1280.Tomconksコラム&まとり



件名:Re: 国際戦略コラムno.1273.日本の経済政策  

経済対策について同感です。 米が旗を振り、世界を脅して押し付
け普及させたGlobal standardは、ただ単に、米の特に大企業に富が
一極集中するだけ。 それも集めた方は、その拡大と損失の軽減だ
けを目指しているので、富を富として、社会に還元される事もなく
、ひいては新しい業種や市場の育成などに使われる事すらない代物
で、この泥舟にしがみ続ける事は、もはや猿蟹合戦よろしく、狸と
一緒に沈没するしかないように見受けます。

経済対策においては、このような腐敗したシステムを維持しよう
とするだけのGlobal Standard(はっきり言って米国でしかそう思って
いないかも?! 少なくとも欧州その他では、完全に見切りをつけよう
としている動きが起こっているのはご承知の通りでしょう。)にもう、
これ以上義理立てする必要はないし、自分の椅子を保持してもらう
変わりに外国(米)資本を招きいれて、助けてもらおうと言うのは、
虫が良過ぎるだけでなく、そのまま言ってしまえば富の一極流出に
拍車をかけ、実際問題としては、そんな無能な人の椅子は無駄と
言うより損害になるからすぐ放り出されると言う事になるでしょう。

21世紀の現在の対策は、世界標準の夢が覚めた後であるからこそ
、起源に帰り、国内に絞った展開をする事が得策であると、無知な
私でもそのような考えに辿り着きました。 

戦後日本はこの世界標準システムに何とか取り残されまい、追いつ
け追い越せでがむしゃらに食い付いて、世界に出て、トップクラス
にまで辿り着き、それが永遠に続く物だと信じ込んでいました。
 そんな天下を取った気でいた中、巨大組織では、人材発掘と言い
ながら、将来の不安などの可能性には微塵も気づかず、適性を見る
事なく、派閥や縁故で人員を集め、Yesマンの製造に精を出していた
のでしょう。
登り詰めれば後は落ちるだけ、バブル崩壊金融危機、経済危機に瀕
して、今更、適材適所と言っても、このような”人材”達の作る組
織の中で長年生きてくれば、人事のプロと呼ばれる方々でさえ、
もう1人の仕事仲間の適性・価値を見抜く力は失せているのではない
かと危惧します。

過去の日本の経済成長では、国内の産業が農水林から生産工業へ
移り、この生産業で成功した日本は、その力をサービス産業へシフト
してきました。 サービス産業が発展すれば、日本的なサービス業に
対する考え方、特にお客様にご奉仕すると言う理念が深く浸透するか
と思いきや、どこの企業も組織も利益増大と損出拡少ための商売に
一辺倒してはいないでしょうか?

産業や経済だけでなく、日本人の大人達の興味・生きる目的までが、
利益・損失のみで語られて尽くされているような気がします。
古き良き時代に帰れとは、今更、ほとんど不可能かもしれませんが、
大戦前の時代の日本の財閥企業は、利益のための商売と言うよりも、
社会の中に巣くう問題を提起し、将来のためその解決に尽力する事を
生業とし、利益は後からくっ付いて来たと言う形であったと聞きます。 
スピード至上の現代でこのような悠長な運営ができるかは疑問ですが、
危機感を持たず、問題の何たるかを真剣に見極める目を持たなければ
変化・改革は、絵に描いた餅になってしまいます。

業務の分化に伴う能力・育成の特化をするも結構。 しかし、その分化・
特化された個々の能力を的確に評価し、必要な人材を適材適所に配置
できる力、見極める力が必要になって来ているように思います。

この識別力をつけるには、今まで何もしてこなかった分、もっと勉強が
必要でしょう。 何せ、多様で、突出した個々の業務や特性について、
広く深い知識を集めてこそ、本当に必要な物を選び出す事ができるの
ですから。 今まで、ブランド名だけを見て、”皆が良いといっているから”
や”他の皆もそうだから”のような理由で、簡単に選んできた物を、その物
(者?)の特性、性質、品質(能力)の異差を見極め、見比べた末に、現状を
良く把握し、これに沿って必要な物を選出しなければいけないのですから
大変です。

