1444.正しい対テロ戦争について



対テロ戦争、対独裁国家退治には賛成しているが、米国のネオコン
のような侵略戦争は反対である。それではどうするのか? Fより

イラク侵略戦争で、米軍の犠牲者は9200人になったようだ。
その内訳は397人戦死、1967人が戦傷、6861人が戦病者
この数字は初期の3年間のベトナム戦争の犠牲者と同じ数だそうで
ある。いかに侵略戦争の代償が高いかを思い知ったと思う。

他民族の誇りを傷つけるとどうなるか、特にスンニ派はサウジアラ
ビアのワハーフ派が後ろ盾にいるため、その誇りは世界的にも高い
民族・宗教である。サウジのワハーフ派の信者は収入の5%を喜捨
している。この金で支援された組織とアフガニスタンでゲリラ活動
をした兵士がいる。このような場所に侵略戦争を仕掛けたのが米国
である。

米国の対テロ戦で益々、テロが多くなっているという認識も出てき
ている。英国人の75%がそう思っているようだ。イスラムゲリラ
にワハーフ派の喜捨の金が大量に流れ込んでいるためにそうなるの
です。欧米対イスラムの戦争構図を作ってしまったのが米国ですか
ら、どうしようもない。

イタリア軍への自爆テロで日本は自衛隊の派遣を延期した。この結
果は見えていたが、親米と言いながら、今一番米国に不利な状態を
作っているのが日本である。日本の軍隊が来ないとなれば、世界的
な軍隊派遣反対の雪崩現象を起こすことになる。それを知るべきで
ある。

このコラムでは、戦争前から親米ではダメで言うべきことは言うこ
とが重要だと言っていたが、日本政府の首脳も有名な親米評論家た
ちも、米国の言うことを聞けとしか言わない。現地の真相や裏のイ
スラム社会を見ようともしない。このために自衛隊を送ることにし
てしまった。本当にどうしようもない人たちである。このような人
たちが結果的に米国を不利な状況にしている。

しかし、やり方を変えれば、米国は難なくイラクを民主主義にでき
かつ、親米国家化できるのです。民族の誇りを傷つけないで行うこ
とが重要で、チェ・ゲバラのゲリラ戦術を使うことです。イラク正
規軍に対して、米軍は空からけん制して、ゲリラ戦を仕掛けること
が重要であった。脱出したイラク人を組織化して、スンニ派・シー
ア派の独裁者反対の人たちを反フセインにさせ、ワハーフ派の戦士
と共に戦うのです。

このクーデター(テロ)にはクーデター(テロ)で対抗するとして
勝利したのが、トロッキーに対抗してユダヤ人を排除したソ連のス
ターリンのやり方である。
「クーデターの技術」1972年 東邦出版 クルツイオ・マラバ
ルテ著が詳しい。この技術を応用するしかない。

特にクルド地域は米国保護領化していたために、ここから仕掛ける
ことが出来た。また、反乱した民衆を空から助ける必要がある。
反対に、これしか独裁国家を民主主義化する方法は無い。そして、
民主主義化した地域を広げる。民主主義化した地域には米軍が駐留
して、その地域軍と共同でその地域を守ればいい。

じわじわ、独裁国家を締め上げることができるし、独裁国家を支援
する国家を国連の場で止めさせることができる。バスラでの199
1年湾岸戦争後の反フセイン反乱は重要なポイントであったのに、
米軍は反乱した民衆を助けなかった。このため、イラクの民主化が
できなかったのです。ここを反省するべきである。

この対テロ戦争、反独裁の方法は、軍事力を間接的に利用するため
に大々的ではないが、いろいろな地域に活用できる。北朝鮮・ミャ
ンマーなどでは非常に有効である。たとえば、脱北者を中心に組織
化して韓国の特殊部隊を混ぜて、北朝鮮に侵入すれば一定の地域を
民主化できるはず。事前に空爆をすると、損害は小さくなるために
できたらそうしてほしいですね。これにより、最初から民族解放を
その民族が自主的にした格好が出来、誇りを傷つけない。

