1478.アメリカ権力と木村コラム



現在行われていることを、単純な、目先の「国益論」で、惑わすの
は、危険である。
中東侵攻は、アメリカ権力機構の、世界戦略と、深い繋がりをもっ
ているからだ。
つまり、この「世界戦略」が、もたらす、世界・システムについて
、考察しなければ、日本の選び取る戦略の軸を立てられない。

よく、「陰謀論」なるものがでるが、正しくは、競争的戦略論・「
支配構造の確立による優位性の固定と、競争者排除とシステム」と
いえるじゃろう。
ネオコン等、「新アメリカの世紀プロジェクト(PNAC)」が、
2000年に発表した、「アメリカ国防再建―新世紀のための戦略
、武力、資源」の構想が示しているのは、まさにそれで、その中核
的戦術に、中東(石油)支配があるといえる。

 支配構造には、三つのキーがある。
○物理的な、<力>の優位。
(いざとなれば、物理的に抹消、あるいは、強制する。)
○マネー(富)の収奪システムの確立。
(過去は、土地が<富>の基底にあると考えられた。
 現在では、利権の確保と、金融循環の支配、及び資源の確保にあ
る。市場は、それを遠隔的に達成する装置である。つまり、富の流
路である。)
○ 情報・文化の支配と洗脳(あるいは、教育)である。
被支配者が、化粧された思想によって、自ら支配者を守ってくれる
ことが、重要なポイントである。(昔は、貴族という血によって、
今は、自由主義という、名によって。)
(アメリカの支配者達は、とうの昔に、本当の自由主義を放棄して
いる。現在あるのは、自分達が勝てるかぎりにおいての自由の押し
付けである。)
 そして、<忠誠>の概念は、正義にも悪魔にも適応される。

 認識しておかねばならないことは、ネオコンには、本当は友人な
ど必要としていないことだ。(自分達のインナーのみが重要である
。←これは、選民思想とも結びついている)
というより、万人と万人の闘争過程で、<自分だけの利害>が最終
的な問題であることを、根本の思想にしている。ここには、<和>
も、<友愛>も、<他者への慈愛>も存在しない。
彼等がみせる連携は、「利用できるものは、すべて利用する。」と
いうことである。

この方策は一貫していると考えられる。キリスト教右派を取り込ん
でいるのもその為である。(そこには、多くの秘密の扇動者が、入
り込んでいる。)
共和党自体をも、権力を彼等に与えるならば、利用しようとしてい
るに過ぎない。

人類社会は、彼等の狩り場であり、地球は、闘争の勝利者に与えら
れるトロフィでしかない。「勝ち組み」の意味は、そこにある。「
勝ち組み」は、彼等のパーティに招きいれられる。そして、利益の
分配を求められる。

「彼等が、我々につくか、相手につくか」という時、テロリストに
つくかという意味以上に、この支配の陣営に加わるかを意味している。
むろん、今の日本が、この悪魔的なシステムの支配者に楯突く力は
ない。その意味でも、正面きって反米を唱えることは無謀だろう。
だが、その先に待っているのは、<精神の荒廃>と、<システムの
奴隷>的位置にすぎない。(我々が怖れているのは、本当はいつも
、アメリカの怒りだからである。)
われわれは、密かに、自身達の思想と哲学を保持し、その影響を最
低限に止めなくてはならないのだ。

 決して、米国全体が、汚染されているとは思わない。しかし、孤
立と、不安と、欲望、経済的な行き詰まりは、彼等に利用されている。
ならば、彼等の内部に、働きかけることが重要なのである。
このネオコンの唱える「世界戦略」の危うさを知らしめなければな
らない。
この、「世界戦略」の中心にある、哲学の<悪魔性>を暴いていか
ねばならない。

物語は、その底にいつも神話を秘めている。
圧倒的な、独裁的支配者。
それを打ち破るのは、強い友情に支えられた、<仲間>達である。

 日本の政府に、アメリカを動かす力など初めからありはしない。
最前線で接する、外交部隊の彼等に見えるのは、アメリカの強大さと、
薄い皮の下にある、<暴力性>(軍事に限らず、その論理が)だろう。

我々は、もっと、文化的に彼等に迫っていくべきなのだ。
(宮崎駿のアニメが受け入れられたのなら、日本発の<和>や、
<大乗的利他思想>も<知足>も、いろんな形を変えて発信される
べきだ。

