1380.ユビキタス社会と木村コラム



「ユビキタス社会は幸福か」

いつも、「国際戦略コラム」メルマガを愛読させて頂いていており
ます。

上記メルマガでは、インターネットやユビキタスに関して肯定的な
意見が多いのですが、私は少々心配に思っていることがあります。

1. インターネットについて
インターネットは、情報収集の質と量を画期的に向上させました。
遠隔の、実社会では出会えない人との交流も可能となり、また、障
害者が社会参加するための有効な手段をともなりました。

私も、インターネットのおかげで「国際戦略コラム」という質の高
い情報に接することができ、ネットなしでは不便な生活に甘んじて
いることになったでしょう。新聞やTVから得られる情報だけでは知
り得ない事柄を、「国際戦略コラム」その他によって得ることが
できるようになりました。

これらは、インターネットの輝かしい側面です。

しかしながら、負の側面も考慮すべきではないかと常々思っていま
す。これを考えるとき、私はインターネットが人の生活を幸福にす
るのか、不幸にするのか、考えあぐねてしまうのです。

私自身、ネットを使った生活を楽しんでいます。しかし、これから
の世界が、ユビキタス社会へと向かうと考えるとき、負の側面が大
きくクローズ・アップされてしかるべきではないかと思います。

その第一がセキュリティの問題だと考えています。

先日のメルマガにも掲載されましたが、メールの内容が改竄されて
いるのではないか? と心配している人の意見がありました。解は
PGPを使ってメールの内容を暗号化するのが一番手っ取り早く、お金
もかからない良い方法なのですが、一般の人がPGPを使えるかとい
うと難しいと思っています。

OutlookExpressを使ってメールを送信するのさえ難しく思う多くの
人にPGPを使えというのは、今の段階では無理でしょう。メールの送
受信にPGPを使うのが当り前になった時、やっとOutlookExpressでの
送受信にデフォルトでPGPが使われるようになり、送信ボタンをクリ
ックするだけで暗号化されたメールが送られるようになることだろ
うと思います。

# そのOutlookExpressがセキュリティ・ホールの問題を
# いつまでも解決できないでいることを考えると、
# 暗号化だけではメールのセキュリティの問題は
# 解決しないだろうと思いますが...。

コンピュータ・ネットワークに100%の安全・セキュリティは存在し
ません。

例えば、住基ネットを考えてみましょう。

政府は、住基ネットは安全な経路を使った通信なので安全であると
言っています。仮に、通信経路上で安全を確保できたとしても、
それは現在における状況であって、将来的にはハックされることに
なるのは可能性としては大きいのです。

また、運用に多くの人(政府・地方自治体の職員の他、運用を請け
負った民間の業者も含む)の中に、知り得た情報をネット以外の経
路で当該情報を第三者に渡さないという保証はありません。罰則が
あってもその可能性は変わりません。刑法があるにもかかわらず、
犯罪がなくならないのと同じ理屈です。

また、故意にではなくても不注意によって情報が漏洩することがあ
りえます。現に、つい最近、請負業者がデータのバックアップを車
で運ぶ際中に車上荒しに会い、鞄に入れておいたバックアップデー
タを盗まれてしまいました。

* * *

インターネットを利用することによって、視野や生活が激変したと
いう意見もお見受けします。

しかし、インターネットはあくまでも仮想の空間であり、実社会で
上手に生活して行くことが本則であり、ネット上の生活は実社会に
根を下ろしていないあくまでも浮草のようなものであることを知ら
なければなりません。

若い人たちが携帯電話で楽しんでいることは、実社会における不満
の代償行為であり、実社会で幸福感を得られないことへの反動の
ひとつです。

実社会に根を下ろし、幸福感を得られる社会になることが肝要なの
です。その社会の実現は、残念ならが、ネットや携帯電話の普及に
よって更に遠のいているように思えます。

ネットの有害性は、お金のそれに似ています。

生活してゆくためには、お金が必要ですが、お金は決して素晴らし
いものではありません。お金に溺れてはいけません。

ネットが有害なのは、世間で俗に言う、有害なホームページの内容
にあるのではなく、実社会よりも仮想社会の方が面白いと感じさせ
るその麻薬性にあるのです(3Sに似ていますね)。

2. ユビキタスについて

日本は、ユビキタス社会になることによって経済・社会生活の発展
・向上させようとしています。

ユビキタス社会がどのように発展していくか、私には正しく想像す
ることが困難なのですが、危険だな、と感じていることを幾つか列
挙してみたいと思います。

a. あらゆるデバイス(家電製品を含む)が無線LANで結ばれる

現在のIPv4に変わり、IPv6が普及していくことが確実になっていま
す。IPv6の最大の利点はセキュリティの向上にあると言われていま
す。

しかし、セキュリティの向上に役立つための技術はIPSecが標準で
実装されることなのだそうです。これは、単なる暗号通信にしか過
ぎません(本当はそれ以上なのですが)。

ウィルスやワームやDoSなどの不正な攻撃を防ぐものではありません
(一部は防ぐことができるのですが、大半のウィルスやワームが、
メールやウェブ・ブラウザ経由で感染していることに注意してくだ
さい。セキュアな通信経路は何の対処法にもならないのです)。

そして、ネットワークの一番の弱点は、認証とセキュアなソフトウ
ェアです。

ネット家電に限らず、あらゆる移動端末で、セキュアな認証が行わ
れるでしょうか? 認証は、IDとパスワードの利用が基本なのです
が、移動端末(小売店のユーザーズカードを含む)が、どこに設置
されているか分からない認証ホストと通信を行うとき、この基本の
認証は行われるのでしょうか? もしも行われるとして、そのユー
ザーズカードのパスワードは、パスワードが破られないように定期
的に、十分な文字列数のパスワードを再設定できるようになってい
るのでしょうか? そして、無数に設置されている認証ホストが頻
繁に変更されるパスワードを使って認証できるのでしょうか?