米国人の単純さが問題を大きくしている。フランスのシラクはやは
り、ブッシュより上手である。結果を見通して、手を打っている。
日本も老獪さを身につける必要がある。そして、日本にはこの老獪
さを身につけるための長い歴史を持っているはずである。国の指導
者は日本の歴史を勉強するべきだ。国の性格を押さえて外交をして
欲しい。
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米のテロ対策で世界はむしろ危険に=英国民の75%、世論調査で
回答

 【ロンドン14日時事】英国民の75%が、ブッシュ米大統領の
テロ対策によって世界はむしろ安全でなくなったと考えていること
が、英世論調査会社MCIの調査で明らかになった。
 14日付の大衆紙デーリー・ミラーが掲載した同調査結果による
と、回答者の多くは米国がテロ対策に踏み切ったことに対して、テ
ロ組織からの「報復攻撃」が起きていることを理由に挙げている。
また、ブレア首相とブッシュ大統領の「特別な関係」が英国にとっ
て「良いこと」と答えたのが27%にとどまったのに対し、「悪い
こと」は38%に達した。 (時事通信)
[11月14日23時1分更新]
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2003年11月15日(土) 
仏外相 イラク緊急プロセス提案 早期に「諮問会議」を
(SANKEI) 
 【パリ=山口昌子】イラク南部でイタリア軍人らが犠牲になった
自爆テロ事件を受け、イラク戦争に反対し多国籍軍参加も見送った
フランスのドビルパン外相は十三日、「イラクにおける緊急プロセ
ス」を提案した。
 提案は、(1)諮問会議を直ちに設置し、同会議が臨時政府のメ
ンバーを選出(2)臨時政府の下で来年半ばに選挙を実施(3)臨
時政府の首班は二人か三人で務め、既存の統治評議会のメンバーな
どから選ぶ−といった内容だ。

 フランスは、イラクの泥沼状態からの脱出には「イラクへの早期
主権移譲以外に解決方法はない」(シラク大統領)と一貫して主張
しており、ブッシュ米大統領が十二日に早期の権限移譲を表明した
ことについても、米国がフランスの立場に近づいたとの認識だ。

 外相は十九日からの同大統領の訪英は今回の提案を「深化させる
機会である」とも指摘した。
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U.S. casualties from Iraq war top 9,000
By MARK BENJAMIN
UPI
**Exclusive** 
Fri Nov 14 2003 14:28:40 ET
http://www.drudgereport.com/flash1.htm

WASHINGTON-- The number of U.S. casualties from Operation 
Iraqi Freedom -- troops killed, wounded or evacuated due to 
injury or illness -- has passed 9,000, according to new 
Pentagon data.

In addition to the 397 service members who have died and 
the 1,967 wounded, 6,861 troops were medically evacuated for 
non-combat conditions between March 19 and Oct. 30, the Army 
Surgeon General's office said.

That brings total casualties among all services to more than 
9,200, and represents an increase of nearly 3,000 non-combat 
medical evacuations reported since the first week of October.
 The Army offered no immediate explanation for the increase. 
A leading veterans' advocate expressed concern.

"We are shocked at the dramatic increase in casualties," said
 Steve Robinson, executive director of the National Gulf War 
Resource Center. Of the non-combat medical evacuations:

-- 2,464 were for injuries, such as those sustained in vehicle 
accidents.

