1276.北朝鮮問題とイラン問題



米国が問題の優先順位を明確化させている。その検討  Fより

米国のネオコンが問題にしているのは、北朝鮮よりイランであるこ
とが明確になっている。ブッシュは小泉首相をCIAの国際情勢報
告の場面に立ち合わせて、沖縄から大部分の海兵隊が撤退する理由
を聞かせたはずである。

それと、北朝鮮の亡命ミサイル技術者から、去年11月に3段型の
テボドンの実験が失敗して、米国まで飛ぶミサイルを作る工場が爆
破して、復旧不能状態になっていることを知った。このために、
米国の北朝鮮からの直接の脅威はないことになる。北朝鮮の核問題
はテロ集団にミサイルと核が渡らなければいい。このため海上検査
を徹底的にするだけで脅威ではないと米国は踏んでいる。

もう1つ、北朝鮮は現状ベースの経済的な封鎖だけで、数年以内に
国内経済が崩壊することも、政府高官の亡命で明らかになっている。
このため、北朝鮮問題は、麻薬と偽札の拡散だけになる。これは北
朝鮮に限らず、アフガニスタンやコロンビアなどに共通した問題で
、この問題だけで戦争をすることはない。アフガニスタンなどは
CIAの資金としてしている可能性もあり、この問題を米国は大事
に出来ない。

このため、米国は対北朝鮮では待ちの姿勢になり、米軍を北朝鮮の
ミサイル射程範囲からなるべく離せばいいことになる。しかし、在
韓米軍と在日米軍を一挙に削減すると対日、対韓関係がギクシャク
するので、徐々に削減したり、北朝鮮国境から離す政策になる。
要するに米国の安全保障上の問題としては、優先レベルが相当に低
いのである。ここが日本の評論家が分かっていない点だ。

この北朝鮮問題の直接的な脅威を受けるのは韓国、日本、中国の
3ケ国であり、その3ケ国が自分の問題ではなく、米国の問題とし
ていることの方が、米国の国際専門家に言わせると問題であると思
っている。もう少し、3ケ国が主体的な動きをしてほしいのです。

日本は北朝鮮の軍事的な脅威を知らないで、北朝鮮と国交を結ぼう
とするし、韓国は無原則に北朝鮮を援助しようとする。そこが米国
にとって問題であるのだ。それがゆえに米国は日本と韓国に北朝鮮
支援や送金問題でクギを指さすことになる。

北朝鮮の方は一時の余裕もない。このままの状態が続けば、国内崩
壊に繋がることになる。これを防止するしかない。このため、米国
との交渉を急ぐ必要がある。それができないと、北朝鮮は再度、韓
国・日本を相手にする必要が出てくる。しかし、核問題でこの2ケ
国は米国からクギを指されている。北朝鮮のジレンマが始まってい
る。日本も早急に拉致問題解決をする必要があり、その救出ができ
れば、北朝鮮に少しの援助をすることに国民の合意は得られると思
う。

その解決後、核放棄・ノドン放棄を条件として国交正常化交渉をす
るのでしょうね。または放棄拒否で経済封鎖になるか、どちらかに
なるでしょう。将兵も餓死寸前の北朝鮮が仕掛けないと戦争にはな
らない。米国は中国の援助にもクレームをつけて、北朝鮮崩壊を待
つだけである。

一方、イラク戦争後、イラク情勢はゲリラ活動が頻発して、米軍の
将兵が戦争後のテロで死んでいるし、反米デモも頻発している。
この反米デモやテロを組織化しているのは、イランから支援を受け
たシーア派であると見ている。このため、イラク情勢を安定化させ
るには、イランを叩くしかないと考え始めた。昔の旧日本軍の中国
遠征に似た状態になってきている。ゲリラ活動を中止させるための
戦争の拡大である。

この準備にアルカイダを、また使い始めた。どうも、アルカイダの
強硬的な幹部の1人にモサド要員がなっている可能性がある。サウ
ジのテロなどは、イスラエルにとって、ジャスト・タイムに起こっ
ている。アルカイダ自体も組織体制が完備していないことが分かっ
ている。緩い組織の連合体であるため、米国としても、このアルカ
イダというワードが使いやすい。もう1つ、米国ネオコンとイスラ
エル軍事部門・モサドは完全に繋がっている。そして、米国ラムズ
フェルドはアルカイダがイランに居ると宣言した。

着々とイラン戦争の準備が始まっている。イラクに20万人の米軍
を当分、駐留させるという。これはイラン攻撃の際、真っ先に侵攻
するために必要な兵力を意味する。このため、時間的な余裕を必要
とせずに進軍できる。このために、イランによっては大きな脅威で
あろう。

そして、米国はアゼルバイジャンに米軍駐留の許可をしてほしいと
交渉している。これもイラン攻撃をする準備と見えることになる。

このイラン情勢が明確になって、中国とロシアは手を結ぶことにな
った。それは上海協力機構で、中央アジアの4ケ国と安全保障の協
定を結ぶ。しかし、実質的には、リムランドから侵攻する米軍に対
応するロシア・中国のハートランド防衛の意味がある。この部分は
地政学的に考えることが必要だ。

それでは米軍のイラン侵攻はいつなのか??
今年の秋口かもう少し後の来年の始めでしょうね。経済的な問題が
起こった時の対応として、国民の目を逸らす必要が起こるはずです。

この頃、デリバティブ関連の記事でJ銀行の名前が出てきているが
、名前が出ないC銀行の方が大問題になっていると感じる。このデ
リバティブ失敗の穴をどうするか、米国政府内、金融界内で議論し
ていると思う。この穴を公表する時期とイラン戦争を同期させるの
であろう。
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イランの反米扇動を非難=米国防長官 [時事通信]

