1424.北朝鮮の動向



北朝鮮の動きを追う。    Fより

米国も北朝鮮も手詰まり感がある。北朝鮮にとっては、金正日の後
継者に誰をするかで紛争が起こる可能性が高い。このため、国内事
情を押さえる必要があるが、この情報を取れるのは、韓国か中国に
限られる。このため、韓国と中国の要望である北朝鮮との平和解決
を目指さないと米国の意思どうりにはいかない。

今まではネオコンが米国の外交を占めてきたが、中東政策の方をイ
スラエル・シンパのネオコンも優先さざるを負えないために、北朝
鮮問題は、国務省の本来の外交専門化にシフトさせている。この国
務省のトップがパウエルで、この軍人長官は兵士の無駄な死を避け
るために、やはり戦争には向かわない。

勿論、米国本土の安全が脅かされる時は戦争になるが、北朝鮮が
米国を狙えるテボドンの開発が失敗していることを知っている。
このため、テロリストに核やミサイルが渡らなければいいと考えて
いるようだ。

一方、北朝鮮としては、瀬戸際外交で多大な経済援助が得ようとし
ている。戦争をしたいとは思っていない。北朝鮮が主張する体制の
保証がほしいだけではなく、経済援助も必要なのである。

ここに中国が介入して、北朝鮮の建前の体制保障だけを解決しよう
と企む。交渉では一枚上手で、北朝鮮も中国の言うことを聞かない
と、現行の中国支援ももらえないため、反対できない。中国ナンバ
ー2の呉委員長を送るため、北朝鮮もその受け入れる基盤を作る必
要があるために、米国の提案を考慮すると言ったように感じる。

中国の狐と北朝鮮の狸のばかしあいを見るのも面白い。高見の見物
とはいかないのが日本の立場ですが、どう中国は持っていくか、世
界が中国を見ている。ここで、大逆転を演じると中国の評価は上昇
するでしょうね。益々、日本のアジアでの立場はなくなり、中国が
アジアの指導者となるのではないかと感じる。

基本は、自分の立場で情報を集めて、その情報を分析して外交施策
を打つことであり、日本のような米国べったりではダメである。

米国と対等な関係にして、米国と向き合い、世界を常に見ているこ
とが必要なのである。その上で、米国と友好関係をどう構築するか
の議論がある。日本は米国とうまくいかせるために、現状分析の議
論さえ封じている。異常な神経を持っている人たちに外交が任され
ている。これでは、米国の属国として見られて、日本の立場はアジ
アでも悪くなるだけである。APECで見られるように北朝鮮との
拉致問題の打開もできないし、世界からの支援も得られない。
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北朝鮮、4億ドルの兵器など輸入 韓国国防省資料 (ASAHI)

 北朝鮮が02年までの過去5年間に戦闘機や戦車、弾薬など計約
4億ドル相当の兵器や関連物資を国外から輸入していたことが23
日、韓国国防省が国会に提出した資料で明らかになった。 

 資料によると、北朝鮮は02年に中国、ロシアなどから戦闘機、
戦車エンジン、通信装備など約6000万ドル相当を輸入したのを
始め、01年に1億2000万ドル、00年に1億ドル、98年と
99年に合わせて1億2000万ドル相当を輸入したという。資料
には00年の調達先として日本も記載されているが、国防省は「詳
細は説明できない」としている。 

 一方、99年から02年までに、少なくとも1億1000万ドル
相当のミサイルや関連部品がイエメン、イラク、シリアなどに輸出
されたとしている。 (10/24 02:18) 
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2003年10月26日(日) 
北、米案「考慮の用意」 米の譲歩巧みに迫る 「核開発」時間稼
ぎ狙う?
(SANKEI) 
 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮が二十五日、ブッシュ米大統領
の提案による「安全の保証」の文書化案について「考慮の用意があ
る」と表明したことは、約二カ月にわたり停滞してきた六カ国協議
の再開に向け、北朝鮮が初めてみせた前向きな姿勢として注目され
る。二十九日からの中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(
国会議長)の訪朝を前に外交的な意味合いもありそうだ。しかし「
考慮の用意」表明には北朝鮮の従来の主張が強調されており、米国
に強く譲歩を迫っている。
 ブッシュ米大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)で明
らかにした六カ国協議の枠組みでの「安全の保証」文書化案につい
て北朝鮮は、「一顧の価値もない」(二十一日朝鮮中央放送)など
全面否定の反応を示し、短距離地対艦ミサイル発射で日本など関係
国を牽制(けんせい)、国営メディアでは対米非難を繰り返してい
た。それだけに今回の「考慮」表明は一見、北朝鮮が柔軟姿勢に転
じたような錯覚を誘う。

