1206.戦争の掟



イラク攻撃が開始した。米国は圧倒的な軍事力でイラクのフセイン
を倒すでしょう。その過程とその後を検討しよう。   Fより

イラクのフセインを千早城の楠木正成と見立てた時、どのような戦
術になるのであろう。これはゲリラ的な破壊でサプライズ(驚き)
を起こすはずである。このサプライズを検討しよう。

1つは英米の戦車隊の対し、チグリス・ユーフラテス河のダム決壊
、橋破壊、道路破壊による地域混乱と洪水または湿地帯化であろう
。もう1つは、サバクへ戦車隊が入ると、ある地点でミサイル攻撃
を仕掛けるであろう。特に砂嵐が吹いている時が絶好のチャンスに
なる。

この頃合や場所を決めるのはイラク・サイドであるため、英米軍は
その防御をするしかない。それまでは、米英軍を引き入れるため、
何もしない。快進撃になるでしょうね。

英米軍は、ハイテク兵器で攻撃できるから、前回の湾岸戦争より、
優位にあるとしているが、今回はイラク開放(自由)戦争であるた
め、イラクの民衆を大量に殺せない。前回はクウェート開放である
ために、ある程度のイラク国民の犠牲はしかたがないとされていた
。今回は前回と状況が違うことを明記する必要がある。どちらかと
いうと、今回はソマリア紛争介入に近いように感じる。

どうも、ラムズフェルド国防長官は米国の攻撃があれば、イラク国
内で武装蜂起か軍のクーデターがあり、そのために短期の戦争で済
むと考えていたようである。しかし、残念ながらそのようなことは
起きていない。もう1つのフセイン排除作戦は効果があった可能性
がある。もし、フセインが死亡すれば、このフセインとの間の戦争
は早期に完了するでしょうね。

イラク反体制のシーア派が今後行動を起こす可能性は勿論ある。
しかし、米国の言うことを聞かない。米国と組むことは無い。シー
ア派も米国の民主化では敵になっていると認識している。このため
石油地帯でもあるイラク南部をイランに併合する可能性がある。
イランは石油がほとんど出ないので、この経済的効果は大きい。
フセイン後の米軍統治が大変になる。

「中東民主化」とウォルフォウィッツ国防次官が言っているし、そ
れはブッシュの今回の最終的目標と言われている。もし、これが本
当なら、イスラム教は日常の行動を規定する宗教であり、米国がい
う民主主義とは趣が違う。イランは現在でも選挙で指導者を選んで
いるが、これを米国は民主主義と考えていないようだ。イスラム法
典で日常を規定され、宗教裁判所が裁判を行うためで、このような
ことをする国々は悪の国家群と見なしている。このように米国流民
主化を中東で確立すると言うと反イスラム宗教戦争になってしまう
のです。

このような異教徒、非正義の戦争にシーア派が米国と組んだ武装蜂
起するはずがない。米国の今後の攻撃をイラクシーア派の独立に利
用するだけである。それより、米国が中東の民主化と騒げば騒ぐほ
ど、中東諸国やイスラム教国家は反米になっていくように思う。

ブッシュの演説には聖書の引用が多いし、ブッシュは世界的使命を
帯びて、サタン(フセイン、イスラムテロ)と戦うという。ヨハネ
黙示録でもその他の予言集でも、最後の時期、キリストの再来とし
て、世界的強国の指導者がサタンと戦うと記載されている。そして
最初はそのサタンに圧勝すると書いてある。しかし、カトリック社
会では強国の指導者、それこそが真の反キリスト(サタン)と考え
ている。

ローマ法王が反戦をいうのは、どうもファティマ第3予言と予言体
系を知っているためであろう。この同じ思いをフランスのシラクは
抱いているようだ。フランスはあの有名なノストラダムスを生み出
した国家であり、修道院などカトリック教思索の中核的集団がいる。
このカトリックの影響が強いため、米国がイラクに強権を用いるの
を反対したのだ。

日本でオウム真理教の浅原がハルマゲドンを起こすために、サリン
などの化学兵器を用いたが、その拡大系をキリスト教原理主義者の
ブッシュが世界的にハルマゲドンを起こしているように感じる。
しかし、浅原は宗教家であり民間人であったために、警察が捕まえ
れば済むが、その対比上にあるブッシュは米国大統領であるため、
この影響範囲の大きさが、あまりにも違いすぎる。これが世界を不
幸にするのでしょうね。

