1242.日本経済を支える3本柱の変調



戦後、日本経済を支える3本柱の変調について、検討しよう。 
                        Fより

これはT君が社内での戦略を検討するのに調査しているものを基礎
に、私FとTが話した内容をまとめた。

1.経済政策
戦後、吉田首相が日本を経済中心主義にして戦争を放棄した憲法を
作り高度成長の基礎を作ったのですが、バブル崩壊後、経済変調の
真の原因を掴んでいない。これが原因で政治の混迷が続き、有効な
対応ができないし、今も経済変調の原因が掴めないために対応でき
ないでいる。

最初、短期に日本経済は復帰すると、公共事業をその復帰までの時
期の繋ぎとして行ったが、残念ながら、日本経済は往年の元気を取
り戻すことはなかった。このため公共事業を続けていても、財政赤
字が増えるだけになり、将来問題であると、景気回復を規制緩和で
取り返そうとしたが、既存の利権を持つ国民や政治家や企業などの
反対に会い、これも少ししか進んでいない。

このため、金融緩和して、インフレにしようとしているが、景気が
下降しているため、競争激化でデフレ・スパイラルになってきてい
る。そして、日銀の金融緩和も上手く機能していない。日本の株価
も落ちてきて、日本経済はだんだん恐慌の時代に突入していく雰囲
気も出てきている。中国のSARSで日本企業は中国生産でも問題
を抱えている。

日本に新しい産業が出てこない。産業の交代が無く、どんどん韓国
や中国に産業がシフトしている。これが原因で日本の工場もなくな
っている。工場に就職していた人のシフト先としてサービス産業に
期待が行くが、サービス産業も規制緩和の処置が無く、立ち上がる
ことが出来ないでいる。もう日本での就職機会が少なくなっている。

このため、日本から世界に出て行く若者が増えている。この傾向は
歓迎ですね。老年層も出ている。この人たちが日本の職人技術を中
国やアジアに伝えている。これは益々、日本の固有技術を枯渇させ
ることになるが、日本では単価が引き合わないためしかたがない。

21世紀の日本はどうするのか??政府は真剣に検討する必要があ
るのですが、日本の学者は実業を知らないし、企業サイドは今が重
要で10年先を検討できない。どうしようもない状況になっている。

それより、SARSにより中国やアジア経済が大暴落して、日本も
景気の回復期待から地政学リスクにより株価の大暴落が起こる可能
性が出てきた。恐慌になる可能性もある。

2.戦後教育
戦後、米国の個人主義が入り、日本の伝統的な精神文化観がなくな
った。個人主義は権利と義務の2面性があるが、権利の方は社会主
義者の教員たちは主張して教育に取り上げたが、義務の方は取り上
げなかった。米国の民主主義と違う日本的な権利主張だけの精神を
作り、日本精神の弱体化を社会党を中心に形成した。これは米国に
とっても競争上、都合がいいため、米国は日本社会党を支援はしな
いが放置した。

この教育により日本人としての精神・規律を教えなかったために、
精神的な未熟さが出てきて、安易な生き方、フリーターなどの生き
方がいいと感じる世代が出てきている。そして、怒られたことがな
い世代が出てきて、少し仕事上のことで怒ると精神的なダメージが
大きくて会社を辞めると言い出す。そして、出来ないと簡単に諦め
る。努力しない。努力しないで安易に流れる。などなどの現象が出
ている。
日本はこのままでは、努力という言葉を無くすことになると心配す
る事態になっている。

3.外交・安保体制
ソ連と米国の冷戦が続いた時代が戦後長く続いたために、それに適
合した日本の米国べったりの外交、安保体制ができた。しかし、
ソ連崩壊後、世界の勢力地図は刻々と変化して、その環境変化に安
保体制・外交姿勢が冷戦時代のままで時代に適合していない。北朝
鮮の核問題では中朝が対立するとか、イラク戦争で欧米対立すると
か、それまでの50年間にはなかった事態が進行している。
この事態に日本外交・安保体制は有効に機能していない。特に情報
分析や情報収集に問題がある。統一的な情報収集、分析体制もない。
民間企業の方がまだ分析力がある事態になっている。

これは日本の生存上、大きなな問題になってきていると感じる。
欧州と米国の覇権争いに対して、日本は米国に付いているのはいい
が、経済面では欧州の方が大きいし、米国の企業も多くは欧州系企
業である場合が多い。モルガン商会自体がロスチャイルド家の米国
支店のような感じで始まったために、今でもクライスラー、IBM
のようにドイツ・フランスの影響を米国産業界は受けている。米国
では現在、ユダヤ企業家同士の戦いになっているが、豪のユダヤ人
企業家マードックが、FOXで米国を取ったように、米国企業とい
うより、欧州企業や豪州企業が米国で覇権争いをしている感じがす
る。

産業界の動向を見ないと、一概に欧州ではなく米国に着いていれば
いいという風には言えないし、ビルダーバーグ会議などで欧州と米
国は意見を調整している。日本の右翼や外務省OBの評論家はその
面で、大きな間違いを犯しているように感じる。もう少し、産業サ
イドから物を見る必要をある。

このため、欧州を無視してはいけない。特に中国は独仏企業がどん
どん流入して来ている。このようにドイツ・フランスなどのヨーロ
ッパを構成している企業(ロスチャイルド家やABB、ノキア、ジ
ーメンス、フィリップス、エアバス社など)を無視できない。

4.まとめ
このように戦後の安定した冷戦から米国一極時代での複雑な世界に
外交、安保体制が対応しないことと、経済の低迷、日本精神の崩壊
など複雑骨折して、日本は13年間不況状態から脱出できないでい
る。

米国はこの13年間の内、約10年は経済絶頂期にあったが、とう
とうITバブル崩壊を起し、イラク戦争など戦争経済に突入してい
る。今後は日本問題を解決できないまま、世界に日本と同様な問題
(デフレ等)を拡散することになるのです。暗い時代が始まった。
SARSにより、イラク戦争より経済的ダメージが大きくなってい
る。このSARSに対する中国の対応も可笑しい。


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