1200. 読者の声(イラク戦争がらみ)



《ローマ法王はなぜハルマゲドンを防止したいと思うのか》

『国際戦略コラムNo.1192 宗教戦争の勃発』興味深く読ませていた
だきました。ハルマゲドン=人類の最終戦争=地球の滅亡=恐ろし
いもの
という図式は、ノンクリスチャンの間では広く一般的なものですが
クリスチャンにとってはそうではないはずです。

ハルマゲドンは神と悪魔との最終戦争であり、この戦争で神が勝利
することはすでに決まっている真実であり、神を信じるクリスチャ
ンたちは、この苦しい世の中から開放され、神の支配する千年王国
に挙げられるのですからよろこばしいことなのです。

キリストが再臨される時、最初に掲挙されるか地上に残されて再度
ふるいにかけられ、信仰を試された後迎えられるかという問題に対
する不安はあるにしても、確固たる信仰を持っている人達にとって
のハルマゲドンは神の支配する楽園の始まりだと認識されているは
ずです。

ではなぜローマ法王は、その到来を喜ばないのか?
プロテスタントの立場からすると、カトリックは異端、つまり霊的
には悪魔の支配するまがいものということになります。
キリスト教でいうところの神は三位一体(父・子・聖霊)の唯一神
で、それ以外に決して神とするものがあってはならないのですが
カトリックには聖母マリア信仰があります。

これは唯一神の原則に反します。つまり彼らは偶像を崇拝している
ことになり偶像をかつぎだして民を惑わすのは悪魔の技です。
偶像を使って神への信仰を失わせ、ともに滅びの道を歩む人間を
ひとりでも多く獲得しようというのが悪魔の狙いです。
(信じる者は救われる=信じない者は救われないのですから)
悪魔をベースにしている、という点で霊的な一致がみられるので
目に見える世界では「世界宗教会議」などを開いて「お互いの宗教
を認め合いましょう」ということができる。
プロテスタントのクリスチャンには決して出来ない悪魔との迎合です。
このようにして悪魔は、仲間を一同に集めせっせと最終戦争の準備
をしているし、自分が滅びるとわかっている戦争の始まりを出来る
限り遅らせたいと考える。
それでもハルマゲドンは近いし、キリストの再臨も近いはず、とい
うことになる。

―――――以上は、聖書主義に非常に偏った考え方ではありますが
なんとなく、昨今のローマ法王および世界の宗教家の動向にぴたり
当てはまっているように思われましたので、ご参考まで。
私の知る限り、上記のような聖書主義的立場を表明している教会が
世界的に教会員数を増やしている成長教会のかなりの部分を占めます。

宗教論になりますので、MLに掲載いただく類のものではないかと思
いますがそのあたりはご判断にお任せします。     やまなか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(Fのコメント)
聖書絶対主義を解説いただいて、ありがとうございます。
そのとおりのことを福音教会は言っていますね。
カトリックにはマリアからのファティマの第3予言があり、これも
公式に認めています。どうもキリストに似せた反キリストがハルマ
ゲドン時には登場しますが、カーターの文にはあたかも聖書を多用
するブッシュが反キリストであるようなことを書いています。
勿論、ぼかしていますが、読む人が読むと分かるようにしてある。

サタン(反キリスト)と教会の戦いとカトリックは規定しているの
ではないですか?このように感じて宗教戦争と言ったのです。
もう1つ、最終戦争の時、ロシアの役割を聖書は強調しています。
この状況も、現状とよく似ているように感じます。
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ロシアの影、への追加。

>ロシアのKGB人脈の情勢分析力は侮りがたい。今後の世界情勢は
>このロシアの国際政治感覚とその動きがキーになるように思う。

実際、そのとおりだと思う。
とにかく、モスクワにいたときに感じたのは、日本で思っているよ
りも、ロシアという国はソ連時代に相当数の共産圏拡大のために、
アジア、アラブ、アフリカからの留学生受け入れを行っていたよう
だ。

その延長で現在もモスクワでは、かなり多くのアラブ系やアフリカ
系の留学生を見かける。当然、北朝鮮、韓国、中国、ベトナムから
も多かった。

特に、アラブ諸国からの留学生は、石油資源系の専門大学に多く集
まっているようで、アフリカ各国からの留学生もいるようで、彼ら
のロシア語の語学力は、たいしたものという定評もあった。