日本の潜在能力は素晴らしい。”人材”と簡単に言うが、その言葉に
ふさわしい人々はたくさんいるのに、利益のために酷使され、正しく評価
されない一方で、何もせず、決断力もなく、責任も取らないトップに過大なる
評価が流れる現状では、いくら人材育成、能力特化を叫んでも、能力ある物
は今後も外へ外へ流出し続けるでしょう。 

誰も、ブクブク太って欲の皮だけが突っ張っている狸おやじ達と一緒に
沈没したくはありませんから...

草々
Tomconks
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件名:Re: 国際戦略コラムno.1274.木村コラム  

先日、興味深い2つのドキュメンタリーがBBCから放送されていました。
イラク侵攻時、アンマンの米英軍司令部に設置されたプレス
センターにおける世界各国のジャーナリスト達の攻防をまとめた物で、
”なぜ今頃?”と思ったのですが、この疑問はすぐにも吹き飛びました。 

あのイラク侵攻が始まってから、”毎日のように素晴らしい成果を
挙げた。” ”自軍は快進撃を続けている”、”数日後にもバグダッドに
到達するだろう”などと私には嘘八百にしか聞こえてこないコメントを
BBCニュースでも次から次へと放送し続けていましたが、これには裏が
あったのだ。 というものでした。

あの戦争は情報戦だという事が語られていましたが、やはりかなり
の情報操作が行われていたようです。

プレスセンターではあの時、軍部側が勝手に設置した、質問しては
いけない項目と言う物があり、プレスセンターのホワイトボードには、
いくつもの聞いてはいけない事柄が挙げられていました。このような
物を設置する理由として、軍部の作戦遂行の妨げになるため、軍が
そこにあげる項目については、質問してはいけないし、たとえ質問して
も答えない。 と言うもので、この項目の中には、”DU弾”、”誤爆”、
”ミサイルの性能・正確性”、”石油利権”、”捕虜の扱い”等など、
数十件にも及んでおり、さらにあきれた事には、侵攻開始から数日
たった後には、”バスラ”、”Friendly fire(味方への誤砲撃)”、
”イラン・シリア・バクダッドへの遊撃弾着弾”などの項目が追加されて
いたのです。

このような愚行に対し、怒りをあらわにした豪州のジャーナリストが、
”このような記者会見を行う意味があるのですか?”と質問した所、
”われわれは他にやる事がたくさんあって、記者会見など行いたく
ないのに、君達が勝手にやって来たから、出来る限りの情報を
提供しているのだ。 そのように言われるなら、すぐにでも止めた方
良いだろう。”などと返答しているやり取りをも見る事ができ、あの時、
全てのメディアは、ほとんど軍部の広告塔のようだったのには、
このような背景があった事を伝えていました。

さらに、この侵攻で、2回ほどバグダッドの市場へミサイルが着弾し、
多数の市民が犠牲になった事件について、その時の米の対応は、
最初に誤爆であったと発表し、謝罪をしておきながら、次の日には、
イラク軍が故意に自国を爆撃した可能性があるなどと主張し始め、
そのままこの件はうやむやにされてしまっているように記憶しています。

このバグダッド着弾の際、BBCの現地特派員及び英紙インディペン
デントの記者がその場に居合わせており、爆撃直後に取ったであろう
画像付きのコメントも紹介されていた。 英紙インディペンデントの現地
記者は、あの着弾後の報道でTVでも良く映し出されていた、崩壊された
ビルの前で、爆弾の衝撃を掻い潜った直後であったのか、息を切らし、
血相を変えて、”戦闘機の爆音が聞こえ、英・米軍機と見られる機体から
何かが落下してくるのを見た直後、この爆発が起こった。 あの爆弾の
落下軌道を見れば、どう見ても地上から発射されたイラクの物ではなく、
爆撃機から投下された物だ!” と叫んでいました。 自分の命が爆撃に
曝されたわけですから、作り話などでっち上げる時間も心の余裕もない
でしょう。

