1368.6ケ国協議の成果について



6ケ国協議の成果について、検討しよう。 Fより

現在、「悪の枢軸」と世界の全員が思っているには、北朝鮮であろ
う。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長はBBC
テレビとのインタビューで「北朝鮮が世界で最も大きな核の脅威」
と断言している。

中国もロシアも米国より北朝鮮の方が悪いと感じている。ロシアの
プーチンは米国と北朝鮮の間を取り持とうとしたが、ロシア・韓国
・中国・日本が提案する多国間の体制保証案を拒絶した北朝鮮に取
り付く暇が無いと匙を投げた。

韓国の北朝鮮支援停止と日本の送金停止、万景峰号の寄港停止や
ミサイルなどの武器輸出できないような海上臨検などを実施して、
北朝鮮に対する経済的な封じ込めを世界的な規模で行うことになる
であろう。

この6ケ国協議において北朝鮮の妥協が無かったので、国連常任理
事会の北朝鮮非難決議は全員賛成で通過するでしょうね。当然、北
朝鮮の完全経済封鎖になる。

そして、交渉時間を引き延ばして、米国は国連にイラク統治と秩序
維持を任せて、イラクから米兵を撤退して、その兵力を北朝鮮に振
り向けることになる。今度の北朝鮮戦争の戦費は国連が世界から集
金する。
このため、米国は資金負担が殆どなしに、戦争できるのでブッシュ
大統領の人気は上がるでしょうね。選挙前に北朝鮮との戦争を始め
ないと選挙に間に合わない。早期に韓国在住の米軍を引き上げる必
要もある。

そして、中国と米国が組んで、北朝鮮を攻撃する。中国国境から中
国・ロシア連合軍が北朝鮮に入ることになる。米国は航空支援を行
うことになるようだ。このため、今回の協議に米国は空軍の企画担
当のノース准将を送っている。(現在、東アジア担当の責任者)

このように今回の協議は、米国と中国、ロシアを北朝鮮が国際的な
交渉を拒否しているために、戦争しかないという意見にまとめる効
果があったようだ。

米国としても、日本への軍備売り込みのため東アジアに適度な脅威
は必要であり、北朝鮮の適度な脅威は歓迎であった。このため、ク
リントン政権では北朝鮮と妥協したのですが、その弱腰を突いて、
核の再開発をすれば、米国も怒るよ。その怒りを金正日委員長は理
解していない。そして、強く出てば、米国は折れると読んでいるよ
うだが、それは無理がある。

金正日委員長の強気は裏目に出ている。もう後戻りは不可能であろ
う。崩壊近し。中国のスパイ網が暗殺を仕掛ける可能性は否定でき
ないし、これが失敗すると、本当の戦争になるでしょうね。
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「北朝鮮の脅迫・挑発は有害」 米国防総省高官が警告 (ASAHI)

 米国防総省高官は29日、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議につ
いて、「北朝鮮の脅迫や挑発は問題だ。4月の3者協議でも脅迫的
なことを言ったが、これは核問題の外交的解決に有害なだけだ」と
警告した。協議期間については「具体的な期限は設けていない」と
しながらも、「北朝鮮が時間稼ぎをしながら核開発を進めるなら、
核廃棄の外交目標に打撃となる」と指摘した。 

 これに関連して、国務省報道官は同日、北朝鮮側が「核保有宣言
の意図」を表明したことについて、「北朝鮮の脅しは驚きではない
。挑発的な発言には長い歴史がある。脅迫は北朝鮮を孤立させるだ
けだ。発言は核の保有を明確に認めたものだが、我々は脅しには反
応しない」と語った。 

 国防総省、国務省ともに北朝鮮側の挑発には乗らない、との原則
的な姿勢を示しているが、核実験の示唆に関する発言をめぐる最終
的な分析は終えていないと見られる。 

 国防総省高官は日本の拉致問題について、「6者協議の焦点は核
問題だ。しかし、日本の拉致問題、韓国の脅威である通常戦力問題
も北朝鮮との関係を悪化させており、協議を通じてこの現実を北朝
鮮に理解させなければならない。米国は拉致問題に関する日本の懸
念を完全に共有している」と言明。6者協議全般を通じて「日米間
の緊密な協調に勇気づけられた」と評価した。 

