地方の自発性、自主性を重んじる必要があるが、
気をつけるべきこととして、この社会規制については例外にすると
いうことである。あくまで、経済的規制について、原則自由にすべ
きである。特区の運営には民間企業の経営経験がある人を優遇して
でも加担させるべきである。結果として、失敗する自治体も出てく
るであろう。そのような場合の責任は自治体が負うという体制の確
立が何よりも重要になる。最悪の場合、特区をやって失敗した自治
体は財政再建団体として、総務省の直轄に置き、議会と首長公選を
廃止されるか、又は、他の自治体との吸収合併を強制的に受け入れ
させるぐらいの覚悟が必要である。                  

インターネットの普及もこのような動きを加速する。すなわち、情
報の発信が中央から地方への一方通行ではなく、地方でも魅力ある
情報、コンテンツがあれば全国に低コストで発信できるのである。
このことはかって、中世ヨーロッパで活版印刷の発明により聖書が
普及し、新教を生んだように、新たなうねりとなって、国と地方の
あり方、さらには民主主義の代議制までも変える力を秘めている。
プラトン以来、理想だが実現不可能といわれた直接民主制もインタ
ーネットを経由すれば可能になり得るのである。
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経済の重心の移行

@    企業活動への規制のあり方再検討
現在の政府による企業に対する規制のあり方は、太平洋戦争を遂行
するための国家総動員体制から何ら変わっていない。

太平洋戦争の残滓として、当時の企画院革新官僚(革新官僚とは、
内閣調査局が企画庁となり、さらに日中戦争の全面化とともに、資
源局と合して企画院に発展する過程で、総動員計画の作成にあたる
ようになる経済官僚のこと。内閣調査局時代から、企業の所有と経
営の分離による公益的統制を主張して電力国家管理案を作成し、そ
の実現に奔走した奥村喜和男(逓信省出身)の活動はその先駆をなす
ものであり、さらに40年後半の新体制論議のなかで、企画院案とし
て提示された〈経済新体制確立要綱〉は、革新官僚の意図と方向を
示すものとして注目を集めた。当時、革新官僚とは、岸信介商工次
官、星野直樹企画院総裁ら、すでに満州国での経済統制の経験をも
つ高級官僚と企画院の実務を担当している前記の奥村や、美濃部洋
次(商工省出身)、毛里英於測(大蔵省出身)、迫水久常(大蔵省出身)
らの中堅官僚をひとまとめにした呼称として使われている。革新官
僚によって作成・推進された〈経済新体制確立要綱〉は、企業の公
共化、ナチス的な指導者原理の導入による統制機構の確立、利潤の
制限などを骨子とするものであり、これらの要求が〈革新〉の名で
呼ばれたのであった。この〈革新〉性は財界などからの強い反発に
よって一定の後退を余儀なくされたし、また企画院に共産主義の影
響ありとする企画院事件(1941)も、こうした〈革新〉性をけん制す
る意味を持つものとみられた。)が、ナチス・ドイツというランド
パワーの戦争遂行体制を真似て作った、国家総動員体制(国家総動
員法戦争遂行のための物的・人的資源を一元的に統制・運用する強
大な権限を政府に与えた法律である。1938(昭和13)年4月1
日公布、5月5日施行。この法律により、戦時における労務・物資
・賃金・施設・事業・物価・出版など経済活動の全般について、
政府が必要とする場合、議会での審議を経ることなく勅令等によっ
て統制が可能となった。これにもとづいて国民徴兵令などの法令が
制定、施行された。1941年改正強化、1945年12月廃止。
)が戦後も生き残ったのである。政府と企業の関係について、問題
とされるのは通達のような法律によらない規制である。日本では他
の工業先進国に比べて、法令化された規制の数が多く、その程度も
強い。たとえは、日本では経済規制の対象となっている産業の経済
全体に占める比重が四一・八パーセントであるのに対して、アメリ
カではその半分の約一九パーセントにすぎない。法令化されていな
い通達を含めると原則規制、例外自由ということであろう。

基本が市場性皆無のランドパワーナチス・ドイツの戦時システムで
あるため、日本では、企業間の紛争、問題を市場の審判ではなく、
行政の調停に委ねる場合が多い。内政のランドパワーという状況は
何ら、戦前、戦後を通じて変わっていないのである。            