また、当然のことながら、ロシア系のユダヤ人の勢力は侮れないも
のがあり、政治、経済、文化面でもトップクラスにいる大半がユダ
ヤ系。
イスラエルへの移民の数も半端ではなく、あちらでは余裕でロシア
語が通じ、ロシアの俳優が引っ張りだこだという話だった。

近年、イスラエルという国自体が、ロシアに強い関心を向けている
のか、相当に、ロシアにいるユダヤ人の青年招聘に力を入れていた。
が、一方で、ジョージソロスの財団が、建物の所有権や期間の問題
などで、政府から圧力をかけられて、取り押さえられる事件もあっ
たし、なかなか、ユダヤ問題はロシア国内で一筋縄でいかないらし
かった。

余談だが、二年ほど前にモスクワ郊外で起きた事件で、「ユダヤ人
出て行け!」というプラカードを外した勇敢なロシア人女性が、仕
掛けられていた爆弾によって、失明寸前までいったときも、イスラ
エルが、すべて無料で自国まで連れて行き、無事回復させた。
その結束の強さと、迅速さは、ただならぬものがあった。

しかし、逆に言うと、それくらいロシア国内でも、ウクライナなど
でもユダヤ人に対する風当たりは強いし、なにかにつけて、世の中
が悪くなると、ユダヤ人が悪いと言う風潮が残っているということ
だろう。

>米英に対抗するには独仏だけでは安保理事会を切り回せない。露が
>いることによって、独仏の勝ちの可能性が出る。

今のロシアの政治論調を読むと、かなりアメリカ寄りというより、
欧米寄りに傾いている気がする。ただ、ロシアとしては、いまだに
ヨーロッパでは二流国扱いされ、ビザ問題や、飛び地のカリニング
ラードを巡って、有利に扱ってもらえないジレンマがある。

さらに、元は属国的な立場であったし、現在も、ロシア側には、
そのような意識が残っている、バルト三国やポーランドの態度が、
かなり、強烈にヨーロッパ寄りであることに対して、不愉快が残る
。これは、そう簡単に片付かない問題だろう。

また、ロシア聖教の教皇のような立場に当たる、アレクセイ二世が
、非常にローマ法王との対話を避けたり、あからさまに、ロシアへ
のカトリックの進出を国ぐるみで、妨げたりする方策に出ているこ
とから、ヨーロッパとの宗教的な対立色も非常に強いと感じられる
。
(ウクライナ、ベラルシアなどを巡っての攻防は近年非常に激しい
)

不吉というか、なんというか、一年ほど前にモスクワ唯一のカトリ
ック教会(ポーランド人建立)で、ローマ法王の法話を衛星中継し
ようとした日、本人の急病が原因で突然取り止めになっており、ロ
シアという地は、どちらかというと宗教的な意味でも、西欧的な範
疇に、そう簡単に入りにくい部分が強いのではないかと思われた。

今回のことでも、どっちつかずな態度を取りながら、最も巧みな外
交を行い、今後、あわよくば、アメリカの背後で息を静めながら、
実際には、その後を見通して世界を牛耳ろうとしているのは、もし
かすると、プーチンなのかもしれない。

以上 ロシアについて参考まで。
CHOCO
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ブッシュ政権とネオコンに、政治的勝利はなくなった。

安保理決議無しでの、イラク攻撃に出るブッシュ政権は、軍事的勝
利を得ても、政治的な敗北しか残らない。(まず、国際世論は、
すべて批判に回り、その危険性を認識するであろう。これからのア
メリカの言う理念に対しては、誰も信じなくなるはずだ。)

もちろん、軍事行動を起こさなくても、支持者の求心力を無くし、
政権はもたないに違いない。
つまり、この段階で、ブッシュ・ネオコンの政治的敗北は決まっ
たのである。