 【ワシントン29日時事】ラムズフェルド米国防長官は29日、
米ラジオ局インフィニティとのインタビューで、イランがラジオ番
組を利用して、イラク駐留米英軍に敵対するようイラク人を扇動し
ていると非難した。 
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米がイラン攻撃計画策定・ロシア紙 [日本経済新聞]

 【モスクワ29日共同】29日付のロシア紙独立新聞は、バクーの外
交筋の話として、米国防総省がイラン政権打倒のための攻撃計画を
策定、攻撃の際に空港などを使用することで、イランと隣接する
アゼルバイジャンの同意を得たと報じた。

 しかし、攻撃時期や具体的な戦術については、米政府内で合意さ
れておらず、29日にもホワイトハウスで主要閣僚が集まり協議する
という。計画によると、イランの反体制派の蜂起とともに攻撃を
開始する予定で、イラクとグルジアも攻撃拠点になるという。

 同紙は、米国とアゼルバイジャンの合意を知ったイランは、アゼ
ルバイジャンが米軍の配備を許せば攻撃すると警告したとしている。
 (19:00) 
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イランはテロ戦争に協力している=米国の圧力に対して国連大使が
改めて強調 
2003 年 5月 26日 

【ワシントン25日】米政府がイランに対して何らかの措置を取る
ことを検討していると伝えられる中で、ジャバド・ザリフ・イラン
国連大使(写真)は25日、同国はテロ戦争に協力していると改め
て強調した。同大使はテロ組織アルカイダのメンバー数人を拘禁し
ていることを、イランが同組織のメンバーをかくまっていないこと
の証拠としてあげた。

同大使はABCテレビがテヘランで行ったインタビューにこたえて
、「我々はアルカイダ・メンバー数人を拘束している。拘禁を続け
て尋問し、彼らから何か情報が得られれば、友好国政府に連絡する
」と述べた。

同大使はまた「米国が(我が国との)緊張の緩和に関心を持つなら
ば、イランも同様のことを行う用意がある。しかし、米国が圧力を
掛ける発言を続けるならば、イランは抵抗する」と語った。

米国はイランに対して核開発計画に懸念を抱くとともに、アルカイ
ダ・メンバーをかくまっていると主張しており、米紙ワシントン・
ポストは、米政府高官がイラクに対する戦略を検討するため、27
日に会合を持つと報じていた。〔AFP=時事〕
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北朝鮮が多国間協議受け入れに含み 米朝会談の条件付き (ASAHI)

 北朝鮮の外務省報道官は24日、談話を発表し北朝鮮の核開発問
題について、「われわれはまず朝米会談を行い、続いて米国が提起
する多者会談も行えるという立場である」と明らかにした。条件付
きながら、日本や韓国を含めた多国間協議を受け入れる意思を表明
したものだ。朝鮮通信(東京)が国営朝鮮中央通信の報道として伝
えた。 

 米韓首脳会談と日米首脳会談を通じて、北朝鮮の核問題に対する
日米韓3カ国の協調体制が確認されたのを受け、北朝鮮側としても
、米国の「敵視政策」の撤回を改めて求めながら、対話継続の意思
を示した形だ。 

 報道官談話は4月末の米朝中3者協議で、北朝鮮が米国に対し「
新しく寛大な解決方法」を提示したことに言及、「米国は、我々の
提案に対しては一言もなく、ただ『5者会談』を開かなければなら
ないなどと会談の形式問題だけに執着している」と批判した。 

 さらに、「純粋に朝米間でのみ、提起されている問題があるので
、双方が対座して、お互いの政策に対する率直な論議をしてみなけ
ればならない。米国に政策転換の意思がない場合は、いかなる形式
の会談も意義がないのは明白だ」と強調した。 

 同報道官は4月12日に「米国が核問題の解決のために対朝鮮政
策を大胆に転換する用意があるなら、我々は対話の形式にはさして
こだわらない」と表明。北朝鮮は3者協議に応じたが、あくまで「
朝米会談」と呼んでいた。 (05/24 22:44) 
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上海協力機構首脳宣言(要旨) [人民網日本語版]

6カ国首脳は、外相会合の推挙に基づき、張徳広氏(駐ロシア中国大
使)を事務局長に選任した。 

中国で今秋開かれる予定の政府首脳(総理)会議で上海協力機構と
して初の財政予算を成立させるとともに、2003年中に財務条例およ
び細則、「上海協力機構の地域反テロ機構協定」に規定する文書草
案の制定作業を終える。 

6カ国首脳は、上海協力機構の成立初期および常設機構のスタート段
階では、開放の原則および6カ国外相が2002年11月23日に決定した臨
時規則に従い、他の国際組織や世界各国との交流を展開していくこ
とをあらためて表明する。 

6カ国首脳は、国連は第一に国際政治および安全保障の問題を効果的
に解決し、同時に、急激に変化する国際情勢に沿った改革を進めな
ければならないと考える。 

上海協力機構の構成国は、テロとの戦いの最前線に置かれており、
反テロで相互協力を進めると同時に、国際社会の反テロの戦いに積
極的に参加する。本機構の構成国は、機構内部の反テロ協力の推進
と同時に、国連安保理テロ対策委員会との積極的な協力を進め、
国連による「核テロ防止条約」、「包括テロ防止条約」案の早期制
定の推進を重視する。 

本機構の構成国は、構成国および世界全体の安全・安定に対する本
機構の多大な貢献が可能であるとともに、務めでもあると確信する
。本機構は、各方面の利益と立場のバランスに配慮した、地域の安
全体制に積極的に関与していく。本組織はあらゆる国家や組織との
間で、こうした重要な分野での建設的な協力を展開していく。 

「人民網日本語版」2003年5月30日 


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