多分、パスワードなしの認証・接続をするのではないかと危惧して
います。

ウィルスやワームにネット家電が感染する危険を無視してはいけま
せん。

数か月前、バッファ・オーバーフローに関する著作がある、ある人
が家電のファームウェアがバッファ・フローすることを実験で証明
しました。

ファーム・ウェアとは、炊飯器などで使用されているマイコンを制
御するソフトウェアのことです。

家電がバッファ・オーバーフローするのであれば、風呂釜もバッフ
ァ・オーバーフローするでしょう。留守中に悪意のある第三者に遠
隔からネット経由で風呂の空焚きでもされたら火事になってしまい
ます。

ネット家電は、ホーム・サーバを介して制御するようですが、この
ホーム・サーバが第三者に(遠隔から)乗っ取られたとき、その家
の家電はその者の意のままに操られてしまいます。

乗っ取られるまでいかなくても、ウィルスやワームに感染したら、
その家のネット家電は正常に動作しません。

また、ホーム・サーバとネット家電との通信は無線LANによることを
想定して開発が進められています。隣の家(集合住宅なら隣の部屋
)のホーム・サーバに接続してしまう危険は常に存在します。これ
に対するソリューションも当然考えられているでしょうが、それ(
セキュリティ)を設定するスキルがコンピュータ・ネットワークに
詳しくない家電ユーザにまかされると大変です。少なくとも設定で
きるスキルを持つ店員さんに家に来てもらい、設定してもらわなけ
ればならないのではないかと思います。その店員さんに悪意があっ
た場合、どのような設定をされるか心配です。

ユビキタス社会の恩恵として「固定IDの利用」というのがあります
。これが、ユビキタス社会の幸福面のひとつと思える技術です。
ですが、この技術には賛否両論があるようです。中立な立場から
この問題を解説したweb pageがありますので、参考にしてみてくだ
さい。

http://www.hyuki.com/techinfo/uniqid.html

固定IPの利点と欠点が、コンピュータに詳しくない人間にも分かり
やすいように解説されています。(ちなみに、登場するアリスとボ
ブは暗号の話で使われる人物の定番の名前です)

病院や電車内では、携帯電話やPHSが使用禁止になっています。

このような場所で、身につけているデバイスの電源をすべて切るの
は多分無理でしょう。携帯電話ならスイッチを切る、という行為で
こと足りますが、何枚もあるカード類にスイッチはあるでしょうか
? また、鞄や財布(紛失対策のために固定IPが利用されているか
もしれません)にスイッチを実装するでしょうか?

# 固定IPの付いている端末が、相手側からの接続要求がない限り
# フレームを送信しない、という実装なら病院や電車内で
# むやみに電波を飛ばすことはないでしょうが、
# もしも、固定IPを走査するソフトウェアを実行している
# 携帯パソコンなどを持ち歩いている者がいた場合、
# 近隣のデバイスは反応するでしょう。
# その時、心臓ペースメーカーを付けている人の安全は
# 確保されるのでしょうか?

* * *

これらの負の側面を考えるとき、ユビキタス社会は人間を不幸にし
てしまうのではないかと危惧してしまうのです。

投稿者名 : joe
メール・アドレス : joe_009@hotmail.com
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(Fのコメント)
ユビキタス社会は確実に来るでしょうね。ICタグなどのことをT
君から聞くと、益々、ネットワークの高機能化が進み、個人や小さ
な企業で簡単に世界ネットができて、どこからでも注文が入ること
になり、かつ荷物が現在どこにあるかが分かるようになるとのこと
です。このメリットは大きい。このような機能を小企業としては、
利用しない手は無い。そして、そのフログラム開発も、ドット・ネ
ットであれば簡単にできる。WEB間通信もXMLで簡単にできる
ようです。

このように企業利用は益々増えて、かつネット機能も増えている。
またそれに伴い、セキュリティも必要になっている。この技術も、
ワームとその防止ともに発展しているようですね。ここもT君から。

しかし、企業・個人利用の大きなメリットは、費用的な節約ではな
いかと思う。携帯電話も、会いに行くより安いし、時間が空いた時
に、どこからでも掛けられる。これと同じように本や旅館、株取引
がどこからでも予約や購入できる。しかも本屋や旅行代理店、証券
会社の店舗より安い。

このようなメリットがある限り、インターネットの加入者は増え、
かつ発展していくように思う。そのインターネットもADSLは安
いので、取引の値引きより、断然安くなっている。このため、セキ
ュリティの問題があっても普及する。普及すると、その加入者を相
手にした商売が可能になるため、企業が参入する。そうすると、
益々便利になり、その取引をしたいために、個人がインターネット
に加入することになる。

今、その拡大期にインターネットは入ったように感じるがどうか?

その内、心の問題もインターネット上で議論されることになるでし
ょうね。そう言う意味ではインターネットは道具でしかない。
道具であるから、麻薬的な使い方や犯罪も起こるでしょうね。その
防止は国家として考えるべき問題になると思う。

歴史視点でみると、いつの時代でも、新しい画期的な技術が出ると
、その反対が出る。産業革命時でも、機械が人間の職業を奪うと、
英国で反対運動が起こったが、工場法などができて収まった。
このように、何かのガード処置が出来るようである。
==============================
今の自民党は完全に間違っている
日本国民は全ての有権者は自民党員ばかりでない。マスコミはなぜ
自民党の総裁選をリークしてテレビ、新聞ラジオ等のコマーシャル
出資者にばかり、よい子に成るのか。今の自民党は特に小泉は最低
だ。自分で何事も処理出来ず只下請けに出しているだけ、こんな総
理候補は駄目勿論反総理派も日本のためにならない。
今の聡明なマスコミはこんな事が分らないのかマスコミも馬鹿ばか
りと思う。自民党の総理が何ぼの物か間違った報道は止めろばか者。
暴言をお許し。    

09.01.pm9.15.  ks_kiyo4@yahoo.co.jp   阪本 潔
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自民党総裁選の行く末を占う

誠に失礼とは思いますが、諸先生初めマスコミ方に一言。最近新聞
テレビ・ラジオ等の報道は小泉が勝つのか反小泉?
と誰々がどちらに着くのかとの報道ばかりですが・・・
マスコミの方々は「知っていて」スポンサーの喜ぶ事を如何に視聴
者が興味を注ぐ事ばかりの報道と思うが、さもあろう私如きの予想
は、記事に出来ないと思うが私の予想を披露する。

■イギリスのブレアさんも困っている「イラク」問題で
■次期大統領戦米国民主党ケリー議員の出馬表明に、ブッシユの過
激な新構想を拒否する「米国が過去2世紀わが国が世界の規範に
してきた理念に背を向けているからだ」とのコメントを述べブッシ
ユ政権の一国主義外交姿勢を批判との読売新聞記事を借り、ここに
私なりに本当の米国の事と世界を考えた大統領候補が出馬する事に
なって来た、

