1409.日本経済と衆議院選挙について



日本政治の季節になっている。この時期の景気動向が選挙結果に
大いに関係するために、検討しよう。  Fより

10月10日、衆議院が解散され、11月9日選挙となった。
朝日新聞の世論調査では自民党38%、民主党30%と現時点では
自民党優位であるが、無党派層の動向がまだ、掴めていない。
どちらにしても接戦になると思う。ほとんど、小泉さんと民主党の
菅さんの間に、国策的な政策の違いがない。女性人気は小泉さんの
方が上、菅さんもスタイル的には負けていないが、女性問題を起こ
したために女性からの支持に不安がある。

政策面での違いについては強いて言えば、イラク派遣とイラク資金
援助の問題しかない。逆に言うと、その部分が今回の選挙の争点に
なる。このため、国内世論的には、イラク派遣反対の菅さんの方が
優位になっている。この面でブッシュさんが来日して、小泉をどう
バックアップするかが重要になっている。

ここでのバックアップ方法は、海外機関投資家に日本株を買わせて、
株価をUPさせ日本の景気を上げるような動きになる。景気がいい
時は自民党に優位ですから。このため、景気がいいという現状(幻
想)をどう持続させるかが問題ですが、地方の景気が上向かない限
り、国民の納得感がない。しかし、反対に85年から90年当時の
バブル景気はありえない。静かな景気回復しかない。少子化と労働
人口の減少で、総生産は減少または維持ですから、好景気はない。

しかし、地方の立直しは急務になっている。農業経営の大規模化や
インターネット構築を行い、都市と同じ環境にして、年金生活者を
農村にどう引き入れるかを真剣に考えるべきである。団塊の世代が
、退職して金持ちの老人達が、都会から田舎に移り住むのを加速し
た方がいい。老人介護などのインフラはすでに田舎にはある。この
インフラを有効利用できる。介護施設に地元の人たちが雇用される
。地元にとってもいいことになる。この部分は自民党、民主党のマ
ニフェストはどうなっているのであろうか??

それと、ブッシュは北朝鮮問題に関心があり、拉致問題解決に最大
限、米国も努力するので、日本も米国に協力してほしいというメッ
セージになるでしょうね。円高も当分109円台でしょうね。
選挙後1ドル=105円以下になると思うが。

円高になると、日本の輸出産業の競争力が弱くなるという。勿論、
弱くはなるが、自動車・デジタル製品は、ある程度の円高でも売れ
るし、日本が作っているのは高級品か高品質品であり、あまりドル
ベースの売上には影響がない。円ドル変換すると、利益が減るとい
う問題でしょうね。

しかし、ここで人民元がドル固定性であると、中国製品が一段と安
くなり、デフレが加速する。汎用品を今も作っている企業は大変
である。中国の製品のレベルも上がってきている。このため、一段
のデフレに耐えられないことになるでしょうね。ここが一番の問題
になると感じる。

この中国は有人宇宙船を日本に先駆けて、打ち上げるのに、その中
国の元が管理通貨であるのは、どう考えてもおかしいのです。元を
自由化して、先進国の仲間入りを果たして欲しいものである。
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「自民軸」38%、「民主軸」30% 本社連続世論調査 (ASAHI)

 政党が唱える「政権選択の選挙」を有権者はどう受け止めている
のか。朝日新聞社の8、9両日の第6回連続世論調査で、望ましい
政権の枠組みについて聞いたところ、「自民中心」が38%、「民
主中心」は30%だった。第5回調査(9月23、24日)では、
それぞれ45%、29%で、自民中心が落ち込んで差が縮まった。
無党派層では、23%対29%と逆転しており、政権政党を問う選
挙という意識が強まっている様子がうかがえる。 

 今回の総選挙は事実上、「首相選び」の選挙ともなる。「どちら
が首相にふさわしいか」では、小泉首相55%に対して菅民主党代
表21%の結果が出た。両氏の差は第5回の63%対18%より小
さくなり、小泉氏が下降、菅氏がやや持ち直した。 

 ただ、女性の支持率でみると、小泉氏が64%と、菅氏の14%
を依然、大きく引き離している。 

 自由党と民主党の合併について、「期待する」は44%で、「期
待しない」は48%。ここでも、男性の期待派48%に比べ女性は
39%と低い。菅民主党にとっては、「女性対策」が問われる戦い
にもなりそうだ。 

