1483.読者の声



       !!最近の株価の変動について!!
    !!国際戦略コラムの諸先生のご意見を!!

フセインの捕捉で、米国ダウは別にして、どうして東証株価が、
300円からの上昇になるのか、相場の変動は結果論より、その理
由と見通しがはっきり有るものと思われていた。
日本経済にどのように利害が有るのか経済界、特に証券会社の一流
どころにも、なんのコメントもなくはたして2日かけてもとのモク
アミ以下の日経平均に下げている。

株取引にインターネットでの取引が可能になり、専門の証券会社が
競っている。それは「玄人」だけのやり取りなら、ネット取引で約
3年・でリストラとか若い企業家を名乗る方々が多数参加されてい
る現物株なら買ってからも安心して、寝ながら急ぎもせず株の結果
を見ていれば良いが、信用取引「空株」はそうはかない大量の売買
が常のため、話に依れば夜も寝る間が欲しく米国初め世界の相場の
ニュースに追われマバタキの間に相場の動きに驚き、「空株の追証
」と言われるものに振り回され、今回のように何の根拠もなく株の
上下に「シロウト」さんは、其のうち「武富士」まがいの金利に追
い回されるはめになるのでは。

恐らく近いうちに空株の追証とかで個人の・株倒産よって、証券会
社も倒産の憂き目に会うかも、この事は政府金融機関の責任になる
かも、取り越し苦労で人のことはほっといて欲しいと・

事件が起きてからしか、手入れ出来ないばかりが政治でないと思い
ますが、それに政府のドル介入株の公的介入はそれとなく知れてい
て、それも仕方ないかも知れないが・・・・
ドル・公的年金・等の収支決算の報告は各政党が要求するべきと考
えますが、いずれにしてもイラク問題にとらわれず、国内の金融問
題に政府は考えるべきと思います。
「民主党」もドル・公的年金・等の収支を政府に問いただすべきと
思います是非お願いしたい物です。
   12.17.9.15.pm.  ks_kiyo4@yahoo.co.jp
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(Fのコメント)
世界の市場取引で大きいのは先物取引(デリバティブ)取引でしょ
うね。これは取引の権限の売買であり、現金が少量しか権利購入時
は発生しないが、その権限行使の時点では大量な現金が動くことに
なる。このデリバティブに大量の資金を投入しているのが、米国大
手の銀行で、このデリバティブ取引で損をすると、国家予算規模以
上の損が発生するようです。

どうも、そのような影が見え始めている。米国の軍事産業が大きな
儲けを出しているが、イラク復興事業で米国大手の銀行も参加して
いる。国営銀行を運営するのですから、大きな損を飛ばして隠すこ
とができるようです。グリーンスパンも大手銀行の倒産をさせると
、米国経済に大きな傷ができるため、潰すことはできない。

このため、フセイン拘束でイラク復興事業が軌道に乗り、米国経済
のガンである大手銀行の損を隠せるので株価は上昇したのです。
しかし、イラクの状況は安定しないので元に戻ったのでしょうね。

日本は米国の経済の比重が大きいので、米国経済が好調であれば、
日本の経済も好調という感じで、株価は上昇し、下降したようです
ね。日本市場に参加している40%が欧米機関投資家であるので、
しょうがないですね。
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国際戦略コラム御中
 
江田島です。
 
大陸的な国民と海洋的な国民の気質があることと、軍事的な問題を
ごっちゃにして、議論していませんか??、私は別問題と思う。

現代科学は構成要素を、1つづつ分解して、分析し、再度統合する
ことで議論を進めることでできているが、シーパワーとランドパワ
ーは複数の要素を関連させているために、分かりにくくしている。
要素を分解して、より強い要素を中心に分析しているのが最新の国
際関係学の手法です。リアリストたちもそうですね。

→一番強い要素として陸(生産)海(交易)を基盤において考える
 べきとの立場です。
 

気質については、天性的な要素があり、ある程度分かるが、それと
技術上の軍事的な要素は、過去にそうなっていたとしか言えないよ
うに思う。米国空母がシーパワーの中心で、戦艦の時代ではないし
、その空母の主力兵器は航空機になっている。エアーパワーが主力
ということになる。空母はエアーパワーの輸送手段でしかない。