このため、企業経営者には市場が見えておらず、当局の顔色を伺っ
ていればよいという風潮が支配的であり、国際競争力があるとは言
えない。結果として、産業別に所轄官庁が存在し、業界組織と族議
員とが一体となって排他的に政策決定を行う「政官業」の癒着が強
固で、飽くことなく毎度おなじみの政治と金の問題を惹起している。

これは、単に前例に従うという官僚の習性と、既得権を放したくな
い業界、政治家の談合の結果、戦時における国家総動員体制がマッ
カーサーに潰されず、戦後も残り、日本の社会経済を支配してきた
ということだと考える。

 終身雇用の慣行や株主権限の抑制など、日本型経営といわれる側
面も、やはり、戦時の国家総動員体制を淵源としている。

国家総動員体制とは、ヒト、カネ、モノにおいて全ての配分を国家
が統制するようになったということである。

例えば、ヒトについては、軍需会社法によって役員人事に政府が介
入できるようになり、企業経営は従業員内部からの昇進者に委ねら
れた。終身雇用の制度化である。

カネについては、株式配当の制限が行われ、その結果、企業は株式
市場という、匿名の多数個人に実権を握られる機会を排除し、一般
投資家からの資金調達が困難になった。代わりに、日本銀行の斡旋
によって銀行融資団が資金供給を行うようになり、政府が企業の資
金調達に関して首根っこを押さえられるようになった。護送船団方
式の走りである。これは、銀行を経由して、全産業を政府の直接統
制下に置くという意味である。

モノに関しては、産業ごとに産業統制会を作った。統制会が傘下企
業の設備能力や技術力などを正確に把握して政府に報告し、政府は
その報告に基づいて全体の物資調達計画をつくり、統制会を通じて
各企業の生産活動を統制したのである。これが現在に至る業界団体
の走りである。その結果、市場が失われたのである。

このようにして、日本経済の全体が、政府所轄官庁、業界ごとの統
制会、個別企業という指揮命令系統で運営されるようになったので
ある。すなわち統制と配給である。

以上、中央集権官僚政府と形を変え残った財閥により支配された日
本経済であるが、本質は規制によって守られてきただけであり、
かつ、上述の米の世界戦略の副産物であるという面が否めず、必ず
しも国際競争力があったわけではない。         

更に、金融機関の土地バブルに見られる如く、土地本位制度も実体
が無いことに気づくべきである。バブルで傷を負った金融機関を退
場させ、規制を緩和し、来るべき新産業を立ち上げ飯の種とする
以外日本が生きていく術はない。その前提として、上記の歴史認識
を踏まえて外部環境が大きく変わり、麗しの護送船団はもう通用し
ないということを深く認識すべきである。育成すべき新たな産業と
して
  ・バイオテクノロジー
  ・ナノテクノロジー
といった新たな産業分野への公的資金注入、税制優遇を含めてエン
ジニアが働き甲斐を感じる社会とすることが肝心である。規制に守
られてきただけの自助ができない業種を延命しようとしてもそれは
不幸な結果しかもたらさない。

早急に新技術への投資を拡充し、特許料収入で食えるところまでも
っていくべき。製造コストで中国を始めアジアにかなわない以上、
こうした付加価値で飯を食うしかないと考える。さらに、規制に頼
らず、リスクをとって企業家を目指す者を優遇するべきで、創業支
援制度も充実させるべき。ホンダやソニーのような企業は元々ベン
チャーであったことを考えると、可能性は十分ある。失敗を恐れず
チャレンジするマインドが大事なのである。100人の創業者のう
ち、1人が成功し、第二のホンダやソニーやマイクロソフトになれ
ばいいのである。そこで雇用が生まれ経済の重心が移行し、新たな
活力が生まれる。肝心なことはかっての日本の成長を支えたビジネ
スモデルは外部条件(冷戦を前提にした米国の対日育成方針と中国
の鎖国)、内部条件(国民の勤勉性と低賃金)ともに失われている
ことの自覚なのである。           

