1375.北朝鮮問題



あくまでも金体制の終焉が周辺国の狙い。    ふる@鶴川

F氏の「6ケ国協議の成果について」反論を試みたい。
まず、北朝鮮への軍事プロセスは全く考えられない。可能性として
米軍による核開発施設への空爆が軍事オプションとして考えられる
が、切り札(当人がそう思っているだけだが・・・)を失った、
金正日の暴走の懸念が生じるのでリスクが大きい。

では、米軍一国、ないしは多国籍軍による制裁は? これは金体制
打破というよりも、北朝鮮国家自体の崩壊を招く恐れが高いのであ
り得ないだろう。
再び、韓国経済を黄信号で悪化の虞が生じている。ここで北朝鮮の
崩壊は、韓国にとって共倒れを招くので猛反対だろうし、中国も難
民流入による経済混乱を招くので望まないだろう。中国軍の一部が
北朝鮮難民流入を防ぐ目的で移動をしたようだが、これはあくまで
も万が一の場合の対処のためと思われる。

 なによりも、中国は北朝鮮と軍事同盟条約を結んでおり、侵略に
対してお互いに共同して軍事行動を約束しているのであるから、
中国がこの条約を反故にして制裁を加えることはできない。

 ブッシュも、フセイン体制転覆までは良かったが、その後の治安
維持でケチをつけたのであるから、この上、イラク兵よりも狂信的
な金正日親衛隊が存在する北朝鮮に攻め込むことは、国連のお墨付
きを得ても犠牲が大きく。ブッシュの再選のために、米軍首脳が非
難にさらされるのは、何としても避けたい事だろう。
ブッシュにしても、選挙前に再び軍事行動で点数稼ぎすることは、
国民の反発を招いた場合のリスクが大きすぎる。それよりも、軍事
行動を取らずに外交の解決が一番選挙に有利である。

 だいたい軍事プロセスを選択せずとも、北朝鮮は経済封鎖でジ・
エンドであることは明白である。
食料・燃料は中国に握られている、不正外貨収入は各国の監視で行
き詰まっている。金体制の存在自体が、延命状態であるのだから、
経済の動脈を止められれば機能不全に陥る。
 金正日の判断の誤りは、フセイン体制の崩壊を「大量破壊兵器」
を保有していなかったからこそ、他国の侵略を招いたと判断して核
保有の行動に出たことだ。フセイン体制が軍事力で崩壊させられた
のは、経済封鎖に関わらずイラクの石油によって、フセイン体制が
崩壊しなかったからだと思われる。何もない北朝鮮に、経済封鎖で
生きながらえる道は無い。

 となれば、以前にも述べたことだが、日中韓にとって望ましい北
朝鮮の未来は、金王朝独裁体制を廃し、統制の元に新体制によって
日中韓の経済援助・外貨導入インフラの整備、国民の金王朝親子の
洗脳解き、最後は平和的に韓国への吸収統一が望ましい道筋だ。
 となると、どこかで金正日一族が自発的に亡命するか、宮廷クー
デターによる権力奪取が一番無難な方向だと思われる。

いずれにしても中国が道筋を付けているような気がしてならない。
・中国が最近、中朝国境の警備をこれまでの武装警官から正規軍に
 置き換え、10万人以上の兵力を投入したことを明らかにした。
・鴨緑江(丹東)の中朝国境の橋「中朝友誼橋」は上を鉄道、下を
 道路が通る。60年間この橋の補修工事が行われなかったが、
 今回の補修工事で通過可能重量は10トンから20トンに引き上
 げられる。金体制崩壊後の支援のためと推測される。

ふる@鶴川
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(Fのコメント)
米国はイラクに15万人の兵員を投入しているために、今すぐに、
北朝鮮との戦争が出来ない。このため、米国は現時点では外交交渉
の選択肢しかない。しかし、北朝鮮の頑なな態度と挑発的な言葉で
、冷静沈着な米国国務長官パウエルでさえ、感情を押さえるのに、
やっととの印象を受ける。そうしないと、下の記事にあるようなコ
メントは言わない。

米国は中国とロシアに対して、北朝鮮対応をお願いしているはず。
その1つが、北朝鮮との不可侵条約を破棄するという脅しにより、
核の廃棄ができないかということであろうが、もし北朝鮮が、それ
でも強気に出れば、クーデターや暗殺にシフトして、体制の変更を
志向すると思う。

