1262.欧州 対 米国



米国がフランス孤立化を狙った行動をしている。その検討。Fより

米国のパウエル国務長官がロシアに行って、プーチンにイラクの債
権を保障すると言っている。これは、米国がユーラシア連合を恐れ
ているためである。
(この解説は、1179.ユーラシア連合、下記URLで
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k5/150223.htm  )

ユーラシア連合ができると、今までの米国戦略であるリムランドか
らハードランドへの拡大という戦略自体が崩壊するためで、シーレ
ーンからランドレーンにシフトすることになる。パイプラインより
タンカー輸送はどうしてもコスト的にも高くなる。貨車輸送より、
コンテナ船輸送の方が現在は安いが、大陸横断鉄道のようにコンテ
ナ船輸送より安く出来る。シーレーンは多文化諸国があり、海賊が
出るなど安全性も保障が難しい。ランドレーンはほとんどをロシア
1ケ国だけで済む。

このため、シーレーンを守ることにより世界覇権を持っている米国
としては、ユーラシア中心(ロシア)を孤立化させる必要があるの
です。このためにロシアを共産化したというぐらいである。もしく
はユーラシアのリムランド諸国と切り離すことが必要である。これ
が戦後60年以上、成功してきた。

しかし、米国はイラク戦争により、欧州中心の仏独とロシアが連合
を組んだことにネオコンより米国の中心であるエタブリシュメントが、
危機観を表明していた。米国の今までの戦略をブレジンスキーが表
明したために、明らかになったのです。エスタブリシュ層は地政学で
世界の覇権を考えている。このため、そのエスタブリシュメントの
危機感からパウエルは行動し始めたのです。

パウエルはロシアとフランスの離反と、親米的であるドイツとフラ
ンスの離反を仕掛けている。それが、米国紙が反仏的な言動が多く
、ロシアやドイツをあまり非難しない理由なのである。そして、
米国パウエルはロシアに行って、ロシアの利権を認めるとかドイツ
企業と米国企業のトップを集めた会議で友好を高めたり、見え見え
なことをする。米国の行動は底がばればれであり、行動がよく分か
る。ヨーロッパ・エスタブリシュメントがバカにする米国の底の浅
さがそこに見える。

これに対して、仏シラクはEU軍創設などでドイツと連合度を上げ
、かつロシアと協同で国連中心主義を米国に要求する方向で、ロシ
アの反米政治家、官僚と組んでいく方向である。今度のイラク戦争
を米国が仕掛けたため、ロシアの内部にいた親米派が政権内部から
追い出されたという悲劇的な結果を招いている。米国のダメージは
大きい。プーチンが米国の最後の親米派の砦になっている状況であ
る。

米国と仏国・EU中心部が戦う大きな世界覇権ゲームが始まってい
る。本当の戦争のような熱戦にならない意味では、冷戦と言っても
いいかもしれない。米国はユーラシア連合阻止である。仏はユーラ
シア連合の推進である。この戦い。どちらが勝つかで今後の世界は
変化する。

米国はこのヨーロッパ・エスタブリシュ層を味方につけるために、
イスラエルにロードマップを要求したが、シャロンは、反対したた
めに、暗礁に乗り上げた。この暗礁に乗り上げた時に、ジャスト・
タイムにサウジのテロを仕掛けて、イスラエル非難の危機を切り抜
ける。イスラエル情報機関のモサドの陰謀は凄い。しかし、世界の
指導者はテロがモサドの仕掛けであることを知っている。このこと
により、米国はEU中心の孤立に失敗している。米国とイスラエル
の連合を強く印象づけた。

地政学的にロシアの取り合いが起こっているのですが、今のところ
、フランスがロシアと連合を組む可能性が高い。米国ラムズフェル
ドは、イランの原子力発電所を非難しているが、これはロシアを非
難しているのと同様ですから、パウエル・ライズの努力は無に帰
すでしょうね。

日本企業も米国市場と同様にEU市場を重要視するべきであると思
う。市場規模はEU市場のほうが大きい。世界通貨もドルよりユー
ロの方が信頼性が高い。米国は今後、中東戦争の経費が出るし、
金持ちのための減税で財政的には大幅な赤字になるし、景気は下降
するでしょう。このためドルも下落しているし、今後も下落するで
しょうね。円の発行数を大幅に増やしてドルと連動して下落させる
必要がある。ドルを買ってはいけない。政府も日銀もユーロを買お
う。米国とEUのバランスを取るしかない。
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先進経済国化掲げ、大国路線強調 ロシア大統領 (ASAHI)