ブッシユ大統領も親父さんと同じ道は歩きたくないはず。イラク問
題も国連主導をいまさら言っているが、国連の主導権はアメリカが
握るとご選択だがフランス・ドイツ等は絶対反対で、あくまで国連
が主導権を取る事が条件の様だ。

勿論、今たいした事の無い日本の総理選びの最中だが、ここで小泉
頼み「日本のあくまで米国寄り」の政治を小泉が万一負けたら世界
中の報道者がさわぐ。だから万一決戦投票になったら恐らく小泉に
「寝返る」者が出る。ブッシユの為にちょっと言い過ぎかも。
この事は「遠きに非ず近きにも有る」かも。

何れ小泉再選にブッシユ陣営は最大の力を出している事、間違いな
いと思われる「小泉陣営は今後を考えず」喜ぶ。これで日本国民の
未来を考えている国民は「民主党」に、日本国の将来を託す事を必
要に考えるでしょう。

民主党「菅・小沢」の各代表に自民党総裁選の結果が恐らく日本を
変える国民の総意になるはずです。

  ks_kiyo4@yahoo.co.jp 09.05.pm5.40. 阪本 潔
==============================
!! F氏さんに有難う御座いました!!
      
今日早速のご返事頂き本当に有難う御座います文面にある
すいません。商売柄、身分は明かせません。身分を明かすと、不利
益になります。もう少し歳を取って息子に商売を引き継いだら、お
教えします。自営業を営んでいる者で、評論家でも政治家でもあり
ません。もちろん、政治家との付き合いもありません。
昔はセミナーや講演会に行っていたが、今は行かない。
評論家の話が面白くない。

とのご返答。私如き脳無しにおくびも無く、詳しくご返答頂き有り
難く読ませて頂ました。F先生は私の想像の考えていたお方で有っ
た事、安心と心して今後の投稿の評価が間違いなのない評価かと信
じられます。但し失礼ですが文中に有る文言で、もしかしたら
「るい塾」の先生だったのでは。失礼しますご無礼お許しを、
今後のご賢答を楽しみにF氏の一ファンとして。

    09.03.pm07.30.阪本 潔
==============================
『亜空間通信』658号(2003/09/04)
【テロ・カルト国家アメリカを牛耳るネオコンの欧州近世源流をラルーシュ運動が解
明】


 何ともはや、と言うほか無い。昨夜、超多忙中なれど、アメリカの大統領選挙に7
回目の立候補中のリンドン・ラルーシュの組織、「ラルーシュ運動」の電網宝庫を覗
いたら、超大論文が掲載されていた。長さは、ほぼ新書版の単行本1冊程度、読み通
すのが大変である。
 
 しかし、今回のイラク「戦争」の最大の戦犯集団、ネオコンの思想的源流の追究の
集大成のような感じだから、急ぎ、論評せざるを得ない。これまでのラルーシュ運動
の追究の到達点は、ナポレオン時代のフランスの「神秘的」Synarchism、拙訳「統一
主義」であったが、今回は、それをさらに、マキャヴェリ時代のローマ半島の根元、
ヴェニスにまで遡り、当時のウィーンを中心として、スペインからイタリアにまで版
図を広げ、イタリアのルネッサンス文化との対抗関係にあったハップスブルグ王朝に
起因するとしているのである。
 
 つまり、簡単に言うと、古代ローマ、神聖ローマ帝国の歴史の延長線上のヨーロッ
パの近世帝国主義の国家思想に、「統一主義」の根源を求めることになるのである。
この思想源流から、現在のアメリカ「帝国」を「テロ・カルト国家」と規定するのだ
から、これは実に根深くて面白い。別途、わが「日記風」にも感想を記す予定である
が、今の今の世界の紛争の焦点となる問題であるから、急ぎ、本通信で広めることに
した。

---------- 引用ここから ----------
http://www.larouchepub.com/lar/2003/3034_religion_natl_sec.html

This article appears in the September 5, 2003 issue of Executive
Intelligence Review.

WHAT ASHCROFT WOULD PREFER YOU NOT KNOW
Religion and National Security:
The Threat from Terrorist Cults
by Lyndon H. LaRouche, Jr.
Aug. 19, 2003

This Presidential policy study on the subject of "Synarchism as a terrorist
cult" was issued by the LaRouche in 2004 campaign committee.

During the 1511-1648 interval, religious warfare in Europe had been
orchestrated by the Venetian faction of opponents of that Italy-centered
European Renaissance which brought forth the modern nation-state republic.
This Venetian faction was represented then chiefly by the Habsburg dynasty
of Vienna and Spain. Since the rise of the Anglo-Dutch and French
"Enlightenment" of the Eighteenth Century, the detonator of deadly internal
threats to the security of European civilization has often been the
provocative roles assigned to relatively small religious cults, such as
millenarian, freemasonic, or other nominally Christian or Jewish
denominations. These latter, dangerous sects have often included elements of
the sexual freakishness which were typical of the quasi-Judeo-Christian
varieties of their Manichean, Cathar, and Grail predecessors.
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』657号(2003/09/03)
【政権党の戦争体験派の反戦の本音と有事法制反対自衛隊容認野党の反戦の建前の嘘
の醜さ】
 
 私は、敗戦の年、1945年8月15日には、まだ8歳の軍国少年だった。現在、当時の想
い出を若干脚色した同人誌の文章を、以下で電網公開中である。43年前の学生時代、
1960年安保闘争直後に、タイプ印刷で発行したものである。電網雑誌『憎まれ愚痴』
の連載記事にしているので、入力はまだ途中までである。
 
http://www.jca.apc.org/?altmedka/profile-boya00.html
(当時の写真は持ち帰りが禁止されたため残っておりません。これは北京に渡る前の
ものです。)
1946年、北京から引揚げ船で送還された“少年A”の物語
03.08.19 (0) 時代の始まり
03.09.02 (1) 僕等は侵略者の子供達だった
03.09.02 (2) 重い扉をバラバラと叩くつぶての音が、敗戦の知らせであった
03.09.02 (3)-1 収容所に向かうトラックは、田舎道の黄色い埃の中を揺れながら走っ
た
03.09.02 (3)-2 城壁のない街は、北京の近所と似ていた