陸軍も対戦車ヘリ、戦闘機がその中心を成している。戦車よりアパ
ッチの方が主力である。よってエアーパワーである。対戦車ミサイ
ルでゲリラも優位な位置が築けるなど、近代通常兵器よりゲリラな
どの精神戦の方が優位になっている。軍事的な構成は技術の進歩で
変化する。軍事的な過去を幾ら調査しても将来の軍事的な分析の参
考にはなりませんが、国民気質は参考になります。イスラムの気質
は重要ですよ。

→航空機が重要な要素であるのは太平洋戦争以来そのとおりですが
 、空母は単なる運搬手段ではなく、それ自体完結した前線基地だ
 し、機動部隊という単位で運用され、プレゼンスの示威という意
 味もあります。航空機だけでは制海権を保持できないと思います。
 
陸軍もヘリや飛行機は重要な要素ですが、最終的には歩兵による制
圧が必要になるんじゃないでしょうか
現にイラクでそうなってます。イラクで行われてるのは、人対人の
古来の戦いです。

軍事的な過去は将来の軍事分析の参考になると思います。ベトナム
戦争やレバノン侵攻はイラク戦争の参考になると思いますが。ここ
を無視したやりかたがイラク攻撃につながり、ごらんの有様。


現在の経済面(米国から欧州へ経済覇権が移行している)の分析も
必要であると思います。経済的な覇権無しには世界を動かすことが
出来ない。

→アメリカの衰退は予見してます。戦略的に破綻しており、ドル暴
 落は間近です。日銀は必至に支えてますが。


もう1つ、過去を調べることも重要ですが、ここ50年間(戦後か
ら)の地政学、地経学の最新情報も調査した方がいいようですよ。
スパイクマン以後の情報をもう少し加味してはいかがですかね。
ナイさんの主張やリアリストたちの主張も加味して検討するとより
よい議論が可能になると思います。

→そうかもしれませんが、冷戦で実証された理論はあくまでスパイ
クマンの理論です。コンバットプルーブンであり、今後の中国封じ
込めに応用できます。


覇権国家にならないなら、覇権国家のサイトに着いていることが、
サブ国家としては得です。米国・英国がシーパワー中心で覇権を取
ったためにシーパワーがいいように感じているのではないですか?

その覇権国家が米国から欧州にシフトしていると思えるのです。
この100年ぐらい、英米で覇権を維持してきたが、その経済基盤
がぼろぼろになってきている。そろそろ、覇権の移行期にあるよう
ですね。覇権移行期は紛争期でもあり、リムランド対ハートランド
の戦いになっているようなのです。ここは豊臣政権から徳川政権に
移行する時の黒田藩のような動きが日本には必要であると思うので
すがどうでしょうね。

→ランドとシーはまさしくリムランドとハートランドの対峙です。
 かっての英国が欧州に、そして冷戦期の米国がユーラシアに対峙
 したやり方がこれです。
 覇権国家が欧州にとの見方ですが、短期的にはそうでも長くは持
 続しないでしょう。ナポレオンやヒトラーの帝国が長続きしなか
 ったように。欧州の拡大は内陸部の不良債権やロシアを加えた時
 点で崩壊へのベクトルが働きます。英国はそれを読んでるので及
 び腰です。そこに、日英主導の環太平洋連合樹立の真意がありま
 す。
 日本は毛利かもしれませんね。関が原で南宮山の吉川広家は家康
 を勝たせるため、三成の攻撃依頼を無視しました。その際空弁当
 作戦を使ったのです。日本政府も陸自派遣については同じように
 空弁当を使うべきでしょう。結果として毛利は120万石を削られま
 したが明治まで生き残りました。
 

もう1つ、7000年の地球の歴史のほとんどはランドレーンの時
代ですよ。近代のポルトガルまではシーレーンは補助交通ですよ。

→ポルトガル以降、船舶の技術革新によりシーが主役となりシルク
 ロードは重要性を失いました。

この面の情報は、米国国際関係学のサイトやコバケンさんのサイト
がいいかもしれません。
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(Fのコメント)
米国の覇権を引き継げるのは、現時点では欧州しかない。英国一国
では無理。この準備を現に始めている。EU圏を拡大して、1つの
国のようにして、国家運営費を下げている。ヨーロッパに行くと米
国の州越えのような感じである。欧州の覇権を認めているなら、
それが短期でも、覇権の短期支配は20年以上は続く。この期間の
策を持たないのは、国家の指導者がやってはいけない。下手をする
と破滅か衰退になるのですよ。簡単に片付け過ぎで、観念的であり
すぎであると思うが??

