1311.米国の信念



米国のテロとの戦いを信念にまで高めている。その検討。Fより

米国のネオコンの力はイラク戦後復興の失敗や大量破壊兵器の発見
ができずに、一時より落ちている。しかし、テロ戦争への対応に対
しては、より強化してきているように感じる。そして、アフリカに
まで米国は、そのテロ戦争の目を摘むべく、ブッシュの訪問として
行動するようだ。また、米国の影響が大きいリベリアの内戦にも介
入する。これは、アフリカまで押さえて、世界幕府を完成させるこ
とでもある。

一方、欧州の要望であるパレスチナ和平にも目を向けて、その実現
をパウエルを中心とした国務省が目指している。この実現について
ネオコンやイスラエルの抵抗があったが、ブッシュは自ら出向いて
説得した。ブッシュのこの頃の発言を聞くと、神からの指示に従っ
て行動しているという。ネオコンの考え方では一概に動いていない。
欧州と米国の関係を復興したいパウエルは、ブッシュのこの言葉を
利用して、テロ戦争に欧州も協力できる環境を作ろうとしている。

FRBと日銀を使って株価を上昇できても、米国国民に経済的な成
長を約束できない状態で、イラクでのゲリラ戦を制するなどのテロ
戦争の継続とその勝利を、ブッシュ再選に向けての大きなテーマに
したいのであろう。そして、なるべくなら、国民が経済的な問題に
目を向けたようにしたいと願っているように感じる。

この線から問題を見ると、非常に問題が簡単に見える。意外と米国
外交の方針は難しくない。分かりやすい。
アジアでは、テロ戦争を北朝鮮に対して行っている。米国は北朝鮮
の核廃棄、大量破壊兵器の廃棄を要求しているが、北朝鮮は廃棄で
はなく、核兵器の小型化やミサイルの大型化に向かっている。この
ため、この行動を阻止する必要がある。この阻止に効果的なのは、
北朝鮮の大きな問題である経済を封鎖することであり、孤立化させ
ることであろう。

この経済的な封鎖に穴を空けているのが韓国と日本であり、孤立化
に協力的なのが中国である。中国は、とうとう北朝鮮が核廃絶とい
う中国の要求を聞かないため、脱北者を取り締まらない方向に方針
を変換している。中国は確実に米国の要求を聞いている。

一方、戦争や北朝鮮崩壊で大きな影響を受ける韓国は、北朝鮮に米
を40万トン援助したり、金剛山観光、開城の工業団地などで北朝
鮮に経済的な支援をしている。日本は、まだ北朝鮮への送金などを
止めない。そして、北朝鮮の軍事工場で作られているミサイルの部
品の90%が日本製であると、亡命技術者が証言している。このよ
うに米国の味方が北朝鮮を利している。

北朝鮮との戦争になった時に、北朝鮮のノドン・ミサイルが届かな
いグアムが重要になっている。このため、米国はこの2ケ国から、
グアムに戦線を後退させるようだ。それと、これが2ケ国離れにも
なる。

フォーリン・アフェアーズの最新の論文で、米国はアジアでの最重
要同盟国を日本から中国に転換する可能性があるという。米中で日
本を挟む。台湾は中国に統合される。イラク派遣法成立の微妙な時
を選んで、出したように感じるが、この米国の方針転換を示唆する
この論文は、衝撃的であった。

中東では、イランに次の焦点が集中している。ロシアのプーチンは
巧みである。このプーチンは米国の要求を飲み込んでいる。一方、
日本は、イランで石油開発をして、イランを利していると米国は言
う。欧州と同じで、今までの味方が敵と内通して、今までの敵は味
方になっていると感じるようだ。どうもイラクの雪崩現象はロシア
が仲介して交渉を成立させたという。その介入費用は50億ドルで
あったようだが、米国の味方をロシアは演じた。

欧州や日本は、米国の一国主義、帝国主義、イデオロギーの強い政
策に反発しているが、意外とロシア、中国などの元共産主義国は、
米国の今の主張は分かるのであろう。ここに逆転のメカニズムがあ
るように感じる。
==============================
米ロ首脳、イランへの懸念を共有 (nikkei)

 【ワシントン=森安健】ブッシュ米大統領は2日、ロシアのプーチ
ン大統領に電話し、イランや北朝鮮の核開発疑惑について意見交換
した。ブッシュ大統領は核兵器開発の疑いが浮上しているイランに
ロシアが圧力をかけていることに謝意を表明。記者団に「プーチン
大統領はわれわれの懸念を理解するだけでなく、懸念を共有してい
る」と語った。

 プーチン大統領は北朝鮮問題に関してロシアも含めた多国間協議
が望ましいとの考えを表明したという。

 一方、ブッシュ大統領は同日、イスラエルのシャロン首相にも電
話し、イスラエル軍のベツレヘムからの撤退を評価する考えを伝え
た。 (10:53) 
==============================
対北コメ支援の第1便出港=4カ月で40万トン−韓国

 【ソウル3日時事】北朝鮮に支援するコメ3000トンを積んだ
韓国の貨物船が3日、南西部の木浦港を出発した。5月の南北経済
協力推進委員会で人道的見地から韓国が北朝鮮に支援することで、
合意した40万トンを運ぶ第1便で、すべて運び終えるには4カ月
かかる見通し。 (時事通信)
[7月3日19時16分更新]
==============================
日本はやがて米国に“捨てられる”運命にある
「中国重視」へアジア戦略を転換した、とアブラモウィッツが
衝撃の予見:宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 「米中接近」の新戦略を骨格として、「新アジアの調整」を説く
論文が最号の」フォーリン・アフェアーズ」(03年7−8月号)
に出た。著者は有名なモートン・アブラモヴィッツとスティヴン・
ボズワース。
 
 太平洋を巡る戦略的環境は激変した、として始まるアブラモヴィ
ッツ論文は、「日本のパワーと信頼性はこれまでの地位から滑り落
ち、とりわけ9・11以後、替わって中国の戦略的価値が増大した
」とする。

 即ち@日本の衰退A中国の勃興、という二大要素が織りなすダイ
ナミックな激変プロセスのなかで、米国は太平洋戦略を「日本重視
」から「中国重視」へと軸足を大きく移した、と言うのだ。

「北京は瞬く間に米国との”戦略的競争相手”から安全保障と貿易
の”パートナー”になった。ブッシュ政権の劇的なアジア政策の転
換は、大西洋のそれと同様に、太平洋をまたぐ戦略の曖昧性を依然
内包するとはいえ、明らかに”中国の脅威”より当面はテロリズム
への戦略的対策を根幹としたアジア戦略を発揮するようになった。
まして対中国外交の鷹派だったディック・チエイニー副大統領が訪
中するのも、中国がアジア地域においてさえ通商と貿易の主導権を
把握して、日本の地位を凌駕する勢いにあるからだ」。
 
 従って「日本の戦略的重要性は数年の間は存在するにせよ、徐々
に影響力を弱めて行くであろう」。
 
 さらに朝鮮半島における緊張は「戦争を誘発する懼れと同時に新
秩序形成へのきっかけにもなりうる」とアブラモヴィッツ論文は指
摘している。


コラム目次に戻る
トップページに戻る