世界を救うことができるのは、他者と、<共感できる>ということ
にあるのだ。

                          まとり
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中東情勢には、いくつかの<肝>がある。
その一つは、「エルサレム」問題だ。
エルサレムは、国連総会で、国連管理下におかれるべきだと決議さ
れている。
しかし、イスラエルが、実効支配したまま、これを履行しない。
<ユダヤ教><キリスト教><イスラム教>の三つの、啓典宗教の
聖地であるエルサレムを、「国際管理」にすることは、
<精神的な支柱>を、国際社会が取り戻す為に、必要な戦略である。

キリスト教社会と、イスラム教社会の融和、(少なくとも、憎しみ
の連鎖を止めること)なくしては、世界は安定しない。
ここに、<火>を持ち込み、上がる戦火から、利益を得ようとして
いる勢力がいる。
エルサレム一都市を、確保したとしても、戦略上どうこうもないと
いう考え方をする人間がいるが、それは、軍事的・経済的思考にの
み眼を向ける人間だ。

<神>が、実存するかどうかは別として、人の心には、まさしく<
神>はいるのである。
パエスチナ問題は複雑である。シオニストの論法は、とてつもなく
ひどいものだが、現実を支配している。我々が必要としているのは
、現実段階での解法だ。
それには、逆に精神的な原点に、一度戻って、「エルサレム」が、
すべてに平等に解放されることから考えてみてはどうだろうか?
                        まとり
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自衛隊のイラク派遣を決めたそうな。

よく
「仮想空間」「仮想現実」を真実・真相と同一視して、人倫・人道
を逸脱した行為が行われ、それが後で非難・罰される場面に出くわ
すことがあります。

「状況」「実体」「真実」「効果」「役割」「大義」
がよく見えないまま、現地で「成績を上げろと!!」命令されて
送り出される隊員が哀れです。

装備も訓練も気持ちもそのためにしていないからです。
dfj12912@biglobe
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国敗れて、浪漫なし 天沢履助 投稿日:12/11(木) 

日本の外務省の人事制度では、外務事務次官を経験したあとで、駐
米大使として赴任するそうです。
(本当に、本当ですか?)
これは、日本国の総理大臣の補佐役よりも、アメリカ国との連絡係
のほうが、官僚としての位階が上であるという意味になるそうです。

今回、イラクへの自衛隊派遣やイラク戦争へのアメリカの支援ぶり
を見ていると、やはり日本は主権国家とはいいがたい、属国にすぎ
ないのだということをしみじみと思います。

戦争に敗れて58年ですが、はじめのうちは、文化や言葉の壁、株式
持合いや系列などの日本人の知恵、アメリカ人の誤解や傲慢さや思
いあがりによって、日本の属国化はなかなか進展しなかったのでし
ょうが、とうとう骨の髄まで、政治、経済、文化、すべての領域に
おいて植民地化が貫徹したのでしょう。

文化人類学者ルース・ベネディクトの「菊と刀」で神秘的に賞賛の
心をもって描かれた日本でしたが、とうとうウォルフレンらによっ
てその神秘と謎のヴェールを剥ぎ取られ、無防備な裸の状態になっ
た。そこから先の植民地化は一気に進みました。

アメリカの進駐軍は、戦後改革としてまっさきに日本の教育制度、
とくにエリート養成システムと歴史教育に手をつけたました。

我々は、まず最初に、過去を奪われ、エリート層を失い、過去の文
化を伝承することを禁じられ、目先の物質的豊かさにうつつを抜か
す太ったブタ(まるで「千と千尋の神隠し」に出てくる両親のよう
に)になったのです。

失ったものを取り戻すためには、まず何よりも、国の独立や文化を
失ったという自覚をもつ必要があると思います。
天沢履助
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1471の木村コラム拝読。

イラクで二人の日本人外交官が暗殺された背景には、やはりアメリ
カの陰謀があったと考えられますね。
日本の駐イラク大使の発言や姿が見えないのも、変。彼は東京にい
たはずなのに、殺された二人の直属の上司が姿を見せないのは、
どうしてですか。

