1423.米国の動向



米国の動向は世界の動向と同じ。その検討。  Fより

APECでアジアと米国のブッシュが会談した。このAPECでは
胡中国主席の言動が目立っている。アジアの中心が日本から中国に
なった印象を受ける。特に、ブッシュに堂々と対応した中国に対し
て、日本は米国の属国という印象がAPECでも濃厚であった。
このため、日本の印象が中国より弱い感じになっている。

このAPECの前に米国ブッシュは豪議会で演説したが、ヤジで演
説が中断したことになっているが、その真実は、米国に拉致されて
いる豪市民を帰して欲しいという抗議であったようだ。

24日までイラク復興会議が開かれて、330億ドルを集めた。
この内、日本は50億ドルと米国についで多い。しかし、500億
ドルを集める予定に比べると少ない。仏独露や中国は支援なしであ
る。国際社会では米国のイラク占領した状態での援助は、米軍の支
援と考えているためであり、仏独露はイラクに主権が移管されてか
ら支援するという。イラクの世論調査でも米軍は占領者と考える人
が67%にもなっている。仏独露の主張を裏付けている。

ロシアの動きが面白い。ロシアからのイスラエルへの移住者がこの
十年間、多かった。このロシアからのユダヤ人たちは、ヨルダン川
西岸の入植地に移住した。このロシア系ユダヤ人はシャロン支持派
であり、この入植者の得票によって、シャロンは首相になっている。
ロシア系であるために、ロシアの情報機関はこの事情を知っている
。ロシアは一方で、イスラム社会にも社会主義とイスラム教が似て
いるために食い込んでいたし、その関係で今も情報が入る。ロシア
が米国に対して、優位に立てるのは、イスラムとイスラエルの両方
の情報を押さえているために見通しが利くことによるようだ。

そして、米国もイスラム・テロの情報をロシアに頼っている。そう
いえば、我々もイラク戦争時ロシアの情報を見ていた。中国も同様
に北朝鮮の情報を握っているために米国対して優位な位置を占めて
いる。

昔は米国が各国に人を派遣し、その国に食い込んで、情報を集めて
いた状態から、現在、米国は情報を中国やロシアなどから提供を受
けて、その情報を米国に都合よく解釈して、世界を指導しようとし
ている。勿論、反発のあるが、米国に反対する国家はテロ支援国と
言えば、それだけで攻撃できるから、支援国と言われないように振
舞うしか米国以外の国には方法が無い。しかし、情報の偏りと偏見
が米国の政治家・評論家に蔓延している。このため、正しい見通し
を立てられない状況になっているように感じる。

テロ支援国と言われないためにイランもとうとう、核の査察を受け
ることになって、もう1つ、シーア派と米国はイラク統治の関係で
仲たがいできない。このため、イスラエルが目の敵にするシリアに
米国の次の目標が定まったように感じる。大統領選挙直前に、シリ
アに攻め込んで短期間で戦争に勝利するシナリオをローブやチェイ
ニー達は、考えているような気がする。このため、北朝鮮対応は、
弱腰になって、安全保障の文書を出す方向になっている。このよう
な弱腰を北朝鮮に見透かされている。

しかし、中東の次の戦争しかブッシュが再選できる道が無い。中東
大混乱、ハルマゲドンの2幕目の幕開きを待つ、今はしばしの休憩
時間のような気がする。米国の中東政策に要注意が必要です。
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「米軍は占領者」、7割に上昇=イラクで世論調査 
2003 年 10 月 24 日 

【バグダッド23日】イラク人のうち米軍を占領者と考える人が67
%に上り、4月に米軍がバグダッドへ入城した時点の46%から大
幅に上昇していることが、23日公表された世論調査で分かった。
米軍を解放者と見る人は43%から15%に激減した。

調査は9月28日から10月10日にバグダッドなど全国5都市で
1620人を対象にイラク戦略研究所が行った。

将来の体制についてはイスラム国家を望む回答が33%で、西欧型
民主国家が望ましいとする30%をやや上回った。「最良の国家モ
デル」は14%がイラン、13.5%がアラブ首長国連邦と答え、
米国という答は9.6%だけ。

しかし米軍の駐留継続を強く支持する声は30%で、すぐ撤退すべ
きだとする10%よりはるかに多く、治安悪化への懸念も浮かび上
がっている。

指導者個人の支持率を見ると、イスラム教シーア派のアブドルアジ
ズ・ハキム師58%、スンニ派のパチャチ氏41%、クルド人のタ
ラバニ氏39%、バルザニ氏36%、米国防総省お気に入りのチャ
ラビ氏26%など。ただし、イラク人政治家は「誰も信用できない
」という回答が61%に達している。

