得丸です。 高瀬広居著で朝日新聞社から出ている「仏音 最後の名僧10人が 語る生きる喜び」(2002年、1800円)を読みました。 1973年から74年にかけて、当時の日本の仏教界を代表する名僧たち に行ったインタヴューをまとめたものです。 著者自身が僧侶の資格をもつジャーナリストであるためか、無駄や 誤解のない、仏教の本質をついた(と思える)お話になっています。 この本は、実はサイマル出版会から1996年に出されていた「生 きる喜び ゆるぎなき自己を求める人びとへ」と同じ内容でした。 サイマルが潰れたから、再出版したのですね。 で、このサイマルの本は、1973−4年に双葉社から出版された 「仏心」なのだそうだ。 つまり、この高瀬広居さんは、一連の取材ネタを3度にわたって出 版している。しつこいというか、情熱家というか。でも、それだけ の価値のある本です。面白かったです。 ちなみに高瀬さんは、他の本も同様にタイトルだけ変えて別の出版 社から発行している。(「母心」=「母の心で子は育つ」、 「父心」=「父」=「父親の責任について」, 「生きる精神 死を見つめてこそ」=「死 死の原点に戻ってこそ 生は持続される」などなど) 出版社が弱小ですぐに絶版になるためか、何度も出版されなおすと いうのは、どの本もいい本だということでしょう。著者の伝えたい という気持ちも強いのでしょうし、編集者も惚れるのでしょう。 図書館で「高瀬広居」で検索をかけてみて、たまたま手に入る本を 読むというのもお勧めです。 得丸久文 ============================== 「日本の元気を応援しよう。」そんな、CMコピーが昔あった。 やや、商業的利益を、タヌキの皮算用的に、浮ついた目先に据え、 甘い展開の読みしか持たなかった、テーマパークやリゾート計画は 、灰塵に消えた。どちらも、単なる装置産業であろうとしたつけで あった。そして、時代の変化についていけず、すぐに陳腐化し、 リピーターを失い、閑古鳥の餌食になったのである。 やや成功しているのは、<お祭り>系だけである。 ミニイベント的なものから出発し、地域住民参加型であるものだけ が大怪我をせずに旨くいっているのである。一発芸(大はやりだっ た、官製博覧会は、ほとんど意味を保持できなかった。)ではなく 、繰り返すことによってノウハウをため込み、変化に対応して進化 していけるものだけが、成長できるのである。 ところで、実際には、公共空間でのイベント計画において、警察 の取り締まりや、許可は非常にうるさい。これは、公的な行政機関 に対してすらもそうなのである。 もちろん、怪我等の不測の事態、交通の円滑性に対する配慮のせい であることは間違いない。 今の時代、おかげ参りのような、同時多発的で自発的な感情の発露 としての、路上での群集行動は、望めないのかもしれない。 行政機関(まあ、警察もそうではあるのだが、)が、よほど積極的 に仲立ちを試みないと、住民が、気軽に街頭でのイベントを企画す ることは出来ないのではないでろうか? インターネットのサイト上で繰り広げられる、様々な活動は、ここ に来て、かなり地に足がついてきたようだ。もう誰もが、気をはら ずに参加しつつある。街角のウインドウを覗くようにして、気軽に 散策し、参加しているようだ。しかし、電脳社会に閉じこもること の危険も、囁かれはじめている。 また、現実社会での行動の呼びかけや、結びつきも増えている。 (弊害として、自殺サイトなどの奇妙な伝播もある) これらのことは、社会での、行動構造が、この先かなり変化してい くことを予想させるできごとだ。ますます、<生身での、付き合い 方の重要性>が増すのではないだろうか。 できれば、その<場を確保する>ぐらいは、大切にしたいものだ。 各地の<祭り>は、今では、違った意味で重要性を増しているのか もしれない。いや、これこそが、氏神祭事の本来の役割なのかもし れないと思う。 古くからいます<神々>。 人は、供に在ることを敬い、祈りと、輪に連なることで、<気>を 得ていた。 人は、独りでは、なかなか<元気>を得られない。人や、自然との つながりが必要なのである。 心が広がりを持って、<生命の元気>を得てこそ、あらゆる活動が できるのである。 都会生活者が多くなって、様々なものと切り離されてきた。大切な ものと別れてしまった。今や、おずおずと、生命と付き合っている 。