日本人は、イラクに1000人の自衛官が派遣されることを、まる
でひと事のように受け止めているけど、ちがうかもしれない。

     1000人=1億人

正規軍を他国の戦闘地域に派遣するということは、それがきっかけ
となって、全面戦争になることもありえるということ。国家予算の
何割かを、アメリカに送金して、イラク戦争のために使っていただ
くことになるでしょう。(その戦争利権のために、いろいろな国が
暗躍するでしょう)

おそらく、アメリカやイスラエルは、1000人の日本の自衛官を
煮て食おうか、焼いて食おうかと、てぐすねひいてまっているので
はないか。いったん派遣してしまえば、孤立無援の砂漠の中で、自
衛隊は標的になり、さらには追加派遣するための呼び水にされるの
でしょう。

でも、アメリカがそうしろと言ったら、おとなしく従うしかないの
が日本。独立国ではないのだから、仕方ないのか。かなしい。

天沢履助
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『亜空間通信』706号(2003/12/12)
【外務・法務高級官僚が必死に隠蔽図るイラク2外務職員の不審な遺体映像は電網上
で最早抹殺不可能】

この件は急を要するので、経過は省く。以下、まずは、事実関係を概説する。

週刊現代が、イラクで殺害された2人の外務省職員の遺体映像の写真を掲載した。

 週刊現代を出版している講談社には、外務省の国内広報課が抗議し、さらには、そ
の映像の源と見られるイギリスの通信社、ロイターには、ロンドンの日本大使館が圧
力を掛けて、映像配信を中止させたと。

 それだけではなく、電網上で発表しているところへも、外務省の国内広報課と法務
省の東京法務局が、歩調を揃えて、抗議し、掲載中止、削除の圧力を掛けた。
 
 日本の在外公館の一つ、イギリスの日本大使館の行動は、基本的には、外務省の直
轄の仕事である、外務省の中で、講談社と電網上の電網宝庫に圧力を掛けたのは、国
内広報課である。課長の大森茂は、外務省に直接入った「生え抜き」高給官僚である。
 
 外務・法務の両省は双方ともに、圧力の根拠は、「人権擁護」と主張し、「遺族」
を人質に取っている。
 
 しかし、遺族が抗議したわけではない。その結果、その他の情報不足と情報公開拒
否の状況下、事件の事実関係、真相は、隠蔽され続けている。これでは、真犯人を突
き止めることは不可能となる。むしろ、死者の死後における再度の抹殺である。遺族
も、真相を知りたいに違いないのである。外務・法務の両省の方こそ、遺族の人権を
踏みにじっているのである。
 
 しかも、この事件が及ぼす影響は、図り知れないほど大きいから、誰にでも真相を
知る権利がある。通常の殺人事件なら当然の鑑識、検屍解剖などの情報が、入り乱れ
て、どれも信用できないのだから、手掛かりとしての映像は、貴重この上ない。
 
 そこで、私は、やむなく、外務省の国内広報課長の大森茂に、何度も説諭を試み、
どうにもこうにも、箸にも棒にも掛からないから、わが電網宝庫でも発表するし、可
能な限り広めると通告した。

二人の遺体の映像を、以下に入れた。井ノ上氏の遺体の両腕と、シーツの下に隠れた
足の両膝は、死後硬直の状態を示している。奥氏の遺体には死後硬直の状態が見られ
ない。左脇腹に長くて深い傷跡がある。

頁の題名は「reuters tv iraq; 2 japanese diplomtas slain」

URLは以下である。

http://www.jca.apc.org/?altmedka/2diplmts.html

別途、運転手と思われる遺体の頭の下には血が溜まっている。それは、静止画像も確
保したが、動画に映っている。

この元のロイターの TV動画は、Windows Media Playerを起動し、以下のURLを入れ
ると、いつでも見ることが出来る。いきなりURLを入れても駄目である。

mms://a2.v9186a.c9186.g.vm.akamaistream.net/7/2/9186/v0001/reuters.download.
akamai.com/9186/t_assets/20031130/JapanBodies1130_WM_BB_cba8a66e16d2ef20ba1b
3ff1b166f6f60fdfe2f0.asf?WMCache=0&&s=reuters&c=reuters_television&cb=fr2

この電網宝庫の全体像は、URLの真ん中、akamai.comを検索すると、簡単に分かる。
以下が、事業の概略説明である。

---------- 引用ここから ----------
http://www.akamai.com/en/html/about/business_internet.html
The Business Internet
Companies don't rely on the Internet

They rely on Akamai -- The Business Internet
To recognize the full promise and competitive advantages of e-business,
companies need a platform with services designed specifically for business.
A platform that makes e-business not only possible, but also profitable.