 また、中国側がまとめた「共通認識」のうち、「朝鮮半島の非核
化と同時に、北朝鮮の懸念する安全問題の解決を考慮する」という
点について、高官は「北朝鮮が核開発計画を破棄し、解体するとい
う明確な証拠がまず必要だ。それがない段階で、(北朝鮮の体制保
証などの)他の問題を我々から提起するのは時期尚早」と語り、核
開発の放棄が先決だとの立場を重ねて強調した。 
(08/30 15:41) 
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「次回協議は米国次第」と北朝鮮 (ASAHI)

 6者協議に参加した北朝鮮代表の金永日(キム・ヨンイル)外務
次官は帰国前の30日午前、北京国際空港で、次回協議の日程と場
所についての記者の質問に対し、「米国の態度を見守らなければな
らない。米国次第だ」と述べた。協議の評価については「開会時の
演説で我々の立場はすべて明らかにした」と語った。 

 また、別の北朝鮮代表団員は報道陣の前で、米国を非難する声明
を読み上げた。米国が協議で硬い姿勢を変えなかったとして、「こ
んな会談は開く必要もなく、興味も期待も持つことができない」な
どと述べた。 

 北朝鮮代表団は30日昼前、北京発平壌行きの高麗航空便で帰国
の途についた。 
(08/30 13:24) 
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中ロも内心嫌気−北朝鮮の核問題
 【北京29日時事】北朝鮮の核問題をめぐり、北京で行われた六
カ国協議は二十九日、話し合い継続という所期の目的を達した。
しかし、北朝鮮の「瀬戸際政策」には、米国だけでなく、中ロなど
他の関係国も内心嫌気が差しており、次回協議までに北朝鮮が態度
を軟化させなければ、友好国との関係も疎遠になり、完全な孤立状
態に陥る恐れがある。 
 米メディアの報道によると、北朝鮮の金永日外務次官は今回の協
議で、核実験を実施する可能性に言及した。事実とすれば、米朝中
三国協議(四月)での核兵器保有表明に続き、調停役の協議ホスト
国である中国の顔にまた泥を塗ったことになる。 

 核危機が再燃した昨年十月以後、中国政府は内部報告書で北朝鮮
の行動を「冒険主義」と規定。同国の核拡散防止条約(NPT)脱
退に反対の態度を公式に示し、問題解決に向けた協議の形式につい
ても、北朝鮮が求めていた米朝二国間から米国の主張する多国間へ
軸足を徐々に移した。 

 中国が調停に奔走して六カ国協議を実現させたにもかかわらず、
北朝鮮が挑発的言動を続けた場合、中国としては、米国などが経済
制裁などで北朝鮮に圧力を掛ける措置を事実上容認することを検討
せざるを得なくなる。 

 また、中国と競うように調停工作に動いたロシアも、今回の協議
に出席したロシュコフ外務次官が記者団に対し、北朝鮮が先に多国
間の体制保証案を拒絶したのは「驚くべき反応」だったと述べ、
不快感をあらわにした。ロシアではこのところ、海軍高官が北朝鮮
の核使用を先制攻撃で阻止するケースに言及するなど、関係当局者
の間から、平和解決路線が失敗に終わる事態を想定した発言も出て
いる。 
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400字で斬る国際情勢ニュース(449)
                    ◆メンツだけが先走り◆
(2003/08/30)
 北京で開催されていた北朝鮮核を話し合う6カ国協議は8月29
日、北朝鮮核問題の平和的解決と交渉継続で合意し閉幕した。拉致
問題では、この日、日朝が10分間だけ協議し、こちらも交渉継続
で一致。一応、参加国のメンツがそれぞれ保たれた格好。が、内実
は北朝鮮の言いたい放題だけが目に付いた。共同声明はなく、中国
の議長総括で打ち止め。

 冷戦構造が唯一残る東アジア情勢絡みの今回の6カ国協議では、
北朝鮮が、4月の米朝中3者協議の際に米国に示した「寛大な提案
」を蒸し返した「包括的な解決策」を提示。1)米朝不可侵条約の
締結2)米朝間の外交関係の樹立と日朝・南北朝鮮の関係正常化に
向けた保証3)経済協力4)軽水炉建設の完了―の4点を提案。

 そして、北朝鮮は、以上の4点の見返りとして、核開発の放棄す
るとともに査察を受け入れ、核関連施設の解体、ミサイル輸出入の
停止を約束するという。米国には不可侵条約を改めて要求し、日韓
には関係正常化の見返りとしての経済援助を突き付け、1994年
の米朝枠組み合意に基づく軽水炉建設はそのまま完成させよという
わけだ。