小さな地域社会ですら維持するのをむつかしく感じているようだ。 新しい形の<祭り>、新しい輪の作り方が必要なのかもしれない。 参加する空間と、時間が、切実に必要とされているのかもしれない。 だが、官製のものは、どこか嘘っぽい。 だから、まず、手作りを楽しもう。 そして、伝え合おう。右や左や、小さな手に…。 「日本の元気」とは、日本人自らが、元気になることである。 まとり ============================== これから、注目されるのは、米国・民主党の国内世論戦略である。 大統領選挙に向けての、戦略の練り直しは必至であるからだ。 大政翼賛報道がどれくらい続くか、微妙なところだ。ブッシュ政権 は、この論調の引き延ばし策を最重要な戦略におくだろう。 米、国内経済の動向も注目される。実は、日本ではあまり言われな いことだが、米国では、勝者一人勝ちのシステムとして、富の集中 と、税による再分配機能の低下(富者は、タックスヘブンに逃げる )により、富裕層と庶民の生活との乖離がすすんでいる。 イラク戦争の特需のもたらす経済効果が、大企業経営者に莫大な富 をもたらすとしても、庶民層までどれだけ波及するかは、疑問なの である。 ネオ・コンが、実利最優先主義として、アメリカの利益(アメリカ 支配層の)の為に、国外に「力」でもって積極的に関与し、その方 策として、アメリカの価値観の敷延を標榜し(ゲームの基準統一) 、市場経済万能システムの中に、圧倒的優位なブラックボックスを 組み込もうとする意図は分かる。しかし、それでは、<世界>の着 地点が見えてこない。 そこにあるのは、<マネー>という基準による、新しい階級主義の 確立なのだろうか? 西洋文明という外堀と、巨大なアメリカの軍事力という内堀の中に 、誰も手が出せない不落の<城>を築くことが目的なのだろうか? アメリカが持っていた<多様性への寛容さ>が、次代のキーワード に浮上してくるだろう。ネオ・コンの国内政策が、勇ましさ一辺倒 では、アメリカ国内はもつまい。 イランは、次に狙うには、体勢を整え直すまで(ブッシュ再選、軍 事物資補充)は、大きすぎる。 イスラエル情報サイドから、しきりにシリア攻撃をして欲しいとい うアドバルーンが出されている。シリアに難癖つけて、強硬にシリ アが反発すれば、この際シリアも叩き倒せれば、イスラエルの目的 はほぼ果たせるといっていい。戦力的には可能であろう。 パール、ウォルフォウィッツは狙うかもしれないが、チェイニーの 出方はどうか? 利益確定を狙って、そのラインには乗らない可能性の方が高い。 あからさまな、イスラエル利益の優先は、イラク経営(これが最重 要)に不利に働くおそれがある。 シリアには、イラク国内からの軍事圧力で十分と考えるであろう。 それに、あまりにも、イスラエルの自由度が増せば、米・民主党の 押えが効かなくなるという読みも働くはずだ。イスラエルの危険を 温存するほうが、ユダヤ勢力を押えやすい。 民主主義と権力との関係は、いかに民衆心理をコントロールできる かにある。FoxTVとマードック陣営は、これからの米国メディ アの焦点になっていく可能性がある。共和党お抱えのメディア化の 道を突き進むであろうからだ。 圧倒的に強い、アメリカ国内でのユダヤ系メディア、ハリウッド制 作姿勢の動向も注目される。 軍事・産業・金融とともに、メディアの論調と民衆の反応分析が、 今後ますます、アメリカ分析では欠かせなくなる。 20年戦争とブッシュは言った。 おそらく、アメリカ国内を根城にする権力者と、その他の世界との 、<軍事だけではない戦争>の一幕目が始まったのかもしれない。 まとり ============================== 今後、韓国(そしてシリア)の株式市場での、米・投資家の動きを 注視したい。 米国の投資家の一部が、常に、米政権のインサイド情報に接しやす いことは知られている。 き目細かな分析があれば、急な売り等の兆候を通じて、米政権の軍 事活動目標がわかるだろう。 韓国株式の急落は、連想的に、日本市場の暴落を誘発するかもしれ ない。(この場合、金融機関の一時国有化も避けられないだろう。) 日本市場で売り逃げの後、北朝鮮との開戦後に、外国勢が、買い漁 る行動をとれば、捨て値で、優良な日本企業が手に入ることになる だろう。(円も急落するから、ドル資産を円に振り替えるチャンスで もあるが。) アメリカ・ネオコンにとって、韓国・日本が攻撃されることはたい した痛手ではない。 