"...we were able to reduce the load on our origin servers by up to 99%,
dramatically enhancing the performance and reliability of the user
experience. Akamai saved us from needing to build out, and spend resources
to maintain, our own infrastructure..."

―Dave Abbott, CTO of Internet Broadcasting Systems

Akamai―The Business Internet is this platform. Designed to overcome the
limitations of the Internet, it is built on the world's largest
globally-distributed computing platform and includes specialized services
that lay over the Internet, making it a predictable, scaleable, and secure
platform for conducting profitable
e-business.
The Business Internet enables organizations to extend and control their
e-businesses. Organizations are able to extend their infrastructure to reach
stakeholders globally, quickly and reliably―and control their information
flow, 
with unique across-the-Internet vision and tools to track and manage
e-business processes.
Click here to read Akamai's Business Internet whitepaper
---------- 引用ここまで ----------

つまり、簡単に言えば、情報商売である。こういう電網宝庫が保存していて、いつで
も見ることができるのだから、外務・法務高級官僚の「あがき」は、漫画でしかない。

ただし、そこで見ることができる動画には、最初のロイターTVの画面の下に記されて
いた以下の説明はない。私は、直後に静止画像を確保したから、これが残っている。
以下は、その画像を見ながら、自力で打ち込んだ英文である。

---------- 引用ここから ----------
REUTERS TELEVISION

IRAQ: 2 JAPANESE DIPLPMATS SLAIN

Ambushed en Ruote To Tikrt

Nov. 30 - The bodies of two Japanese diplomats and their driver, killed en
route to attend a coference north of Baghdad, are taken to Tikrit hospital.

get more news at Reuters. com
---------- 引用ここまで ----------

この説明が、何時、作文されたのかも、重要な手掛かりである。「バグダッドの北の
会議に参加する途上」という説明は、死体を見ただけでは分からないはずである。バ
グダッドの日本大使館か米軍に聞かなければ、出てこないのである。

しかし、「途上で殺された」(killed en route )かどうかは、未だに断定はできない
のである。どこか別の場所で殺され、「ゲリラの犯行」に見せ掛けるために、現場付
近まで運ばれ、そこで車ごと銃撃されたのかもしれないのでる。

 ところが、未だに、どういう経過なのか不明のままのことが、多すぎる。
 
 運転手を含む3人の遺体を動画で撮影したのがロイターのカメラマンなのか、米軍
なのか、CIAなのか、モサドなのか、それらもまったく不明のまま、「バグダッドの
北の会議に参加する途上で殺された」という情報が、世界中に配信されたのである。
 
「疑う者はテロリストの味方か!」、「アメリカの敵か!」と、皆が脅されているの
である。

だから、私は、断固、疑い続けるし、映像を配信し続け、広め続けるのである。電網
上に溢れ出ている映像を、あえて圧殺し、抹殺しようと「あがく」日本の高級官僚の
背後には、アメリカとか、イスラエルとかが、潜んでいる可能性もある。私は、「命
が惜しくば」という脅しには、絶対に屈しない。

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』705号(2003/12/08)
【緊急転載:誰が隠したか最重要の絶筆:故奥克彦参事官が死の直前に書いたイラク
復興への思い】
 
 以下、緊急事態に付き、説明抜きで、阿修羅戦争44掲示板の関連投稿を列挙する。
意味は明瞭である。イラク3人殺害事件は、この「絶筆」を読まずには、理解し難い
ものである。「死者が残した最後の論文」、その行方が不明なのである。「誰が隠し
たのか?」
 
 外務省関係者は、事件の被疑者なのである。

1)・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
「独占入手!絶筆:故奥克彦参事官が死の直前に書いたイラク復興への思い」全文

「奥さんの遺志を継ぐと「称する」者も、本当にそうしたいと思う者も必読!