毎年、夏になると、戦争と平和と、自分の「覚悟」を、自らに問い直すことになる。
今から9年前、カンプチアPKO出兵の際には、現地の日本基地に取材に行き、翌年、次
の「覚悟」を発表した。
 
http://www.jca.apc.org/?altmedka/hibusou.html
緊急提言・平和のために血を流す覚悟
NGO(非政府組織)・熟年・非武装・無抵抗・平和行動隊結成
初出:『フリージャーナル』23号(1994.7.8)
一部改訂:1998.9.17.
追記:2001.10.18.
2003.09.03.現在のヒット数は1,974。

 私がこの「覚悟」を固めた直接の契機は、当時の「反戦」派が、カンプチアに行っ
た自衛隊の始末に困ってしまって、「国連警察軍に参加するのなら良い」、と一斉に
言い出したからであった。
 
 警察軍だろうと警察だろうと、危険に身を曝すのは、貧乏人の若者になる。自分は
ぬくぬくと安楽椅子で平和を論じ、若者を犠牲にすることに気付かない阿呆この上な
い自称文化人に、腹の底からの怒りがこみ上げてきたのである。今年も、イラクへの
「派兵」なのか、「支援」なのか、ともかく、「有事法制」だの「イラク特措法」だ
のと、政界の議論が、右往左往した。
 
 以下の「東京新聞」の「特報」が一番面白かった。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030815/mng_____tokuho__000.shtml
2003.08.15
東京新聞「特報」
防衛論議リードする戦後世代
戦中派議員の危機感

 「戦争を知らない子供たち」という歌がはやったのはもう三十年以上前だ。今にな
り、政界では戦争を知らない戦後世代の「新国防族」議員たちの影響力が強まってい
る。イラク特措法成立などでも主導的役割を果たし、「戦争」に対するアレルギーの
薄弱さを感じさせる。この動きに警鐘を鳴らす戦中世代もいる。「抵抗勢力」といわ
れる政治家たちだが−。

■「日米関係強化と追従は違う」
 「強いガキ大将にくっついていけば、他にやられることはないという意識がある。
日米関係はもちろん大切だが、関係を強化することと追従することとは全く違う」

 自民党の亀井静香前政調会長(66)は、イラク特措法の根底に潜む意識をこう批
判した。

 亀井氏は終戦時、小学校三年生だった。出身の広島県で原爆投下を目撃している。

 「校庭でイモの手入れをしていたときだ。ピカーと光って、地響きがした。広島市
内から約八十キロほど離れた村だったが、山の向こうにキノコ雲が上がったのが見え
た。数日後に、焼けただれた人が逃げてきた。髪が抜け落ちて死んだ親せきもいる」

 村の助役だった父親も被爆した。少年のころの原体験として、戦争に対し理屈では
ない思いが、体に染み込んでいる。「戦争を防ぐことが政治家の義務なのに、今は戦
争に協力することが大義だといわれている」と防衛論議の方向性に疑問を投げかける。

■『率先して協力する風潮は過去と同じ』
 一九九二年に国連平和維持活動(PKO)協力法が整備されて以降、一昨年はテロ
対策特別措置法、今年はイラク特措法の成立など、「国際貢献」の名のもとに自衛隊
の海外派遣が定着しつつある。有事法制関連三法も成立し、戦争に備える態勢が進む。
五五年体制時代ならば、世論や野党の反発で法案成立は困難だった。それが今は次々
と国会を通過する。

 「日露戦争勝利後、日本は軍事大国に向かって走った。領土拡張を競う世界の風潮
に流されてしまった。政治家が軽々な発言を繰り返し、戦争を防ぐ努力をしないどこ
ろか、率先して協力しようとしている現在の風潮は同じように危うい」と亀井氏は危
機感を持つ。

 イラク特措法をめぐっては、自民党の野中広務元幹事長(77)と古賀誠前幹事長
(63)が七月、採決直前にそろって退席した。

■警鐘鳴らすのはなぜか抵抗勢力
 野中氏は「自衛隊の出動で傷つく人、亡くなる人、また自衛隊の自衛のためにイラ
ク国民はじめ関係する人の命を奪ったり、けがさせることを思う時に、政治家が責任
を持って記名投票をしない国会のあり方について、納得できない」とその理由を説明
した。古賀氏も同様の理由を述べた。