恐らく、今回の侵攻で、政府からの圧力などから、極力軍部に協力せざる
を得なかったメディアも、仲間のジャーナリストの多くが、米英軍の誤砲撃
により死傷し、侵攻以前にUNESCOから詳しい地図付きで、世界遺産級
の歴史的資料が収められている博物館を守るように、打診を受けていた
にもかかわらず、貴重な展示物はイラク人のみならず、米兵によっても、
盗難・破壊されつくし、大量殺戮兵器も、世界の脅威だとも言わしめた
サダムフセインも見つけ出せず、攻撃の正当性も全く見出せないこの愚行
の中で、軍部に小ばかにされたジャーナリスト達の無念が、このような
ドキュメンタリーを放送させたのではないかと推測しています。

最後にイラク侵攻が始まったその時、BBCのジャーナリストが、ワシントン
にてAEIに席を置く、リチャード・パール(この時点では、まだ国防政策諮問
委員長は辞任していない)に対するインタビューで、”(国連の後ろ盾もなく、
石油利権に対するみえみえの目的を持って行うにあたり、)現米政権の
政策を操作する立場にあり、今回のイラク攻撃へ最終的に持ち込んだ、
あなた方は、「ギャング」と何の違いもないのでは?”と言う問いに対し、
まるで、シカゴのギャング王のように低く鼻で笑ったパールは、”イラクに
存在する大量殺戮兵器は、ドイツのホロコーストのような物なのだ。
石油などが目的ではない。 ましてや我々はギャングではない。” と、
誰もが予測できそうな、お約束のような返答をしていた。 本物のギャング
が、たとえ海を隔てた、自分の権力とはあまり関係のない英国の一般世間
に対してであろうと、”私が国民の脅威を煽っているギャングだ。”等と
言う訳がないのは当然かも知れない。

ここで私が取り上げたいのは、BBCは、あの侵略戦争時、上記のような
状態にあったにせよ、軍部に寄り添った報道を続けていた。
その報道形態をとりながら、やはりジャーナリスト達は、現米政権の政策の
ほとんどを担っているシオニスト系組織(世間ではネオコンとの認識ですが)
の真意について、”Double loyalty=(米国・イスラエルへの)2重の忠誠心”や、
論理的でも人道的でもない世界規模の強奪・軍事一辺倒政策について、
大いなる疑問をあのイラク侵攻が始まる前から持ち続けており、真っ向から
それについて取り組もうとしていたと言う点です。

5月28日、全く見つからないイラクの大量殺戮兵器について、英ブレア首相が
”あの時点では、兵器は確かにあったのだ。 戦争が始まる直前にイラク
当局が破棄したのだ。” 等と言う言い訳を発した事がニュースになっている。
これを受けて、イラク侵攻開始時、侵攻の決議に反対して議員を辞職した
ロビンクック英元外相は、英TV局チャンネル4のインタビューで、
”今回の戦争について、正当性が全く証明されていない。 これは、誤った
情報で国家を欺き、国際的な犯罪を犯した事であるとも考えられる。 
政府の犯罪として、詳しい調査をする必要がある。”と、述べています。

また、最近のBBCニュースによれば、アフガニスタン諸地域の住民で湾岸
戦争症候群患者の尿検体を、英研究所にて検査した所、『99年度実施の、
前湾岸戦争従軍兵士から得られた結果に比べ100〜400倍という、異常に
高いウラニウム同位体を検出』したとあります。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/3050317.stm

米当局は、前回の湾岸戦争も、今回のイラク侵攻でも、そして、このアフガニ
スタンでも、劣化ウラン弾は使用していないと言い張っているだけでなく、
その前に、DUの人体への影響その物を否定し、DUの放射能は十分に低レベル
であるから、全く安全であり、このDUについては、核兵器の範疇には入らないと
主張し続けている事は、皆さんもご承知の通りでしょう。

