1225.読者2の声



得丸様
 
はじめまして。コラムをいつも拝見し、大変に勉強になります。
さて、国際戦略コラムno.1204で、故野村秋介氏の著書の
一節を引用されていますね。個人的には野村秋介氏はまともに言論
できる“右翼”と認識していたので、朝日新聞本社で自尽したとき
のことは大変ショックでした。彼の著書は数冊拝読しましたが、
それまでイメージしていた“右翼”とはちょっと違うな、まともな
ことをキチンと言っているなという感想を持ちました。彼はその行
動力で有名ですが、「さらば群青」などを読むとまさに“最後の右
翼”であり、=愛国心の塊であったように思います。
 
彼が生きていたら、この今の日本をどう思うでしょう。
 
恵谷 恒一
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四月一日現在で、戦況と政治・経済を予想してみよう。
イラク情勢の、政局への影響の焦点は、ラムズフェルド国防長官へ
の批判が今後どれだけ増えるかにある。
先頃、現場司令官の部隊再編・侵攻計画の建て直し策を、ラムズフ
ェルドが蹴り、見栄えと、威勢ばかりいい無謀な作戦の突貫を命じ
たことが、<決定的な裏目>に出れば、軍との抜き差しなら無い不
信関係に陥るであろう。
そして、その可能性は、大きな砂嵐が、3日も襲い掛かるだけで、
生じるのである。

ブッシュ政権の指令塔は、もちろんチェイニイだが、パウエルを力
技で押え込んでいるのは、実戦争を知らない、<死の商人>の代弁
者であり、米国の<力>の信奉者、ラムズフェルドである。
ブッシュの政権内で、ラムズフェルドが力を失うと、同時にウォル
フォウィッツ・パールの力も低下する。
そうして、政策のダッチロール状態が始まるのである。

パウエルは、良識的な判断として、国際関係の修復に光明を見出そ
うとする方向に再び舵を切ろうとするだろう。
しかし、<戦争の果実>を露骨に求める勢力は、それを許したくな
いはずだ。そうして、ますます、大義名分からかけ離れた作戦に突
っ込んでいくことになり(イラク市民の大量殺戮)、アラブの反米
・世界の反戦支持行動を強めさせることになる。
(だいたい、親族・親友が自国内で殺されることについての感情を
無視している。民間人でない兵士だって、イラク国民の肉親なのだ
。そこには、きっと白人優越主義が根底に眠っている。第7騎兵部
隊を先鋒に据えているのは、インディアン相手とでも考えているの
だろうか?また全滅したりして…。)

NYタイムズは、もちろん民主党系であるから、今後も、どんどん
反ブッシュに傾いていく。(当然、影響を受けているマスコミの中
には、このサイドの立場をとるものも増えてくる。)インターネッ
トは、双方が言い合いをしているが、戦闘的な右派が、まだまだ発
言を制している状態だろう。しかし、反戦派も粘り強い反撃を続け
ているようだし、この世界は、米国だけで閉ざされている訳ではな
い。世界の草の根的発言が、今後米国に大量に向けられると思われ
る。結局は、米国国内の<論調の基底>を揺さぶるしかないのであ
るから。

後は、TV局の動向にかかってくるだろう。世論に影響を与え、
また、世論から影響を受けやすい編成になるため、社会が不安感を
持ち始めると、その方向の流れに乗り、それを加速する形になると
思われる。
この点でも、ラムズフェルドは焦点になりはじめている。しかし、
自らの失敗の責任を他へ転嫁しようとすればするほど、内部的な批
判(軍・国防省)、あるいは、リークにも、さらされることになる
はずだ。
近頃彼の顔を見ていると、追いつめられた<サタン>に憑かれたよ
うに見えるのは、私だけであろうか?

経済は、イラクの石油が、どういう枠組みで<金>に変わるかで、
大きく変わってくる。
国連は、アナン事務総長に一応の権限を与えようとしている。(形
式的にしろ)結局この問題は、石油の支配権に行き着くのである。
そして、それは国際世論とアメリカ国内の世論の綱引きになる可能
性が強いのだ。
独善にアメリカ国内が酔えば、この問題については、アメリカの短
期の間に限れば、一国勝ちになるだろう。
しかし、猛烈な世界中の反発を受けることは覚悟しなければならな
い。政治的には、孤立する。結局は、自ら唱えたお題目<民主化と
いう言葉>の為に、手中から零れ落ちるしかないことになる。

それを避ける為のシナリオは、<連続的な戦争>である。しかし、
短期の容易な占領に失敗した今、その選択肢をとることは、ほとん
ど不可能に近い。

このことがもたらす事実は、アメリカ経済の長期的低落である。(
もちろん、ドルの唯一の基軸通貨からの退場も意味する。まだ、多
極的通貨間で最大・最強の位置は揺るがないとしても…。)

 20世紀がアメリカの時代であったことは、20世紀が石油の世
紀であったことと不可分ではない。石油文明のないところに、アメ
リカ式文明は存在できないのである。
そして、目の前に、石油文明の終焉というタイムスケジュールは迫
っている。