 こうした今の政治への危機感を持つ背景には、自身の戦争体験がある。野中氏は、
上等兵として守備していた高知県で終戦を迎えた。古賀氏は父親を戦争で亡くしてい
る。

 この体験からか、野中氏は昨年のある講演会で「戦争を知らない若い人にしたら、
『年取った人間が何をいつまでも過去を引きずっているのか』という気持ちもあるか
と思う。しかし過去を風化させてはならない。時にはブレーキを踏む勇気を失っては
ならないという使命感のようなものを持っている」と強調した。
■衆院議員の半数今や戦後生まれ
 この危機感が向けられている先は、防衛議論を進めている戦後生まれの議員たちだ。
今や衆院議員の半数は戦後生まれだ。「新国防族」として小泉政権入りした石破茂防
衛庁長官(46)や、民主党「次の内閣」安全保障大臣の前原誠司衆院議員(41)、
安倍晋三官房副長官(48)らの台頭が目立つ。
 石破長官は例えば、五月の有事法制関連三法案の審議で、自衛隊艦船などが海外で
攻撃された場合、有事と判断し防衛出動する可能性を否定しなかった。海外でも武力
行使できることが法律上認められるとの考えを示し、「専守防衛」の枠を超える懸念
が指摘された。前原氏は民主党の防衛政策通として知られ、同関連三法案審議では、
修正案の策定を担当した。
 安倍氏をはじめ、この世代には憲法改正派が多く、「国際貢献」という米国支援を
主張する。 
 こういった防衛議論に、当の自衛隊は不安を隠せない。イラク特措法に反対する元
防衛キャリア官僚の小池清彦・新潟県加茂市長(66)が代弁する。
 「名刀は鍛え抜き、鞘(さや)に納めておくのが兵法の道。自衛隊の任務は祖国の
防衛で、隊員は専守防衛という考えで入隊している」と「国際貢献」には反対する。
 防衛議論をリードする政治家については「戦後、防衛力の整備はしてきたが、独力
でどこまで祖国を守れるかといえば、守れない。今の政治家は、その認識もない。戦
争体験がないということが、世の中全体に影響しているとは思う。先の大戦が遠くなっ
たということだ」と、この世代には批判的だ。
■「首相は終戦時3歳くらい」
 「戦争体験者は『もう経験したくない』とブレーキが利く。体験のない世代はそれ
が薄い」と話すのは政治評論家の森田実氏だ。
 「首相は終戦の時、三歳くらいで、戦争体験に基づく拒絶感がない。石破氏の父親
は自治相で、前原氏の先生は米国政治学の人でしょう。学歴、政治エリートには米国
的な空気の人が多いが、米国的教育を受けた人、自分の家庭が戦争で傷ついていない
人というのは、ブレーキが利かないところがある」
 ただ、「二十年前の中曽根元首相の不沈空母発言から、防衛論などでまともな議論
をしなくなった。それ以後、米国追随、日米安保重視で、独立国としての防衛議論が
なくった。それが変わり目だと思う」と、政治の中心にいた長老組の無責任にも触れ
た。 
 旧日本軍の兵士や軍医らへの聞き取り調査をもとにした著作「戦争と罪責」がある
精神科医で、京都女子大の野田正彰教授も「戦争を知る世代が戦争を教えない教育を
してきた結果だ」と同様の批判をする。
 二つの世代間の違いについて野田教授は「戦争体験世代は、どうしようもない混乱
の中で、人がどれだけ非人間的になるかを体験している。これはいい悪いではなく、
感情的な部分で歯止めをかけようとする」と指摘する。
■『ハリウッドが手本』戦争の現実感薄い
 一方で、戦争を知らない世代に対しては「戦争を一般論としてしか考えることがで
きない。“強い米国”の影響下で育ち、戦争をハリウッド映画のようにとらえている。
米国にとって、戦場が常に国外にあったように、そこでは人は暮らしておらず、悪い
敵がいて、軍隊同士がぶつかって弱い方が負けると思っている」と指摘、この世代の
危うさを次のように話した。
 「武器や戦略に関心がある若手議員らは、組織の危うさに無頓着だ。自衛隊や政府
という組織が有事でも機能すると思っているが、日本の組織がいかにいいかげんで、
有事にめちゃくちになるか。それぞれが所属している会社組織などを考えるとすぐ分
かるはずだ」 
 
 亀井自身が「終戦時、小学校三年生だった」と語っているのだとしたら、記憶が不
正確である。やはり、粗雑な奴だ。当時は「国民学校」だったのである。しかし、
「三年生」という記憶ぐらいは確かだろうから、私と同じ年齢である。「父親も被爆
した」のであれば、反戦の気持ちの裏打ちがあることになる。
 
 私は、今、「米英軍の敗北を読み切り、イラクに行け!米軍を追い出せ!」と論じ
ている。しかし、「自衛隊廃止、軍備反対」である。いささかでも平和を語るのなら、
「NGO(非政府組織)・熟年・非武装・無抵抗・平和行動隊結成」以外の道はないと
「覚悟」している。
 ひるがえって、最近の「有事法制」にも反対した野党、社会民主党とか日本共産党
とかは、1960年の日米安保条約反対運動での主導権争いは、どこへやら、あっという
間に、「自衛隊容認」に転向している。票の重みで、どちえあにでも転がる達磨でし
かないのである。この自称「反戦」派、実は公金横領常習犯たちの欺瞞の醜さには、
最早、怒りも覚えない。
 
 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』656号(2003/09/01)
【モスク大爆発でイラク内戦の危険迫りレバノン想記するなら正確に歴史を振り返れ!】
 
 上記の「社告」にもかかわらず、このところ、阿修羅戦争掲示板の停止が頻発して
いる。「攻撃」もあり得るが、情報過多も関係している可能性があるので、長文の電
網宝庫情報はURLのみとする場合がある。
 
 私は、昨日(2003/08/31)、超多忙中にもかかわらず、「イラク・ナジャフ・モスク
大爆発」の報道状況に関して、以下の簡略な投稿をした。
 
---------- 引用ここから ----------
 日経社説「内戦への発展を防げ」「想記」「1975年に内戦が勃発したレバノン」だ
が
http://www.asyura.com/0306/war38/msg/851.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 8 月 31 日 14:30:37:CjMHiEP28ibKM
日経の本日の社説は「内戦への発展を防げ」「想記されるのは1975年に内戦が勃発し
たレバノン」だが。
レバノンの内戦を誘発したのは、イスラエルであった。アラブ諸国の分裂とイラクの
内戦を最も望むのはイスラエルであり、シャロンである。以下の歴史的事実を見よ!
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-25.html
『偽イスラエル政治神話』(その25)
3章:諸神話の政治的利用(その1)
1節:アメリカのイスラエル=シオニスト・ロビー(その1)
『偽イスラエル政治神話』(その25)
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以下は、上記に続くわが電網宝庫記事の関連部分の抜粋である。
 
