1230.得丸&まとりコラム



得丸です。

高瀬広居著で朝日新聞社から出ている「仏音 最後の名僧10人が
語る生きる喜び」(2002年、1800円)を読みました。

1973年から74年にかけて、当時の日本の仏教界を代表する名僧たち
に行ったインタヴューをまとめたものです。

著者自身が僧侶の資格をもつジャーナリストであるためか、無駄や
誤解のない、仏教の本質をついた(と思える)お話になっています。

この本は、実はサイマル出版会から1996年に出されていた「生
きる喜び ゆるぎなき自己を求める人びとへ」と同じ内容でした。
サイマルが潰れたから、再出版したのですね。

で、このサイマルの本は、1973−4年に双葉社から出版された
「仏心」なのだそうだ。

つまり、この高瀬広居さんは、一連の取材ネタを3度にわたって出
版している。しつこいというか、情熱家というか。でも、それだけ
の価値のある本です。面白かったです。

ちなみに高瀬さんは、他の本も同様にタイトルだけ変えて別の出版
社から発行している。(「母心」=「母の心で子は育つ」、
「父心」=「父」=「父親の責任について」,
「生きる精神 死を見つめてこそ」=「死 死の原点に戻ってこそ
生は持続される」などなど)

出版社が弱小ですぐに絶版になるためか、何度も出版されなおすと
いうのは、どの本もいい本だということでしょう。著者の伝えたい
という気持ちも強いのでしょうし、編集者も惚れるのでしょう。

図書館で「高瀬広居」で検索をかけてみて、たまたま手に入る本を
読むというのもお勧めです。

得丸久文
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「日本の元気を応援しよう。」そんな、CMコピーが昔あった。

やや、商業的利益を、タヌキの皮算用的に、浮ついた目先に据え、
甘い展開の読みしか持たなかった、テーマパークやリゾート計画は
、灰塵に消えた。どちらも、単なる装置産業であろうとしたつけで
あった。そして、時代の変化についていけず、すぐに陳腐化し、
リピーターを失い、閑古鳥の餌食になったのである。

 やや成功しているのは、<お祭り>系だけである。
ミニイベント的なものから出発し、地域住民参加型であるものだけ
が大怪我をせずに旨くいっているのである。一発芸(大はやりだっ
た、官製博覧会は、ほとんど意味を保持できなかった。)ではなく
、繰り返すことによってノウハウをため込み、変化に対応して進化
していけるものだけが、成長できるのである。

 ところで、実際には、公共空間でのイベント計画において、警察
の取り締まりや、許可は非常にうるさい。これは、公的な行政機関
に対してすらもそうなのである。
もちろん、怪我等の不測の事態、交通の円滑性に対する配慮のせい
であることは間違いない。
今の時代、おかげ参りのような、同時多発的で自発的な感情の発露
としての、路上での群集行動は、望めないのかもしれない。
行政機関(まあ、警察もそうではあるのだが、)が、よほど積極的
に仲立ちを試みないと、住民が、気軽に街頭でのイベントを企画す
ることは出来ないのではないでろうか?

インターネットのサイト上で繰り広げられる、様々な活動は、ここ
に来て、かなり地に足がついてきたようだ。もう誰もが、気をはら
ずに参加しつつある。街角のウインドウを覗くようにして、気軽に
散策し、参加しているようだ。しかし、電脳社会に閉じこもること
の危険も、囁かれはじめている。
また、現実社会での行動の呼びかけや、結びつきも増えている。
(弊害として、自殺サイトなどの奇妙な伝播もある)

これらのことは、社会での、行動構造が、この先かなり変化してい
くことを予想させるできごとだ。ますます、<生身での、付き合い
方の重要性>が増すのではないだろうか。
できれば、その<場を確保する>ぐらいは、大切にしたいものだ。

各地の<祭り>は、今では、違った意味で重要性を増しているのか
もしれない。いや、これこそが、氏神祭事の本来の役割なのかもし
れないと思う。
古くからいます<神々>。
人は、供に在ることを敬い、祈りと、輪に連なることで、<気>を
得ていた。

人は、独りでは、なかなか<元気>を得られない。人や、自然との
つながりが必要なのである。
心が広がりを持って、<生命の元気>を得てこそ、あらゆる活動が
できるのである。

都会生活者が多くなって、様々なものと切り離されてきた。大切な
ものと別れてしまった。今や、おずおずと、生命と付き合っている
。小さな地域社会ですら維持するのをむつかしく感じているようだ。

