1235.文明の循環論



長い目で文明を見て、今後の見通しを得よう。  Fより

文明史観には、キリスト教のように始めと終わりがある史観と、東
洋のような輪廻転生のような史観がある。
始めと終わりがある史観は、トインビーの史観が有名である。文明
の始まりから終わりのパターンを分類している。ここでは話題にし
ない。どちらかと言うと循環型の史観を話題とする。

800年ごとに、精神主義と物質主義が入れ替わると、村井節先生
は言っている。西の文明と東の文明はその位相が逆であり、西の文
明が好調である時は、東の文明は低調になっている。
この西・東の文明の調子の逆転(文明の交代期)はBC400年、
AC400年、1200年、2000年にあるという。

1200年はモンゴルの大遠征で、それに続く1300年がルネサ
ンスとなる。精神世界から物質世界に西の文明は向かい、2000
年の今は、西欧文明は物質文明から精神文明に向けて、意識がだん
だん入れ替わっている。米国のTV伝道師が世論に大きく影響する
状況になっていることからも分かる。この背景で米国にキリスト教
原理主義(プロテスタント福音派)が出てきた。この宗教の影響を
受けたのがネオコンである。このため、現実社会とはどこか違う雰
囲気が漂う。宗教的なイデオロギーになっている。

反対にアジアは宗教や社会主義・独裁主義から解放されて、自由市
場主義で、民主主義になってきている。このため、物質的な豊かさ
を追求し始めた。この先頭に居るのが中国・インドであろう。
そして、この2ケ国は人口が多いため地球の資源が持つかどうかと
いう状態になっている。このため、環境問題も出てきている。

会員用BBSでYHさんは、見える世界では「お金に対しての欲求
」という画一化が起きると、反対に、見えない世界である心の中で
は多様化が進展していると言う。物質主義が極まると精神主義にな
るということであろう。そして、欧米は資本主義の崩壊以降、再度
中世の時代に向かう可能性が高いと言う。

このように文明は循環になっていると見ると現状を説明できそうで
ある。今後の見通しを得ることも出来る可能性がある。ここで文明
の循環を考えよう。4つの時代があるように思う。

@建設の時代
更地から人間が住み、その人たちが労働の価値を確立し、建設する
。この時代はいろいろな商品や娯楽ができて、世の中はインフレと
忙しい時代である。精神主義から物質主義になる。今の中国・イン
ドであろう。知識人の時代
A飽和の時代
しかし、一応、建設が終わると、質が重要に成り、この質を確保す
るための知の時代(精密化)になる。しかし、それが一巡すると、
飽和のようなことになる。極まるとデカタンス(第2次大戦前夜の
ウィーン)のようになる。ここで、物質から精神主義に代わる。
今の日本・欧州であろう。富裕者の時代
B破壊の時代
飽和の時代は金融の時代(デフレ)もある。資金はあるが、作るも
のがない。このため、知を持つ人が豊かになる。が、それを過ぎる
と破壊の方向に行く。精神主義になり、イデオロギーの強い思いで
破壊を始める。平民の時代。どこに戦争をするかも平民の世論によ
る。今の米国であろう。
C更地の時代
破壊・戦争の時代(混乱)を通じて、社会システムを破壊尽くして
更地になる。破壊は精神主義(イデオロギー)の敵に対して行うが
、世界は相互に破壊の時代になる。今の米国の敵であるアラブ諸国
であろう。兵士の時代

というサイクルがあると私は想定して、世の中を見ている。

このように見ると、米国は破壊の時代に入り、精神主義(イデオロ
ギー)の強い政策を行う可能性が高い。このため、飽和の時代にい
る欧州や日本は米国の行動が奇異に感じる。北朝鮮は更地の時代で
あるため、同様に日本や中国は奇異に感じる。このように、モード
の違う諸国間は、その行動を奇異に感じるものなのです。

ここを理解しないと、他国の行動を予測できないと思う。

プラウトの循環論も同様であるので見て欲しい。
529.プラウトについて
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/130514.htm
文明とは何かについては、次が参考になる。
522−2.文明の構造
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1305072.htm
800−2.文化には高等と一般の差はない
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/1402092.htm


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