---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-26.html
3章:諸神話の政治的利用(その2)
1節:(その2)
[外部資金による“偉大なイスラエル”への野望]
 イスラエルには、外部からの資金が溢れるように流入した。[中略]
 これらの流入資金に力づけられて、イスラエルの指導者たちは、外交政策の中で、
“偉大なイスラエル”の実現という途方もない野望を抱くことができた。
 その野心の正確な証言となる論文が、エルサレムで発行されている世界シオニスト
機構の機関評論誌、『キヴーニム』(指針)[前出。14号、82・2]に掲載されてい
た。論文の題名は、「一九八〇年代のためのイスラエルの戦略計画」であり、つぎの
よう主張が述べられている。
 《[中略]
  レバノンが五つの地方に分割されている状況は、アラブ世界全体が経験する将来
の予告である。
 石油資源は豊富だが内部抗争に苦しむイラクは、イスラエルの照準線内にある。イ
ラクの分裂は、われわれにとって、シリアのそれよりもさらに重要である。なぜなら、
イラクこそが短期的に見て、イスラエルに対する最も危険な脅威を代表しているから
である》(『キヴーニム』14号、82・2)
[中略]
『キヴーニム』の計画の目標は、極めて遠大で非常に危険な対立に満ちていたが、イ
スラエルのロビーは、作戦の実現をアメリカに託すことに成功した。イラクに対する
戦争は、その最も戦慄すべき実例の一つである。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以下、レバノンに対するイスラエルの画策を、わが電網宝庫記事から、抜粋し、時
系列に並べ直す。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-31.html
『偽イスラエル政治神話』(その31)
原著者ロジェ・ガロディの「結論」(その2)
[本書で展開した主張の要約]
[中略]
 レバノンに対する侵攻の火蓋を切る時の口実の立て方にもあるのだが、実際には、
イスラエルの指導者たちの長期にわたる計画が背景にあった。ベン=グリオンは一九
四八年五月二一日、彼の『ジュルナル』に、つぎのように書いていたのである。
《アラブ連盟のアキレス腱はレバノンにある。この国のイスラム政権には人工的な基
盤しかないから、容易に転覆できる。キリスト教政権の樹立が可能である。レバノン
の南の国境線は、リタニ川になるべきだ》(前出『ベン=グリオン/武装した予言者
』)
 六月一六日には、モシェ・ダヤン将軍が、その方法を正確に語った。
《あとは、将校を探すことだけだ。ただの大尉で良い。わが方の大義名分を立てる必
要があるから、買収して、マロン派[キリスト教徒]の人々を救う宣言を請け負わせ
る。その後、イスラエル軍がレバノンに入って、キリスト教政権を樹立できるだけの
領土を占領する。あとはすべて、ルーレットの上のサイコロのように回転する。レバ
ノン南部の領土は、すべてイスラエルに併合される》(『ジュルナル』79)
[以下は順序入れ替え・中略]
 一九八二年、ロンドンで、イスラエルの外交官が襲われるという事件が起きた。イ
スラエルの指導者たちは、直ちに、それがPLOの仕業であると非難し、PLOの基
地を破壊するためにレバノンを侵略し、二万人を殺した。
[中略]
 シャロンの宰領下に準備され、その目の前で実行された徹底的な虐殺もさることな
がら、レバノンにおける犯罪を、さらに嫌悪すべきものにしているのは、その基本原
理自体であり、その口実すらも?ともと、PLOになすりつけることが不可能なの
であった。
 サッチャー夫人[当時のイギリス首相]は、下院で、この犯罪がPLOの明白な敵
の仕業であるという証拠を提出した。犯人が逮捕され、警察の調査の所見が発表され
た直後、彼女は、つぎのように声明したのである。
《主犯が襲撃目標の人物を挙げたリストの中には、ロンドンにいるPLOの幹部の名
前もあった。……以上の事実は、暗殺者が、イスラエルの主張とは違って、PLOの
支持者ではないことを立証している。……私は、イスラエルのレバノンに対する攻撃
が、この襲撃事件によって引き起こされた報復であるとは信じない。イスラエルは、
この事件を、レバノンに対する敵対行為を再開する口実として、利用したのである》
(『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』82・6・8)
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上は、アラブ諸国とイスラエルとアメリカに関する歴史の的な事実であり、重要
な教訓である。欧米では古代ローマ以来の支配の教訓は、「分割し統治せよ」」であ
る。日本の中世、近世の支配の鉄則も同じだった。戦前の日本が中国大陸を侵略した
際にも、戦争挑発、敵の分断のための謀略が繰り返された。
 911事件の「容疑者」として、アメリカ国内で逮捕されたまま、裁判にすら掛けら
れずにいるアラブ・イスラム圏の「過激派」、実は、普通の外国人、またアメリカ政
府の別動部隊の貧乏人などは、数百人である。911だけではなく、その前段の「アル
カイダ」とか、「ビン・ラディン」とかの仲間が「やった」とされる事件の真相は、
まったく解明されていない。
 
 ところが、またしても、またしても、以下のような日本の大手紙報道が、電網にも
あふれ出るのである。
 以下は、短いから全文を転載し、簡略に論評する。似非紳士こと朝日新聞の恐米萎
縮症・痴呆同然垂れ流し記事である。
 
http://www.asahi.com/international/update/0831/005.html
モスク爆弾テロで容疑者19人を拘束 イラク
 イラクのシーア派聖地ナジャフのアリ廟(びょう)で29日に起きた爆弾テロで、
地元警察筋は31日までに容疑者計19人を拘束したことを明らかにした。30日朝
に4人を逮捕し、その供述をもとに残る15人を拘束した。当初の4人は犯行を認め
ているとされ、AP通信は「国際テロ組織・アルカイダとつながりがある」と報じて
いるが、根拠は示していない。
 最初の4人は旧フセイン政権に関係するイラク人2人とサウジアラビア人2人とい
う。あとの15人は協力者で、大半はイラク人だという。また、同時に多額の米ドル
の現金を押収した。いずれもイラク警察単独による捜査だったという。
 AFP通信によると、ナジャフのハイダル・マフディ知事は30日、テロに使われ
た爆弾について、2台の車に積まれた計700キロのダイナマイトであることを明ら
かにした。 
 爆弾テロは、米国主導の占領政策との協調姿勢をとる有力指導者ムハンマド・バー
キル・ハキーム師を標的にしており、反米姿勢をとる旧フセイン政権の残党か、イス
ラム過激派組織の犯行と見られる。ハキーム師ら主要な宗教指導者が米英の占領に対
する「ジハード(聖戦)」を抑えていることから、犯行組織はシーア派の撹乱(かく
らん)を狙ったものと見られる。 (08/31 21:32)
 
 この種のアメリカ当局発表垂れ流しのメディア商売は、もっとも恥ずべき賤業なの
である。
 
 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』656号(2003/09/01)
【モスク大爆発でイラク内戦の危険迫りレバノン想記するなら正確に歴史を振り返れ!
】
 
 上記の「社告」にもかかわらず、このところ、阿修羅戦争掲示板の停止が頻発して
いる。「攻撃」もあり得るが、情報過多も関係している可能性があるので、長文の電
網宝庫情報はURLのみとする場合がある。
 