新しい形の<祭り>、新しい輪の作り方が必要なのかもしれない。
参加する空間と、時間が、切実に必要とされているのかもしれない。
だが、官製のものは、どこか嘘っぽい。

だから、まず、手作りを楽しもう。
そして、伝え合おう。右や左や、小さな手に…。

「日本の元気」とは、日本人自らが、元気になることである。
               まとり
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これから、注目されるのは、米国・民主党の国内世論戦略である。
大統領選挙に向けての、戦略の練り直しは必至であるからだ。
大政翼賛報道がどれくらい続くか、微妙なところだ。ブッシュ政権
は、この論調の引き延ばし策を最重要な戦略におくだろう。

米、国内経済の動向も注目される。実は、日本ではあまり言われな
いことだが、米国では、勝者一人勝ちのシステムとして、富の集中
と、税による再分配機能の低下(富者は、タックスヘブンに逃げる
)により、富裕層と庶民の生活との乖離がすすんでいる。

イラク戦争の特需のもたらす経済効果が、大企業経営者に莫大な富
をもたらすとしても、庶民層までどれだけ波及するかは、疑問なの
である。
ネオ・コンが、実利最優先主義として、アメリカの利益(アメリカ
支配層の)の為に、国外に「力」でもって積極的に関与し、その方
策として、アメリカの価値観の敷延を標榜し(ゲームの基準統一)
、市場経済万能システムの中に、圧倒的優位なブラックボックスを
組み込もうとする意図は分かる。しかし、それでは、<世界>の着
地点が見えてこない。

そこにあるのは、<マネー>という基準による、新しい階級主義の
確立なのだろうか?
西洋文明という外堀と、巨大なアメリカの軍事力という内堀の中に
、誰も手が出せない不落の<城>を築くことが目的なのだろうか?

アメリカが持っていた<多様性への寛容さ>が、次代のキーワード
に浮上してくるだろう。ネオ・コンの国内政策が、勇ましさ一辺倒
では、アメリカ国内はもつまい。

イランは、次に狙うには、体勢を整え直すまで(ブッシュ再選、軍
事物資補充)は、大きすぎる。
イスラエル情報サイドから、しきりにシリア攻撃をして欲しいとい
うアドバルーンが出されている。シリアに難癖つけて、強硬にシリ
アが反発すれば、この際シリアも叩き倒せれば、イスラエルの目的
はほぼ果たせるといっていい。戦力的には可能であろう。

パール、ウォルフォウィッツは狙うかもしれないが、チェイニーの
出方はどうか?
利益確定を狙って、そのラインには乗らない可能性の方が高い。
あからさまな、イスラエル利益の優先は、イラク経営(これが最重
要)に不利に働くおそれがある。
シリアには、イラク国内からの軍事圧力で十分と考えるであろう。
それに、あまりにも、イスラエルの自由度が増せば、米・民主党の
押えが効かなくなるという読みも働くはずだ。イスラエルの危険を
温存するほうが、ユダヤ勢力を押えやすい。

民主主義と権力との関係は、いかに民衆心理をコントロールできる
かにある。FoxTVとマードック陣営は、これからの米国メディ
アの焦点になっていく可能性がある。共和党お抱えのメディア化の
道を突き進むであろうからだ。

圧倒的に強い、アメリカ国内でのユダヤ系メディア、ハリウッド制
作姿勢の動向も注目される。
軍事・産業・金融とともに、メディアの論調と民衆の反応分析が、
今後ますます、アメリカ分析では欠かせなくなる。
20年戦争とブッシュは言った。
おそらく、アメリカ国内を根城にする権力者と、その他の世界との
、<軍事だけではない戦争>の一幕目が始まったのかもしれない。
                  まとり
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今後、韓国(そしてシリア)の株式市場での、米・投資家の動きを
注視したい。

米国の投資家の一部が、常に、米政権のインサイド情報に接しやす
いことは知られている。
き目細かな分析があれば、急な売り等の兆候を通じて、米政権の軍
事活動目標がわかるだろう。

韓国株式の急落は、連想的に、日本市場の暴落を誘発するかもしれ
ない。(この場合、金融機関の一時国有化も避けられないだろう。)
日本市場で売り逃げの後、北朝鮮との開戦後に、外国勢が、買い漁
る行動をとれば、捨て値で、優良な日本企業が手に入ることになる
だろう。(円も急落するから、ドル資産を円に振り替えるチャンスで
もあるが。)

アメリカ・ネオコンにとって、韓国・日本が攻撃されることはたい
した痛手ではない。
むしろ、正当な反撃の理由が付与されることになり、徹底的な大規
模空爆を行うことになるだろう。(当然、日本、韓国内に潜入済み
の工作員は、後方撹乱の為テロを行う。)