イラクサイドの戦術は、どうすればいいのであろうか??
軍事面では
1つには長期戦にする。これは市街戦にすれば市民の犠牲を少なく
する必要から、米軍は攻撃できない。RMAでは市街戦ができない
。それと補給ラインの確保である。この場合イランからの補給しか
ない。イランの後ろにロシアがいる体制を確立できれば、長期戦が
可能になる。補給手段は夜の人海作戦でしょうね。そして、時々
ゲリラ的に英米軍の小部隊や地域司令部を襲う。そして、少しづつ
英米軍人の犠牲者を増加させる。

イラク国内の地理はよく知っていることと、各地に民間人の戦争協
力者が多数いることが必要である。このためには、フセインのよう
な恐怖政治を行う独裁者が居ない方がいいように思う。もしかする
と、フセイン死亡後、米軍統治時も戦争が続き、アフガン以上の混
乱になるかもしれないですね。米国は戦後処理をアフガンでも現在
失敗している。この鍵はイラクのシーア派とイランの結びつきが強
いことで、この勢力がイラク人口の60%である。すると、イラン
からの信仰上からも補給が可能になる。

政治面ではフランス・ドイツにお願いして、ハルマゲドンにしない
よう世界に宣伝する。イスラム諸国には米国民主化とはイスラム社
会の崩壊を意味すると宣伝する。

どちらにしても、異国の地で、かつ周りが敵である所での戦争は米
国が巨大な軍隊を派遣したとしても大変である。今回はアフガンと
違って、地元に味方になってくれる軍隊がいない。クルドとトルコ
の衝突やシーア派とスンニ派の衝突も米軍の懸念事項としてある。
このため英米陸軍しか頼りにならない。正規軍に有効な近代兵器の
問題より非正規軍が活躍する地域住民の感情の問題の方が大きい。
特にフセイン排除後はそうなるでしょうね。

米国には大義名分もないし、世界的な支援体制もない。ブッシュの
戦争は米国にとっても得るものより、失う物のほうが多いように思
うが、どうであろうか??もちろん、フセインのような独裁者を排
除するのはイラク民衆も歓迎かもしれない。しかし、その後の混乱
の方が大きいように思う。

ブレア首相はイラクの戦後復興を米国一国主義で進めるのではなく
、国連で審議しようと言っている。
この当たりが、米英と独仏露中が関係を修復して国際社会の連帯を
戻すことができる線かもしれない。米国のイラク戦争に米国国内が
反発した時、米国が反戦に振れた時のことを今から考えておく必要
がある。

日本は米国の支持をすると共に、欧州とも連携している必要がある。
日本の政治家にアジア(中国)派とともに欧州派が必要な気がする
がどうですかね??
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イラク戦争、他の地域を不安定化させるおそれ=ロシア大統領

 [モスクワ 21日 ロイター] インタファクス通信によると
、ロシアのプーチン大統領は、イラク戦争が、旧ソ連圏の共和国な
ど、他の地域に悪影響を及ぼすおそれがある、と警告した。 
 プーチン大統領は、独立国家共同体(CIS)加盟国の政府高官
らとの会合で、「この危機は、地域戦争という枠をすでに超えてお
り、いまやCISなど、世界のほかの地域の不安定の原因となる可
能性をはらんでいる」と述べた。(ロイター)
[3月21日22時6分更新]
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(Fのコメント)
このプーチンの発言は不気味である。米国のイラク戦争は、地域戦
争では済ませれないと。ソ連崩壊の原因であったアフガン化をイラ
クで志向すると、米国弱体化におけるイラクの価値がロシアにはあ
ることになる。

私の見方はロシアが米国弱体化させるためのイラク支援戦争になる
可能性があると思う。どんどんその方向をロシアが指向し始めてい
る。
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[イラク戦争] フセイン大統領、担架で運び出されるのを目撃 
2003 年 3月 22日 

 米ABCテレビは21日、フセイン・イラク大統領が20日の空
爆後、酸素マスクを装着して病院の担架に乗せられ、爆撃された建
物から運び出されるのを目撃した人物がいると伝えた。

 ロイター通信が米政府当局者の話として伝えたところによると、
米国による情報収集活動の結果、フセイン大統領は20日の米軍の
攻撃後、イラク軍と連絡を取り合っている形跡はないという。

 イラク側はフセイン大統領は健在と発表している。
(ワシントン共同)
[毎日新聞3月22日] ( 2003-03-22-01:07 )


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