今回のイラク侵攻に先立ち、英ブレア首相は、"湾岸地域の子供達には、
異常な程、白血病や小児癌の発症率が高く、このようなかわいそうな子供達は、
満足にしかるべき治療を受ける事すらできていない。 これを改善するためにも
イラク攻撃は必要だ。"と主張していたのを私は記憶している。

これは、前回の湾岸戦争時を含め12年にわたり、劣化ウラン弾を使用した
無数の爆撃による米英からの”賜物”ではないか? という疑問も出てくる上、
この長きに渡って実施された経済制裁によって満足な医薬品も行き渡らな
かったのではないか! と言う主張は、いつも掻き消された状態になっている。

さらに、イラク侵攻以前、英国防相は、米軍の主張と同調し、劣化ウランは
人の健康に対する影響は全くないと主張していたのに反し、イラク侵攻の
攻撃がいざ終結する時点では、現地派兵から帰還した英兵に対し、腎臓・
肺癌を誘発するだけの劣化ウラン弾による被爆が起こっているかどうか、
英国防省が被爆量検査を実施する事を4月25日に明らかにしている。 
http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,3604,943171,00.html

私は上記の英紙ガーディアンでこの事実を知りましたが、他紙でも同様の
報道があったようです。 今回の侵攻に際しても、前回同様、米政府は劣化
ウラン弾に対する危険性は全くないと言い張っている事と比較すれば、
ほんの僅かではあるが、進歩が見られたと言う事になるのでしょうか。

また、同記事では、戦場にて兵士がきちんとガスマスクを着用していれば、
劣化ウランの吸引・摂取を防ぐ事ができるので、発ガンの危険性は低く抑える
事が出来るだろうとの事。 確か、イラク侵攻開始時に英軍の準備状態を
取材をしていたBBCなどのTVニュースでは、”フセインが生物・化学兵器を
使用する可能性があるため、私達(英国)の兵士達は、ガスマスクを装着して
戦う事になります。”等と言ったような解説がなされていたような・・・??? 
別のこんな理由があった事を、こんな所で見出す事ができるとは思っても
見ませんでした。

さらに、この記事の中で、英劣化ウラン研究会の会長は、前回の湾岸戦争
では、推定約340トンのDUが使用されているとし、今回のイラク侵攻では、
3週間で1,000〜2,000トンのDUが使用されている可能性がある。とその算出
推定量を指摘している。 ”我々のために戦った英兵が、どれだけ被爆の
危険性を孕んでいるのか詳細を把握し、今後、人体への危険性を解明して
ゆくためにも、米英軍当局は、今回、何処にどのくらいのDUを使用したのか
明らかにする必要がある。”とも訴えている。 

この情報公開がなされてこそ、劣化ウラン弾が核兵器である事実と、巨大なる
国家の軍事独裁政権のうそを証明する長い長い道のりの第一歩であり、細かく
ばらばらに砕かれた虚構とペテンだらけの米英政府の実態を示すジグソーの
1ピースになるかも知れないと期待しています。

草々
Tomconks
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とうとう、得丸さんの心のBBSが閉鎖されてしまいました。
(突然に…。)
ここ、半年ばかり、私はとても楽しんでいたので残念です。<戦略>
と<こころ>とでは、相性が悪いとでもいうのでしょうか?
<人>の基本を探らずに、<国家利益>の勘定だけでは、深みが持
てないと思うのに…。
<哲学>という言葉は、汚れたり、神棚にかざられたり、難解な遊
びに堕したりしますが、本当は、<生活と生命>の方向を見定める
為に、きちんと息づいていて欲しいと思うのは、私だけでしょうか?
それも、血の通った、ありふれた言葉で…。
まあ、この頃書き込みをする人が少なかったものね。残念です。
                 まとり
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(Tより)
得丸さんから得丸心のBBSをリンクから外して欲しいとの希望が
この国際戦略コラムに寄せられました。
しかし、得丸心のBBS自体は閉鎖されていません。
http://bbs3.otd.co.jp/315921/bbs_plain
に投稿さださい。


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