GPSがなければ、陸上の戦闘はできない。情報がなくればRMA
はできない。この情報伝達やGPSシステムは衛星で行い、リンク
している。この衛星(スペースパワー)の力がないと圧勝できない
のですよ。このため、欧州はこのスペースパワーを米国から独立さ
せようとしている。

米国も陸軍の長距離の移動も航空機で行っている。シーパワーで、
移動させているのは、戦車などの重量が嵩むものを輸送するためで
すよ。制空権(エアーパワー)のないときの戦車や戦艦がいかに弱
いかは、知っていると思いますが、それを認めないのであれば、
議論にならない。止めましょう。ベースの意識が違いすぎです。

国民気質や経済的な面のついては、分析する必要がある。日本も最
初は農業国家から商業国家に変化して、その気質は変化したし、
必要な物資も変化した。
このため、気質(宗教意識)の変化や海外との輸送については考え
る必要があるのです。しかし、物資を安全にかつコストの安い方法
で運ぶのです。

昔は米国の東西海岸を結ぶのにパナマ運河が重要でしたが、今は
米国横断鉄道で物資を運んでいる。このため、米国にとって重要で
はなくなっている。現在、パナマ運河を一番利用しているのは中国
の海運会社ですよ。雑貨はこのパナマ運河を使えるが自動車運搬船
はパナマ運河を使えない。このため、西海岸で下ろして、鉄道で運
搬しているようですよ。シーかランドかは経済的な問題と安全の問
題です。

安全を確保するのにもコストを考える必要がある。シーがいいか、
ランドがいいかを考えることだと思いますが??
この時、日本一国で防衛できないので、どの国と組かを考える必要
があり、ユーラシア連合か一国主義の米国かの選択になる。日本で
世界覇権を確保できない。インドはロシアと防衛協定を結んでいる。
中国もロシアの武器を使っているために、ロシア圏である。EUの
拡大で、欧州の兵器にEU地域は変化するはず。日本はどうするの
ですか??

米国が嫌っているスペース・パワーの中心であるガリレオにはEU
諸国(英国、スペイン、イタリアも含む)にロシア・中国・インド
・オーストラリア・カナダ・イスラエルなどが参加している。EU
の誘いに乗っていないのは米国・日本・中南米の国と誘われなかっ
たアフリカや中東の国だけです。

米国は一国主義で、同盟国の言うことを聞かない。このため、問題
を起こしている。イラクへの軍派遣でも英国を除いたEU諸国軍は
お付き合い以上ではない。
そして、選択肢が2つしかない。欧州か米国である。どうするので
すか??そのストーリーを作って、具体的に議論した方がいい。
過去の冷戦時代とは違い、全ての国が資本主義の市場経済の国家で
す。イデオロギー的な見解は止めるべきです。ロシアの市場経済を
EUが協力して構築している。EUは中国の市場化も助けている。
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国際戦略コラム御中
江田島
 
イラク派兵阻止の必要について
まず、同盟国だから、日本政府は米国のイラク攻撃を支持したとの
意見についてですが、論理の飛躍があります。それならば、日本は
戦後の全てのアメリカの戦争を支持しましたか?そんなことはあり
ません。

日米安保条約もそのようなことを求めてません。ではなぜ、支持し
たか。ひとつには北朝鮮の核、拉致問題でアメリカの協力が必要と
の判断。もうひとつは何らかの恫喝がアメリカからあったからと推
察されます。

特に自衛隊派兵の過程で、アーミテージからかなり露骨な恫喝があ
りました。大義は何もないんです。要はアメリカの恫喝に屈したか
ら派兵するだけです。わが国政府はテロに屈するなとはいいますが
アメリカの恫喝には容易に屈します。
 