米軍撤退を要求しているシーア派原理主義者のモクタダ・サドル師
支持はわずか1%で、フセイン元大統領を支持する3%をも下回っ
た。〔AFP=時事〕
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対テロ戦争
勝っているのか 負けているのか  米国防長官(YOMIURI)

【ワシントン=笹沢教一】 22日付の米紙USAトゥデーは、強
気の発言で知られるラムズフェルド米国防長官が、テロリストとの
戦いについて「勝っているのか、負けているのか、目安がない。
戦後復興も長く困難だ」と悲観的なメモを国防総省幹部に送ってい
たと伝えた。
 同紙によると、メモは今月16日付で、マイヤーズ統合参謀本部
議長ら4人の高官に送られたという。
 「アフガニスタンやイラク戦で勝利したのは明らか」とする一方
で、アル・カーイダとの戦いやタリバンの指導者を追い詰める作業
などについては「進行がやや遅く、不十分」との見方を示した。
 さらに「将来のテロに備えた計画を立てる必要があるのではない
か」とブッシュ政権のやり方にも疑問を投げかけている。
 ラムズフェルド長官は22日、報道陣に対し、メモの存在は認め
たものの「様々な観点から、疑問点を整理したもの」と釈明した。
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イラク支援へ330億ドル、復興会議が閉幕

 【マドリード=永田和男、三浦真】イラク戦後復興への国際支援
を協議するため、スペインのマドリードで開かれていたイラク復興
支援国会議は最終日の24日、閣僚級会議が行われ、閉幕した。

 議長総括によると、会議では米国、日本など参加73か国代表と
世界銀行など20国際機関から無償資金などだけで計330億ドル
の拠出が表明された。ほかに輸出信用や技術供与なども表明された
。国連や世界銀行などが向こう4年間に必要と見積もっている550
億ドルには届かなかったものの、アラブ諸国による新規拠出表明な
ど、各国が予想以上に前向きな対応を示したことで、イラク戦後復
興をめぐる国際社会の再結集への一歩となりそうだ。

 会議では各国拠出金の受け皿として、国連などが管理する信託基
金の設置も承認された。

 米国際開発局のナツィオス長官は記者団に、「多くの国が期待以
上の表明をした」と述べ、今後の追加表明も含め、最終的な目標額
達成に強い期待感を示した。

 パウエル国務長官は演説で、「全会一致による国連安保理決議
1511は国際社会を再び一つにしている」と強調。米国が過去の
復興支援では最大の203億ドル拠出を議会に要求していると説明
した。

 日本の川口外相は2004年から2007年までの4年間に円借
款を含めて総額50億ドル(5500億円)の支援を行うと表明し
たうえ、「イラク復興支援特別措置法に基づき、自衛隊などの能力
を活用したふさわしい貢献を早期に行っていきたい」と述べ、自衛
隊の早期派遣に強い意欲を示した。

 アラブ産油国ではサウジアラビアが10億ドル、クウェートが5
億ドル、アラブ首長国連邦(UAE)が2億1500万ドルの拠出
を表明。イラク戦争を巡る意見対立で亀裂が走った欧州連合(EU
)は復興支援についてはEUと各加盟国合計で7億ユーロ
(8億2550万ドル)にとどまったが、別途人道支援目的で
7億3000万ユーロ提供を発表するなど、安保理決議を踏まえ「
流れは前向きに変わった」(外交筋)との見方が会場を支配した。

 ただ、スノー米財務長官は演説で、約1250億ドルとされる旧
フセイン政権時代の債務削減の必要を指摘、今後は関係国に相当額
の債権放棄を求めて行く方針を示唆しており、大口債権国のフラン
スやロシアの反発も予想される。(読売新聞)
[10月25日2時3分更新
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
      平成15年(2003年)10月20日(月曜日)
            通巻第690号  

イラクの伏兵=ゲリア戦が長期化の元凶はシリアか
  まもなく「シリアのスフィンクス」の裏切りに堪忍袋の緒を切
るか、ブッシュ?
 五月にブッシュ大統領がサンディエゴへ飛んで、空母艦上で「戦
闘終了宣言」を出したとき、シリアは驚愕して、国内にあったテロ
リストの事務所を急いで閉鎖させ、くわえてレバノンに駐屯させて
いた正規軍四万を引き上げさせた。
シリアを治めるのは「スフィンクス」と異名をとったアサド大統領
の息子である。かれも政治的に面妖な行動をとるのは親譲り。先の
湾岸戦争では同じバース党の謹慎憎悪から、シリアは連合軍につい
た。今回は表向き中立、裏ではイラクを支援した。
 