 ところが不可思議なことが起こった。

 大使館の奥氏のデスクや宿舎をいくら探しても、なぜか彼のバソコンが見あたらな
いのだ。しかもアメリカ軍や現地警察などから渡された遺品の中からも見つかってい
ないという(二日現在)。

『週刊文春』(2003.12.11)

総力特集「新聞・テレビが絶対に報じない」
「イラク外交官テロ全真相」
特集の最後:
「独占入手!絶筆:故奥克彦参事官が死の直前に書いたイラク復興への思い」

作家 麻生 幾

写真説明:「外交フォーラム」最新号と要人を案内する奥氏

写真説明:イラク復輿への情熱は継承しなければならない


 人間は死に直面した時、脳細胞の記憶の箱が次々と開けられ、そこから様々な映像
が飛び出すという。故奥克彦・外務省参事官は、襲撃現場から病院へ搬送されてから
亡くなったと伝えられている。チクリットの犯行現場で意識がなかった、というが、
もしかすかにでもあったとすれば、遥か日本と約八千キロ離れたかの地で倒れた彼の
脳裏には、いったいどんな映像が浮かんでいたのだろうか――。

 一報が伝えられてから私を呪縛していたのはずっとそのことだった。そしてこのこ
とを誰かと話し合いたい、という強い欲求にかられ続けた。そして居たたまれなくなっ
て私が電話機のプッシュボタンを押したのは、「外交フォーラム」という月刊誌の編
集部の電話番号だった。

 同誌は日本で唯一の外交問題専門誌である。さしずめ、世界的に知られた米誌「フ
ォーリン・アフェアーズ」の日本版といったところだ。国連、安全保障といった骨太
のテーマを分かりやすく毎月特集し、また膨大な数の外交官の手記、インタビューを
掲載して来た。そして私事で恐縮だが、小生はその末席を汚すがごとく連載小説なる
ものを書いている。

 事件を知ったとき、すぐに思い出したのは二カ月前、同誌(十一月号)で掲載され
ていた奥氏の原稿だった。まさに“イラク発”として、国連の役割について綿密な分
析と考察が行われていた。

 だからと言って、私は何を聞きたいとか、教えてくれ、というわけではなかった。
奥氏の脳裏に最期に浮かんだことについて、彼を知る数少ない関係者に触れてただ語
り合いたかった――そんな思いだけだった。

「奥氏の脳裏に浮かんだもの? もちろん家族のことでしょう。でもそれだけじゃな
かった、と確信しています。彼のイラク復興へ賭けた想いは壮絶でした。なぜなら…
…」

 そう語気強く口にした同誌関係者は急に声を詰まらせた。私はその想いがよく分かっ
た。結局あの原稿は絶筆となってしまったのだから……。

 だが関係者のその想いが、二カ月前の原稿とはまったく別のところにあるとは想像
もしていなかった。私が聞き及んだのは、実はもう一つの“未公開の原稿”が存在す
ること。そしてそれこそが「本当の絶筆」である――そんな意外な秘話だった。

命がけのメッセージ

 私が仄聞したのは以下のとおりだ――。

 奥氏は亡くなる直前、個人用パソコンを使った“未公開の原稿”を書き上げる寸前
だった。その原稿とは、再来月号の「外交フォーラム」の英語版に掲載予定であった
もの。しかも事件に遭遇した直
後がちょうど締め切り日にあたっていた――。

 悪夢の惨劇の直前まで、任務の合間を見てはパソコンに向かっていた奥氏の姿が思
い浮かばれる。

 聞くところによれば、奥氏は、事件前、その原稿の内容を「外交フォーラム」宛へ
伝えていたという。すでに原稿の仮タイトルについても、奥氏はこう提案していた。


〈(紛争後における軍隊の役割について―イラクの実例から)〉

 そして、その仕上がり間近の原稿の内容について、奥氏自身、こう綴っていたとい
う。
〈イラク復興に関与しているアメリカ軍を中心とした各国の戦闘要員である軍隊が、
ポスト・コンフリクト(地域紛争後)において果たしている役割、例えば民政部門の
復興への関与について、私が見た、体験したイラクでの実例を挙げながら解説する予
定。その上で、今後のイラク復興の方向付けについての意見を展開します。イラクで
は、連合暫定施政当局(CPA)よりも、むしろ軍関係者が治安維持という分野を越
えて、さまざまな分野に関与している。つまり、軍が事実上の「行政」を取り仕切っ
ている。こういったイラクの実例は、これまで国連のPKOが行われたコソポ、東ティ
モール、またアフガニスタンと比べてもまったく異質なるものである。これからも起
きるであろう紛争後の社会の安定、経済発展を考えるうえでは、さまざまな示唆を提
示していることをお伝えしたい。