イラク戦争に突入し、フセインを取り除くまでは、アメリカ国内は
高揚するであろう。また、ユダヤ系の支援(マスコミ等)も得られ
る。

しかし、熱がさめ、事実上、イラクが押えられれば、アメリカ国内
での主導権争いにもどるのは間違い無い。イスラエルの安全が一応
確保された段階で、舵を切るはずだ。(あるいは、パレスチナ人百
万単位の、ヨルダン・イラク方面への強制移住=追放で話しが出来
ているかも)イスラエルの取り分は、ヨルダン川までだ。(それが
彼等の、中期的な領土野心だからである。)
その時点で、石油利権・中東支配の為の戦争であったことが、覆い
隠せなくなる。

そして、テロが、アメリカ国内・中東で、頻発するに違いないのだ
。次に北朝鮮に軍の一部が向えば、イラン=シーア派は、次の次の
標的として、将来必ず自分達の身の上に、米軍が襲い掛かるのを予
見するであろう。(イランは、湾岸と、カスピ海という利権に直結
している。からだ。)民主化プログラムは、周辺王国を不安定化す
ることも考えられる。

しかし、ブッシュは、次ぎの大統領選で敗北するのだ。つまり、米
・民主党は、汚い仕事はブッシュにやらせて、果実は自分のモノに
しようと考えるだろうからだ。

また、北朝鮮に対する軍事行動には、イスラエルの利益に結びつか
ないから、サポートを受けられるとは思えない。(もちろん、周辺
諸国は戦争に大反対するだろう。)

北朝鮮は、アメリカが、国連決議を蹴って、イラク戦争に突入すれ
ば、ますます国際社会の言うことを聞かない恐れがある。
米国による、金王朝の政体保証を求めるだろう。その取り引き手段
は、核保有以外ないという思考に傾くはずだ。つまり、イラク戦末
期に核実験も有り得ることを示している。(完成していればだが。
)印・パが保有していることも、間違った判断を与えるにちがいな
い。

アメリカは、早期にこれを取り除く計画を立てるだろう。在韓米軍
の引き上げの話が出ているのは、実は、自分達が、事実上の人質に
なっていることに気がついたからに他ならない。一度、韓国南部か
日本ぐらいまで、米軍を、戦闘態勢のまま、引くはずだ。
槍は、繰り出す前に手前に引かれる。

この状態で、北朝鮮を交渉につかせ、核廃棄が出来なければ、韓国
は破壊的影響を受ける。
中国・ロシアへは、大量の難民が流入するだろう。日本も、米軍の
攻撃決定報道が流れたとたん、国内で、テロ、撹乱事故の多発、
風船爆弾によるBC兵器に見舞われるだろう。つまり戦場は、日本国
内で起こるのだ。日本経済も破壊的影響を受けるだろう。それは、
どうしても避けたい。

しかも、ネオコン達にとって、表面上はともかく、米国の選挙権の
ない(権力の維持に関係のない)韓国人や、日本人にいくら犠牲が
でても関系ない話なのだ。それを見誤ってはならない。

アメリカ産軍複合と、イスラエルの損にならなければ、何事におい
ても、自分達の利益を追求するだろう。(自分達の利益を選別し、
力で、直線的に追い求める。それが、ネオコンの正体だ。)

無定見な、先制攻撃論もあるが、それでは、相手を何百万人殺せば
いいのか?
いっきに、<核>を平城に落とすというのか?

金正日は、シェルターに潜みながら、自分の命にかかわるまで、
いくらでも「死ね」と命ずるだろう。(美女と、酒に囲まれなが
ら。)
やはり、必要な戦略は、金正日本人と、その周りを、ピンポイント
的に取り除く方法を模索するしかない。
北朝鮮は、金正日を守る為だけのメンタリティで統一されている。

こういう政体と硬直した軍事組織は、頭を取ると、機能不全に陥り
やすい。Rのように自己判断で動く機能が無いからだ。そこがイラ
クとは違うところだろう。彼等にはイスラムというバックボーンが
あるし、周辺のバックアップもある。

北朝鮮にはそれが無い。中国首脳は、最近、朝鮮半島で米国と兵戈
を交えることは無いと明言している。もちろんロシアは、そんな儲
けのないことはしない。(北朝鮮には、岩と荒れた畑と、飢えた民
衆しかいない。どこにも利権がないのだ。それより、体制が変われ
ば、京義線という、シベリア鉄道の付加価値を増すものが、円滑に
利用できるようになる。)