ところがサダム・フセインの軍隊が予想以上に弱かったので、「ス
フィンクス」の息子は俄かにワシントンへ「恭順」の態度を示そう
としたのだ。

△いつも手こずる相手だったシリア
当時、イラク攻撃のハイテク兵器軍の数々を目撃し、米国の世論は
「次はシリアを撃て」だった。直後から、イラクでサダム親衛隊残
留組のゲリラ戦争が始まり、米兵へ背後から銃撃、自爆テロが相次
ぐ。国連の事務所まで爆破され、泥沼である。

 米軍に苦悩の汗と焦燥の色が目立つようになるや、シリアは密か
にテロリストを領内に招き入れ、ベッカー渓谷のヒズボラ訓練基地
にロケット砲を供与し、シリア正規軍をまたもやレバノンに送り込
んだ。

イスラエルにおけるイスラム原理主義グループの自爆テロは日増し
に活発化し、シャロン政権は報復のため武力攻撃をエスカレート、
米軍はイラクで泥沼の陥穽に落ち込む。

シリアの冷酷にして狡猾な計算では、「イラクで米軍が足を取られ
ている間は、シリア攻撃はあるまい」という冷徹な思惑に基づく。
これは砂漠の戦士がもつ特有の判断である。イスラエルは、自爆テ
ロをおこなう過激派の出撃拠点がシリアにあると断定し、国境を越
えて武装ヘリコプーなどでシリア空爆に踏み切った。

△民主党ディーンが蛇のように変身
脱線になるが、米国大統領選挙に異変が起きた。ハワード・ディー
ン(前バーモント州知事)は、民主党候補の”どんぐりレース”で
、現在トップを突っ走るが,ことあるごとにブッシュ政権のイラク
戦略を批判し、反戦派と左翼を代弁してきた。

ところが共和党はディーンが選ばれるなら、左翼リベラル過激派で
あるがゆえに、党内は分裂、民主党穏健派はごっそりと共和党へ票
を入れる(第二の”レーガン・デモクラット”の誕生)だろうと踏
んで、むしろディーンが正式な民主党大統領候補になることを側面
から支援してきた節がある。

そのディーン前知事が、イスラエルのシリア領内テロリスト・キャ
ンプ空爆を聞いて「もし、テロリストのキャンプが本当に存在する
のならイスラエルは正当に報復する権利がある」と発言したのだ。
ディーンは党内トップランナーを意識してきたのである。
民主党の来年の党大会で正式の大統領候補に指名されると踏んでい
るから従来の立場をカメレオンの如くに変えたのだ。

ディーンはそれまで「イスラエル・パレスチナ問題? そんなこと
アメリカ人の知ったこっちゃぁ無い」と放言し続けてきたのだから。
民主党の緒戦での軍資金と集票マシンは、何と言ってもユダヤ人が
持っているからである。変身は世の常識でもあるが。。。

△砂漠の魑魅魍魎
閑話休題。シリアにはヒズボラ、ハマス、イスラム聖戦機構など過
激テロリストがひしめきあい、サウジを脅して資金を入手し、密か
に武器を調達し、レバノンを自由に越えて(主権を無視している)
、イスラエルへ攻撃に出かけ、再び逃げ帰る。一部はイランで訓練
を受け、シリアへ潜入した。

トルコはシリア国境へ大兵力を送り込み、クルド過激派がダマスカ
スに事務所を置いている事態に圧力をかけるや、アサド大統領は即
座に(これまで飼ってきたトルコの反体制派)クルド族の過激ゲリ
ラを逮捕し、トルコへ引き渡した。
「敵の敵はときに味方なれど、いつでも逆利用できる将棋の駒」と
いうわけだ。平気で昨日まで「同志」と呼び合い、今日は敵に売る。

信義? 砂漠の民に友情? 死体を引き回す戦闘を繰り返すのが彼
らの戦争のメンタリティであり、西側の価値観は通じない(どさく
さ紛れに悪辣な作為をやるのは、かの”ノーベル平和賞”に輝くア
ラファトである)。

