1255.日本病の原因と対応策



前回、日本の3本柱が変調したために、13年間も不況状態にある
と論評した。それではどうすればいいのか、今回はそこを検討した
い。                  Fより

1.日本の現状
日本の経済の全体状況としては、地方自治体・国はムダな公共工事
のやり過ぎで破産状態にあり、有効な手立てができない。このため
、日銀の金融緩和策しか手立てが無い。日銀に株購入まで政府は要
求している。

銀行も不良債権を抱えて、身動きができない。株も下落して、どん
どん状況は悪くなっている。日銀の金利0%でやっと、生き長らえ
ている。

企業は売上・利益ともに減で、銀行からの借入金が返済できない。
また、新しい利益確保できる分野を見つけていない。欧米も同様の
事態になっている。企業が、工場の中国移転で、労働者の雇用を必
要としていない。既存雇用さえ守れないでリストラを実行している。

米国の経済も沈下、中国経済は上昇。このため、中国へのビジネス
に期待するしかない。しかし、この中国でSARSが流行して、ど
うなりますか?
日本企業は、生産を中国にシフトしたために、今大きな影響を受け
ている。

この中国のSARSと北朝鮮の核問題も含んで、日本の株価が最低
レベルにある。一様、株価下落は止まったようであるがどうなる分
からない。
このままであると株の資産価値が落ちて、日本の優良生命会社まで
赤字になり、恐慌になってしまう状況にある。世界的にも混乱の社
会(恐慌の時代、戦争の時代)になってしまう。

このような日本ではあるが、悪いことに今後、経済的な重荷を抱え
ている。2010年以降に人口が急減する事態が予測できることと
、今後労働者が減って、福祉需要者である高齢者が増加する社会に
なる。この準備も今の状態ではできない。

しかし、国民は慣れて、何も感じなくなっている。今後、この低成
長の状態が定常化すれば、それはそれでいいのかもしれない。
しかし、このままではこのコラムで以前から心配していたように、
円の大暴落が起こしてしまい、国民全員が、円の減額した分だけ貧
乏になる。特にガソリンなどの輸入品や海外旅行が高くなる。
このため、対応策を考える必要がある。このままではダメである。

2.対策として
需要創造しかない。それと日本での雇用増大。2つの課題である。
この課題をクリアーして、初めて老人福祉の問題が議論できる。
優先順位が高いのは、需要と雇用の創造である。

新産業を起こす事とそれが起こるまでの繋ぎとして、規制緩和によ
るサービス産業を創造するしかない。政府が円を増発すれば、問題
解決という経済学者は論理的に可笑しいため、円増発による問題を
抱えることになる。このようなことをすると日本経済はスタグフレ
ーションに陥ることになる。根源的な問題に対処しないため、そう
なるのであるが、そこが分からないようだ。

しかし、地域通貨のような期間と共に減額する通貨は、消費を高め
るために、需要創造効果がある。こちらには理由がある。このよう
な地域通貨もどきの円札の増発は効果があると思うが。

不良債権問題は、旧産業からの撤退であるから、採算が合わないも
のは停止や縮小して、採算がある部分を集めて合理化して、残すし
かない。最終整理をしないと、銀行の資金が益々劣化していくこと
になる。

公共事業は民間事業を活性化するため、その起爆剤として必要であ
る。公共事業を山に捨てるようなダム建設や道路などムダに使うこ
とはできない。都市再生とユビキタス社会造成に公共事業経費を使
うべきであろう。それと新エネルギーの創造である。燃料電池や風
力発電などの脱石油産業の構築は必要である。

最初に立ち上がるのは、ユビキタス社会の造成であろうと思う。
ユビキタス社会の基盤であるADSLは、とうとう日本が一番安く
なり、700万件と急増してきている。光ファイバーサービスも、
NTTやKDDIなどが4000円台と安くしてきた。このADS
Lや光ファイバーをベースにコンテンツビジネスや映像配信ビジネ
スが、今後立ち上がることになるでしょうね。

YAHOOーBBのようにCATVサービスをADSL経由で行う
ようなこともできている。それに合わせたように、ドコモのFOM
Aやシャープのガリレオのようなビデオレコーダーであるがテレビ
映像をパソコンで見るような製品、サービスが立ち上がってきた。
このガリレオは無線LANなどインターネットのある所で自宅のビ
デオをパソコンで見ることが出来る。
たんだんユビキタス社会に向けたインフラが整備されてきている。

日本のマンガのように、世界に通用するものが出てきた。このよう
なコンテンツビジネスも有望であろう。世界的な報道情報の質も、
インターネットの発達により、日本では徐々に向上している。偏見
が日本はないためであろうが、情報の見方が陰謀的でもないし、
米国一辺倒でも、日本一辺倒でもない。このため、見方の自由性が
確保されているように思う。このため、このコラムの見方を皆様が
受け入れてられているように感じる。共産主義も自由主義もない公
平な見方を許容できる日本民族は、やはり優れていると思う。
この頃、米国人と話すと、つくづく思う。