 私は、昨日(2003/08/31)、超多忙中にもかかわらず、「イラク・ナジャフ・モスク
大爆発」の報道状況に関して、以下の簡略な投稿をした。
 
---------- 引用ここから ----------
 日経社説「内戦への発展を防げ」「想記」「1975年に内戦が勃発したレバノン」だ
が
http://www.asyura.com/0306/war38/msg/851.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 8 月 31 日 14:30:37:CjMHiEP28ibKM
日経の本日の社説は「内戦への発展を防げ」「想記されるのは1975年に内戦が勃発し
たレバノン」だが。
レバノンの内戦を誘発したのは、イスラエルであった。アラブ諸国の分裂とイラクの
内戦を最も望むのはイスラエルであり、シャロンである。以下の歴史的事実を見よ!
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-25.html
『偽イスラエル政治神話』(その25)
3章:諸神話の政治的利用(その1)
1節:アメリカのイスラエル=シオニスト・ロビー(その1)
『偽イスラエル政治神話』(その25)
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以下は、上記に続くわが電網宝庫記事の関連部分の抜粋である。
 
---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-26.html
3章:諸神話の政治的利用(その2)
1節:(その2)
[外部資金による“偉大なイスラエル”への野望]
 イスラエルには、外部からの資金が溢れるように流入した。[中略]
 これらの流入資金に力づけられて、イスラエルの指導者たちは、外交政策の中で、
“偉大なイスラエル”の実現という途方もない野望を抱くことができた。
 その野心の正確な証言となる論文が、エルサレムで発行されている世界シオニスト
機構の機関評論誌、『キヴーニム』(指針)[前出。14号、82・2]に掲載されてい
た。論文の題名は、「一九八〇年代のためのイスラエルの戦略計画」であり、つぎの
よう主張が述べられている。
 《[中略]
  レバノンが五つの地方に分割されている状況は、アラブ世界全体が経験する将来
の予告である。
 石油資源は豊富だが内部抗争に苦しむイラクは、イスラエルの照準線内にある。イ
ラクの分裂は、われわれにとって、シリアのそれよりもさらに重要である。なぜなら、
イラクこそが短期的に見て、イスラエルに対する最も危険な脅威を代表しているから
である》(『キヴーニム』14号、82・2)
[中略]
『キヴーニム』の計画の目標は、極めて遠大で非常に危険な対立に満ちていたが、イ
スラエルのロビーは、作戦の実現をアメリカに託すことに成功した。イラクに対する
戦争は、その最も戦慄すべき実例の一つである。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以下、レバノンに対するイスラエルの画策を、わが電網宝庫記事から、抜粋し、時
系列に並べ直す。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-31.html
『偽イスラエル政治神話』(その31)
原著者ロジェ・ガロディの「結論」(その2)
[本書で展開した主張の要約]
[中略]
 レバノンに対する侵攻の火蓋を切る時の口実の立て方にもあるのだが、実際には、
イスラエルの指導者たちの長期にわたる計画が背景にあった。ベン=グリオンは一九
四八年五月二一日、彼の『ジュルナル』に、つぎのように書いていたのである。
《アラブ連盟のアキレス腱はレバノンにある。この国のイスラム政権には人工的な基
盤しかないから、容易に転覆できる。キリスト教政権の樹立が可能である。レバノン
の南の国境線は、リタニ川になるべきだ》(前出『ベン=グリオン/武装した予言者
』)
 六月一六日には、モシェ・ダヤン将軍が、その方法を正確に語った。
《あとは、将校を探すことだけだ。ただの大尉で良い。わが方の大義名分を立てる必
要があるから、買収して、マロン派[キリスト教徒]の人々を救う宣言を請け負わせ
る。その後、イスラエル軍がレバノンに入って、キリスト教政権を樹立できるだけの
領土を占領する。あとはすべて、ルーレットの上のサイコロのように回転する。レバ
ノン南部の領土は、すべてイスラエルに併合される》(『ジュルナル』79)
[以下は順序入れ替え・中略]
 一九八二年、ロンドンで、イスラエルの外交官が襲われるという事件が起きた。イ
スラエルの指導者たちは、直ちに、それがPLOの仕業であると非難し、PLOの基
地を破壊するためにレバノンを侵略し、二万人を殺した。
[中略]
 シャロンの宰領下に準備され、その目の前で実行された徹底的な虐殺もさることな
がら、レバノンにおける犯罪を、さらに嫌悪すべきものにしているのは、その基本原
理自体であり、その口実すらも?ともと、PLOになすりつけることが不可能なの
であった。
 サッチャー夫人[当時のイギリス首相]は、下院で、この犯罪がPLOの明白な敵
の仕業であるという証拠を提出した。犯人が逮捕され、警察の調査の所見が発表され
た直後、彼女は、つぎのように声明したのである。
《主犯が襲撃目標の人物を挙げたリストの中には、ロンドンにいるPLOの幹部の名
前もあった。……以上の事実は、暗殺者が、イスラエルの主張とは違って、PLOの
支持者ではないことを立証している。……私は、イスラエルのレバノンに対する攻撃
が、この襲撃事件によって引き起こされた報復であるとは信じない。イスラエルは、
この事件を、レバノンに対する敵対行為を再開する口実として、利用したのである》
(『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』82・6・8)
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上は、アラブ諸国とイスラエルとアメリカに関する歴史の的な事実であり、重要
な教訓である。欧米では古代ローマ以来の支配の教訓は、「分割し統治せよ」」であ
る。日本の中世、近世の支配の鉄則も同じだった。戦前の日本が中国大陸を侵略した
際にも、戦争挑発、敵の分断のための謀略が繰り返された。
 911事件の「容疑者」として、アメリカ国内で逮捕されたまま、裁判にすら掛けら
れずにいるアラブ・イスラム圏の「過激派」、実は、普通の外国人、またアメリカ政
府の別動部隊の貧乏人などは、数百人である。911だけではなく、その前段の「アル
カイダ」とか、「ビン・ラディン」とかの仲間が「やった」とされる事件の真相は、
まったく解明されていない。
 