シーパワーに開発のアドバンテージ、地の利(海の利?)がある、
今後成長が見込める新たな海洋開発に関する分野を以下に記す。
重要な点は、陸上の資源(石油、鉱物等)の獲得は関係国の利害対
立から容易に戦争、環境破壊に至った。これは20世紀が人類に教
える教訓である。更に言えば、上述の様に、農耕の開始から、戦争
は始まった。すなわち、陸のパラダイムは不断の対立と戦争のパラ
ダイムでもあったのだ。一方、無限の可能性を秘めた海洋開発につ
いては、一国でも制海権は保持できる国があれば、戦争の可能性は
極小化できる。シーパワーはこのことに気がつくべきである。中国
内陸部への投資や日本国内の新幹線、高速道路建設を止め、国家戦
略的に海洋開発の比重を高め、国費を投入し、水圧と戦う技術向上
、コスト削減を目指していくべきだ。海に選挙民がいず、票になら
ないからやらないというのではいけない。真の構造改革とは、内政
のパラダイムを陸から海にシフトさせていくことである。

A    海洋開発
日本の特性として海岸線が長く、しかも太平洋に面している部分が
非常に長い。この大陸棚は豊富な資源の宝庫であり、うまく開発す
ると資源輸出国となれる。

日本の200海里排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)
が世界第六位の451マン平方キロ(第一位はアメリカの762万
平方キロ)であることをご存知であろうか。

200海里排他的経済水域とは、第二次世界大戦後、大陸棚や漁業
資源に対する各国の主張が高まり、国連海洋会議が開催されるよう
になり、1982年、国連海洋法条約を採択した。排他的経済水域
は領海の基線から200海里の水域であり、沿岸国は次のような権
利や義務を持つとされている。

@)海底とその下にある生物や非生物の天然資源の探査、開発などの権利
A)海水や海流または風からのエネルギー生産のような経済的利用の権利
B)人工島などの設置や利用、科学的調査、環境保全についての管轄権

他方すべての国は漁業など資源利用権はないが、航行、上空飛行な
ど交通通信権は保持する。                                 

(@)海洋生物資源
近未来に想定される食糧危機に対応するため、緊急かつ重点的に取
り組むべき項目である。この資源を開発、持続できればシーパワー
諸国に食糧危機はなく、内陸部の環境破壊が食糧不足を招くことは
必至である、ランドパワーに対して優位に立てる。南氷洋のおきあ
み等、手付かずの資源もまだある。

(A)海底鉱物資源
マンガン団塊、コバルトリッチクラスト、メタンハイドレートなど
の有限な海底鉱物資源については、当面は、200海里水域内での鉱物
資源の把握と開発利用に向けた試験研究活動、開発技術の向上に積
極的に取り組む必要がある。

一般に、大洋の海底は、海岸から沖合い200キロ(約108カイリ)を
境に急激に深度を増すが、この200キロまでの比較的浅い海を「大陸
棚(continental shelf)」と呼ぶ。ここには、全世界の40%以上の
鉱物資源が眠っていると試算されている。

(B)海水の淡水化
海水の淡水化については、日本でも、近年水源の乏しい離島等にお
いて事業化されている。
なお、海水淡水化の費用は1立方メートル当たり概ね300円程度が必
要とされている。更なる技術革新、大量生産により、コスト削減を
目指し、国内の需要の何割かを賄い、さらには、飢饉、旱魃等がラ
ンドパワーで発生した場合の輸出用にできればよい。

(W)海洋エネルギー開発
海洋エネルギーの開発は、日本のみならず、世界的にも微少電力利
用を除き、まだ実用化されていない。波力発電、潮汐発電、海上風
力発電等につき、技術革新が待たれる。

これらの海洋エネルギーは、全て、シーパワー日本にとって、潜在
的にエネルギー需要に応える可能性を持っているが、コスト面で高
くついてしまうという問題から、実用化に至っていない。国家戦略
として、設備の国費による大量生産を実施し、国が買い上げ、それ
を民間に貸与するなどの手法で普及させていくべきであろう。

(X)海洋スペースによる都市建設(メガフロート)
メガフロートはギリシャ語で大きいという意味の Mega と英語で浮
体を表す Float を合わせた造語で、超大型浮体式構造物の事を指す。 