 拉致被害者家族を人質とし、核公式保有宣言、核実験開始をちら
つかせた恫喝外交を繰り返す北朝鮮は、まったくもって容認し難い
し、信用できない。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事
務局長はBBCテレビとのインタビューで「北朝鮮が世界で最も大
きな核の脅威」と断言したが、けだし名言。

 メンツを立てるだけに汲々とした今回の6カ国協議は、とてもで
はないが前向きに評価できる筋合いのものではない。(了)
国際情報ファイル・深層海流主幹 石川純一(文責)
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米国は北朝鮮の脅迫に屈しない=米国務省 
2003 年 8 月 30 日 

【ワシントン29日】米政府当局者は29日、米国は北朝鮮の核の
脅迫に屈しないと警告するとともに、北朝鮮の核問題をめぐって
北京で27−29日に開催された6カ国協議で北朝鮮が好戦的で過
激な行動を取り、会議の雰囲気をまずくしたと非難した。国務省ス
ポークスマンは、北朝鮮が北京協議で核保有を明確に認めと指摘す
る一方で、米国は対決状態から平和的に脱却するために話し合いを
続けることには賛成すると述べた。

米側の話では、北朝鮮は3日間の北京協議で、核実験を行うと脅し
、核を運搬する手段を持っていることも示す用意があると述べた。
北朝鮮が張ったりに出ているのか、核実験実施により米国との緊張
を沸騰点にまで持っていくつもりなのかは大きな疑問として残って
いる。〔AFP=時事〕
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北朝鮮が協議継続に疑問も ロシア外務次官が明かす

 【北京29日共同】6カ国協議でロシア首席代表を務めたロシュ
コフ外務次官は29日、北朝鮮代表団の金永日外務次官が同日の最
終協議で「(北朝鮮側には)交渉継続の必要性に疑問がある」と表
明していたことを明らかにした。タス通信などに語った。
 しかし、ロシュコフ次官は決裂には至らなかったとして、対話継
続を確認した成果を評価した。また、核問題をめぐる米国と北朝鮮
の隔たりが大きく「困難な交渉だった」と振り返った。
 次官は28日の記者会見で、協議の成果を盛り込んだ文書の採択
で参加国が基本合意したと述べていたが、文書採択には至らなかっ
た。(共同通信)[8月29日22時29分更新]
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件名:日本における軍事力増強の必要性  

ミサイル防衛だけでは不十分・増大する北朝鮮の脅威に対応を
北は新型巡航ミサイルを開発

 ミサイル防衛に十億j支出するという日本の決定は、地域安全保
障にとって画期的なことだ。その計画には、パトリオットPAC3
の地上配備弾道ミサイル防衛システムとイージス艦搭載の海上配備
型スタンダード・ミサイル3の購入が含まれる見通しである。
 しかし、最終的には、北朝鮮に対処するにはミサイル防衛だけで
は不十分で、増大する北朝鮮の脅威に対応するための日本の自衛隊
の攻撃力増強が必要である。

 日本はミサイル防衛に加えて、精密誘導弾と巡航ミサイルを購入
あるいは開発すべきである。報道によると、日本は通常爆弾を米国
の精密誘導爆弾(JDAM)のような精密誘導弾に改修することを
可能にする衛星誘導弾一式を購入する計画である。

 日本が弾道ミサイル防衛以上に、その防衛力を改善する必要があ
るという理由は簡単である。北朝鮮の軍部はすでに、保有する三種
類の弾道ミサイル、短距離スカッドミサイル、中距離ノドン・ミサ
イル、長距離テポドン・ミサイルは米国のミサイル防衛により迎撃
され得ることを予測している。たとえミサイル防衛が配備されても
、北朝鮮からのミサイル攻撃を事前警告できる時間は数分間にすぎ
ないと計算されている。ミサイルの脅威に対処するための米国の軍
事ドクトリンが敵のミサイルに対する先制攻撃を含んでいる理由は
、ミサイルの飛翔が短時間であることからくる困難のゆえである。

 弾道ミサイル防衛に対抗するため、北朝鮮はレーダーの探知網の
下を飛翔し、標的を正確にピンポイント攻撃し得る新型巡航ミサイ
ルを開発しつつある。北朝鮮はすでに、中国が設計した対艦ミサイ
ルをもとに開発した新型短距離巡航ミサイルの実験を数度実施した
。北朝鮮が開発しつつあると見られる小型核弾頭を装備し得る北朝
鮮の新型巡航ミサイルは、別の種類のミサイル防衛の必要を浮き彫
りにしている。