 ロシアのプーチン大統領は16日、クレムリンで開かれた上下両
院総会で大統領年次教書演説を行った。「対テロ連合」でロシアが
国際政治に重要な地位を占めたと強調したうえで、次の国家目標と
して、経済先進国化を筆頭に掲げるなど「真の強国」を目指す戦略
を打ち出した。来春の大統領選挙を前にこれまでの任期を事実上総
括し、再選を視野に入れた長期的な展望を示した。 

 プーチン大統領は、2010年までに国内総生産(GDP)を2
倍にし貧困を撲滅すると宣言した。任期中に経済成長率が20%に
達したとし、「影響力のある経済先進国の中での地位を獲得するこ
とに全力を傾ける」と述べた。98年の金融危機を克服した自信や
、主要国首脳会議(G8)の正式メンバーとして迎えられたことが
背景にある。 

 しかし、足元の経済の近代化は緒についたばかりで、独占企業の
解体をはじめ課題が多い。国民生活の向上を政策目標に掲げながら
、低額な年金や地方での給与不払いなどで国民の不満が募っている
。大統領は「経済基盤は依然として弱体で、政府の効率が悪い」と
認め、最大の障害である官僚機構の「劇的な改革が必要」と述べた。 

 他方で、「ロシアが弱ければ国家統合が危機にさらされる」とし
、軍事力を含む統治体制の強化にも言及。大統領選を前にチェチェ
ン情勢が再び泥沼化する事態は避けなければならず、早期に新体制
を発足させてイスラム武装勢力の独立運動を封じ込める決意を示し
た。 

 国際情勢では、ロシア外交の戦略的支柱となった「国際対テロ連
合」の意義を強調。国際社会との連携を確立する原動力になったと
し、欧米を軸とした関係を最重要視する姿勢を示した。一方で、イ
ラク戦争での米国の単独主義に警鐘を鳴らし、「国連の決定に全員
が満足できるわけではないが、国連が普遍的役割を果たさなければ
ならない」と訴えた。 

 1期目の最後となる教書演説で「強国路線」を鮮明にしたのは、
年末の下院選挙で強い政権基盤を維持し、大統領再選を確実にする
狙いがあった。演説を聞いた最大野党の共産党のジュガノフ党首は
、朝日新聞の取材に対し、「プーチン大統領は国家主義への復帰を
目指している。選挙民に聞こえはいいかもしれないが、国民生活の
本当の改善に目配りが全くない」と批判した。 (05/17 00:00) 
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ロシアの対イラク債権を保証 パウエル米国務長官が表明 (ASAHI)

 訪ロしたパウエル米国務長官は15日、ラジオ局「モスクワのこ
だま」とのインタビューで、ロシアがイラクに対して保有する債権
全額を、イラクの新政府発足時に継承させる意向を表明した。ロシ
アは、米国などが国連に提案した対イラク制裁解除決議案に難色を
示していたが、最大の障害だった債権問題が解決される見通しとな
った。 

 パウエル長官は、ロシアの債権が約80億ドルあると指摘したう
えで、「イラクの新政府はロシアへの義務に全面的に配慮する」と
述べた。また、イラク側の債務支払い方法について「期限延長や返
済資金の借りかえを検討する」とした。インタファクス通信によれ
ば、ロシア側は、米政府としてロシアの債権が保証されると確約し
たと受け止めている。 

 決議案の採択では、仏独が態度を軟化させるなか、ロシアの対応
がかぎを握っている。ロシアは米英が利権を掌握することにも難色
を示していたが、フセイン政権下での石油利権の継承などについて
も解決策を協議した模様。長官は、プーチン大統領から決議採択に
反対するとの言及は無かったとし、来週中にも予定される採決に向
け自信をのぞかせた。 (05/15 20:31) 
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独首相、イラク制裁解除支持を表明  (日経)
 
 【フランクフルト=池上輝彦】ドイツ訪問中のパウエル米国務長
官は16日、ベルリンでシュレーダー独首相と会談した。長官が国連
安全保障理事会に提出した対イラク制裁の解除決議案に同意するよ
う求めたのに対し、首相は「制裁は不要」として国連主導によるイ
ラク復興推進を条件に柔軟に対応する姿勢を強調。イラク問題を巡
り悪化していた両国は一応の関係修復をアピールした。

 パウエル長官は、昨年9月にシュレーダー首相がイラク攻撃反対
を表明して以来、ドイツを訪問した最高位の米政府要人となる。長
官は「ドイツを再訪できてうれしい。(シュレーダー首相とは)長
年の友人として従来のようにオープンかつ誠実に語り合った」と述
べた。

 会談後の記者会見でシュレーダー首相は「経済制裁はもはや意味
がなくなった。早急に解除されるべきだ」と語り、米国の解除決議
案に基本的には同意する用意があることを表明した。ただ「国連と
一致した立場で(議案を)まとめることに意味がある」と、国連主
導の戦後復興を前提とする従来通りの考えを改めて示した。
 (21:00) 


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