日本は二つの演技をしなくてはならない。
一つは、国際的枠組みを作り上げることである。
これは、日本、または北朝鮮のメンツ、あるいは、世論を押えるた
めに必要である。(譲歩的な条件を国民に説明する大義名分がいる
。)また、アメリカの暴走を押えるためにも必要だ。どう、気づか
れずに、日本が手綱を確保するかである。

もう一つは、アメリカを交渉のテーブルにつかせ、日本の望む条件
で、会談の方向が決着するよう、ヒソヤカに誘導することである。
(幸い、アメリカは、北朝鮮の核以外は、プライオリティは低いよ
うだ。また、中東のゴタゴタは簡単には収束しない。)

<アメリカの暴走を押えながら、アメリカの力をバックに、北朝鮮
に条件を飲ませること。>これが重要な点だ。その為に、日韓の水
面下での緊密な協力は、最も必要とされるプレーだ。主に、韓国は
、北朝鮮に働きかけ、日本は、主にアメリカに働きかける。

戦争を回避する。この一点において、日韓の利害は完全に一致して
いる。
その為にも、周辺国多国間枠組みを形成する方が望ましい。

そして、実効的な査察と核・大量破壊兵器の廃棄を勝ち取ることと
、国内の情報開国(民衆との接触)を条件に、食料支援、限定的燃
料支援で延命させるのだ。外堀を埋めずに、無理押しするのは愚策
だろう。そのために太陽政策がある。(ニコニコする為にあるので
は決してない。)
要は、金正日に安楽な生活がこれからも続けられるという幻想を与
えておくことだ。その間、彼は、暴発しないだろう。
安楽なベッドから、突然の拘束、あるいは死、これしかない。
反撃に身構えている人間を追いつめても、いいことはない。チンピ
ラの反撃ほど、破滅的なものはない。

国交回復は、急ぐ必要は、まったくない。金正日体制が崩れた後の
(あの体制は、もう、絶対に長続きしない。)、国家建て直しの時
に結べばいいのだ。半島統一には、多大な経費がかかる。それを一
部負担することができれば、長年、隣国が持つ恨みも薄れるかもし
れない。
隣に、反友好的な国を持つことは不幸なことだ。(まま、あること
だが)
半島統一が、東アジアの安定にどれだけ役に立つことであろうか。
日本が求める繁栄は、安定の中にしかない。
そしてこれが、恐竜どもを出し抜く知恵でもあるのだ。

                  まとり
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イスラエル・アメリカのためのイラク攻撃
                3.9 / 2003

2月26日、ブッシュ政権の軍事戦略で最重要視されるシンクタンク
、アメリカン・エンタープライズ研究所(リチャード・パール在籍
)の夕食会に出席したブッシュが、スピーチをした。その中でブッ
シュは、イラク戦争後は、パレスチナのテロリズムに資金提供をし
ている国(イラン、サウジ、シリアのこと)への(強硬)政策を行
うことを考えているとの考えを明らかにした。

 また先週行われたシャロンと米下院議員との会合では、イラク後
にアメリカが取り組むべき三国としてイラン、シリア、リビアをシ
ャロンが指名した。さらに伝えるところによれば、ボルトン国務次
官もイラク後にシリア、イラン、北朝鮮への取り組み(強硬政策)
が必要であることをシャロンとの席上で発言している。

 アフガニスタンとイラクの後にシリアとイランを落とせば、地中
海から中国へ伸びる傀儡政権の巨大なベルト地帯が出来上がる。
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/tyuto.2.jpg

Right takes centre stage 3.4 / 2003
http://www.guardian.co.uk/elsewhere/journalist/story/0,7792,907312,00.html

Conflict and catchphrases 2.24 / 2003
http://www.guardian.co.uk/elsewhere/journalist/story/0,7792,901982,00.html

 リチャード・パール(ペンタゴンのアドバイザー)を始めとする
アメリカの右翼軍事理論家は、イラク攻撃を皮切りとしては始める
中東改造を'creative destruction'(創造的破壊)と位置づけてい
る。この'creative destruction'はイスラエル・アメリカラインか
ら立案されているはずだ。リチャード・パールは最も強力にイスラ
エルを支援している。