これも、海上都市としての利用が可能であり、海岸線が長い日本に
はうってつけである。 
以下のような利用が考えられる。

・首都機能を東京湾上に浮かぶメガフロートに移転する。
・進出企業への税制優遇を行い、経済センターをつくる。
・災害時の対応施設、非常用食料、設備の設置により、災害への対
  応能力向上をはかる。
・メガフロートに中東で利用されているような脱塩施設を設置し、
  水の補給を確保する。
・空港やレジャーセンターとする。
・物資集積基地
・IT化に伴うコンピュータ設置

本技術が確立し、海水の淡水化が低コスト化されたなら、長期的に
は環境悪化の観点から内陸部居住者の何割かを移住させ、更には地
球温暖化の影響により海面上昇が現実化した場合、沿岸部居住者を
移住させ、海上都市を建設することが可能となり、人類の持続的生
存に資する。

(Y)海洋汚染への対応
一方、海洋の汚染も最近の大きな問題である。近代文明の伸張、拡
大は、大量生産、大量消費に支えられてきたが、同時に大量の廃棄
物を生んできた。その廃棄物の大部分は、河川を経由して、最終的
に海洋に吸収されている。現在では、沿岸部においては、この廃棄
量が海洋の浄化力を超える程までに達している地域もある。 

このような海洋の汚染は主として陸域の経済的諸活動によるもので
、本来の海洋開発の活動によるものは比較的少ない。しかしながら
、海洋が自然環境維持に果たす役割の重大性を考え、総合的に海洋
環境の維持を図ることは、喫緊の課題である。

海洋汚染は、海を共有するシーパワーの国々の共通問題であり、国
と国を超えた国際的な協力が望まれる。現在、海洋に関する国際的
な取り決めには、1972年の「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚
染防止に関する条約(ロンドン条約)」、1996年の「ロンドン条約
改定議定書」、「MARPOL73/78条約」、「OPRC条約」、「国連海洋法
条約」などがある。こうした国際的な取り決めに一つでも多くのシ
ーパワーが参加し、地球規模で海洋汚染をとらえていく視点が求め
られている。

B 環境的観点に立脚した国土再利用
日本は島国で海岸線が長く、中緯度で四季がある。この条件を満た
す地域は多くない。地球温暖化が現実のものになりつつある現在、
日本はその影響を大陸の内陸よりは受けないのである。洪水、旱魃
、酷暑、酷寒は今後大陸の内陸部で恒常化するだろう。生存に適し
た日本はかならずやこの点でアドバンテージがあるのである。卑近
な例でいえば、飲み水にことかかない事は近い将来必ずや戦略的ア
ドバンテージになる。中国を含む大陸内部の乾燥化、砂漠化は間違
いなく飲み水の欠乏を招く。海水の淡水化が技術的には可能でもコ
スト高である以上、近い将来、天然の水が最大の戦略資源として輸
出対象に成り得るのである。エジプトとスーダン、イスラエルとシ
リア、インドとバングラディシュの対立の理由にはこの水源を巡る
争いがあるのである。

日本人はこのことの有用性に気づいているであろうか。台風、梅雨
や豪雪は神の恵みなのである。この水資源を有効活用し、ランドパ
ワーに対して有利な立場に立つことができる。

参考までに、世界の水事情を見てみたい。

人口の急増、産業の著しい発展によって水不足が増大しており、現
在、アジア、アフリカなど31ヶ国で水の絶対的な不足に悩んでいる
。また、水不足が深刻な食料不足をもたらしている地域も拡がって
いる。

・水が原因で、年間500〜1、000万人が死亡
・12億人が安全な飲料水の確保ができない。
・8億人(=世界人口15%)が1日2、000カロリー
 未満の栄養しか摂取できず
・30億人が十分な衛生設備を利用できない
・2025年には48ヶ国で水が不足する見込み
急激な人口増加や工業の発展などに伴い、下水道等の施設整備が追
いつかない途上国を中心に著しい水質汚染が問題となっておりこの
事態について国連は1998年に以下のような報告をしている。

