1425.郵政民営化



◯ 「日本国の刷新・再生」(15) ―21世紀研究会―
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★ 『郵政民営化』★  (nss03a.txt)
★ 『要旨』
 表紙だけに文字があり、中身は白紙
 骨抜きの危険大
 議員との癒着懸念あり
 経営主体か資金活用か
 郵貯・簡保資金の行方
 官の組織が郵貯簡保を食い潰す
 郵便生き残り作戦を止めよ
 信書宅配から電子機器(電子メール・ファックス)活用へ
 試案の素案
 抜本的大改革、断固やるべし
 郵貯会社は、利息なし決済金融機関へ
 郵貯会社は、融資せず国債を買え
 郵便通信の総コストを大幅に縮小
 簡保会社と一般郵便会社は、民営と完全同列
 特殊郵便の扱い方

★ 『本文』

◇ 1、小泉総理は、郵政民営化を高らかに掲げておられますが、
内容は伴わず、「表紙だけに文字があり、中身は白紙」の本に過ぎ
ません。しかしながら、世界に類例を見ない「巨大で非効率な社会
主義的金融郵政組織」を何時までも、放置君臨させて置くことは、
日本の将来の為になりません。

 1-1、郵政民営化は、郵政族議員の解体にも発展する可能性を秘
めており、総論(表紙)渋々賛成、各論(中身)大反対の人が、多
数存在します。官僚も実質反対が大多数と予想され、名目上は民営
化となっても、「全く骨抜き」が懸念されます。

 1-2、郵政・郵便局組織は、自民党の族議員と結託しているばか
りでなく、全逓信労働組合(全逓)系の民主党議員も関連しており
、内容有る民営化は、前途多難・紆余屈折の課程が推測されます。

◇ 2、自民党は、経営主体の民営化を唱えるものの、中身はまだ
全く見えません。民営の空洞化を密かに願う人もある筈です。一方
民主党は、郵貯簡保の資金を中小企業融資に振り向けよ、との主張
でありますが、経営主体(民営化)については、明確さを欠いてい
ます。純粋な若手議員と労組系議員の対立で割れております。

 2-1、郵貯と簡保に集められた巨大資金の殆ど全部は、財務省(
旧大蔵省)の資金運用部の采配とその背後で糸を引く国家議員や圧
力団体の意向で、公社公団・地方自治体・政府系金融機関・第三セ
クター・保養所・外郭団体・官僚の天下り先等の必要性の低下した
組織に多大に投入され続けて来ました。

 2-2、前項の資金で、実質的に回収不能に陥ったものが多岐に渡
り、且つ膨大な金額に達しております。国民大衆の貴重な金融資産
の相当部分が、不良債権化しており、現行のまま推移すれば、郵貯
・簡保は、官の組織に食い潰されることになります。

 2-3、国民が預託した郵貯・簡保資金を引き出したいと思っても
、原資が相当部分は消失し、名目1400兆円の金融資産は、目減りし
ていることが現実であります。例えば、数十億円かけて建設したグ
リーンピア(保養施設)を数万円で売却した、継続すればするほど
赤字の累積する本四道路公団を作った、等を念頭に描いて下さい。

◇ 3、郵便事業では、次のような姑息な手段で独占事業の画策に
懸命ですが、いずれも国家大事の観念に欠けています。郵政(郵政
族議員)の考え方を貫くと、日本全体として無駄な投資となり、日
本の没落を促進します。

 A、「信書」の定義に自分勝手な判断を押し付けて、他社を閉め
出し独占事業の継続を図る。
 B、民間が郵便事業に進出するなら、全国各所に専用ポストを郵
便局並みに作れと要請。
 C、佐川急便と組んで、クロネコのヤマト運輸と対抗(を排除)
しようとしたりして、種々の生き残り工作を意図する。

 3-1、全国各地隅々まで、信書(手紙)を「宅配」するという伝
統は、旧来的考えでは、美徳かも知れませんが、電子機器の発達し
た昨今では、非効率の極み(国家的コスト高、経費無駄使い、国際
競争力低下)となっています。

 3-2、電気と電話が通じていれば、田舎の家庭ほど、予想以上に
ファックスが普及し、通常の連絡は、電話かファックスです。既に
郵便はカタログ・商業上の印刷物の独壇場となっています。しかも
、家庭用の操作容易なパソコン(テレビと通信パソコン一体化)の
普及も目前であり、手紙(封書・葉書)宅配の必要要請は低下の一
途です。

◇ 4、賛否両論・批判覚悟で、郵政民営化に関する「試案の素案
」を、大胆にも、以下に述べさせて頂きます。多くのご意見をお待
ち申し上げます。

 4-1、郵政民営化を断固推進して、官製の非効率な金融機関(郵
貯簡保)と郵便(宅配)を、抜本的大改革する必要制は、日本が国
際競争力を維持するためにも、絶対的と考えております。

 4-2、△△郵貯会社: 地域毎に全国で10社程度を考えています
。決済機能(送金・振込)を重視(専一と)します。貯蓄性の定額
貯金等は一切廃止し、無利息の当座貯金(現在の普通貯金を利息ゼ
ロとしたもの)に限定します。

 4-3、郵貯会社は、いわゆる融資は一切しません。自主運用は、
背後(族議員・圧力団体等)の示唆で、不良債権を発生される原因
を作るからです。資金の運用は全額、国債と地方自治体債(公社公
団等不可)に限定します。

 4-4、民社党主張の郵貯会社による中小企業融資は、趣旨は妥当
でも、明治の郵政創立以来、伝統的に融資皆無の組織に、急遽審査
管理能力を求めるのは、非効率の極みとなる恐れが高いと申せます。

 4-5、今後とも、相当長期間に渡る国債消化の必要性が非常に高
いことを勘案しますと、国民大衆の直接資金を国債に充当すること
が最善の策です。国債の日本銀行直接引受は、「円と日本」の国際
的信用を著しく傷つけ、国債の格付け低下を招きます。

 4-6、郵貯会社では、国債と地方自治体債の利息で運営します。
能力の発揮する場がないと思う人は、どしどし民間の金融機関等に
移行して、金儲けと納税に注力して頂きたいものです。

 4-7、△△簡保会社: 純粋の民間生命保険会社とします。数社程
度が適当かと考えております。

◇ 5、日本国家全体の郵便通信総コストを大幅縮小する方針を明
確にします。秘密性が低く、完全封印の郵便物としなくとも差し支
えないものは、電子メール・ファックス利用へ全面的に移行するよ
うに、国家事業として強力に指導します。

 5-1、△△郵便会社: 電子機器に不向きな印刷物・カタログ・書
籍・小包類等を取り扱ういわゆる一般郵便会社は、完全に民間と同
列にします。

 5-2、日本特殊郵便会社: 特に個人的秘密性と送達確保を要する
もの(内容証明郵便等)、配送に格段の厳格さを要求されるもの(
裁判所発の特別送達郵便)、慣例上個別宅配の要請の高いもの(慶
弔電報等)については、内容と方法を検討の上、この会社で扱いま
す。

 5-3、特殊郵便は、通常の郵政会社の分野から分離独立させます
。国家的に見て、最小限度の組織が、たとえ赤字経営でも残存させ
る必要があるか否か、研究課題であります。


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