-- 4,397 were due to illness; 504 of those were classified as 
psychiatric, 378 as neurological, and another 150 as 
neurosurgery.
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見えてきたアメリカニズムの終焉(手島さんの論文)
私の意見を同じである。
http://mitsui.mgssi.com/terashima/0307.html

 米国の圧倒的勝利による軍事力の凄みをみせつけられて、世界は
「力の論理」が支配する時代に向いつつあるという幻惑を覚えがち
だが、現実に見えてきたのは「力の論理」の限界である。  

 露呈してきたのは攻撃の論理の矛盾である。リーダーたるものに
は、その主張に利害打算を超えた「正当性」が求められる。錯綜す
る多様な利害を束ねる理念が、主張の根底になければならないから
である。  

 あれほど強調された「大量破壊兵器」はどうしたのだろうか。少
なくとも、イラクは大量破壊兵器を使わなかった。そして、米国が
攻撃理由としていた「500トンの化学兵器、3万発以上の化学兵器用
弾頭、炭素菌などの病原体」は発見されていない。  

 また、「石油のための戦争ではない」というのが、イラク攻撃の
最低限度の正当性だったはずだが、その後見えてきた「米国の本音
」は、あからさまな権益の確保である。五月中旬に米国が国連に提
出した「イラクへの制裁解除決議案」は、これまでサダム・フセイ
ン体制下で、国連によって管理してきた「石油食糧交換プログラム
」を廃止し、米英主導による「イラク支援基金」によってイラク原
油を管理することを明らかにした。予想されるのは、復興資金確保
のための原油増産であり、産油国によって支配されてきた石油需給
は、73年の石油危機以来30年ぶりに石油消費国支配へと回帰するこ
とになるとの見方もある。しかし、これも米国の思惑どおりにはい
かないであろう。注目すべきは、アラブ産油国の動向である。とく
に、石油の決済通貨において、アラブ産油国の「ドル離れ、ユーロ
選択」の傾向が強まっている。本質は米国による石油支配への反発
であり、これこそが米国にとって悪夢のシナリオであり、「戦勝に
もかかわらず続落するドル」の背景に見えてきた要素なのである。 

 イラク戦争を巡る米欧の亀裂に関して興味深い表現がある。それ
は「ホッブスのアメリカ対カントの欧州」というフレーズであり、
ロバート・ケーガンの著作"Paradise & Power―――America 
and Europe In the New World Order"(Atlantic Books、
2003)に由来するものである。つまり、米欧亀裂の根底には、世界
秩序の制御を巡る哲学的対立軸が存在するという見方である。ホッ
ブスとは、「万人の万人に対する闘い」を制御するのは力であり、
「力こそ正義の源」とする思想の象徴であり、これこそが今、米国
が掲げる価値である。これに対して、カントとは「恒久平和論」を
論じ、国際法理と国際協調システムの構築を構想した哲学者によっ
て現在の仏独の志向を象徴させるものである。

 戦争という究極のパワーゲームを目撃すると、もはや国連などの
国際機関や集団安全保障システムは機能しないという議論さえ存在
する。しかし、それは正しくない。世界は着実に国際法理と国際協
調システムが機能する時代へと向いつつある。イラク戦争に向う瞬
間、国連安保理事会は機能しなかったという見方があるが、実は機
能しすぎるほど機能したともいえる。玄人の外交筋は「したたかな
フランスはやがて妥協する」とか「安保理中間派とされた非常任理
事国の六カ国は、経済援助などの条件如何では米国支持に回る」と
解説していたが、情報化時代における世界注視の中で、最後まで超
大国米国のエゴは通用しなかった。「戦後復興」にしても、「中東
和平」にしても、結局は米国だけで仕切りきれる時代ではなく、国
際協調による正当性が求められてくるであろう。

 改めて、イラク攻撃を実行したブッシュ政権を注視してみて、我
々は極めて特異な政権に付き合っているということを確認せざるを
えない。俗に「ネオコン」(新保守派)といわれる人達の影響力が
極端に強い政権という特色をブッシュ政権が有していることは間違
いない。米国の力(軍事力)で米国の理念(民主主義)を実現する
ことに使命感を抱く人達が存在すること自体、驚くに値しない。し
かし、これらの人が政権の中核を占め、「9.11」への米国民の衝撃
と恐怖心をテコに米国の政策を主導する流れを主導しているのであ
る。  