 小泉首相の仕事ぶりを「評価する」は53%で、「評価しない」
30%を大きく上回った。 (10/11 00:37) 
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件名:「小泉・安倍」の二枚看板が頼り−自民  

公明票も当て込み、組織力低下をカバー
 自民党の現有衆院勢力は過半数を辛うじて三議席上回る二百四十四
議席。だが一九九四年に小選挙区比例代表制が導入されて以降、過
去二回の衆院選はいずれも過半数に届かなかった。衆院選後、入・
復党した議員などを加えての見せ掛けは、組織力も低下した同党の
苦しさをのぞかせている。
 森喜朗前首相の「神の国」発言で、逆風にさらされた前回二○○○
年六月の総選挙に比べれば、確かに今回は有利のように見える。

 人気が盛り返した小泉純一郎首相と、自民党の人事の常識を覆し
て、わずか当選三回で幹事長に抜てきされた安倍晋三氏。小泉、安
倍両氏の「二枚看板」は他党には脅威となっている。

 安倍氏の下には、候補者などから応援依頼が殺到。選対関係者は
「遊説先の反応も上々」とほほを緩ませ、「今度こそ単独過半数確
保」と意気が上がる。

 だが、安倍氏は「過半数は決して簡単ではない」と自らを引き締
める。もちろん、選挙の指揮を執るのが初めてという重圧もある。
しかし幹事長にとって、最大の不安材料は「集票マシン」である職
域団体の組織力低下だろう。

 党員数はこの三年間で二百三十七万人から百六十二万人に減少。
しかも首相の構造改革路線が、医師会や特定郵便局長会といった伝
統的な職域団体の反発を招いた。「かつてのような集票力は望めな
い」(党幹部)。

 首相と二人三脚で衆院選を戦う安倍氏は、自民党が置かれた矛盾
を一身に背負っていると言っていい。「衆院選の顔」として首相を
支持するが、政策は違うという矛盾は、郵政民営化問題に象徴され
る。

 民主党が持ち込もうとしているマニフェスト(政権公約)対決は
、自民党にとって不利となりかねない。それゆえ、福田康夫官房長
官は「野党は好き放題書いて気軽だ」とけん制し、同じ土俵に乗る
ことを回避しようとしている。

 組織力低下を補うもう一つの手段は、約六百万票といわれる創価
学会票だ。公明党が候補者を擁立する十小選挙区のうち九つで、自
民党が公認候補を見送ったのも、他の選挙区で創価学会の支援を当
て込んでのことだ。

 「改革推進政党」を掲げ、「小泉・安倍人気」で無党派層の取り
込みを図る一方、手堅い創価学会票も獲得する。そんな虫のいい自
民党の二面作戦が功を奏する保証はない。
 世界日報 掲載許可済です。
Kenzo Yamaoka
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件名:小泉首相における人間の研究  

本質は「都会型軽量疑似知識人」・政略的人事は狡猾でしたたか
修辞を偏愛するアジテーター

 もちろん、総括的な論評ではなく、政治家としての首相の人間性
を随筆的に寸評するといった程度の小論である。

 私見ではこの首相の本質は都会型軽量疑似知識人ということにあ
る。それが現代日本の知的大衆社会で強い訴求力を示しているとい
うことである。

 長身かつ知識人「的」風貌と個性的なヘアスタイルに加えるに、
それ自体が合目的化した大衆迎合のパフォーマンスがさらに複合的
な効果を誇張する。休養地ホテルでキャッチボールをして見せたり
、歌舞伎や評判映画を見たり、有名外国人歌手のインタビューを受
けたり、緊急とも思われぬ「外遊」先でバイロイト音楽祭に顔を見
せたり――といったようにである。それは教養人を印象づける自己
宣伝ともなる。だが半面、複雑な家庭関係からもうかがえるように
、例えば石原都知事一家とは対照的な個人主義的人間タイプの冷淡
さがある。

 そして外にあってはブッシュ大統領に「日本は米国によって解放
された」と語る「日本国首相」でもある。この首相には国際政治に
かかわる関連発言を見ても、どうやら近現代の国際政治史にはまる
で無知なことを思わせるものがある。

