1346.パウエル辞任報道の分析



パウエル辞任報道で混乱したがその分析。 Fより

8月4日にワシントン・ポストがパウエルが次期ブッシュ政権では
辞任すると報道した。ワシントン・ポストはどちらかというと、
ネオコン系に寄った論評をする。このため、ネオコンがパウエルを
追い詰めるために、辞任報道をした可能性がある。

しかし、今の時期、ブッシュの支持率が大きく落ちて、パウエルの
高い支持率におんぶした方がブッシュ政権としては得であるため、
否定したが、パウエルが国務長官を1期だけと発言していたことも
事実である。

チェイニーとパウエルは昔から反りが合わないことで有名であり、
チェイニーが国防長官で、パウエルが参謀議長で戦った湾岸戦争で
も、軍の使用に慎重なパウエルに業を煮やしたチェイニーが、ブッ
シュ父大統領に、パウエルを辞めさせると言っている。しかし、
ブッシュ父は、パウエルをチェイニーとのバランサーとして使った。

チェイニーは今回、副大統領で、2期目の方針を「テロ掃討を完遂」
と宣言した。このため、パウエルのように軍使用に慎重な国務長官
は、いらないはずである。チェイニーは勇ましいタカ派であり、
パウエルのような国際協調路線の会議で相手から目標物を得ようと
言う考え方が、好きではない。また、国連の力を信じていない。

しかし、現時点で北朝鮮と戦争をすると、15万人のイラク派兵で
第2戦線を作れないために、交渉でいくしかない。このために、
パウエルに北朝鮮と中国の交渉を任せているだけである。北朝鮮と
戦争しても、利益が無いことも大きい。ここはパウエルも心得てい
る。北朝鮮が再度、核開発をした時は、パウエルも核使用の戦争を
起こすしかないと考えている。パウエル自体も最後には強硬派にな
ることを知っておく必要がある。日本のような甘い平和主義ではな
い。戦争の前に交渉をしようとしているだけである。

もう1つ、パウエルは次次期2008年の大統領選挙に出馬する可
能性がある。このためには、次期ブッシュ政権にいない方がいい。
クリントン政権にいたゴアのように、政権中枢にいると、批判され
やすい。特に現ブッシュ政権は戦争政権であり、2004年でブッ
シュが再選されると、2008年には国家財政を大きく損なってい
る可能性も高いし、「テロ掃討を完遂」のためにイランとの戦争も
始めている可能性が高い。イランはイラクと同一戦線であるため、
戦争がしやすい。中国での日本軍のように戦線の拡大が起こるだけ
である。ゲリラ戦は必ず、戦線の拡大を招くという原則通りに推移
するはずである。

パウエル自身が次期政権に参加しないと言っている可能性もあるの
で、一概に辞めさせられるというわけではない。それより、パウエ
ルが去った後、ブッシュ政権はどうなるかであろう。

これはネオコン・タカ派政権になるしかない。しかし、軍を利用し
ようとしても軍人からの反発が大きくなる可能性がある。このため
、航空攻撃や情報戦になるのであろう。あまり陸軍を使わないラム
ズフェルドがいう戦争になるのであろう。
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2003年08月08日(金) 
チェイニー副大統領2期目の課題 「テロ掃討を完遂」ブッシュ再
選へ“公約”
(SANKEI)

 【ワシントン=樫山幸夫】チェイニー米副大統領は六日、カリフ
ォルニア州で開かれたブッシュ大統領の再選をめざす集会で演説、
内政、外交全般にわたる二期目の課題を明らかにした。対テロ戦争
の遂行、エイズ対策、雇用創出などが柱で、来年秋の大統領選に向
けたブッシュ陣営の包括的な“公約”の意味合いを帯びている。
 チェイニー副大統領は演説の中で、二年半にわたるブッシュ政権
を振り返り、米中枢同時テロを受けての反テロ戦断行、それによる
アフガニスタンの民主化実現、国土安全保障省創設など国内の安全
対策強化を第一に指摘。減税、教育改革なども内政上の実績として
あげた。

 副大統領は再選された場合の二期目の課題として、まずテロ掃討
戦の完遂に言及した。ブッシュ政権の任期切れ以後も掃討戦が続く
と予測し、「条約や軍縮が緊張を解消することはできない」として
「テロリストたちが米国や同盟国に攻撃を仕掛けてくる前に、かれ
らを壊滅させることが必要だ」という持論、「先制攻撃論」をあら
ためて披(ひ)瀝(れき)した。