・途上国における病気の80%の原因は汚水
・水が原因とされる病気で、子供たちが8秒に一人ずつ死亡
・世界人口の50%に対し、下水道施設が未整備
・淡水魚の20%の種は、水の汚染により絶滅の危機
・内分秘かく乱物質等の有害物質による水の汚染
増大する水需要への対応やポンプ等用水技術の進歩によって、過剰
な地下水の汲み上げが行われ、これに伴う地下水位の低下、地盤沈
下が世界各地で発生しています。さらに地下水の影響は水循環全体
に現れ、地下水の水質の悪化や河川流量の減少などによって生態系
にまで及ぶ問題に発展している。

・中国の穀物の約40%を生産する華北平原の大半の地域で、地下水位
  が1年間に1〜1.5mずつ低下
・現在のサウジアラビアにおける地下水使用量ベースを続ければ、
  2040年までに地下水資源が完全に枯渇

都市化による急激な土地利用の変化や森林の伐採により、洪水時の
流出量が増大するとともに、人口急増のために危険な氾濫区域に多
くの人が居住するようになった結果、洪水による被害は大きくなっ
ている。

急激な人口増加は都市において特に顕著で、水供給に限界に直面し
た国々では都市の増大する水需要を満たすためにかんがい用水を転
換利用したり、水資源開発施設を建設したりして都市周辺、あるい
は遠方から都市に大量の水を集めています。さらにこの水は都市に
おいて大量に消費されるとともに、大量の下水が発生する。

また、急激な都市化は、土地利用の変化に伴う流域保有能力の低下
や、氾濫区域への居住地の進出を引き起こし、この結果、洪水被害
が増大している。

地球温暖化は気候に影響を与え、そして水の循環が洪水や渇水被害
をより大きく、かつ頻発させる原因となると考えられており、世界
の多くの地域に深刻な影響を与えている。

予想される海面上昇は、バングラデシュ、中国、エジプト、ナイジ
ェリアのような標高の低い沿岸地域に多くの人々が住んでいる地域
で、大規模な氾濫が発生するのではないかという不安を与えている。
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『亜空間通信』722号(2004/01/17)
【緊急出版『外交官惨殺事件の真相と背景』1/30発行準備完了目前にイラク自衛隊派
遣の状況急転】

 木村書店発行、定価700円、四六判で100頁の小冊子、これを、きたる1月30日のワー
ルド・フォーラム1月例会(特別講演の講師、前レバノン大使、天木直人)で、会場
費・資料代、2,000円の費用に含めて、参加者の全員に配布することになっている。
これは、かなり、「お得」であろう。
 
 昨年末、12月21日に。この緊急出版を決意して、自分をも追い込むべく、発表して
しまってからは、正月休みもどこへやら、ほとんど、これに集中していたのである。
昨日、やっとのことで、基本的な準備を終了したところへ、阿修羅戦争46掲示版に、
つぎつぎと、画期的な情報が出現した。
 
 まずは、本日、午後に拝見。何と、イラク人が、「自衛隊の警護を計画」している
というのである。

---------- 引用ここから ----------
サマワ部族、自衛隊の警護を計画 雇用など期待交じり  [朝日新聞]
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/797.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 17 日 14:11:38:Mo7ApAlflbQ6s

 陸上自衛隊が駐留する予定のイラク南部ムサンナ州と州都サマワ周辺の有力部族の
部族長らが昨年末に会議を開き、武装した部族の若者らに自衛隊を警護させる計画を
立てていることがわかった。サマワ周辺の部族は、武器を所持している一方、強固な
人間関係から、不審な外国人の侵入などの情報も集まる。計画はまだ自衛隊には伝え
られていないが、部族との関係も、陸上自衛隊の安全のかぎとなりそうだ。

 州内には、18の有力部族と、そこから枝分かれした6部族の計24部族があり、
強固な血縁関係を結ぶ。部族はもめごとを調整する機能を持つ一方で、カラシニコフ
銃やロケット砲などで武装した部族間の抗争が、頻発する強盗や求職デモと並んで治
安を脅かす要因となってきた。

 有力部族・アブトビクの族長のいとこアリ・サルマン氏(39)によると、24部
族でつくる部族会議が、自衛隊の活動と警護に協力することで一致。部族が協力して
100〜200人の若者を選び銃などで武装させ、自衛隊の警護を務める計画が発案
されたという。同氏は、「自衛隊に早く来てほしい」と話す。