 だが、北朝鮮は「考慮」に条件を付けこれまでの主張をさらに強
調している。たとえば「正常な国家関係の樹立」つまり米朝国交正
常化による金正日政権の認定や、「同時行動原則に基づく一括妥結
案」−ギブ・アンド・テークによる核交渉と経済支援の同時並行方
式などで、その内容は米国や関係国がとうてい受け入れ難いものだ。

 また、二十三日の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、「米国が本
当に核問題の解決を望むなら、対北敵視政策から大胆に抜け出すべ
きだ」と述べているが、二十五日の言及は「大胆な転換」を具体的
に述べ、言い方を逆転させただけ。「前向き」どころかむしろ対米
攻勢に出たとの見方さえある。

 ブッシュ米大統領の文書化案について北朝鮮は「米国が揺らぎ始
め、ブレのなかったブッシュ大統領の強硬論、対北核武装解除戦略
が変化したとみている」(朝鮮半島筋)ため、「この機に米国にさ
らに譲歩を迫った」(同)というのだ。

 一方、中国ナンバー2の呉邦国氏による仲介外交直前に「前向き
」な姿勢を見せたのは効果的なタイミングからとみられる。韓国政
府は「肯定的な発展」(青瓦台)と六カ国協議開催に期待感を表明
しているが、韓国の朝鮮半島専門家は「北朝鮮は国際包囲網のなか
で最終的には六カ国協議を受け入れざるをえない。だが、それは核
開発放棄の交渉を行うとの意思からではなく、交渉継続で時間を稼
ぎ核開発を進める戦略からだ」と厳しい分析をしている。
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<北朝鮮>安全保証の文書化「笑止千万な主張」 朝鮮中央放送

 ラヂオプレスによると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝
鮮中央放送は21日夜の論評で、ブッシュ米大統領がアジア太平洋
経済協力会議(APEC)での中韓両首脳などとの会談で、北朝鮮
への「安全の保証」の文書化を6カ国協議の枠組みで検討すると表
明したことについて「一顧の価値もない笑止千万な主張」と切り捨
て、あくまで米朝不可侵条約を求める立場を鮮明にした。

 論評は、北朝鮮が米国の敵視政策の撤回と米朝不可侵条約締結を
要求したが「安全の保証は要求したことはない」と主張。「(米朝
の)核問題を、わが国と国際社会の問題へとすり替えている」と非
難した。(北京・共同)(毎日新聞)

[10月22日12時25分更新]
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呉邦国氏、29日訪朝で調整 中国の働き掛け本格化へ

 【北京22日共同】中国外務省筋は22日、中国の呉邦国・全国
人民代表大会常務委員長(国会議長)が今月末に北朝鮮を訪問する
ことを明らかにした。29日から3日間前後の日程で最終調整して
いるという。
 呉委員長の訪朝が固まったことで、6カ国協議再開に向けた中国
の北朝鮮への働き掛けが本格化しそうだ。
 呉委員長は当初、9月下旬に訪朝を予定していたが、北朝鮮側の
要請で直前に延期となり、金正日総書記の周辺に健康不安などの事
情が生じたのではないかとの観測を生む要因の1つになった。
 金総書記の動静は20日の朝鮮中央通信で41日ぶりに報じられ
ており、同時期に呉委員長訪朝も最終的に固まった可能性がある。
(共同通信)
[10月22日23時28分更新]
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黄元書記、31日にワシントンで講演=初の外国訪問、日本は見送り

 【ソウル21日時事】北朝鮮から1997年、韓国に亡命した黄
長ヨプ・元朝鮮労働党書記は今月末に訪米し、ワシントンの議会で
開かれる防衛・外交関連の会合で31日に講演する。元書記周辺筋
が21日、明らかにした。亡命後、黄元書記の外国訪問は初めてで
、米国務省や国防総省の高官とも会談する見通し。また、日本の拉
致議連からの招請も受けていたものの、今回は訪日を見送る。 
(時事通信)
[10月21日17時4分更新]
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件名:中朝国境に脱北難民キャンプを  

苦境緩和され関係国の負担も軽減・国際社会は安心して援助を提供

国際的批判高まる中国の態度
 飢餓と圧制に耐えかねて故郷を捨てた「脱北者」の苦難が続いて
いる。

 中国政府は脱北者の難民認定を拒否し、北朝鮮に送還すれば厳罰に処されると知りなが
 ら強制送還を続け、脱北者を援護する非政府組織(NGO)の活動にも厳しい制約を加
 えている。国連難民高等弁務官(UNHCR)も中国政府を名指しで非難し、中国の非
 人道的な扱いに国際的な批判が高まっている。