どちらにしろ、<恐竜達>には、その大きなずう体をジュラシック
パークの中で愉快に過ごすだけのものにしてもらいたい。今後4・
50年は、大袈裟にハシャギまくって欲しくないものだ。まあ、
その頃になれば、石油も枯渇して、大規模な軍事行動すら不可能に
なる可能性があるが…。

<非国民>という言葉が、声高に叫ばれ、力を持つ時代は不幸である。
世界の幸福がなんであるかを思考することへ対しての、言葉による
毒ガス攻撃だからだ。
それは、思考と対話を拒否し、国と人類の将来への冷静な見通しを
誤らせることになりかねない因子を含んでいる。獣の論理で、世界
を割り切ることになりかねない。それでは、人類は、次のステージ
に行くことができなくなる。

世界が、<単純な平和>であるとは思わない。
<人殺し>が、世界中から無くなるとも思えない。
だが、人は<法>を作り、約束(契約)という概念を手にすること
が出来た。殴り合うかわりに、<言葉>を手に入れた。
それは、確かに大きな抑止力になっている。最終的な解決の為の形
がどうなるか解からないが、少なくとも、お互いの間で、尊重すべ
きものを手に入れたのだ。

本当に地球は狭く、一体のものと捉えることが出来るようになった
。メディアやインターネットの発達した社会は、地域市民であると
同時に、地球市民であるという実感をそこまで引き寄せている。
地域という多様性は、人類の財産である。
そして、<地球>は誰にとっても、かけがえの無い、唯一無二の共
有財産なのである。

                          まとり
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いつも興味深く読ませて頂いております。
日本の安全保障に関する議論が最近は多いのでそれに関して
皆さんに伺います。日本のシーレーン防衛の脅威として中国、
北朝鮮がこのコラムで問題視されているようですが、台湾、韓国、
インド等の国々が日本と戦う可能性もあると思います。
それについてはどのように御考えでしょうか?

rx-79@yt
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(Fのコメント)
戦争が日本の近くでできるのは、北朝鮮と米国だけでしょうね。
他国は経済的に日本や他のアジア諸国との関連があり、戦争より
交渉で問題を解決する志向が強い。このため、戦争になることは無
いでしょうね。インドとは日本は、シーレーン防衛のために同盟関
係になる可能性がある。
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国際戦略コラムno.1217.今、聖上のご心痛を思う
自衛隊は、明らかに憲法違反です。これは議論の余地がありません
。問題なのは、憲法が今のままで良いのかどうかです。「平和憲法
」と言う、響きの良い言葉にだまされて、戦後58年もの間本気で戦
力の意味を考えてこなかった日本国民全体の責任です。これは「平
和憲法絶対死守」と叫ぶしか能のない社民党どもだけでなく、堂々
と正面きって「憲法は改正すべきだ」と言ってこなかった側の責任
も小さくありません。

今回の、小泉首相のもっとも情けないのは「以前からアメリカを支
持する」と言って来たと言いながら、実際には風見鶏を決め込んで
いたことです。もし、アメリカの行動が国連決議1441に基づいてお
り正当であると考えるなら、遅くとも今年になってからアメリカが
安保理での決議を得ようと画策していた時点で明言できた筈です。
それをしていれば、反対賛成の立場を超えて、小泉首相の主張・態
度の一貫性を認める人達はもっと多くいた筈です。
最後に、天皇には戦争責任があります。あの日支事変勃発や日米開
戦など、それぞれの時点で参政権を持っていた日本人一人一人に
戦争責任はあります。たとえ戦争に反対して活動していたとしても
、戦争をとめられなかったと言う意味での責任があります。私の父
親のように、赤紙一枚で招集された人間にも責任が無い訳はない。
ましてや、日本政治の最高の意思決定機関であった御前会議に参加
できた人間=天皇に責任がなかったなどと本気で言うのは、ちょっ
と頭がおかしいのではないですか。
Saburo 
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(Fのコメント)
日本の憲法を変えようとした自民党を、大きな力で止めたのは社会
党です。自民党は改憲と何度も戦後言っている。しかし、選挙で、
このことを言うと負けることが分かっているため、いえなかった。

社会党はソ連や中国を理想の国家と言っていた。北朝鮮の拉致問題
も最後までないと日本国民の生命を危機的な状況にさらしつづけた。
この責任には、社民党がなくなるまで言いつづけないといけない。

その社会党の言うことを鵜呑みするのは、止めた方がいいですよ。
日本は古来から日本の天皇制は象徴的な天皇であったのですから、
天皇が戦争推進を言い出すことは出来ない。これにより天皇が今ま
で1500年以上も継続できたのですから、歴史を見ると分かる。
権力を持った天皇を見つけようとすると、平安時代の初期まで戻る
ことになる。

日露戦争で勝って、西洋を甘く見た国民と資本家、軍が米国の日本
敵視策に我慢だ出来ずに、戦争をせざるを得ない気分で米国と戦争
になったのではないか思うが。


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