むしろ、正当な反撃の理由が付与されることになり、徹底的な大規 模空爆を行うことになるだろう。(当然、日本、韓国内に潜入済み の工作員は、後方撹乱の為テロを行う。) 北朝鮮が、近頃盛んに日本に戦火が及ぶよう言い立て始めたのは、 地対艦ミサイルの試射一発で、日本国内の心理がゴタゴタしたこと によるだろう。 そうすることで、日本が、米国の戦争への道を抑止するように努め ると考えているようだ。(日本の北朝鮮感情が、ますます悪化させ ることを計算違いしている。) 日本の取るべき政策は、北朝鮮を、アメリカを含む、他国間交渉の テーブルにつかせることだ。これは、中・ロにしか出来ないので、 中・ロに強く働きかけて、ふて腐れた北朝鮮の首根っ子を引きずっ てでも実現できるよう、陰で強力に動くべきだ。 米・朝を同じテーブルにつかせ、周りの国が、脇を固めること。 これ以外に日本の痛手を最小限に押える道はない。 北朝鮮が<読み>を間違えて、核実験など行えば、もうアメリカの 攻撃はどんな手をもっても止められないだろう。そして、北朝鮮は 根こそぎ破壊尽くされることになる。 その時は、日本も覚悟しなくてはならない。 平和的解決法を模索する手はなくなるのだ。経済的ショックのセー フガードを研究しておいた方がいい。(北朝鮮による直接攻撃の被 害は、限定的になると思われる。) わたしは、この時点(4月10日)では、戦争はないと踏んでいる。 核以外に、アメリカが軍を動かす動機にはならないからだ。 また、北朝鮮問題として、麻薬・覚醒剤のルートを徹底的に潰すべ きだ。これから、一年ぐらい強力な取り締まり体勢をひいて、日本 国内でのルート解明をして欲しい。 それが、工作活動の資金調達にからんでいるからである。麻薬問題 は、二重に<私達の国>を腐らせようとしている問題なのだ。 北朝鮮の一般民衆に、罪はないかもしれない。しかし、独裁者のも と、他国に危害を与えれば、必ずその報いは、民衆の上に真っ先に 降りかかってくる。韓国・朝鮮の民族統一の悲願はよくわかる。 だから、平和裏にことが進むことを、わたしは願いたい。 この先の国際情勢は、ますます不透明である。 日本人は、あまり激昂したり、悲嘆に叫びまくるような感情表現を しない民族だ。 神戸の大震災後ですら、淡々としているのに、端から見ている方が 、不思議なほどであった。しかし、<芯>は強い。 いざとなれば、驚くほど<芯>が強いことを、我々は証明している。 例え、この先どんな状態になっても、<日本>を立て直すことは出 来るだろう。 日本人の、掛け声は、いつの頃からか、<頑張ろう><頑張ってね> なのである。時には、「おい、あんまり頑張るなよ。」と言いたく なるが、結果だけより、過程の姿勢重視の国民感情は、いいことか もしれないと思う、今日この頃である。 まとり ============================== 今回(4月11日現在)、日本の川口外務大臣が、珍しく先に手を 打っているように見える。 原則を示して、ヨーロッパ各国を廻っているのだ。内容については 、まったく妥当だろう。世界的な意見を反映させた優良解答案の 平均的姿ともいえるかもしれない。 しかし、今度は逆の危惧がある。ネオコンの思惑と、底にあるどす 黒い希求をどれくらい踏まえているかだ。 英国と水面下で、本当に連携できているなら、問題は少ないだろう。 が、どうも危うさを感じるのだ。 肉食恐竜の食欲は甘くない。ネオコンというものの実態を、どれだ け解析しえているかの方に疑問を感じる。 ここは、関与に対する歩みは、慎重で遅いくらいでいいのではないか? アメリカが、非常な速さで進んでいることは、明確な方向性を持っ ている(それが、国際世論や、イラク・アラブ諸国の反発を買うと しても)ことを意味している。 簡単に言えば、他国の意見には、馬耳東風を決め込むつもりだろう。 拙速に、アメリカ政策に対抗策を打ち出しでも、意味を成さない可 能性が強い。 アメリカ国内での勢いや、戦争の大目標である大統領選との絡みが ある。ルビコン河を渡ってしまった今、ブッシュ政権にとって、 アメリカ国内世論の動向だけが、問題なのだ。 アメリカ世論と、世界の世論の乖離…。不幸なことに、これからま すますその溝は拡大し続けるだろう。アメリカは、いつまで、民主 主義の旗手でいられるだろうか…? まとり