 ところが、またしても、またしても、以下のような日本の大手紙報道が、電網にも
あふれ出るのである。
 以下は、短いから全文を転載し、簡略に論評する。似非紳士こと朝日新聞の恐米萎
縮症・痴呆同然垂れ流し記事である。
 
http://www.asahi.com/international/update/0831/005.html
モスク爆弾テロで容疑者19人を拘束 イラク
 イラクのシーア派聖地ナジャフのアリ廟(びょう)で29日に起きた爆弾テロで、
地元警察筋は31日までに容疑者計19人を拘束したことを明らかにした。30日朝
に4人を逮捕し、その供述をもとに残る15人を拘束した。当初の4人は犯行を認め
ているとされ、AP通信は「国際テロ組織・アルカイダとつながりがある」と報じて
いるが、根拠は示していない。
 最初の4人は旧フセイン政権に関係するイラク人2人とサウジアラビア人2人とい
う。あとの15人は協力者で、大半はイラク人だという。また、同時に多額の米ドル
の現金を押収した。いずれもイラク警察単独による捜査だったという。
 AFP通信によると、ナジャフのハイダル・マフディ知事は30日、テロに使われ
た爆弾について、2台の車に積まれた計700キロのダイナマイトであることを明ら
かにした。 
 爆弾テロは、米国主導の占領政策との協調姿勢をとる有力指導者ムハンマド・バー
キル・ハキーム師を標的にしており、反米姿勢をとる旧フセイン政権の残党か、イス
ラム過激派組織の犯行と見られる。ハキーム師ら主要な宗教指導者が米英の占領に対
する「ジハード(聖戦)」を抑えていることから、犯行組織はシーア派の撹乱(かく
らん)を狙ったものと見られる。 (08/31 21:32)
 
 この種のアメリカ当局発表垂れ流しのメディア商売は、もっとも恥ずべき賤業なの
である。
 
 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
==============================
『亜空間通信』655号(2003/08/30)
【イラク・ナジャフ・モスク大爆発で日本大手紙ほぼ総「廊下鳶」チャラビ状況の唖
然】

 私は、本日(2003/08/30)早朝、「イラク・ナジャフ・モスク大爆発」と略称する事
件発生の記事を、宅配の日経紙面で読んだ。直ちに電網検索を実施し、午前中に、以
下の「採点」結果を、阿修羅戦争38掲示板に投稿した。
 
---------- 引用ここから ----------
読売に唯一の及第点【イラク爆弾テロ】「シーア派の分裂を狙ったもの」似非紳士朝
日などは落第点
http://www.asyura.com/0306/war38/msg/821.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 8 月 30 日 11:14:12:CjMHiEP28ibKM


読売8/30【イラク爆弾テロ、徹底捜査と行政官が声明】「シーア派の分裂を狙ったも
の」
似非紳士朝日も毎日マヤカシも、「廊下鳶」情報の憶測で商売繁盛。日経は、歴史無
知の日本政府御用・酒井啓子「アジア経済研究所主任研究員」の「廊下鳶」談話で誤
魔化す。
得をするのは、アメリカである。読売元社会部帝国は、現場の庶民の声を拾ったので
ある。
庶民感覚を「エリート」記者は軽視する。
Woe unto you.わざわいなるかな、受験優等生記者!
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030829id27.htm
イラク爆弾テロ、徹底捜査と行政官が声明
【バグダッド=中津幸久】ナジャフで起きた爆弾テロは駐留米軍やイラク国民に衝撃
を与えている。イラクを占領統治する連合国暫定当局(CPA)のブレマー行政官は
声明を出し、「新たなイラクの敵が少しも活動をやめないことを示した。彼らはテロ
リストの悪の顔を見せた」と非難、イラク警察と協力して徹底捜査すると表明した。
 バグダッドのホテル従業員でシーア派イスラム教徒のアフマド・ジャシムさん(2
5)は「今日は悲しい日となった。犯行はシーア派の分裂を狙ったものに違いない」
と憤りを示し、CPAとイラク人で構成する「イラク統治評議会」に事件の真相究明
を求めた。 
 一方、スンニ派イスラム教徒の運転手バシム・ナジムさん(43)は「治安の回復
はますます遠のくだろう。イラクが(シーア派とスンニ派の)市民戦争に陥らないか
心配だ」と話した。 
(2003/8/30/00:53 読売新聞
---------- 引用ここまで ----------

この事件に関しても、犯人は誰か、背後関係、目的、動機、などなどの独自捜査が不
可欠となる。困ったことだ。すでに怪しげな「廊下鳶」情報が、日本の大手紙の電網
情報にも溢れている。いちいち面倒見てたら切りがない。これでは、『イラク「戦争」
は何だったのか?』の準備は遅れるばかりとなる。

 夕刻、薄っぺらい日経の夕刊を広げると、事件の続報が載っている。「犯人」問題
だけにしぼると、一番怪しいチャラビの発言が、一番分かり易く載っている。チャラ
ビが、「フセイン支持者」「国境を越えて入ってきた原理主義者」であることが「明
らかだ」と「語った?ある。
 しかも、チャラビが、「国連事務所」事件と「手口が酷似しており。同一グループ
の犯行との見方も示した」と続いているのである。
 何だ、こりゃ、ちゃんちゃらおかしい「チャラビ」の手先新聞じゃないか、ところ
が、電話で文句を付けようにも、本日は土曜日の夕刻ときたからには、日経の読者応
答センターは、もう休みである。
 
 そこで、電網検索を試みると、日経と東京は土曜日は普段と違う週末記事だけであ
るから、一応、朝・毎・読・産経を見ると、今度は読売も、「統治評議会議長を務め、
シーア派イスラム教徒でもあるイラク国民会議(INC)のアハマド・チャラビ代表
はAFP通信に対し」という間接的な情報として、「シーア派がこのような行為をす
るとすれば、カトリック教徒がローマ法王を襲うようなもの」と述べ、犯行の背景に
同派の内部対立があるとの見方を否定し、「フセイン元大統領の残党がテロ組織と結
託していると指摘」、などと報じている。
 
 似非紳士の朝日新聞ときた日には、さらに自前の文章として、「民衆の大量殺害を
繰り返してきた旧フセイン政権を連想させる無軌道な手口だ」とまで論じている。
 
 いつぞや、テレヴィのワイドショー並の報道状況について、「総ジャーナリズム状
況」という手軽な新造語が流行ったことがある。これをもじると、さしずめ、総「廊
下鳶」チャラビ状況であろうか。もっとも、同じことは、911事件の際には、もっと
大規模に展開されたのだから、驚くには当たらないのである。
 ともかく、大手メディア報道には、眉にたっぷり唾を塗り込んでから接する習慣を
身につけるに越したことはないのである。その重要性が、またしても証拠立てられた
事例として、本日も、この状況に一言して置く。

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長


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