1190.地球シミュレーション



地球シミュレーション
得丸です。

地球シミュレータのことはあまり知りませんが、昨年の10月に杭州
で開かれた国際学会で、東大の気候なんたらセンターの住教授が
、紹介しているのを拝見しました。

正直なところ、大きいな(建物が)というのと、速いな(計算速度
が)という印象しかもてなかった。いったいどんなシミュレーショ
ンをやっておられて、どんな結果を出したのか。
あるいは、これからどんなことをやりたいのかは、理解しきれませ
んでした。

コンピュータに計算させなくても、わかることってある気がします
し、そもそもどんなパラメータをどんな条件で初期入力するかで、
結果は決まるでしょうから、そのあたりだけでも、知りたいもので
す。

番組では、どんな紹介だったのでしょうか。

> 膨大な国家予算つぎこんで、こんなプロジェクトがあるんだとい
>う驚き。
コンピュータ会社と建物を作った会社だけがもうかるという仕組み
かなというのは、穿ちすぎ??
公共事業の一環として理解されていて、結果は期待していない?

> (スーパーコンピュータの過程で数値風洞も解説されていましたが
数値風洞と、未来の地球のシミュレーションはどうつながるのです
か? 知りたい。

> 「浮かんだキーワード四つ。性善説、全体主義、荘子、far 
>east のfar」
えーと、
孟子のいう性善説というのは、すべての人間には良心(真理を知る
・求める心)の芽が備わっているというのですが、おそらくお嬢さ
んは、「きっと、こんな番組を見た善男善女は、地球環境問題を回
避するための、努力がなされているのだなあ。その努力の一環とし
てこのシミュレータはあるのだろうな」と善意に解釈するのだろう
と思ったのでは。
実際は違うという違和感が生まれたのではないでしょうか。

全体主義というのは、環境問題は大変だ、大変だといいながら、何
も行動を改めないという全体主義のことでは。これは昨年のヨハネ
スブルグサミットのときに、私も経験しました。
環境といいながら、ほしいのは、もっと大きな車、もっとおおきな
家、もっとたくさんの食べ物。
それ以外のことは考えてはいけないから、全体主義なのでは。

荘子は、ちょっと想像しにくいですが、もしシミュレータで計算し
て、世界人口が20年か30年で半減するという結果になったら、おそ
らく再計算して、安泰という結論が導かれるまでやり直すのではな
いかな。もしかしたら、最初から安泰という結果が出たりして、、
、。といった穿った見方かな。そんなだったら、シミュレータを作
る必要はないのに。

Far Eastというのは、日本の学者さんたちの西洋コンプレックスを
思って笑ったのでは。世界のどこにも負けない建屋と速度をもつコ
ンピュータを自慢している姿を笑ったのかも。
実際に大切なのは、ソフトウエアであり、さらにいうと、正しい地
球理解やきちんとした科学的思考法なのに、それがないままに、速
度を自慢している姿はこっけいです。
さらにいえば、じゃあEuropeやUnited States of Americaではきち
んとしたシミュレーションが行われているかというと、日本と大差
ないかもしれない。無駄な金を使っていないだけマトモ?

てなことが次から次へと浮かんだのかなと思いました。
==============================
>冷戦後の防衛管理を具体的にどのように行うべきか
おもしろそうなテーマですね。

僕は、冷戦の終結=世界のグローバル化の貫徹。つまり政治的な線引
きがなくなって、いよいよ世界の津々浦々までが、リカードの比較
生産費説が貫徹する領域としてひとつになった。それがグローバル
化の時代であり、技術の進歩と冷戦の終結によりそれが可能になっ
たのだと思います。冷戦も、ある意味では、グローバル化によって
終結したのかもしれません。

グローバル化とは、外部の喪失です。自由にゴミを捨てたり、只で
資源をもらってくる自然の領域や異教徒の領域がもはやなくなった
ということだと思います。ここ10年の世界同時不況も、グローバル
化が完成して、経済成長に必要な外部経済がなくなったからだと考
えます。つまり、これからの時代、二度と経済は上向かないでしょ
う。

グローバル化して、ひとつの経済圏として結び付けられた世界には
、実は敵は存在しない。お互いに密接に結びついているので、戦争
をする理由はない。だけど、欧米あるいはP5の基幹産業である軍需
産業はそれでは困る。だから無理矢理に敵をでっちあげて、弾薬を
処分しているのがアフガニスタンの戦争やイラク攻撃の実態ではな
いでしょうか。

アメリカのイラク攻撃の目的は、アメリカの武器庫の在庫一掃処分
のためだと思えるのです。武器の場合、実弾演習か実戦で使わない
ことには、次の調達ができませんから。
(軍縮したあとで、追加ミサイルは買えない。あるいは、不燃ゴミと
して処分した後で、追加の弾薬を買うことはできない。生物ではな
いので、腐らないから賞味期限もないですしね)

もしかしたら、アメリカ国内では、アリゾナやネバダのような砂漠
地帯においてすら、もはや実弾演習が自由にできないのかもしれま
せん。環境団体がうるさくなって。

イラクは、むしろ、砂漠のまん中に、見るからに(修正した衛星画
像でもいいから)怪し気な施設をいくつか用意して、CNNに流せばい
いのではないでしょうか。
アメリカはよろこんでそこをピンポイント爆撃すると思います。
アメリカだって、無実のイラク人を殺したいとは思っていないはず
ですから。

得丸久文
==============================
ファシアノス         得丸久文  
 
 かつてパリに住んでいた時(1991-1993)、サンジェルマンデプレ教
会の近くの、芸術大学(ボザール)の周りに点在する画廊をひやかし
ていたら、ファシアノスというギリシャのリトグラフ作家の作品に
であった。
ファシアノスの描く人物は、まるで古代の神話世界を生きる童子の
ように(日本でいうと、三コや八郎の伝説のように)、つぶらな眼を
きっと見開いて、まっすぐに前を見つめている。
ひさしぶりに雑誌の切り抜き(何年か前に、女性雑誌クロワッサン
の「花の教科書」の連載47で、ファシアノスのリトが背景に使われ
ていたのを切り抜いてもっている)をファイルから取り出してみた
けど、やっぱりいい。
21世紀が渾沌と破局の時代を迎えるからこそ、目を大きく開いて、
まっすぐ正面を見据えることが大切なのだと思う。
==============================
21世紀の文学        得丸  

 文学界3月号に、芥川賞作家大道珠貴さんのインタヴューと、受賞
第一作「ガソリン」が掲載されていた。(立ち読みしてしまった)
大道さんとその作品に共感できるのは、そこにまるっきり希望がな
いということを、はっきりと自覚しているところ。
人類は、もうすぐ滅亡すると意識が断固としてあるから、無駄なこ
とはしない、自分自身にとって本当に大切なものだけを選び取って
生きていこうとする強靭な意志が感じられる。
大道さんの作品に比べると、ほかの全ての書かれたものがアホらし
く見えてくる。
たとえば、地球環境問題の深刻さから語りはじめて、結局新しい技
術に期待しましょうとか、持続可能な開発でいきましょうとごまか
すだけの環境問題の専門家の意見とか、さまつな気のもちようで人
生は変わりますなどという宗教家の言葉なんて、欺瞞だらけにみえ
てくる。
21世紀にふさわしい作家と作品の登場を喜ぼう。


コラム目次に戻る
トップページに戻る