 イラク攻撃を単なる石油覇権獲得と考えるのは事象の半面を見て
いるのに過ぎず、アメリカが「9.11」を演出して最終的にイスラ
エルとアメリカのための中東改造に着手したという仮設も成り立つ。

 中東アラブ諸国の政権転覆はサウジアラビアはもちろん、最終的
にはエジプトもそのターゲットなると前出記事ガーディアン紙の
Brian Whitaker氏は述べている。

 また彼によると、イスラエル人はパレスチナ・テロ資金はEU諸
国からの提供もあると見ているそうだ。

DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/
==============================
変質・・・・・S子 
     ==未だ若き米国へ告ぐ==
米国によるイラク攻撃を前にして、今世界の動きがぴたりと止まっ
たようだ。というかこれを注視せざるを得ない状況にある。もはや
イラク攻撃は不可避であるという確信報道が大半を占め、後は時間
の問題となっている。

米国が地政学的にどう考えても意味のないイラク(中東)に必要以
上にこだわり続ける背景には、世界第二位の石油埋蔵量を誇るイラ
クの石油利権を独占したいからだとか、不安定な基軸通貨であるド
ルからユーロへ取って代わられることへの反発であるとか、カトリ
ック教対イスラム教の宗教戦争であるとか、様々な見解が流れてい
る。

このことは米国に内在する矛盾が複雑多岐に及んでいることを示す
とともに、イラク攻撃に対する世界の関心の深さを如実に物語って
いるとも言える。
また、米国の好戦的な生き方に対する批判もかつてなく高まり、
それと呼応するかのように世界の各地で反戦運動も広がりをみせて
いる。

米国の好戦性は彼らの歴史がまだ浅いということにも一因がある。
ゆえにローマ帝国をそのお手本としているようだが、自国の歴史を
もたない米国にとっては自らの経験に学ぶしかないのである。
 
軍事力にものをいわせて今日の帝国を築き上げたことは米国にかな
りの自信をもたせ、それが動かしがたい事実となって更に米国を戦
争に駆り立てていることは間違いない。しかし、ベトナム戦争の敗
北による後遺症が米国の戦争を大きく変質させてしまった。

私達はそれを湾岸戦争で知ることになるのだが、ハイテク戦争の脅
威は世界の度肝を抜いた。おりしも歴史は冷戦終結により世界秩序
を失くし、そのバランスを崩し世界もまた大きく変質しつつあり、
動揺は隠せない。
 
が、米国にとってはまたとないチャンス到来である。9.11テロ
事件以降の米国の変質は平和を希求する私達にはおよそ考えられな
いことであり、21世紀という輝かしい未来に向けて大きく開いて
いた心は瞬く間に萎縮してしまった。世界が萎縮してゆく中で唯一
米国だけが異常なまでに武力行使容認の単独行動に走りはじめてい
る。若い米国の暴走はもはやとどまることを知らない勢いだ。

戦争は根本的なところでは、人の命の奪い合いであることに変わり
はない。だからどうしても感情論になり、人道的見地からものを言
ってしまいがちになるのは避けられない。かつての太平洋戦争では
これほどまでに書かれたことがあっただろうか、というほどのおび
ただしい遺書が残されている。

負ける戦争であったことは戦場に赴く兵士達にはわかっていたよう
だ。神風特攻隊や人間魚雷回天は、今日のパレスチナ自爆テロと何
ら変わることはない。
誰でも自らの命を断ち切ることは容易ではなく、好き好んで死に行
く者など誰もいない。

そんな彼らの心の奥底にあるものは、残されてゆく家族への愛と
母国への愛だけである。自らの命と引き換えに愛するものへの幸福
を願い、日本の繁栄を願い自らを鼓舞し、二度と帰ってくることも
ない光の世界へ旅立つ覚悟を決め、自らの命を崇高なものへと高め
てゆくしか道はなかったのである。

生まれた時代が悪かったなどとは考えるべくもなく、私達もまた、
今日の混迷しきった日本を生きるはめになろうとはまったく思って
もみなかったことであるが、人は与えられたその時代の中でいかに
自らの命を全うしてゆくのかと全力投球してゆくしかないのである。