日本を敵国視する中国の存在

 日本の軍事力増強が必要だという二番目の理由は中国である。多
くの穏健派の学者や政府関係者が共産中国の統治者はもはや共産主
義者ではないと主張しているが、中国の軍、党が出版している論文
を注意深く分析すれば、北京の将来に対する意図についての疑問が
生じてくる。

 著名な中国専門家マイケル・ピルスバリー氏は、米国防大学のた
めに中国内部の論文の二巻の画期的翻訳を作成した。第三巻目も作
成されつつある。ピルスバリー氏が明らかにしたことは、中国が日
本を将来における中心的な敵国と見なしているということだ。
 中国の軍および党の指導者は、二〇二〇年までに日本が世界にお
ける最強の、あるいは二番目に強大な国家になると信じており、
日本は中国支配を欲していると信じていると、ピルスバリー氏は述
べている。

 中国が日本のミサイル防衛を、北朝鮮のミサイルを阻止すること
に限定されたものではないと考えていることは疑いの余地がない。
米情報機関は、現在の交渉がどれほど多国間協力のもとに成果を生
む可能性があるとしても、平壌をして核兵器あるいは核兵器開発プ
ログラムを放棄させることにはつながらないとみている。北朝鮮は
一九九四年枠組み合意で核兵器プログラムを廃止する機会を得た。
北朝鮮の共産政権は、核兵器を解体する見返りとして、同国が必要
な電力を提供する軽水炉二基を約束された。しかし合意を遵守する
代わりに、北朝鮮は、遠心分離装置により生み出される核燃料を使
用するウラン式の核兵器開発という二番目のプログラムを密かに構
築する道を選んだ。

「力を通じての平和」は健在

 ブッシュ大統領は、米国が朝鮮半島が核武装地帯になることは許
さないという、自分の発言の意味を明瞭にしていない。韓国の現在
の政府は北朝鮮に友好的な太陽政策を保持することを主張している
が、米国は北朝鮮に対する武力行使を排除していない。

 今月の北京における六カ国協議は、交渉によって北朝鮮に対処す
る最後の希望になり得る。中国は明らかに、朝鮮半島を分断状態に
しておくことが自国の利益になると考えているが、北朝鮮の核武装
は、日本、韓国、台湾の核武装につながり得ることを理解している
。中国はこの問題の解決を助ける上で重要な役割を果たし得る。
問題の解決は最終的には、平壌における政権変更によってのみ可能
かもしれない。それまでの期間、日本と韓国は、レーガン元大統領
の「力を通じての平和」という国防哲学に従う必要がある。
 レーガンは、平和を欲するなら、戦争に対する用意をしなければ
ならないと信じていた。
 ワシントン・タイムズ コラムニスト ビル・ガーツ・世界日報
 ▼掲載許可済です。
Kenzo Yamaoka
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件名:ブッシュ大統領は北と妥協しない  

人権無視の金総書記を嫌悪・「自由の大義」のレーガン路線を継承

価値観をめぐる米朝間の相違
 朝鮮半島の安全保障問題に直接の利害関係を持つ南北朝鮮と米中
ロシア、そして日本が初めて一堂に会した点で歴史的とも言える六
カ国協議は、合意には至らなかった。

 その根本的な原因は、主役を務めた米朝の相互不信である。ブッ
シュ政権から「悪の枢軸」と名指しされた北朝鮮は、同じく「悪の
枢軸」とされたイラクが同政権の先制攻撃で体制を転覆されたのを
見て、次の標的は自国だと警戒しており、米国が対北敵視政策を転
換しない限り、抑止力として核を手放せないとしている。

 ブッシュ政権は米朝合意を破っての北の核開発の不当性やニセ札
、麻薬輸出など国際ルールを無視する北への強い不信感を抱いてお
り、北の無条件核放棄がすべての前提としている。そして両国の対
立の背後にあるのは、価値観をめぐる基本的な相違だ。その点で、
忘れてならないのは、共産主義を「悪」とみなし、米国を「世界の
自由の砦(とりで)」と考える「レーガン・ドクトリン」をブッシ
ュ政権が継承していることだ。自由や人権を神から与えられた普遍
的権利とみなす同政権が、時計の針を半世紀も前に戻したような共
産主義の金正日政権と妥協できる余地は極めて少ない。

 「レーガン・ドクトリン」を代表するレーガン大統領の演説とし
て最も有名なのが、ウェストミンスター演説として知られる一九八二
年六月八日の英下院演説だ。同演説で同大統領は「自由は幸運な少
数者の特権でなく、全人類の奪い難い普遍的な権利である」と述べ
た。「自由の大義は神の大義」(八二年七月三十日)との表現もあ
る。