 そして最後に、日本の自衛隊の今後のあり方についても問題提起をする予定である〉

 同誌十一月号の原稿とは明らかに違う。今回は、国際社会が立ち向かわなければな
らない現実、イラクの現状と日本に関係する生々しい部分に踏み込んでいる。そして、
その行間には、イラク復興へ賭ける壮絶な想いが満ち溢れていることを私は感じた。
中でも私が注目したのは、“イラクでの実例”と彼が言い切っている部分である。


 奥氏は、イラクのあらゆるところへ自ら飛んで行った。自衛隊や文民部隊の派遣に
おいてもその準備のためにイラク中を駆けめぐった。またイタリア軍が自爆テロリズ
ムで多数の死傷者を出した現場へ車を飛ばした。

奥氏が伝えたかった本当の現実

 そういった体験は、奥氏にしか出来なかったことだ。だからこそ奥氏は“実例”と
言い切れたのだ。私はそこに、自分が命を賭して得た貴重な情報を何としてでも日本
へ伝えたい、どうか役に立てて欲しい、という強烈な意思を感じないではいられない。

 また、奥氏は日本人が目を背けている現実を直視していた、という点にも私は目が
引き寄せられた。

 国連による全面統治が必要だといった“きれい事”ではすまされない。イラクとい
う国家のシステムが、実態として何によって安定が保たれているのか、その現実に立っ
た上での「イラク復興」を考えなければならないことを彼は強調していたのではない
か。そして国連だけで行うことの限界を知り、軍という組織を抜きにしてすべてが語
れないという“本当の現実”を伝えたかったのではないか、と私は見る。国連をもっ
とも良く知る彼だからこそ、その“現実”を語れたのだ。

 さらに、日本人こそ現実と真正面から向き合わなければならない――それを言いた
かったのではないか――。

 最後に書かれた〈自衛隊のあり方への問題提起〉の部分は、まさに奥氏しか書けな
い、日本にとっての貴重な財産がちりばめられていたことは想像に難くない。

 彼をよく知る関係者は、派遣先のサマワを駆け巡った奥氏にとっての、国際社会へ
の日本の責任としての自衛隊派遣の意義――アメリカ軍支援とは別の復興支援部隊と
しての意義がそこに説かれているはずだ、と語る。

 一部の報道では、一生前、奥氏は事実上、名指しでの脅迫を受けていたという。そ
んな命がけの任務の中から彼が送ろうとしていた日本へのメッセージ。だが不幸にも、
この“もう一つの原稿”は「絶筆」となってしまったのだ。

 是非、本文が読みたい――誰でも思うことだ。

 ところが不可思議なことが起こった。

 大使館の奥氏のデスクや宿舎をいくら探しても、なぜか彼のバソコンが見あたらな
いのだ。しかもアメリカ軍や現地警察などから渡された遺品の中からも見つかってい
ないという(二日現在)。発見された場合は同誌に遺稿として掲載されるだろう。だ
が、もし発見されなければ、その優秀な人的財産とともに、希望ある日本の未来を築
くことができる貴重なメッセージまでも、我々は失ってしまったことになる。

 奥氏が息絶える直前、脳裏に何が浮かんだのか――。

 それは家族の顔とともに、日本への壮絶な想いであった、と私は信じている。

 自衛隊派遣の是非を問う無責任なニュース番組を見ながら、奥氏の「絶筆」をもう
一度振り返る。それはもはや疑いようがない。新たな国際責任への日本人の覚悟――
その想いがそこにあることを。

 奥氏は“未公開の原稿”の分量について、いつになく熱っぽい調子でこう注文をつ
けていたという。「十一月号の二倍は書きたい」「絶筆」は何としても探さなくては
ならない。
---------- 引用ここまで ----------

以下は、この週刊文春記事への手掛かりとなった投稿である。

2)・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
奥参事官のPCはどこに隠されたのか?
http://www.asyura2.com/0311/war44/msg/128.html
投稿者 8413 日時 2003 年 12 月 07 日 22:58:59:/UWDFM1U6QwjM