 別の有力部族・アルブルカットのトルキエ・サフティ族長(50)も「サマワの治
安を守ってきたのは部族だ。今は抗争はないし、自衛隊を守るために若者を教育して
いるところを見せたい」と強調した。

 ただ、警護協力表明の一方で、サルマン氏は「武器などに必要な経費は日本側に負
担してもらいたい」とも話す。同氏は「自衛隊到着から1、2カ月後には仕事が提供
されるだろう。自衛隊は、中間業者などを入れずに直接雇用してほしい」と話した。
(01/17 09:00) 
http://www.asahi.com/international/update/0117/003.html
---------- 引用ここまで ----------

 私は、早速、以下のフォロー投稿をした。

---------- 引用ここから ----------
わが政治力学的読みが当たってきた。あとは日本人全体がアラブの要望に答える覚悟
だ。
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/800.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 1 月 17 日 14:34:30:CjMHiEP28ibKM
(回答先: サマワ部族、自衛隊の警護を計画 雇用など期待交じり  [朝日新聞]
投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 17 日 14:11:38)

国連との関係でも、やはり、読み通りに進んでいる。問題は、日本人の右も左も含め
た独立の覚悟である。
---------- 引用ここまで ----------

この投稿の前には、以下の投稿もしていた。

---------- 引用ここから ----------
日経朝刊「自衛隊派遣を考える」「日本は国連支持者」「米政府に促せ」と米論客が
説く
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/790.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 1 月 17 日 12:27:22:CjMHiEP28ibKM

日経、本日、2004.01.17.朝刊、国際2面の特集、「自衛隊派遣を考える」、「米仏の
有力者討論」が、実に面白い。
 この島国の日本人とやらの特徴は、昔から、大国の意見に迎合、依存を繰り返して
いるとことにあるが、この特集では、わずか46歳の青二才ながらも、超大国アメリカ
の論客、米戦略国際問題研究所上級副所長が、「米政府にもう少し国際機関を協力す
るよう促してほしい」、と説いている。
 どうやね、これは。
 日本政府も程度が低すぎるが、反対派気取りの自称平和主義者どもも、耳の垢、ほ
じくって、聞いてみてはどうかね。もっとも、脳味噌の方が腐っていれば、耳が聞こ
えても、役には立たぬであろうが。
---------- 引用ここまで ----------

「国連」と日本との関わりに付いては、緊急出版『外交官惨殺事件の真相と背景』の
中で、かなり詳しく論じたばかりである。

 昨晩は、やはり、国連と関わるアメリカの興味深い動きに関して、以下の投稿をし
た。
 
 ---------- 引用ここから ----------
米紙NYT原文:ブレマー行政官が国連の支援要請(ニュアンス違う)
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/757.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 1 月 16 日 21:30:36:CjMHiEP28ibKM

---------- この中での引用ここから ----------
ブレマー行政官が国連の支援要請と米紙報道 (Nikkei)
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/729.html
投稿者 ああ、やっぱり 日時 2004 年 1 月 16 日 16:47:14:5/1orr4gevN/c
 ブレマー行政官が国連の支援要請と米紙報道
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20040116AT3K1601P16012004.html

【ニューヨーク15日共同】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、イラクを
占領統治する連合国暫定当局(CPA)のブレマー行政官が19日に国連のアナン事務
総長と会談する際、イラクの主権移譲プロセスへの国連の支援を要請する見通しだと
報じた。 

同紙によると、バグダッドの米、イラク両国当局者らは、行政官が国連側に対して6
月末に予定される暫定政権樹立と主権移譲などで協力するよう具体的な約束を求める
と述べた。会談には米政府高官も同席する見込みという。

米政府はこれまで、イラクで国連が大きな役割を担うことに否定的だった。現地の当
局者らは、国連が十分な役割を果たすことで主権移譲の正当性を示せば、暫定政権の
樹立プロセスをめぐるイスラム教シーア派などの批判を弱めることにもつながるとみ
ている。 (16:01)
---------- この中での引用ここまで ----------

以下の原文には、ブレマーがじゃなくて、ブッシュ政権が、困り果てての逃げ道、
「苦しい時の神頼み」の感がある記事の冒頭部分あり。

http://www.nytimes.com/2004/01/16/politics/16IRAQ.html?th=&pagewanted=print&
position=