イスラエル攻撃の元凶なのにアラファトは昼間は「平和の使者」顔
して西側ジャーナリストに振る舞い、夜はガザ地区の秘密のトンネ
ルから武器を入れてテロリストへ渡す(治安維持の警察はアラファ
トが予算を握り完全に支配している)。
 
さてイラクの石油のはなしに戻る。
サダムの独裁時代、イラクから石油を密輸してもらい(一日26万
バーレル)、代わりにサダムに武器を送っていたシリアは、その石
油密輸代金30億ドルの支払いを米国から求められ、苦境に立った。
「支払いが完了するまで米国はダマスカスへ大使を送らない」と。

長引くイラク平定および対ゲリラ戦争は、ラムズフェルド米国国防
長官の戦略論の失敗から来ており、近日中にペンタゴンで大胆な戦
略変更が起こりうるだろう。この難局を切り抜けなければブッシュ
再選は極めて危ない状況に陥っているからだ。

ブッシュ政権はすでにアラファトを見限ったイスラエルに同調を示
し始めた。となれば、次にシリアの面従腹背的な鵺的行為に対し、
いよいよ堪忍袋の緒を切るのは時間の問題ではないのか。

つまり嘗てのベトナム戦争の「ホーチミン・ルート」がイスラム原
理主義過激派のテロリストの要塞化したシリアであるとすれば、次
の攻撃目標がどこか指摘するまでもないことであろう。
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イラン、一両日中に情報開示=IAEA

 【ウィーン22日時事】国際原子力機関(IAEA)報道官は
22日、ウラン濃縮計画の一時停止を表明したイランが、遅くとも
23日中に過去の核開発計画に関する報告書をIAEAに提出する
見通しだと語った。
 報告書と併せてイランは、先に英独仏3カ国外相との間で合意し
た査察強化のための追加議定書への調印の意思を記載した公式文書
も送付する予定だという。 (時事通信)
[10月23日1時2分更新]
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Melbourne Indymedia 
http://melbourne.indymedia.org/news/2003/10/56694.php

Bushwacked in Canberra by the Greens
by Takver, Thursday October 23, 2003 at 10:51 PM

●Green Party Senators speak out against Bush 
【緑の党の上院議員がブッシュへの抗議を叫んだ】

In parliament house, the Greens Senators managed to cause 
some attention by interjecting during George Bush's speech. 
Senator Bob Brown interjected: "I call on you to return our 
Australians (and) treat them as the Americans do (and) we 
will respect you." Senator Keery Nettle shouted protests 
about the US-led war in Iraq and interjected urging Australia 
not to sign a free trade agreement with the United States. 
Mr Bush smiled and responded, "I love free speech". But the 
Prime Minister, John Howard, was not amused! 
【議事堂では緑の党の上院議員たちが奮闘し、ジョージ・ブッシュ
の演説に口をはさんでちょっとした注目を浴びた。ボブ・ブラウン
上院議員はブッシュの演説中にこう言って口を挟んだ――「あなた
に要求する。我が国民を返しなさい。アメリカ人なみの待遇を与え
なさい。そうすれば偉さを認めてあげるよ」。ケリー・ネトル上院
議員は米国主導の対イラク戦争への抗議を叫び、オーストラリアは
自由貿易協定にサインするなと訴えて演説を中断させた。ブッシュ
氏はにやけ顔でこう答えた――「言論の自由バンザイだね」。だが
ジョン・ハワード首相は血相を変えていた。】
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The 18-year-old son of Mamdouh Habib, one of two Australians 
being held at a US military prison in Cuba without charge after 
the Afghan invasion, was dragged out after yelling: "Hey Bush, 
what about my Dad?". He attended parliament as a formal guest 
of one of the Green Party Senators. 
【キューバの米軍強制収容所にはアフガン侵攻以降、2人のオースト
ラリア人がいまだに起訴されぬまま拘留されている。そのうちの1人
がマムドウー・ハビブ氏だ。ハビブ氏の18歳の息子も「こら、ブッシ
ュ! 僕のおやじはどうなってんだよ?」と叫んで議場から引きずり
出された。この青年は緑の党の上院議員が正式に招いた賓客として
ブッシュ氏の演説を聴いていた。】

Greens Senator, Kerry Nettle, attempted to reach George Bush 
to give him a letter written by Maha Habib, the wife of a 
detainee in Guantanamo Bay Concentration Camp in Cuba. 
【緑の党の上院議員ケリー・ネトルは、グアンタナモ強制収容所に拘
留されているハビブ氏の妻であるマハ・ハビブさんの手紙を、ジョー
ジ・ブッシュに届けようとした。】

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