文春12月11日号の記事を読みましたか?
奥参事官は外交フォーラムの英語版に記事を書いており、その議事の締め切りが事件
の翌日だったそうです。タイトルは
<Military Role in the Post-Conflict Era: A Case in Iraq(紛争後における軍隊
の役割について-イラクの実例から)>という奥氏の提案だったそうです。内容につ
いては
イラクの実例は、これまで国連のPLOが行われたコソボ、東ティモール、またアフガ
ニスタンと比べてまったく異質であることを指摘するものになる予定だったとのこと。
言ってみれば米軍批判またはそれに近い懸念を表すものだったそうなのです。
記事の内容は彼のPCに入っていたそうなのですが、事件後どこにもそのPCがないとい
うのです。
これは偶然ではないでしょう。
彼に記事を書かせなくない人がいた、
彼のPCを隠した組織が彼を・・・そう思えてしかたありません。
井ノ上さんはアラブを愛していた、と文春の記事にありました。
アラブのことを理解する人物、
今の日本に政治の中にいったいどれくらいいるというのでしょうか?
---------- 引用ここまで ----------


3)・・・・・・・・・・・・・・
超貴重情報感謝。Re: 奥参事官のPCはどこに隠されたのか?
http://www.asyura2.com/0311/war44/msg/133.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 12 月 07 日 23:23:13:CjMHiEP28ibKM
(回答先: 奥参事官のPCはどこに隠されたのか? 投稿者 8413 日時 2003 年 12 月
07 日 22:58:59)

超貴重情報感謝。

わが仮説の内、「邪魔者は殺せ」(映画の原題:Odd Man Out)の米日共同作戦の疑
いが、ますます濃厚なり。

ところが、Odd Manには、学術用語として新しい意味が加わっている。医学の専門的
な研究の議論では、わざと専門外の医者を加えて、研究の論理性を吟味する。

Odd Man Outをやると、やがて、その組織はOutになる。

映画の主題は、アイルランド独立闘争である。今、イギリスはアウト直前である。
---------- 引用ここまで ----------

4)・・・・・・・・・・・・・・・・・
---------- 引用ここから ----------
Re: 奥参事官のPCはどこに隠されたのか?(外交フォーラムに関連した毎日の古い記
事)
http://www.asyura2.com/0311/war44/msg/138.html
投稿者 えっくす 日時 2003 年 12 月 08 日 00:21:07:NkRlU8kX8B.A6
(回答先: 奥参事官のPCはどこに隠されたのか? 投稿者 8413 日時 2003 年 12 月
07 日 22:58:59)

この記事の下の方に外交フォーラムに関連すると思われる事柄がありますが。
記事が古いので既出だったらごめんなさい。
以下本文

イラク・日本人外交官殺害 「復興のエース」失う−−情報錯そう、断定避ける外務
省 

 ◇なぜ単独行動?−−襲撃現場

 イラク北部のティクリート近くで起きた日本人外交官殺人事件。奥克彦参事官(4
5)と井ノ上正盛3等書記官(30)はなぜ、どのようにして犠牲になったのか。犯
行がテロによるものかどうかについて、福田康夫官房長官は30日午後、「その可能
性が強い」と語ったが、外務省は断定するに至っていない。現場でも情報が錯そうし
ている。【前田浩智、ティクリート(イラク北部)竹之内満】

 ◆説明食い違い

 イラク駐留米軍スポークスマンは、奥参事官らは売店で車を止め、食料と飲料水を
買った際に銃撃を受けたと述べた。

 しかし、ティグリス警察署の説明では、3人は幹線道路を走行中に、追走してきた
犯人の車から銃撃を受けた。現場には道路脇の畑に車が転落した輪だちも残っていた。

 同署によれば発生時間は「29日午前11時ごろ」で、奥参事官らは「午後2時」
に病院に搬送された。だが、外務省はその後にあたる「午後5時ごろ」、現場の車内
で射殺体で発見されたと説明、状況は食い違っている。

 外務省幹部は同日夕、売店に立ち寄ったかどうかを含め、事実関係について「調査
中」と繰り返しただけだった。

 ◆日本人狙いか

 日本人を狙った犯行かどうかも不明なままだ。車体に日の丸は付けておらず、ナン
バーなど日本の車両と特定できるようなものは取り外してあり、外務省幹部は「日本
大使館関係者かどうかは分からないはずだ」と言い切る。「計画的に狙われたという
感じじゃない」と語る幹部もいた。