自国民から戦死者を出した日本はその糾明と治安維持を図る名分を
もったという意見について、外交官の死をそのように捉えるならば
、これは第一次大戦の開始や盧溝橋事件の開始さらにはトンキン湾
事件其の他と同じで全面介入への第一歩だということになります。
私はこれは使い古された手段であり、日本を全面介入させたいと思
う勢力の仕業であり、そのお誘いにのってしまうと今後の全中東戦
争での全面的介入つまり、当事者になることになると思います。

そこまでの意識を政府、国民はもっているんでしょうか。冷静に考
えてそのような事態は国益に反することを注視し、派遣を取りやめ
、中朝への備えに徹すべきです。
 
アメリカ政府を支配しているユダヤ系ネオコンのウオルフビッツも
全く他人を信じない砂漠の人であり、イスラエル安保のためアメリ
カを利用しているように、日本も利用してるにすぎません。利用価
値がなくなったら捨てられるだけです。信じてはいけません。
 
むしろ、イラクで陸自が見るも無残な形で犠牲になると、日本にと
っての真の敵たる中朝への抑止が効かなくなります。私はそれを恐
れます。
 
世界の潮流は仏独中ロインド、トルコをはじめ、派兵せず、様子見
に徹しておりアメリカが今後どのような形で泥沼化し、崩壊してい
くかに備えてます。
日本の派兵はアメリカの恫喝に屈したのだなと思われるだけで米国
を除いては、全く評価されることはないでしょう。世界はすでに
日本を米国の属領と見抜いてますから。
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件名:ゲリラ戦に参戦する覚悟はあるのか  

イラク特措法は、戦闘地域と非戦闘地域の区別を前提としている。
しかし、小泉首相でさえ、非戦闘地域がどこかわからないと言う。
当然である。イラク全土が戦場だからだ。
 そのような状況の中で自衛隊を派遣することは、明白な法律違反
である。自民党が、自分で作った法律を自分で破ろうとしてる。違
法状態で派遣されるのであれば、自衛隊もたまったものではない。
自衛隊を派遣するのであれば、最低限、新たな法律が必要である。

 イラクではまだ戦争が続いている。それは正規軍同士の衝突から
、ゲリラ戦へと移行した。ゲリラ戦には戦闘地域と非戦闘地域の区
別はない。安全だと思われていた非戦闘地域が、あっという間に修
羅場になるのが、ゲリラ戦である。

 このゲリラ戦は、米英軍を中心とした国際部隊と、サダム・フセ
イン残党派+イスラム過激派の間で戦われている。後者が、米英と
その同盟国によって「テロリスト」と呼ばれている勢力である。

 「戦争とは他の手段をもってする政策の継続である」というクラ
ウゼヴィッツの言葉は、戦争は政治的目的の追求の手段であること
を語っている。この言葉を認めるのであれば、テロもまた「他の手
段をもってする政策の継続」である。

 イラクの「テロリスト」には明確な政治的目標がある。それは、
米英軍およびその同盟軍をイラクから追い出し、旧サダム・フセイ
ン体制を復活させることである。

 常識的に考えて、復興活動は、戦争が終わってからはじめて開始
できる。自衛隊が今イラクで水道工事を行なっても、それが破壊さ
れたら、イラク国民に何の益ももたらさない。石油パイプラインが
破壊されたように、自衛隊の作った浄水設備が破壊される可能性も
ある。日本がベトナムの復興に協力したのは、ベトナム戦争が終わ
ってからであった。

 では、戦争が終わらない間は、何もできないのだろうか。戦争中
にできるのは中立の人道援助である。赤十字は、どちらの側の兵士
でも、傷ついた兵士を助ける。ただし人道活動は、戦う両軍のどち
らにも肩入れしない中立的なものでなければならない。もし一方に
肩入れすれば、それは人道支援とは名乗っても、一方に加担する行
為と見なされるだろう。

 イラクの現状は、先に述べたように、米英軍を中心とした国際部
隊と、サダム残党派+イスラム過激派の間のゲリラ戦になっている
。後者にとってみれば、米英主導による秩序が確立し、イラク社会
が安定しては、自分たちの居場所がなくなる。したがって、イラク
社会をできるだけ不安定化させることが彼らの目的となる。だから
、たとえ国際赤十字や国連が主観的には善意の非武装の人道援助を
行なうつもりでも、サダム残党派+イスラム過激派からすれば、
それらの国際的非軍事組織さえも、イラクを安定化させる英米側の
勢力と見えるだろう。