 米国という国の本来の姿は、「開かれた国」であった。多民族、
多宗教を許容し、様々な人々に新規参入のチャンスを提供する「機
会の国」であり、それがこの国の発展をもたらしてきた。しかし、
米国は今、偏狭な価値を掲げた排他的な「閉ざされた国」へと舵を
切りつつある。世界中の米国大使館が重装備の警察と軍隊によって
防備を固めねばならない様相をみると、アメリカというシステムは
憔悴し、開放的アメリカニズムの光は色褪せつつあることに気づく
。無論、米国は多様性の国であり、復元力を期待し、確信する。ち
ょうど、1950年代の初頭に、「反共パラノイア」ともいえるマッカ
ーシズムが吹き荒れたがごとく、我々が目撃しているのが、瞬間風
速的な政治のうねりだと認識すべきであろう。

露呈した日本なるものの実像
 もう一つ、イラク戦争の中で、白日の下に曝け出されたのが、日
本なるものの実像である。結局、この国の政府は国連の決議を無視
した米国の武力攻撃を「支持」するという選択しかできなかった。
そして、国民も、「北朝鮮の脅威に曝されている日本は、米国の軍
事力に頼るしかなく、少々不条理な戦争であっても米国を支持する
しかない」という論理に引きずられて政府の選択を追認する心理に
陥っている。 

 つまり、戦争という非常事態への対応において、この国の本質が
露呈したということであり、「日本はアメリカ周辺国でしかない」
という事実を証明してみせたわけである。戦後踏み固めてきたはず
の「武力をもって紛争解決の手段としないとする平和主義」や「国
連中心の国際協調主義」が便宜的なものにすぎず、米国の都合によ
ってはいかようにも変更されかねない性格のものだということを自
ら認めてしまったのである。イラクのみならず米国自身さえもが保
有する大量破壊兵器の廃絶について日本が国際社会に発言すること
はなかった。 

 21世紀の国際関係の中で、この国はいかにあるべきか。我々の目
の前にある選択が、不条理な殺戮を支持し、武力によって自分勝手
な価値を押し付けることを「正義」とするような空虚なものであっ
ていいはずがない。 

 我々が真摯に問い掛けるべきことを、深呼吸して考えてみよう。
アジアの目線から見た時、期待できるアジアのリーダーと映ったで
あろうか。中国の台頭の中で、アジアの人々は、中国への警戒を内
包しながらも、これからのアジアをリードする国がどこになるのか
を意識している。「仮に日本が国連の安保理常任理事国になったと
しても、それは米国の一票を増やすにすぎない」とアジアの人々は
日本を見ている。中国は、「米国との関係を決定的に損なわない範
囲において、イラク攻撃に反対する」ことによって、アジアの人々
にも「主体性」を印象付けた。 

 この国のとるべき安全保障戦略の前提となる「二つの常識」を確
認しておきたい。一つは、独立国に外国の軍隊が長期にわたり駐留
することは異常なことだ、という常識である。「冷戦」が終焉して
も、米軍基地の縮小と地位協定の改定を問題意識として示さないよ
うな国を国際社会は一人前の大人の国と認知するであろうか。二つ
は、米国は自らの世界戦略の枠内でしか日本を守らない、という常
識である。日本に「有事」があれば、日本のために駆けつける「善
意の足長おじさん」ではない。そのことは、尖閣諸島を中国が武力
占拠するという事態が起ったと仮定してみれば、容易に分るはずで
ある。米国が、自国の青年の血を流してまで、日中間の領土問題に
介入すると期待するほうがおかしい。

 21世紀の日本外交に問われるべきは、米国への過剰依存と過剰期
待を脱却して国家としての「主体性」を取り戻すことである。「対
米関係の再設計」、それこそが我々の世代の課題である。諦めと固
定観念を脱し、真の国益を熟慮して「自らの運命を自らが決する」
決意を抱くべき時である。 


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