 外交政策での課題としては、中東を例に、「米国にしかなしえな
い仕事がある」として、世界の不安定地域における民主化、市場経
済導入、暴力の中止−などを積極的に支援していく意向を表明。

 あわせてアフリカでのエイズ対策など人道支援強化も打ち出した。

 内政では、高齢者医療制度の改革実現に向けての議会との協調、
雇用創出と高成長の維持、大幅減税の実施、エネルギー転換の推進
−などの各施策をあげた。

 来年の大統領選に向けた動きは、秋以降本格化するとみられる。

 ブッシュ大統領の支持率はイラク戦の大勢が決した後の四月に
70%を超えたが、その後は下降をたどり、現在は各種調査とも
50%台半ばにとどまっている。
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パウエル退任はブッシュ氏に深刻な打撃=ギャラップ社
2003 年 8 月 7 日 
http://news.msn.co.jp/newsarticle.armx?id=551453
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【ワシントン6日】ブッシュ米大統領が来年再選された場合でも
パウエル国務長官(写真)が留任しない道を選べばブッシュ大統領
は深刻な政治的打撃を受けるだろうとの見方をギャラップ世論調査
社が6日明らかにした。ギャラップの報告書は、パウエル氏は米政
界のあらゆる層で支持率が高く、彼が政権を去ればブッシュ氏には
かなりの痛手になると指摘している。

ギャラップの報告書は、パウエル氏の支持率は83%と驚くべき水
準で、ブッシュ大統領より18ポイントも高く、イラク戦争の後
ブッシュ氏の人気が低下したにもかかわらずパウエル人気は一向に
衰えていないと述べると同時に、パウエル氏のイメージはダメージ
に対して比較的強いようだと分析している。

ギャラップによると、ブッシュ大統領を支持しない国民の場合でも
、69%近くはパウエル氏に好意的な見方をしており、回答者の所
属政党にかかわりなく支持率が高くなっている。6月時点のパウエ
ル氏の支持率は共和党員が94%、民主党員が82%、無所属が
78%だった。〔AFP=時事〕
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長官退任報道は「推測」 米大統領、明確に否定せず

 【ワシントン6日共同】ブッシュ米大統領は6日、パウエル国務
長官が政権を1期限りで去るとの報道について「推測に過ぎない」
と強調、「国務長官は素晴らしい仕事をしている」と称賛した。
夏休みを過ごしているテキサス州クロフォードで記者団に語った。
 パウエル長官と並び、自宅牧場近くのレストラン前で記者団の質
問に答えた大統領は「8月のワシントンは推測であふれている。
危険な時期だ」と指摘。パウエル氏も「記事は根拠がない」と述べ
た。ただ、2人とも長官が1期で辞任する可能性を明確に否定せず
、憶測が今後も尾を引くのは必至となった。
 パウエル長官は5日夜からクロフォードを訪問、大統領と北朝鮮
問題などを協議した。以前から決まっていた日程だが、退任報道を
受け、記者団の前に姿を見せたとみられる。(共同通信)
[8月7日7時2分更新]
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パウエル国務長官、ブッシュ再選でも続投せず 米紙報道 (ASAHI)

 4日付の米紙ワシントン・ポストは、米国務省のパウエル長官と
アーミテージ副長官が来年11月にブッシュ大統領が再選されても
、続投する考えがないことをホワイトハウスに伝えたと報じた。同
紙はパウエル長官の後任候補として、ライス米大統領補佐官(国家
安全保障担当)とウォルフォウィッツ国防副長官のほか、ルーガー
米上院外交委員長(共和党)やギングリッチ元米下院議長らの名前
を挙げている。 

 ブッシュ政権の外交政策は、現実派のパウエル長官らと強硬派の
ラムズフェルド国防長官らの均衡で成り立っており、パウエル長官
が退任すれば外交政策の方向や性格が変わる可能性がある。 

 同紙によると、アーミテージ副長官は最近、自分とパウエル長官
は大統領就任式の翌日となる05年1月21日に退任する、とライ
ス氏に語った。パウエル長官も、ブッシュ政権の外交政策への幻滅
よりも妻との約束が1期限りで辞める主要因だと、同僚にほのめか
した。 

 パウエル長官の後任は大統領と近いライス氏が優位と分析してい
るが、ライス氏が国務省という巨大官僚機構の運営に関心をもつか
わからないと指摘している。 (08/04 13:20) 


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