 「テロリスト」陣営が米英軍に対して軍事的勝利をおさめること
は困難である。だが、彼らの目的は軍事的勝利である必要はない。
米英およびその同盟国がイラクから出て行きさえすれば、彼らの目
的は達成される。そのためには、「テロリスト」側はできるだけ混
乱状態を長引かせ、ボディーブローのように占領軍を精神的、肉体
的、経済的に疲弊させ、各国の厭戦気分を高めようとするだろう。
テロリスト=ゲリラは膨大な一般イラク人の海の中を泳いでいる。
彼らを根絶することは至難の業であろう。イラクというブラックホ
ールに膨大な金が吸い込まれていき、やがてアメリカのような経済
大国もたえられなくなる時が来る。

 このような現状の中で、日本がイラクに自衛隊を派遣することは
、日本が明白に米英の同盟軍となり、サダム残党派+イスラム過激
派を敵と見なすと宣言することを意味する。
 すぐに戦闘行為に参加しなくとも、イラクに足を踏み入れたその
瞬間から、日本はゲリラ戦に参戦したことになる。ゲリラ戦の中で
は、復興部隊といっても攻撃される可能性がある。「自衛」のため
には、自衛隊が「テロリスト」を「殲滅」(石原都知事)せざるを
えない場面も出てくるかもしれない。今まで中東ではきれいであっ
た日本の手が、血で汚れる。

 自爆攻撃を受けて自衛隊員に大量の死傷者が出たら、日本は途中
でイラクから引きあげるのだろうか? 途中で逃げ帰ったら、何の
ための派兵になるのだろう? 一時的にアメリカにいい顔を見せる
ためか? それではアメリカは満足しないだろう。「テロに屈しな
い」と言うのであれば、どんな被害を受けても、イラクから「テロ
リスト」がいなくなるまで、自衛隊はイラクに居続けなければなら
なくなる。それは数ヶ月ですむ話ではないだろう。日本はアメリカ
と一蓮托生の運命を選ぶのか? だが、アメリカがベトナムで敗れ
たように、イラクでも敗れないという保証はない。

 戦争を始めることは簡単だ。しかし、始めるときには、いつやめ
るかを考えておかなければならない。テロとの戦争も同じだ。イス
ラエルを見てもわかるが、そもそも武力でテロを根絶することは不
可能に近い。テロとの戦争は永久戦争になる。自衛隊を派遣するの
なら、日本はいつテロとの戦争から降り、自衛隊を引きあげるのか
を考えておかなければならないだろう。それなしに自衛隊を派遣す
ることは、無責任である。

 イスラム過激派はイラクにだけいるのではない。彼らは世界各地
でもテロ活動を行ない、厭戦気分を高めようとするだろう。日本が
イスラム過激派を敵に回した以上、彼らが日本をも標的とすること
は必然である。日本国内ばかりではなく、海外の大使館、日本企業
、旅客機、旅行者などもテロ攻撃の対象となる。「テロリスト」に
とっては、警備の厳しいアメリカ関連施設よりも、警備の甘い日本
のほうが狙いやすい標的だろう。自衛隊員ばかりではなく、非戦闘
員の文民や民間人も「テロとの戦い」の犠牲者となる――イラクで
殺された2人の外交官のように。自衛隊を「活用」することによっ
て、日本の「自衛」状態は以前よりも悪化するだろう。

 小泉首相が「テロに屈しない」として、自衛隊をイラクに派遣す
るのであれば、今後、日本は、膨大な戦費を使い、人命を失い、
しかも米英の走狗となったことによって、多くのイスラム教徒から
敵視され、今後は米英と同じようにテロの恐怖の中で生きることを
覚悟しなければならない。それでも自衛隊を派兵するというのであ
れば、首相は、それが「国益」となるということを、国民に十分に
納得いくように説明していただきたい。
 中澤英雄(東京大学教授・ドイツ文学) 
Kenzo Yamaoka


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