しかし、過去数回、中国・ロシアは金正日の暗殺を企てたが、失敗
している。今回も上手く行くかどうか分からないと思う。このため
北朝鮮との戦争を想定した中米の連携を志向するはず。このために
チェイニー副大統領が中国を訪問して、かつ米中の軍事的な連携を
図るようである。

しかし、どちらにしてもイラク問題が国連に委託されないと始まら
ない。このため、パウエルはイラクの国連委託を緊急に実施してい
る。そして、米国として身軽にして、北朝鮮問題に対応するはずで
ある。ブッシュも頭に来ている。そうでないと、パウエルに米国の
イラク権益を捨てる国連委託を許すはずが無い。

これはブッシュのカーボーイスタイルが、イラクから北朝鮮にシフ
トした証拠である。北朝鮮に問題があることは世界の共通認識であ
るから、このカーボーイは皆が賛成する。
このために、フランス・ロシア・中国ともに国連決議に基本的に賛
成している。イラク権益を米国が捨てるという前提があるためで、
この取引きは各国にとって得なためでもある。

一方、北朝鮮との交渉では時間稼ぎが必要になっている。このため
、パウエルが米国の譲歩案を出す可能性があるし、国連での北朝鮮
決議案も引っ込めるし、海上臨検の演習も止めたのです。

北朝鮮問題に限れば、米国で一番タカ派はパウエルではないかと思
うのほどです。ここまで、最低国力国家北朝鮮から覇権国家米国が
馬鹿にされている状態は過去の歴史にもない。最強な覇権国家の
容認限度を超えている。絶対に金正日を生かしてはおかないと、
パウエルもブッシュも心に誓っているはず。そうしないと、米国の
抵抗勢力(イスラム過激派)の勢いも止められない。あれだけコケ
にされてもその国家を処分できない覇権国家であると、示しが着か
ないのです。米国国家の威信が掛かっているのですよ。
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<6カ国協議>北朝鮮の「けんか腰発言」 米国務長官ら驚かず

 米国務省のバウチャー報道官は2日、6カ国協議で北朝鮮が核保
有宣言や核実験の用意があると公言したことに関し、パウエル国務
長官をはじめ国務省関係者はだれも北朝鮮の「けんか腰の発言」に
驚いていないと述べた。また、協議結果を肯定的に評価し、全参加
国の合意によって協議は継続されるだろうと明言した。
(毎日新聞)[9月3日11時11分更新]
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北朝鮮との平和条約締結も=ブッシュ政権が方針転換−核問題の段
階的解決を容認

 【ワシントン4日時事】5日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(
電子版)は、米国が先の北京での6カ国協議で北朝鮮に対し、核開
発の完全放棄を条件に、制裁の段階的解除や最終的には平和条約の
締結も視野に入れた提案を行っていたと伝えた。同紙は、ブッシュ
大統領が北朝鮮に対する戦略を大きく転換したとしている。一方、
米国務省高官は4日、6カ国協議で北朝鮮に対し、核問題の段階的
解決を認めていたことを明らかにした。同高官によると、米側は
また北朝鮮に、核開発の放棄の履行状況をみながら、同国に対する
「安全の保証」措置や経済支援を話し合う意向を表明した。
 (時事通信)[9月5日15時3分更新]
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2003年09月06日(土) 
イラク多国籍軍・新決議案 米、修正に柔軟姿勢 「国連採択が不
可欠」(SANKEI)

【ワシントン=近藤豊和】イラクでの国連主導の多国籍軍編成に向
け米国が提示した、国連安全保障理事会の新決議案をめぐって、
各国からの要望や修正などを受け入れるとの柔軟な方針が四日、
ブッシュ政権から示された。イラクの治安情勢改善には新決議の採
択が不可欠との同政権の意向が鮮明に打ち出されたものだ。
パウエル長官は同日、新決議案への支持を表明したイタリアのフラ
ティニ外相との会談後、記者団に「(新決議案の内容は)フランス
のシラク大統領やドイツのシュレーダー首相が過去に提起した懸念
に対処したもので、両国から要望があれば喜んで聞き入れる用意が
ある」と述べ、決議案の修正などに柔軟に対応するとの見解を示し
た。

 国務省のバウチャー報道官は会見で、「安保理各国がどのような
言葉を(新決議案に)追加することが必要と考えているのか、どの
ような考えをもっているのか、意見を聞いて内容を充実させていき
たい」と語り、各国との個別協議を本格化させると明らかにした。