 しかし、現地のティグリス署は、現場で外国人の乗る車を狙った類似事件がしばし
ば起きていたため、「広い意味で外国人が狙われた可能性はある」と説明している。
3人の所持品だった現金や携帯電話、カメラは手つかずだったため、強盗の疑いは薄
くなっている。

 米国の友好国が次々と自爆テロなどの標的となり、国際テロ組織アルカイダ幹部と
名乗る人物が「日本の兵士がイラクに足を踏み入れれば、アルカイダは東京を攻撃す
る」と警告していた経緯もある。

 小泉純一郎首相は「日本人を狙ってのものか、あるいは野盗強盗のたぐいか確認で
きていない」と述べるにとどまっている。

 ◆手薄だった警備

 なぜ奥参事官らは警護車両を付けず、単独で行動したのか。ティクリートはフセイ
ン元大統領の出身地で、反米テロが多いことで知られる。

 バグダッドの日本大使館に詰めるイラク人警備員は、奥参事官、井ノ上書記官が出
かける直前、同行することを申し出たが、2人は「大丈夫だよ」と断ったという。政
府関係者は「現地にいると、毎日銃声を聞いていて、慣れてしまうところがある」と
語る。

 ◇奥参事官、国連の重要性強調

 亡くなった奥克彦参事官と井ノ上正盛書記官は在イラク日本大使館の中核的存在だっ
た。小泉純一郎首相が「イラク復興支援に欠かすことのできない、中心的な役割を果
たしてきた」と悔やみ、川口順子外相が「2人の優秀な部下を失ったのは痛恨の極み」
と声を詰まらせたのも、奥、井ノ上両氏の確かな実績を踏まえてのことだ。

 岡本行夫首相補佐官は今年9月、両氏の案内でイラクを視察した。その際、奥参事
官はテロで破壊された国連バグダッド事務所跡にひるがえる国連の半旗を見やり、
「岡本さん、これを見て引けますか!」と腹の底から声をあげたという。「中央公論」
11月号への寄稿でこの経緯を紹介した岡本氏は、「肝のすわって使命感の強い」参
事官を絶賛していた。

 奥参事官は、イラク復興支援のため、日本政府が4月末から米英占領当局(CPA)
の前身「米復興人道支援室」(ORHA)へ政府職員を段階的に派遣した中の第1陣
だった。元々は在英日本大使館勤務だが、「明せきな頭脳とタフな精神力の持ち主」
(外務省幹部)であることを買われ、難題山積のイラク復興支援の担い手に抜てきさ
れた。

 早大在学中の80年、外交官試験(上級)合格。81年、外務省に入省した後は元
早大ラガーの行動派として鳴らした。90年からイラン、92年からは米国勤務。米
国では1等書記官として日米自動車交渉に取り組んだ。00年には本省総合外交政策
局の国連政策課長に就任、国連改革に取り組んだ。中東が専門だった野上義二元外務
事務次官の信頼も厚かった。

 奥参事官は外交専門誌「外交フォーラム」11月号に寄稿し、イラク復興における
国連の重要性を強調していた。復興を通じて「米一極世界」が転換する可能性を指摘
し、日本に「関与の余地がもっとある」と貢献を促した。また、外務省ホームページ
に「イラク便り」を70回連載。国連事務所テロで死亡した職員の血染めの名刺を掲
載し、「遺志を継いで復興に貢献する」と決意を記していた。【白戸圭一】

 ◆外交官2人の略歴

 ◇奥克彦・在英日本大使館参事官

 58年1月3日生まれ。45歳。早大政経学部を卒業して、81年外務省入省。在
イラン大使館2等書記官、在米大使館1等書記官、総合外交政策局国連政策課長など
を経て、01年から現職。今年4月、米英占領当局(CPA)の前身である米国の復
興人道支援室(ORHA)へ派遣され、長期出張中だった。兵庫県出身。

 ◇井ノ上正盛・在イラク日本大使館3等書記官

 73年5月11日生まれ。30歳。熊本大法学部を卒業、96年外務省入省。在シ
リア大使館3等理事官、在チュニジア大使館3等書記官などを経て、昨年5月からバ
グダッド勤務。アラビア語の専門家で、宮崎県出身。

http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/afterwar/art/031201M150_0202101
E10DF.html 
---------- 引用ここまで ----------

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長

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