January 16, 2004

U.S. Joins Iraqis to Seek U.N. Role in Interim Rule
By STEVEN R. WEISMAN and JOHN H. CUSHMAN Jr.
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上のような「政治力学」の急激な変動には、現地イラクでのイラク人自身の動き
がある。こちらは、最初の「サマワ部族」も含む「南部」が中心だが、最も大きな勢
力の動きである。
 
---------- 引用ここから ----------
イラク主権移譲プロセス、シーア派最高権威が“反乱” (Yomiuri)--反乱?
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/773.html
投稿者 ああ、やっぱり 日時 2004 年 1 月 17 日 01:35:45:5/1orr4gevN/c
(回答先: 宗教令で統治評議会否定も シーア派最高権威  『共同』 投稿者 どさ
んこ 日時 2004 年 1 月 16 日 17:27:13)

イラク主権移譲プロセス、シーア派最高権威が“反乱”
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040116id22.htm

【バグダッド=鶴原徹也】昨年11月に米国主導の連合国暫定当局(CPA)とイラ
ク統治評議会が同意したイラク主権移譲プロセスが、イスラム教シーア派最高権威、
アリ・シスタニ師の反対で再び揺らいでいる。

同師が、5月末までに発足予定の暫定議会議員は、あくまで直接選挙で選出するべき
だと主張し、大衆動員に乗り出したからだ。統治評議会の中では、主権移譲プロセス
の見直し論も台頭してきた。

消息筋によると、同師は9日、南部サマワの部族長らに「直接選挙が実現しない場合、
1920年革命(英国の委任統治に対するイラク人武装蜂起(ほうき)が再現されよ
う」と発言し、現行プロセス阻止のために“実力行使”を辞さない構えを示した。南
部バスラで15日、同師支持者数万人の直接選挙要求デモが実施されたが、これは大
衆動員第一弾と見られる。

アラブ首長国連邦の衛星テレビ「アル・アラビーヤ」が16日伝えたところによれば、
同師は直接選挙実施に取り組もうとしない統治評議会を狙い撃ちにして、「統治評議
会への協力拒否」のファトワ(宗教令)を近く発する方針を示した。

同師の反対を受け、パチャチ統治評議会議長は16日、「主権移譲時期の延期もあり
得る」と述べた。 

同師が脅しを加えてまで直接選挙実施に固執するのは、「民主主義実現」という表看
板に加え、合意された選出方法では、暫定議員の大半が米国の意にかなう人選となる
のではないかとの懸念がある。さらに、統治評議会に加わる政党の多くは反フセイン
闘争を国外で展開し国内に根を下ろしていないため、早期直接選挙はイラク国民の6
割を占めるシーア派の政党に有利になるとの読みもある。統治評議会に加わるシーア
派のダアワ党は直接選挙実施へと方針転換した。

旧フセイン政権下で抑圧されたシーア派は、政権崩壊の最大の受益者といえ、そのた
め本来は価値観の相いれない米国に協力してきた。だが、ある西欧外交筋は「協力は
あくまで暫定的」と指摘し、生活苦と治安悪化による不安定な情勢下で、影響力を強
めるシーア派指導者が反米へとかじを切る危険性を示唆した。
(2004/1/17/00:33 読売新聞 )
---------- 引用ここまで ----------

 最後のまさに偶々の実に興味深い偶然の一致の情報は、日経朝刊、文化欄の連載、
「私の履歴書」である。

 カナダ生まれのアメリカ人、最も良く知られた政治経済学者、ガルブレイスの16回
目だが、彼は、第2次世界大戦後、ドイツと日本をも訪れた。本日の項目、「国務省」
の中では、その経験を踏まえて、つぎのように書いているのである。
 「私はイラク戦争に反対した。戦争終結後に続いている混乱を見ても驚かない。ほ
かの国を統治するのは無理な世界にわれわれは生きているのだ」


 なお、本日は、わが誕生日である。戸籍上では67歳になったが、何の祝いも届かな
い。ろくな歳ではないのかもしれない。しかし、昨日、木村書店で取り扱い中の拙著、
9冊の注文がファックス通信で届いた。電網には接していない年輩の方からである。

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長


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