1416.国益とは何か



国益という言葉が横行している。この検討。 Fより

国益の意味を明確にして使用しないと、何でも国益上の問題で政治
家は済ましてしまう。ここを明確化しようと思う。

国益とは国家の目的を適えるのに利益があることであろう。そうす
ると、国家目標を明確化することになる。
国家目的とは何べんも、このコラムで言っているように、国民の生
命・財産・文化を守り、発展させるために存在している。この目標
に合致して、その目的をどう増進するかが重要になる。

国益は、国民の生命を守るのに有効か、財産を守る・増やすのに有
効か、文化を向上させるのに有効かを吟味することが必要になる。

この頃の国益という言葉の使われ方は、北朝鮮の拉致問題があり、
この解決のために米国のイラク占領政策に協力するべきで、これは
国益のためという論調になっている。これが本当かという疑問を持
っている人が多い。

この疑問に答えるためには、原則に立ち戻って考えるべきことで、
国家目標に合致しているかどうかにかかっている。
拉致問題は、日本国民を外国の政府が生命を奪う行為であり、国家
としては、最重要な問題である。国民を守ることは国家の義務であ
ると考える。しかし、イラク戦争に荷担して、日本が米国戦争支援
を行うこはどうかということであろう。自衛隊派遣は国民を守るこ
とでもないし、イラク資金支援の15億ドルは日本国家の財産を増
やすことでもない。

米国は北朝鮮と交渉して、拉致問題を解決してくれるかというと、
核問題で手一杯で、そうではない。拉致問題でも、日本の主体的な
外交上の動きが重要になっている。米国との2国関係が不味くなる
と、経済的な不利益になると考えるのか??

しかし、国際的な経済の動きを追うと、米国国債を買い支えて、
米国経済を日本が支えている姿が見える。ここでも日本は円という
国家的な財産を消耗している。ドル暴落は、イラク戦争と減税など
の米国の国家運営からして見えている。このため、米国国債は大幅
に減額されることが明らかである。この米国国債を大量に持ってい
るのが日本である。

ユーロは徐々に拡大してロシアや中国も取り込み、ドル離れになる
ことがドル暴落後、起こると思える。このように日本は、損をして
も米国の経済を支えている。この行為は日本の円を安くして輸出貿
易を拡大したいからである。しかし、この円安政策は限界に来てい
る。米国国家運営の問題からドルの暴落を日本だけでは止められな
いし、このような貢献をしている日本をイラク支援をしないという
ことで貿易政策面で米国は追い込めることができるのであろうか。

日本の政策はその場限りの米国追従政策の様相を呈しているように
感じる。英国は3年間で5億ドルの資金支援であるし、スペインは
高々、総額3億ドルである。日本は来年だけで15億ドルという支
援だ。このように日本は、米国との同盟を強化している。

日本は米国と同盟を強固にして、アジアで何をするのであろうか?
アジアの流れとしては、ASEAN諸国は日本から中国に靡いてい
る。イスラム諸国が多いことで、米国離れがASEANでも進んで
いる。日本が米国との同盟を強化すると、アジアは日本から離脱す
る。イラクで米軍の占領を支援するとイスラム諸国の反感を買うこ
とを想定する必要がある。

中国はEUやロシアと共同歩調を取っているようだ。このため、
米国は軍事大国であるが、世界に孤立した最大債務国になっている。
米英日・スペイン・イタリアの弱小同盟対EUやロシアなどのユー
ラシア連合の2陣営に割れているが、裏ではEUと米国は同盟の交
渉している。その枠外にいる日本や中国はいろいろな面で、損をす
る可能性が高くなっている。

米欧の大西洋秘密同盟の目的はアジアの経済コントロールであると
明言している。この意味からも中国と日本がターゲットである。

日本の国益から、本当に米国と同盟することがいいのであろうか?
過去ではなく、将来を見るとイスラム諸国と衝突する米国は没落の
方向に向かっているように感じるがどうか??
イスラム諸国との紛争に巻きこまれると、シーラインも維持不能に
なる。インドネシアやマレーシアの海峡を通ることが出来ないと、
シーラインにならない。ランドラインはロシアがほとんどであるた
めに防衛が容易である。
このため、再度日本の戦略、国益の再見直しが必要になっている。
==============================
イラク復興資金、仏独拒否でEU再び対立 (nikkei) 

 【ブリュッセル=横田一成】イラクへの資金援助を巡り、EU内
では英国やスペインと仏独が対立。イラク戦争当時の構図が再現さ
れている。シュレーダー独首相がイラクへの個別拠出を見合わせる
と表明したのは16日、ブリュッセルのEU首脳会議でイラク問題を
協議する直前だった。各国に貢献を求めるつもりだったブレア英首
相らは出はなをくじかれ、EU内の分裂が表面化した。

 英国は2005年までの3年間に5億5000万ポンド(約1000億円)を援
助すると表明。スペインのデラト経済相も17日、イラクの復興支援
に総額3億ドル(約330億円)を拠出する方針を表明した。イラク戦
争を支持したイタリアも前向きな姿勢だ。しかしイラク戦争に反対
した仏独は国連安保理決議に賛成したものの、「貢献できるのはこ
こまで」と追加資金援助や派兵を見合わせた。北欧諸国の動きも鈍
く、スウェーデンは「イラクの主権回復か国連主導の統治が実現す
るまでは人道支援にとどめる」との立場を打ち出している。
 (07:00) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る