戦後の奇跡の繁栄と言われた日本の姿は、この英霊達の無数の魂の
叫びや必死の願いや思いが、戦後の日本列島を覆っていたから可能
と成り得たのではないかと、残された遺書のひとつひとつを読みな
がら私は真剣にそう思った。

そして遺族は残された遺書の言葉に込められた兵士達の思いだけを
心の支えに、戦後という新たな戦争をそれこそ必死で生き抜いたの
だろう。今日日本が経済大国に成り得たのも、これらの人々のおか
げであることは間違いなく、私達は一層の感謝の念を抱かなければ
ならない。

今回米国がイラク攻撃をするとなれば、変質した戦争の行き着く先
は核戦争でしかないことは明白である。そうなれば人類存亡の危機
であり、果ては地球滅亡へと繋がる可能性もある。
一体米国の野望はどこまでゆけば気が済むのであろうか。

しかしながら今日のひっ迫した危機を迎えて世界の歩調は
「NO、WAR!」ということで一致団結しつつあり、米国の暴走に歯止
めをかけようとしているのも確かだ。地球というひとつの星を共有
しているという理念は、人類共通の思いである。

未だ若い米国の歴史は始まったばかりであるが、突出した軍事力だ
けで世界の覇権を手に入れることは困難であり、米国が衰退への道
を歩み始めていることは世界の認識となりつつあるのは隠せない。
21世紀、歴史は大きく変質し始めている。
==============================
『亜空間通信』511号(2003/03/12)
【「米が戦争にこだわる本当の理由」(ニューステ)の真相はシオニスト方針なり】

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

一昨日(2003/03/10)、新聞のテレヴィ欄を見ると、テレビ朝日のニュースステーショ
ンの項目の冒頭に、「開戦前夜・・・米が戦争にこだわる本当の理由」とある。

どうせ薄味とは思いつつも、一応録画して、昨日(2003/03/11)、食事時の副食代わり
に早回しで見た。何のことはない。今や周知の事実、「ネオコン」、ブッシュの鷹派
顧問たちが、1990年に作成していた「イラク先制攻撃」の論文のことでしかない。現
地取材で、物々しい作りだから、一般には、これでも新情報として通用するだろう。

 しかし、その奥の奥の「真相」は、私が訳出した『偽イスラエル政治神話』の中に
登場する。原著者は、フランス共産党の元政治局員として日本の左翼の世界でもかつ
ては著名だったロジェ・ガロディであり、その背後には、多くのホロコースト見直し
論者がいる。「ホロコーストの大嘘」を見抜けないか、恐れて逃げ回っているだけの
自称ジャーナリスト、私の呼び名では、「じあゃらじゃらなあ砂利すっとっこどっこ
い」どもは、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」、真の真相には近寄ることすらできな
いのである。

 以下は、すでに3年前から電網で無料公開しているもので、911以後にも、何度か、
その重要性を電網で指摘した。

http://www.jca.apc.org/?altmedka/nise-26.html
『偽イスラエル政治神話』(その25)
3章:諸神話の政治的利用(その2)
1節:(その2)
[外部資金による“偉大なイスラエル”への野望]