 レーガン大統領は八一年一月二十日の就任演説で「米国民は、こ
の最後の、そして偉大な自由の要さいを保持するため、必要とされ
る何事をもなす能力を、過去にも持ってきたし、現在も持っている
。(中略)われわれは自由を得てない人々にとって、再び自由の手
本、希望の灯台となるだろう」と述べた。

 八三年三月八日のオーランド(フロリダ州)演説では「この世に
は罪と悪があり、われわれはイエスと聖書の命令に従って、全力で
これらの罪悪と対決している。国家が個人に優先し、全人類を最終
的に統括しようとする共産主義は現代社会の悪の結実である。
 人類の自由を求めるわれわれの強さの根源は、物質的なものでは
なく霊的なものである。それには限界がないため、人類を奴隷化し
ようとする人々に恐怖を与え、最終的にわれわれに勝利をもたらす
」と述べている。

「自由は全人類の普遍的権利」

 「レーガン・ドクトリン」は米建国の歴史にルーツがある。ピル
グリム・ファーザーズが新大陸に渡った目的は、神への信仰と自由
の追求であった。旧大陸ではカトリック教会のもと教会が神と人と
の仲介者として大きな権限を持っていたが、新教徒たちは神と人と
を直接結び付ける信仰の自由を重視する。そして、人権や平等や
自由の概念も信仰に基づいている。

ジェファーソン大統領(第三代)が起草した独立宣言の前文は「自
明の真理としてすべての人は平等に造られ、創造主から一定の奪い
難い天賦の権利を賦与され、その中に生命、自由および幸福の追求
が含まれる」と述べている。「レーガン・ドクトリン」の言う「自
由は全人類の普遍的権利」の発想のルーツである。

 この発想はブッシュ大統領に継承された。脅威を排除するために
、先制攻撃で自国を防衛する権利を宣言した「ブッシュ・ドクトリ
ン」の集大成である昨年九月二十日発表の政策文書「米国の国家安
全保障戦略」は次のように述べている。

 「米国はかつてないほどの力と世界への影響力を持っており、こ
の力は自由を希求する国々の力の均衡を推進するために使わなけれ
ばならない。われわれは軍艦や軍隊よりも、少数の悪者の破滅的な
技術によって脅威にさらされている。われわれは現在のこの影響力
を、平和で豊かで自由な時代を実現するために使う。われわれの目
的は自由、平和的関係、そして人間の尊厳への敬意である」

 同大統領は一昨年三月四日、原子力空母「ロナルド・レーガン」
の進水式での演説で「米国は本質的に自由のために戦う国だ。自由
が広がる時、われわれは利益を受ける。それゆえ、われわれは自由
の側に立ち、自由を脅かす国々に立ち向かうであろう」と述べた。

 同大統領は昨年二月、北京訪問の際「米国は信仰で導かれている
国だ。国民の95%が神の存在を信じ、私もその一人だ」と述べ、信
仰、自由の意義を強調した。「人権は神から来た」と信じる大統領
は北朝鮮について、昨年八月二十日の伝記作家との会見で次のよう
に語っている。

 「私は金正日が大嫌いだ。この男に腹の底からの嫌悪を感じる。
彼は自国民を飢えさせているからだ。私の外交の背後には妥協を許
さない価値観が存在する。その価値観が米国民にとりよいものなら
、他国民にもよいものであるはずだ。その価値観を押し付けるとい
う意味ではない。それは神が与えたものであるからだ。これらは
米国が創り出した価値ではない。これらは自由と人権尊重の価値で
あり、子供を愛する母親の価値観だ。
 米国はユニークな立場にある。米国は指導者なのだ。他者に耳を
傾けるとともに、行動する能力を持たなければならない」

ブッシュ外交は「国際主義」

 日本のマスコミの一部には、米国のリベラル派マスコミの影響を
受け「米国悪玉論」に立つものが多い。レーガン登場に際しては「
危険なタカ派」と批判し、ブッシュ外交については「身勝手な一国
主義」と非難している。しかし、米リベラル派の根底にある発想は
わが国の安全を脅かす「新孤立主義」である。「ブッシュ・ドクト
リン」は「レーガン・ドクトリン」と同様に、自由や人権を人類の
普遍的権利として擁護しようとする国際主義であり、米国が日本の
力強い友邦であることを意味する。同政権が北の体制を認めるよう
な妥協をしない背景がここにある。
評論家 井上 茂信・世界日報 ▲掲載許可済です。
Kenzo Yamaoka


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