北朝鮮が、近頃盛んに日本に戦火が及ぶよう言い立て始めたのは、
地対艦ミサイルの試射一発で、日本国内の心理がゴタゴタしたこと
によるだろう。
そうすることで、日本が、米国の戦争への道を抑止するように努め
ると考えているようだ。(日本の北朝鮮感情が、ますます悪化させ
ることを計算違いしている。)

日本の取るべき政策は、北朝鮮を、アメリカを含む、他国間交渉の
テーブルにつかせることだ。これは、中・ロにしか出来ないので、
中・ロに強く働きかけて、ふて腐れた北朝鮮の首根っ子を引きずっ
てでも実現できるよう、陰で強力に動くべきだ。
米・朝を同じテーブルにつかせ、周りの国が、脇を固めること。
これ以外に日本の痛手を最小限に押える道はない。

北朝鮮が<読み>を間違えて、核実験など行えば、もうアメリカの
攻撃はどんな手をもっても止められないだろう。そして、北朝鮮は
根こそぎ破壊尽くされることになる。
その時は、日本も覚悟しなくてはならない。
平和的解決法を模索する手はなくなるのだ。経済的ショックのセー
フガードを研究しておいた方がいい。(北朝鮮による直接攻撃の被
害は、限定的になると思われる。)

わたしは、この時点(4月10日)では、戦争はないと踏んでいる。
核以外に、アメリカが軍を動かす動機にはならないからだ。

また、北朝鮮問題として、麻薬・覚醒剤のルートを徹底的に潰すべ
きだ。これから、一年ぐらい強力な取り締まり体勢をひいて、日本
国内でのルート解明をして欲しい。
それが、工作活動の資金調達にからんでいるからである。麻薬問題
は、二重に<私達の国>を腐らせようとしている問題なのだ。

北朝鮮の一般民衆に、罪はないかもしれない。しかし、独裁者のも
と、他国に危害を与えれば、必ずその報いは、民衆の上に真っ先に
降りかかってくる。韓国・朝鮮の民族統一の悲願はよくわかる。
だから、平和裏にことが進むことを、わたしは願いたい。

この先の国際情勢は、ますます不透明である。
日本人は、あまり激昂したり、悲嘆に叫びまくるような感情表現を
しない民族だ。
神戸の大震災後ですら、淡々としているのに、端から見ている方が
、不思議なほどであった。しかし、<芯>は強い。
いざとなれば、驚くほど<芯>が強いことを、我々は証明している。
例え、この先どんな状態になっても、<日本>を立て直すことは出
来るだろう。

日本人の、掛け声は、いつの頃からか、<頑張ろう><頑張ってね>
なのである。時には、「おい、あんまり頑張るなよ。」と言いたく
なるが、結果だけより、過程の姿勢重視の国民感情は、いいことか
もしれないと思う、今日この頃である。
                まとり
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今回(4月11日現在)、日本の川口外務大臣が、珍しく先に手を
打っているように見える。
原則を示して、ヨーロッパ各国を廻っているのだ。内容については
、まったく妥当だろう。世界的な意見を反映させた優良解答案の
平均的姿ともいえるかもしれない。
しかし、今度は逆の危惧がある。ネオコンの思惑と、底にあるどす
黒い希求をどれくらい踏まえているかだ。
英国と水面下で、本当に連携できているなら、問題は少ないだろう。
が、どうも危うさを感じるのだ。
肉食恐竜の食欲は甘くない。ネオコンというものの実態を、どれだ
け解析しえているかの方に疑問を感じる。

ここは、関与に対する歩みは、慎重で遅いくらいでいいのではないか?
アメリカが、非常な速さで進んでいることは、明確な方向性を持っ
ている(それが、国際世論や、イラク・アラブ諸国の反発を買うと
しても)ことを意味している。
簡単に言えば、他国の意見には、馬耳東風を決め込むつもりだろう。
拙速に、アメリカ政策に対抗策を打ち出しでも、意味を成さない可
能性が強い。
アメリカ国内での勢いや、戦争の大目標である大統領選との絡みが
ある。ルビコン河を渡ってしまった今、ブッシュ政権にとって、
アメリカ国内世論の動向だけが、問題なのだ。

アメリカ世論と、世界の世論の乖離…。不幸なことに、これからま
すますその溝は拡大し続けるだろう。アメリカは、いつまで、民主
主義の旗手でいられるだろうか…?
                まとり


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