 こうした柔軟姿勢は、パウエル長官が三日の会見で、新決議案の
内容を説明した際にもうかがわれた。長官はイラクでの米国の役割
の変化について「米軍の駐留規模は群を抜いており、主要な役割を
果たしリーダーシップを発揮することに変わりはない」としながら
も、「ただ、主要な役割とは、単独の役割であることを意味してい
るわけではない。国際社会と協調することが重要だ」と説明した。

 国連の役割拡大に難色を示してきたブッシュ政権が、多国籍軍編
成を容認した経緯については「米軍兵士の死者数の増加とは関連付
けられない」とする一方、「テロリストたちはイラクに活動の足が
かりをつくり、イラクの人々の希望と夢を打ち砕こうとしている。
米国や同盟・友好国はこれを許容するわけにはいかない」として、
イラクでテロの脅威が高まったため、国際社会の結束が必要になっ
た点を強調している。

 米国の決議案提示を受け、安保理各国は非公式の折衝を開始して
おり、フランスやドイツを中心に、(1)イラク国民への迅速な権
限委譲(2)新政権発足に向けた行程の明示(3)国連の役割強化
−を求めるなどの修正を目指す動きが出ている。

            ◇

【米提示の決議案要旨】

一、(米国による)統一された指揮権の下、多国籍軍に、イラクの
 治安を維持するために必要なあらゆる措置を取る権限を与えると
 ともに、国連加盟各国に対し軍事力の提供を含む協力を強く求める

一、(米主導の下、イラク国内の各派から代表者が選出された)統
 治評議会を、国際的に認知された新生イラク政府への重要な一歩
 と位置づけるとともに、「暫定統治における中心的な組織」と認
 定し、支援する

一、統治評議会は米国と国連の協力の下、新憲法制定と民主的選挙
 の開催の実現について、具体的な方法論や時間的な見通しを確立
 する

一、統治評議会の要請に基づき、国連は選挙開催までの過程におい
 て全面的に協力する

一、加盟各国にイラク復興への協力、とりわけイラク警察の装備面
 や訓練面での協力を要請する

一、各国金融機関に対し、復興に向けての財政的支援の継続を要請
 する

一、多国籍軍を代表し米国は、六カ月以内に国連安保理に状況に関
 する報告書を提出する
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件名:現代の「金正日亡命シナリオ」記事  

現代の「金正日亡命シナリオ」記事で青山氏が語る「ポスト金正日
=張成沢」分析に抱く疑問 ・朝日の“庶民感覚” 

 「久米宏、ニュースステーション降板の真相」の話題が週刊誌各
誌で取り上げられている。週刊ポスト(9・12)、週刊現代(9・
13)ともに「ギャラ60億円リストラ」「カネで大ゲンカ」と、降板
がテレビ朝日と久米宏側の金銭問題であると強調してあおり立てて
いる。記事を読むと、テレ朝にとって唯一と言っていいほど視聴率
が稼げる“ドル箱”番組だった同番組が、あまりに金がかかり、台
所事情の良くないテレ朝にとっては重荷だったようだ。 

 ニュースステーション(Nステ)は久米宏が株主となっている「
オフィース・トゥ・ワン」(OTO)が同番組開始以来、一貫して
制作してきた。週刊ポストによると、久米のギャラ年間約七億円、
渡辺真理キャスター(OTO所属)約八千万を含め、テレ朝がOTO
に支払っていたのが六十億円だというから、いかに金がかかってい
たかが分かる。
 週刊現代は「約五十億円」としている。ワイドショーの司会者、
みのもんた、峰竜太クラスで年間二億円前後をもらうという。これ
でも庶民のレベルと懸け離れた金額だが、久米宏がもらう年間七億
円というのは「1日平均300万円弱になる」(ポスト)というか
ら、庶民からすれば雲の上の話だ。

 これではいくら同番組が「治外法権」を持っていたといっても、
テレ朝としてはリストラの対象にせざるを得ないだろう。そこで、
経費をめぐってテレ朝とOTOとの間に「大ゲンカ」(現代)があ
り、この際、降板となった、というのが週刊誌の見立てだ。
 もちろん、テレ朝広報部は「金銭問題が絡んだものではありませ
ん。降板はあくまで久米氏の判断によるもの」(ポスト)と否定す
るが、カネのない庶民からすれば、理由の半分は「やっぱりカネだ
よ」と思うだろう。