都市再生は都市近郊の周辺道路整備が一番いい。外環道など、将来
大いに利用される道路は作るべきであり、地方の高速道路のように
利用しない道路の建設は止めるべきである。最低線確保には国道を
整備する方がいい。採算や将来性が無いものには投資してはダメで
ある。これは国や地方自治体も企業も同じである。

3.エネルギー革命
環境を重視した社会にする必要がある。人口減少に成り、それに伴
って消費の減小も起こるでしょう。投資もしないために維持管理型
の社会、保全の時代になり、建物は古くなるとリニューアルして、
利用することになるでしょうね。このため、建築業は保全、リニュ
ーアルにシフトするしかない。

エネルギー消費も自家消費分を自分で作ることになるでしょうね。
風力と太陽光と人力などで発電機を回すことになると思う。これだ
けでは不足するので自動車用燃料電池が家庭でも利用することにな
ると思う。自動車と家がエネルギー的に同一平面になる。

燃料電池のは水素スタンドなどの整備が必要であるが、ここは国家
が整備費を補充するべきであろう。

4.企業の雇用確保
企業は最先端製品のノウハウをクローズドにするべきである。ノウ
ハウを外国に出してはいけない。最先端製品の工場は日本に置くべ
きである。それと、最先端製品の技術者を雇用しつづけることが、
必要である。PDPの技術は元日立の技術者が韓国企業に雇われて
、技術流出を起こした。このようなことになると、日本の損失にな
る。企業秘密を厳重に管理する必要がある。外国の工場に移転する
モノは、海外が日本の技術に追いついたものだけにするべきである。

こうして、高付加価値の日本製品は日本だけで作る国家・企業戦略
連携を確保していくことが必要である。シャープが三重に液晶テレ
ビの工場を作り、技術流出を防ぐ努力をしていることに拍手を送り
たい。日本企業だけがノウハウを確保しつづける必要がある。

海外流出した工場を持つ企業がすることは、世界のマーケットで、
どう企業イメージを創造するかである。ノキアがいい例で、米国企
業のノキアは、製品をほとんど米国では製造していない。すべて、
中国などアジア地域である。しかし、企業的には大成功している。
ノキアは製品の設計とマーケット戦略、販売だけであるが、それは
大きな収穫を生む。これと同じようなことを日本企業もする必要が
ある。スポーツシューズは、少し前までは日本の独壇場であったは
ずである。その反省が必要だ。企業の国際化はどうも、汎用品を売
る日本企業の乗り越えなければならない課題のような気がする。

デフレになるのは、汎用製品、特徴の無い製品、サービスは中国の
値段まで下がることになる。ソフト開発の値段は、今まで日本のソ
フトハウスを使うと100であり、中国企業では30であった。
だいたい1/3である。このため、日本企業は雪崩を打って、中国
シフトを起こした。しかし、現時点で見積もりを取ると、日本企業
の値段が中国より低い28程度まで落ちてきている。
SEの値段は日本は75万円から100万円程度で、中国は40万
円程度であり、日本のプログラマーの値段は40万円から30万円
程度で、中国は10万円程度と差があったが、今は日本のソフトハ
ウスも中国と同程度か以下まで下落している。

今頃になって、中国へのソフト開発は、日本のソフトハウスより高
いことになる可能性がある。そろそろ中国から日本へ復帰するかど
うかでしょうね。日本企業はなぜ、そのような価格でできるかとい
うと、JAVA部品を大量に準備しているからで、この部品利用度
の違いによることらしい。このため、専門性を持っているソフトハ
ウスは、今後も生き続けることができるが、専門性がないソフトハ
ウスは苦しくなりますね。

専門性がない富士通やNECなどの大企業がSIにシフトしようと
しているが、システム開発への雇用シフト、雇用確保は今後難しい
ことになると思う。現に特徴のないソフトハウスはどんどん倒産し
ている。

5.高齢化社会、教育など
有料福祉介護のコムスンが黒字に転換したようだであり、いい方向
にあると思う。高齢社会にある日本の年金基金は破綻状態にあり、
このまま、株価が低迷すると、年金は底をつく可能性がある。
このため、日本企業を元気にして株価を上げて、年金基金の利益を
確保しないと、どうしようもない。これは取りも直さず、日本経済
の再興が必要なのである。

教育としては、日本の戦前の日本民族としての誇りを再興すること
が、必要である。戦後教育は、自己中心、利己的過ぎる。自己の責
任と義務の上に、自由があることを教えていない。もう1つ、日本
の存在を世界的な悪とした見方(東京裁判史観)を戦後してきた。
このような見方をする社会党を中心として、教育を独占してきた。
しかし、共産党の現状や北朝鮮の現状から、だんだん、国民は可笑
しいと気が付いている。そのため、日本が悪であるという見方をす
る教育者が、息を付けるのは教育現場しかない。しかし、このよう
な教育は、もっとも害を生徒に及ぼす。このような教育者を教育現
場に置いてはいけないと思う。
日本のよさを再度認識するために、論語や江戸時代の見直しが必要
になるであろう。日本の古代史、中世史の見直しも必要であると思
う。

日本の防衛も、日本悪論からの見方ではなく、日本の存立から見直
す必要がある。


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