1374.日本財政運営について



日本の今後を考えた財政運営はどうあるべきかを検討しよう。
                           Fより

多くの政治家や国民は、1985年以降の日本の高度成長を再度実
現させようとしているようなことを言っている。しかし、この当時
の財政運営は、大幅な公共事業と円の大判振る舞いでバブルを生成
して実現した。もう、日本の生産人口が増えないし、海外からの移
民も入れないということ(このコラムは日本語ができる海外移民を
積極的に入れるべきであると主張している。しかし一般世論は移民
反対である)から、このような高度成長はないし、バブル後の後遺
症を考えると、止めた方がいい。

今の日本のGDPを維持さえすれば、日本経済としても日本国民と
しても十分豊かな生活ができる。貴族的な生活ができる日本人は、
3000万人もいる。無理することは無い。日本企業の製品開発力
を落とさなければ、世界に電子部品、自動車、電子機器を供給する
ことで日本の没落も無い。この機器類での日本の強みはCLOED
な仕組みにあり、OPEN化された分野は中国・台湾・韓国に負け
ている。このためCLOSEDな分野を死守するべきである。

デフレの原因は、中国の元が安すぎであるためで、この元の市場化
が実現すると、30%以上の切り上げになるので、デフレも止まる
ことになる。
それと、日銀が日米の国債を積極的に購入している。米国国債は、
円高防止で相場に介入しているためで、日本の国債購入は長期金利
上昇を押さえるためであるが、この大量な資金提供で米国ではミニ
バブルが発生しているように感じる。日本はやっとデフレ脱出にな
っている。

米国の景気がよくないのに、株価が上がっている。このため、米国
の大統領選挙の争点が経済、特に雇用問題になってきている。この
ため、対元、対円レートをドル安の方向にして、米国の生産人口を
増やす必要がある。

1990年以降のインターネット・フーバーでの米国経済の力強さ
は今は無い。サン・HPもUNIXマシンが売れない。シスコの製
品も高くて売れない。マイクロソフトもLINUXに市場を取られ
ている。自動車もトヨタ、ホンダに市場を取られている。このよう
に米国企業が苦戦であるために、ドル安にする必要があるのです。

一方、直近の6−8月の日本の経済成長率は3%である。電子機器
、自動車など実体経済が活況になっているためだ。新しい製品やシ
ステムの計画も出てきている。このような状態は、このコラムに今
までにも書いてきた通りで、このため、欧州勢が先に、日本株を買
い、それに釣られて米国のファンドが買い始めた。このため株価も
上がっている。しかし、地方経済はまだ暗い所も有る。

このため、公共事業を拡大しろという声が主に政治家から出ている
。公共事業を、全て止めろとこのコラムも言っていない。事業性の
無い利用者のいない田舎の公共投資は止めるべきであると言ってい
るのだ。しかし、今政治家が欲しいのは地方の利用しない公共事業
である。このことを銘記するべきである。日本の開発力向上のため
の研究投資や田舎のインターネット整備は、政府・自治体が率先し
て今後もおこなうべきである。

通信環境が整備されると、新しい産業ができて、かつ都会から地方
に移り住み易くなるからで、過疎の問題と今後の農業人口確保に必
要である。市場情報もインターネットで知ることが出来て、農業の
近代化も可能になる。新しい産業ができないとGDPは増加しない。
今までの産業は衰退することが多い。このため、心身代謝ができる
基礎環境整備が必要であり、今は道路より通信環境の整備であろう。

新しい動向としては、デパート・専門店から通販に買い物がシフト
しているし、旅行業もJTBなどの店舗販売から「旅の窓口」など
のインターネットでの販売にシフトしている。

もちろん、道路の整備が完全に終わっているということではないが
、都市近郊道路整備以外はあまり必要が無いように感じる。

それと、80年代と違って今後の老齢化社会を迎えるに当たって、
財政負担が今後益々増えるし、生産人口が減ることになるため、
財政の健全化をしておく必要がある。自立回復が出来るまでに日本
経済は成ってきている。ここでは、中立的な財政運営を行い、これ
以上の大幅財政赤字にするべきではない。しかし、増税や予算規模
を大幅に下げることはまだ危険であるが、大判振る舞いをする経済
状況ではなくなっていることも確かだ。

それと、道路等の公共事業投資を少なくして、今後の老齢社会に向
けた準備に使うべきだし、日本の自立に向けた憲法の見直しと自衛
権の十分な行使が出来る軍備に回すことや国民の暮らしを地震や火
災や犯罪から守るために国家予算を使うべきではないかと思う??

国は国民の財産・生命・文化を守るために、国民から預託されて、
その支配権を行使しているのですから、本務をわきまえておく必要
があると思う。地震や北朝鮮や少年・外国人犯罪から国は、国民を
守る必要があるのです。国民も国に甘えてはいけないのですが。

もう1つ、70−90年代の問題は、田中角栄の時代から郵貯預金
がODAや特殊法人や道路公団などに貸し出されて、その後この資
金が焦げ付いて、国が肩代わりする羽目になったことです。この
10年間で一番大きな不良債権は、実を言うと郵貯・年金資金の貸
し出し金、言い換えると政府・自治体機関の不良債権なのです。
その不良債権を埋めたのがNTT株、JR株、JT株の売り払いで
あったし、国民の税金であったのです。

そのため、民間で出来ることは、民間機関で行うべきだし、採算性
がなく国民が必要なあるものは国が国家予算で行うべきなのです。
国家機関が民間資金や郵貯資金を借りると、それが不良債権になる
確率が今までの実績からすると高いのです。それより、補助金を出
して、民間にお願いした方がいいように思うのです。

歴史的にいろいろなことを起こり、それを反省して、今の政策があ
るのです。一歩一歩、PDCAを回して、国家運営するべきではな
いですかね。マスコミはこの観点がなさ過ぎで、ただただ、時の権
力に反対しているだけであるように見える。


コラム目次に戻る
トップページに戻る