イスラエルには、外部からの資金が溢れるように流入した。
1、ドイツとオーストリアからの“賠償”。
2、アメリカからの無条件な贈与。
3、“ディアスポラ”からの献金。
 これらの流入資金に力づけられて、イスラエルの指導者たちは、外交政策の中で、
“偉大なイスラエル”の実現という途方もない野望を抱くことができた。
 その野心の正確な証言となる論文が、エルサレムで発行されている世界シオニスト
機構の機関評論誌、『キヴーニム』(指針)[前出。14号、82・2]に掲載されてい
た。論文の題名は、「一九八〇年代のためのイスラエルの戦略計画」であり、つぎの
よう主張が述べられている。
 《中央集権的機構として見た場合、エジプトは、特に、ますます深まるイスラム教
徒とキリスト教徒の間の対立を勘定に入れると、すでに死体同然である。西欧の最前
線におけるわれわれの一九九〇年代の政治的目標は、エジプトを明確に、その地理的
条件にもとづく各州ごとに分割することでなければならない。
 ひとたびエジプトが、このように分解して中央権力を失うならば、スーダンや、リ
ビアや、その他の離れた国々も、同様の崩壊に至るであろう。上エジプトにコプト人
の国家が形成されたり、その他、さして重要な力を持たない地方政権が生まれたりす
ることは、歴史的な発展への鍵であり、現在は平和協定の締結によって速度が緩まっ
てはいるものの、長期的に見て避け難い必然的な結果である。
 西部戦線の状況は見掛けとは違って、東部戦線と比べれば、はるかに問題が少ない。
レバノンが五つの地方に分割されている状況は、アラブ世界全体が経験する将来の予
告である。シリアとイラクの、民族的または宗教的な基準で決定される各地方への爆
発的な分裂は、長期的に見ると、イスラエルに最も有利な到達目標であり、その最初
の段階は、両国の軍事力の破壊である。
 シリアは、民族的構成が複雑なために、分解の危険にさらされている。やがて、長
い海岸線に沿ってシイア派の国、アレプ地方ともう一つはダマスカスにスンニ派の国、
ドゥルーズがまとまれば、彼らには……とりあえず、われわれが支配するゴラン高原
に、……いずれはフーラン地方とヨルダン北部を含む地域に、自分たち国を希望する
権利がある。……このような国家の成立は、長期的に見て、この地域の平和と安全を
保障するものである。これらは、すでにわれわれの射程距離内の目標である。
 石油資源は豊富だが内部抗争に苦しむイラクは、イスラエルの照準線内にある。イ
ラクの分裂は、われわれにとって、シリアのそれよりもさらに重要である。なぜなら、
イラクこそが短期的に見て、イスラエルに対する最も危険な脅威を代表しているから
である》(『キヴーニム』14号、82・2)
 この記事の原文はヘブライ語だが、その全文のフランス語訳が、拙著『パレスチナ・
神の伝言の土地』(86)に収録されている。
 この膨大な計画の実現のために、イスラエルの指導者たちは、アメリカの無制限の
援助を思い通りに使った。レバノン侵略の最初の襲撃に投入した五〇七機の内、四五
七機は、ワシントンの贈与と同意による貸し付けのお陰で、アメリカからの購入が可
能になったものである。アメリカ人のロビーは、シオニストの“ロビー”の圧力の下
で、自分たちの国の利益に反しても、あえて、必要な財源の獲得を引き受けた。
『キヴーニム』の計画の目標は、極めて遠大で非常に危険な対立に満ちていたが、イ
スラエルのロビーは、作戦の実現をアメリカに託すことに成功した。イラクに対する
戦争は、その最も戦慄すべき実例の一つである。
《二つの有力な圧力団体が、紛争に際してのアメリカの攻撃開始を推進する。
 第一は、“ユダヤ・ロビー”である。なぜなら、サダム・フセインの除去とは、と
りもなおさず、最も強力なアラブ人国家による脅威の粉砕だからである。……アメリ
カのユダヤ人は、大西洋周辺のメディアの仕組みの中で重要な役割を演じている。大
統領と議会とが常に緊張関係にあるため、ホワイトハウスは、メディアを握る彼らの
願望に対して最も敏感に反応せざるを得ない。
 第二は、“財界ロビー”である。……彼らは、戦争が経済を活性化させる効果を考
える。第二次世界大戦と、あの膨大な軍需は、アメリカにとって、一九二九年の世界
恐慌以来まだ抜け切れなかった危機に、終止符を打ってくれるものだったのではなかっ
ただろうか?
 朝鮮戦争は、その後に、また新しいブームをもたらしてくれたのではないだろうか?
 幸多き戦争よ、なんじはアメリカに繁栄をもたらすであろう……》(『フィガロ』
90・11・5)
《アメリカ=イスラエル公事委員会(AIPAC)の政治的影響力は、いくら高く評
価しても、し過ぎることはない。
 ……彼らは、一九八二年から一九八八年の間に、四倍以上(一九八二年には一六〇
万ドルが、一九八八年には六九〇万ドル)に増えた予算を思い通りに処理している》
(『ウォール・ストリート・ジャーナル』87・6・24)[後略]

 以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長


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