 そしてこの首相はスローガン的思考と修辞を偏愛する一匹狼的行
動主義のアジテーター的才能も有する。「自民党をぶっ壊してやる
」「改革なくして成長なし」その他がそれを証明している。そのこ
と自体は正しいが、ただ言葉が躍っているだけである。

 だが政局を見据えた政略的人事は狡猾(こうかつ)でしたたかで
ある。第一次内閣では女性層や民間人の閣僚登用という人気取り人
事を行ったが、無論便宜的なものであった。
 官僚出身女性閣僚に長期にわたる国家の基本的政策の提示と実行
は不可能であり、議席なき閣僚が議員内閣の下でどんな責任を取れ
るかも念頭にない。それは理念なきマキコ前外相と本質において同
根のものである。

率先範を垂れて難局打開せよ

 当然、第二次内閣では打って変わった政略的内閣をつくるのも矛
盾とはならなくなる。だがそこには政策不在の中で掛け声だけがこ
だまし、自らが主導して難局に立ち向かう姿勢はない。審議会や諮
問委員会や閣僚や官僚に任せるだけだ。つまり自らのポーズが残る
だけなのだ。だから不可避の消費税上げも次の内閣の問題だと責任
回避の口実となる。私は靖国参拝での姑息(こそく)なやり方や、
公約違反を「大した公約ではない」と言い捨てる態度とも通底する
首相の軽薄な無責任体質を指摘しているのである。そこには重大な
内外の情勢下で率先して主導すべき首相としての緊張感も義務感も
努力も見られない。国家の最高指導者として自らが先頭に立って国
家、国民のために閣僚を激励し、官僚を叱咤(しった)し、国民に
力強いメッセージを送る姿勢もない。現にイラクへの自衛隊派遣で
も、そうしなければならない日本の立場を国民に説得する積極的な
熱意も信念も苦悩も見られない。

 話題を変えよう。昨年某所で南米一小国の元大統領の講演を聞い
たことがある。それは雄弁ではなかった。しかし政治の理想を熱意
を込めて説いた華麗で格調の高い名演説だった。翻って日本の首相
でかかる熱意のこもる格調の高い演説など聞いたことはない。
 所信表明演説でも官僚の作文の棒読みか絶叫スタイルだけだ。

 そして私は思い出していた。封建時代の藩主や明治の政治家のこ
とを――。例えば、領民を愛して藩政を立て直した上杉鷹山や、「
先憂後楽」(范文正)を実施した水戸藩二代藩主光国(「後楽園」
の命名が今に残る)、あるいは「民の利を先とし、己の利を次にす
べきこと」(島津家家訓)その他明治に続く優れた政治家たちのこ
とを――。それともそんな政治家の理想像を求めるのは時代錯誤な
のだろうか?

 さりとて私は何も映画や歌舞伎を見ることに目くじらを立ててい
るのではない。それで政務の疲れを癒すのもいい。しかし経済不況
で失業者が溢れ、自殺者や倒産が相次ぎ、リストラや就職難で苦し
む弱者たち庶民のことを思い、重層化して迫る重大な対外問題を考
えれば、自らの楽しみは二の次にして、率先範を垂れて内外の難局
打開のために身を挺するのが国家の最高指導者としての心情であり
義務感ではないのか? しかしこの首相にはそうした信念も緊張感
も使命感も見られないのだ。

政治の貧困はわれわれの責任

 ある雑誌編集長との対話で私は言った。「国政にかかわる七百人
前後の政治家の中で真に国家、国民のことを考え、またそれにふさ
わしい能力を持つ政治家は一割いるかいないかでしょう――」。
すると彼は即座に言い返した。「いやー私は二、三十人もいないと
思いますよ!」。われわれの不幸は、かかる政治の貧困にある。
そしてそれはわれわれ自身の責任なのである。

 さて本題に戻るが、とりわけて政治家の功罪は結果主義にある。
仮に総選挙をクリアしたとしても、小泉首相が結局無責任な過渡期
の中途半端な凡庸な首相で終わるか、それとも政治、経済改革再建
の基礎を仕上げて、対外的にも日本の地位を高めた第一級の「中興
の政治家」として後世に名を残すことになるか、回答は二、三年後
に出ることになる。
  北欧文化協会理事長 武田 龍夫・世界日報 ▽掲載許可済
Kenzo Yamaoka


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