 一方、AERA(9・8)は「久米宏という『時代』」という記
事で、田原総一朗にコメントさせ、久米宏を「並ぶ者なき天才です
」と持ち上げた。「視聴者の目線で物申す」「視聴者の思いの丈を
代弁したからこそ、Nステは高視聴率をキープすることができた」
 として、去りゆく久米宏に「長いあいだ、お疲れさまでした」と
結んでいる。視聴者の大部分は庶民である。その庶民の「思いの丈
を代弁した」のが、一時間十五分で三百万円を稼ぎ出す久米宏だと
いうのだから、業界トップクラスの高給として知られる朝日新聞な
らではの“庶民感覚”だ。

話題多かった北朝鮮

 さて、話題を変えて、万景峰号の新潟入港、北京での六カ国協議
、大邱ユニバーシアード大会での“美女応援団”と最近は北朝鮮に
まつわる話題が多かった。関連する各誌の記事を見ると、週刊文春
(9・4)「万景峰号来航、公安当局がマークする『総連系企業30
社リスト』」「北朝鮮美女軍団10の秘密」。週刊ポスト「金正日(
闇)指令『万景峰号で送金を再開せよ』」「北朝鮮『美女軍団』の
素顔は『喜び組』の落伍者」――など、似たり寄ったりの企画が並
んでいる。それもグラビア付きでだ。

 目くじら立てるわけではないが、北朝鮮応援団の女性たちを指し
て「美女軍団」というのはおかしい。とりたてて「美女」でもなけ
れば、まして「軍団」でもない。「女性応援団」というのが最もふ
さわしいが、「美女軍団」といって追っかけ回して(振り回されて
)いる状況が、既に北の工作にはまっていることを自覚すべきだろ
う。「将軍様のお写真が濡れる」と突如大騒ぎした姿に、北朝鮮の
思想教育がのぞき、思わず引きはしたが、韓国はすっかり“骨抜き
”にされてしまった。

 それはさておき、関連記事で注目は週刊現代の「米朝が極秘交渉
、金正日に『スイス亡命』提案、許せるか」の記事だ。米国防総省
で立案した作戦を紹介したもの。米軍は現在、アフガニスタンとイ
ラクに十五万人を投入しており、「アメリカは北朝鮮と交戦する余
力はない」という。そこで、北朝鮮を挑発し、軍事的緊張状態を続
け、疲弊させる作戦で、そのうち「金正日体制への不満と反感が高
まる」「軍事クーデター」「金正日の自主亡命」させる――という
シナリオだ。

 日本脱北者同志会会長で、北朝鮮の元工作員・青山健煕氏が「ア
メリカは昨年11月から金正日サイドに亡命の条件を提案してきてい
ます」と語る。そして、ポスト金正日は「朝鮮労働党組織部第一副
部長の張成沢が有力候補です」という。張成沢は金正日の妹、金敬
姫の夫だ。青山氏は彼が「一時、金正日に疎まれて左遷された経験
があり、現在も金正日に恨みを持つという、絶妙な立場にある人物
です」と明かす。

名前出して大丈夫?

 青山氏は元工作員だから、北朝鮮という国のシステムや金正日と
いう独裁者の実態に精通していると思うのだが、この分析には首を
ひねらざるを得ない。なぜなら、第一に、ここで名前が出てしまい
、さらに「恨みを持つ」と指摘されれば、張成沢は金正日に再び「
疎まれて左遷」どころか、「排除」「粛清」されてしまう可能性が
ありはしないか。
 第二に、米軍が立てている計画によれば、亡命しても金正日が海
外に貯め込んだ財産を保証するという。ならば、保証が確実なもの
となるためには、「人民の血と肉で貯め込んだ財産の返還」を求め
てくるようなポスト金政権の話がされていれば、金正日が亡命提案
に乗ってくるわけがない。

 実は筆者も韓国の関係者から「金正日亡命」の話は聞いている。
ポスト金正日は「五人ほど挙げられている」と同関係者は指摘した
が、事前にその名前が出てしまうことを極度に警戒していた。

 九月十七日、日朝首脳会談一周年を迎える。拉致被害者の家族の
動向など、何らかの動きも予想され、週刊誌各誌の奮闘に期待した
い。(岩崎 哲・世界日報)掲載許可済です。
Kenzo Yamaoka


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