 最近、北京の韓国大使館領事部に脱北者の駆け込みが急増し、五十人しか収容できない
 施設に百二十人もが滞留し、領事事務を中断せざるを得なくなった。これは中国側が上
 記の批判を意識して駆け込みの取り締まりを緩和したため、と見られている。米国も脱
 北者の米国亡命を実現するために中国と取り決めを結ぶことを検討している。中国側も
 脱北者取り扱いの見直しを迫られているようだ。

 私は脱北者の苦境を緩和し、関係国の負担を軽減するために、脱北者収容キャンプを中
 朝国境付近(または内モンゴルなどでもよい)に設けることを提案したい。

 現在北朝鮮への食糧援助は、政府によると民間によるとを問わず、すべて北の公式チャ
 ネルを通さなければならず、援助食糧は政権内の有力者や軍隊、公安組織に優先的に配
 分され、一般大衆には十分届いていない。このため欧州の主立ったNGOは「北朝鮮で
 は真に人道的な援助はできない」として、二〇〇〇年までにほとんど引き揚げてしまっ
 た。最近あるNGOが国境の恵山市の闇市で援助食糧が「韓国」「WFP」(国連世界
 食糧計画)など援助者の名入りの袋のまま売られている映像を公開、日本でも放映され
 たが、まさにこのような実態を明らかにするものであった。

金正日への大きな圧力にも

 難民キャンプが設置され、脱北者に直接食糧を届けることができれば、国際社会は安心
 して寛大な援助を与えるだろう。さらには、この計画が動き出し北朝鮮国民に口コミで
 広まれば、大量の脱北者が新たに発生し、政権を揺るがすことになるかもしれない。金
 正日にとっては大きな圧力となり、核問題の早期解決の手がかりになることも期待でき
 る。

 大規模な難民キャンプの例としてアフガニスタンがある。一九七九年、ソ連の侵攻に対
 する国民的な抵抗運動のため全土が戦火に包まれ、戦火を避けて最多時には三百万人が
 パキスタンに、百五十万人がイランに難民として流出した。両国とも国境地帯に難民キ
 ャンプを設け、UNHCR、WFPと協力して住居、上下水道など最小限のインフラと
 食糧(小麦粉、食用油)を供与した。パキスタンでは現地住民が難民と同民族・同言語
 であるため、難民の就業も許容した。治安も難民の自治組織が現地官憲、国連職員と協
 力して保たれ、学校や病院も多くは自助努力とNGOの支援で維持された。

 アフガニスタンと北朝鮮は共に人口約二千二百万で、中朝国境の中国側には朝鮮族の住
 民も多いことなど共通点があり、同様の構想で難民キャンプを設営できよう。ただし気
 候は中国東北地方がはるかに厳しく、その分だけコスト高になる。

 この計画は中国側にとってもメリットがある。何よりもこの計画を支持することにより、
 難民に対して冷たい、非人道的であるという国際的な批判を最小限の経済的な負担で解
 消できる。また、困窮した難民や北側警備兵の起こす事件の続発に手を焼いているが、
 キャンプができれば問題は解決する。国境地帯の住民は難民をかくまうための心理的、
 経済的負担を免れることができ、これを歓迎するだろう。キャンプ地周辺では国際的な
 援助でインフラ整備が進み、難民が安価な労働力の供給源になれば、立ち遅れた東北地
 方の経済活性化にも貢献するだろう。

UNHCRが中国への説得を

 脱北者の落ち着き先は大部分が韓国である。同国政府は入国者に対して定着金、住宅の
 支給、就業援助、学費支給など、手厚い支援を行ってきた。しかし入国者の数は年々急
 増しており、財政の重荷となっている。加えて、社会主義のもとで上からの指示に従順
 でありさえすればよかった彼らの中には、厳しい競争社会に適応できない者が続出して
 いる。増え続ける国内の失業者との均衡の問題もある。韓国もこの計画には賛成するは
 ずである。
 最大の難関は中国である。北朝鮮の国家としての存続を望む中国は、北側が強硬に反対
 するであろう脱北難民キャンプには慎重にならざるを得ないであろう。

 そこでまずUNHCRが人道の立場から中国政府の説得を試みるべきである。多くのN
 GOもこれに従うだろう。実務的見地からも、また中国政府の抵抗を少なくするために
 も、まず小規模のものを実験的に始めたらよかろう。容易だとは思わないが、中国を説
 得できる可能性は必ずしもゼロではないと考える。外交評論家 村岡 邦男
                   (世界日報)▽ 掲載許可済です
Kenzo Yamaoka


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