1273.日本の経済政策



 経済政策について、無策だ、なにやってるんだ、という声が高い
のはわかるがのう。
まあ、今の日本は、<高度の戦略変革>後のアメリカと対決した、
旧・イラクのような、<古典的戦略システム.・思考>しか持たぬ存
在なんじゃ。(官僚主導じゃからね、組織として転換ができん。)
しかも、ふつうなら、一掃されねばならぬ権力者が、敗戦後も、利
権にしがみ付くことを許されたままになっておる。(つまり、戦略
の大転換ができないのじゃね。戦略転換は、即、権力の剥奪に結び
ついておるのじゃからね。

 一番大きいのが、銀行・ゼネコンで、トップ層は、閨閥によって
、複雑に権力層と結びついておる。娘の嫁ぎ先を潰す訳にはいかん
というわけじゃ。)
まあ、米国企業が、完全支配すれば、今度は、もっと社会の<価値
観が崩壊>したかもしれんがのう。

 底流には、世界システム(米主導?・国際金融資本主導?)と国
内システム(経済・社会)との間にある、<非・整合性>に問題が
あることなんじゃろう。他国とて同様かもしれぬ。
市場原理至上主義に則って、世界を経営しよう。というシステムと
、<生活の場>を守るものとしての社会・経済のシステムから離れ
られない<国家>があるということじゃ。

米戦略は、軍事戦略の応用(人材が、経済分野に多量に流れた。)
とも言われるように、新しい世界経営戦略を構築した。そして、
そのシステムの端末に参加するよう、強制しているというわけじゃ。

 金融ビッグバンを受け入れたとき、政府要人ですら、裁定取り引
きの意味すら知らんかったそうな。そして、雪崩を打って、バブル
崩壊となる。
バブル崩壊の罪をとやかくいうが、(土地への金融引き締めとか)
本来は、バブルを起こした政策責任者こそ、責められるべきなのじ
ゃ。当事の日銀総裁は、外銀の偉いさんになったり、はたまた、誰
かさんは、大勲位をもらったりしておるしの。やれやれ。

 今は、<会計基準>なるものを、世界システムに合わせることに
よって、資本の移動判断の便宜が図られておる。まあ、動かせる
<金>のノウハウを外人しか持たぬからそうなるんじゃろう。日本
には、本当の意味での<金融技術>が存在しなかったことになる。
まあ、明治維新の頃の武家の商法みたいなもんじゃ。政府御用達だ
けが、ぬくぬくできたのと大して違いはないのう。

 それはさておき、システムとしての、収益構造の問題もあるじゃ
ろう。本当に<地方>は、独自に、収益を上げられるのか?これを
、世界経済でみると、南北問題になる。<南>は、資源の切り売り
以外、本当に収益を上げる構造になるのじゃろうか?という問題に
なる。
日本においては、疑似社会主義として、税金の配分を、地方の公共
事業(はっきり言って、土建)にまわすことにより、国内をある程
度、均衡ある所得水準としてきた。(みんな、中流意識などといわ
れたものじゃ。)

 ほんとうに、理論でしかないような、純粋に競争社会にするとい
うのであれば、産業別格差の問題と、地方、都市間の格差問題に目
をつぶることになる。(まあ、おそらく、日本人は国全体を<共通
の一族>とみなす習慣があるから、そんなことには違和感を感じる
じゃろう。異なる、民族間では、殺戮的差別も激しいときもあるが
の。)

 冷戦崩壊後、国内に閉じこもることができたなら、国家社会主義
的な方策(このコラムにも、時々寄せておられる意見みたいな)も
あるやもしれぬ。しかし、グローバル化時代、日本も、そのシステ
ム上で生きることを余儀なくされておる。しかも、貿易によって、
世界で一番恩恵を被っているのは、日本じゃということじゃしね。
だから、脱却するという選択肢はとれない話じゃろうな。
いまある、問題は、<国際競争力>と<収益構造>がポイントなん
じゃからの。
 
 我々に残されている手は、システム上で有利に働くスキルを磨く
ことしかない。
まあ、相手は、都合が悪いと、一方的にルールを変える手を使って
くることがままあるのじゃがね。(これは、政治力の差で、いかん
ともし難い。世界を支配しとるのは、彼等じゃし、それが支配の特
権じゃからね。)だから、こちらの変わり身も<速さ>を求められ
るのじゃよ。

 で、もう一つは、ウォール街に<富>の流れは集中していく訳じ
ゃが、本当に、彼等が<富>を生み出しておるのかじゃ。まあ、
これは、古くて、新しい言い草じゃとは解かっておる。では、彼等
が巨万の<富>をかき集める時、世界は痩せ細らんのじゃろうか?
あの、果てし無く積み上がっていく、金融セクターの数字は、何を
世界に与えておるのかのう? 信用?幻影?危機?飢え?…。

 我々の経済が不安定になったのは、実は、コアの喪失かもしれん
のう。安定した労働環境。=長期的な負債(ローン)と返済計画。
安定株主の存在=短期利益に縛られない経営目標。薄利主義=過大
でない経営者報酬。大き目の再分配機能。
これらは、本当に構造上問題のあることだったのじゃろうか?
 冷戦終結以前、国内経済的には良く機能してきたと思えるがの。
言われるのは、国際競争力上不利だということじゃが、その為に、
国内の消費市場の力を失ってしまったのじゃなかろうか?

 実体経済と金融経済の乖離?(あるいは、攻撃的支配・崩壊によ
る波及)の問題が言われて久しい気がする。資本主義とは、金融支
配経済であることは、厳然とした事実じゃろうの。(この一点では
、予言者?マルクスは正しいのじゃろう。)
今、また、日本の金融世界では、会計基準の変更という、金融引き
締め策に会っておる。
おそらく、これも、外国の投資家への透明性を高めるためじゃろう
な。(そこからしか金が回ってこん仕組みになっておる。円キャリ
ーなどの手法もあるというしの。)

 日本の色んな産業は、ちと鶴翼の陣をひきすぎておるようじゃ。
縮小時・血眼になった時には、魚鱗の構えの方が突破力があるじゃ
ろう。今まで以上に、<頭>の戦闘力が重要なのは言うまでもない
がの。
コアをしっかりし、人的資源の集中と、能力特化、決定の速さと強
固な意志というわけじゃ。人減らしというより、必要なのは、能力
・成長力の高度化じゃね。
企業間の事業譲渡、部門再編も、もっと必要になるじゃろうな。
韓国では、強制的再編によって、成功し回復した前例もあるしのう。
ちいと、なりふりか舞わず、しかし整然と陣立てを組み替えんとい
かんじゃろう。

 そろそろ、新しい未来の用意をせにゃならぬ。
違うシステムを採用する時がきたようじゃ。日本らしい、まずもっ
て、日本にしかできぬような…。
 ちゃんと考えれば、見えてくるはずじゃ。
   
 後は、トビラに向って、きちんと歩き始めるだけなんじゃから。

                  虚風老
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(Fのコメント)
日本の江戸時代の幕藩体制が世界の体制として生き返ることになる
。日本はいい物を既に持っている。これを掘り起こすだけで済む。

二宮尊徳の思想や西周の思想など、いい物がある。欧米には現在を
乗り越える思想がない。ヒットラーはアジアの思想を流用して、
あの大混乱のドイツを短期間に復興している。そして、10年で大
軍隊を再構築するのですから、これは凄い。この凄さを研究すると
最後は日本の思想に戻ると、地域通貨の大家は言う。私も同感だ。

この線から、日本経済復興の思想は出て来ると思うがどうであろう
か。


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