1158.イラク戦争近し、されど...



イラク戦争間近、しかし、変な動きもある。それを検証。 Fより

米国が戦争に突入するのは、もう止めることができないでしょうね
。しかし、英国がおかしい。国民の8割が国連決議がないイラク戦
争反対となっている。ブレア首相も国民の意思を尊重せざるを得な
い。ということは、米国にイラク攻撃決議案を国連安保理で認めさ
せる必要があり、そのため、ブレアはブッシュを説得した。しかし
、仏独中露・カナダなど多くの国は今の状態では、イラク戦争に反
対している。なおかつ、安保理で仏中露は拒否権を持っている。

パウエル国務長官は、イラクの大量破壊兵器の確固たる証拠を国連
に見せると言ったために、証拠開示の会議を安保理から外相会議に
格上げして行うことになっている。ここで、確固たる証拠が示せれ
ば、イラク戦は多く国の賛同と参加を得て、実施することになる。
勿論、仏中露も参加する。日本も参加せざるを得ないし、負担も少
しはする必要があるでしょうね。

しかし、もし決定的証拠が示せなかった時は、国連でのイラク決議
は否決されて、英国もイラク戦に参加できないことになる。豪州と
イスラエルなど数カ国の参加しかない実質、米国単独の戦争になる
でしょうね。英国は国民世論上、参加回避にならざるを得ないこと
になる。その時は戦争費用のほとんども米国一カ国で負担するしか
ない。

もう1つ、査察を後2ケ月程度延ばして実施して、その後判断する
という案があるが、ブッシュ大統領は反対している。数週間で決定
するという。このため戦争しかないようだ。

もし、、仏独中露、英国、カナダ、その他多くの国が反対しても、
イラク攻撃をすれば米国の一国主義に対して、多くの国が今後戦争
中でも米国の意思とは違う動きをするし、戦争反対のため戦争遂行
を妨げる動きにも出ると思う。そして、米国内部では反戦活動が盛
んになるでしょうね。
もう1つ、アルカイダが北朝鮮から得た核物質の汚い爆弾を使用し
たテロを米国は勿論であるが、イスラエル、オーストラリアなどに
も行う可能性がある。
戦争費用も嵩むことになり、米国の衰退を早めるように感じる。し
かし、世界景気にも大きな影響を与える。石油価格の高騰が起きる
。2003年から始まる大恐慌と将来言われることになる可能性が
ある。

逆に北朝鮮は、再処理のために燃料棒を持ち出しているなど、戦争
を呼び込む動きをしている。これもイラクとリンクした動きをして
いる。しかし、イラク戦争遂行のため米国はこの北朝鮮を相手をし
ない。できない。パウエル・ドクトリンどおりで、兵力の分散を米
国はしない。

どうせ、北朝鮮は食料も弾薬も石油もないため米国との戦争は出来
ないことははっきりしている。やっても韓国を一方的に砲撃するし
かない。韓国は北朝鮮が暴発しないように、南北の鉄道接続等の交
渉を前進させておく。同朋を爆撃できないようにして、時間を稼ぐ
しかない。しかし、北朝鮮は再処理でできたプルトニュームをアル
カイダやイラクに提供する可能性がある。イラク戦争が長引くと、
この核問題が浮上するし、米国の被害も増えることになる。

米国はイラク占拠をだいたい1ケ月程度で終わると言っている。
このように素早いと他国は何も出来ないから米国は勝利を完璧にで
きる。しかし、市街戦を1ケ月でどう実施するのか米国RMAの実
力を見たいですね。

ハルマゲドンの第2幕目の始まり、始まりか。

しかし、米国ヘッジファンドは、イラク戦争は1ケ月程度の早期に
終了すると見て、かつ戦争後、石油は暴落すると読んでいる。もし
、その読みが違えば、大きなダメージを米国投資家や日本の機関投
資家に与える可能性がある。私は米国ヘッジファンドの読みは外れ
ると思うので、米国ヘッジ・ファンドの逆とするがどうであろうか
??
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2003年02月02日(日)  
仏、軟化の兆し イラク攻撃避けられぬ情勢(SANKEI)
安保理、落とし所を模索
 【ニューヨーク1日=内畠嗣雅】米国のイラク攻撃決断の不可避
が濃厚となり、国連安全保障理事会の常任理事国(米英仏露中)は、
対立する議論の落とし所を模索し始めた。安保理筋によると、一月
二十九日の協議でフランスの発言には微妙な変化があった。ドラサ
ブリエール国連大使は査察の継続を訴えたあとで「イラクの十分な
協力があってこそ査察は有効で、そうでない場合、イラクは安保理
の機能の前にさらされる」と語ったという。

 安保理内は攻撃決断か否かで対立しているが、国連査察団報告に
基づく事実認識では、イラク政府の査察への協力は十分でない▽大
量破壊兵器開発の決定的証拠がみつかっていない−の二点で一致し
ている。理論的な立場の違いは、どちらを強調するかで生じている
格好だ。

 米英両国が、査察への協力不足は昨年十一月に採択された安保理
決議一四四一に抵触すると主張しているのに対し、フランスなどは
証拠なしの方を強調して査察の延長を主張している。しかし、仏国
連大使のいう「安保理の機能」とは、決議一四四一を指すと受け止
められ、妥協が可能なことを示唆している。

 安保理では、一月二十日の国際テロに関する外相協議で、フラン
ス、ドイツが中心となって「戦争反対」の論陣を張った。これに対
して、米国は政権首脳が、イラクのフセイン政権の欺瞞(ぎまん)や
テロとの関係、安保理の責任などを一斉に発言して巻き返した。五
日には、パウエル国務長官が安保理の場で、米国の持つ「証拠」を
提示する。

 パウエル長官の示す「証拠」が「決定的」であれば、フランスな
ども攻撃容認に転じ、安保理が結束して行動できる可能性が強まる
。これが一般の目には判然としない状況証拠だった場合、フランス
が立場を変えるには自国国民を納得させる説明が必要となる。

 ここにきて、しきりに議論される「新たな決議」は、そうした場
合の落とし所になりうる。パウエル長官の提示した「証拠」が判然
としない状況には、この「新たな決議」が安保理の意思統一を示す
ために持ち出されるとみられるからだ。
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イラク「証拠開示」の安保理協議を外相会議に格上げ

 【ニューヨーク=勝田誠】国連安全保障理事会は31日の非公式
協議で、パウエル米国務長官がイラクによる決議違反の「証拠」を
安保理に提示する2月5日の公開協議を、外相会議に格上げした。
外相会議の開催には、全理事国15か国のうち9か国以上の外相出
席を必要とするが、米国の「証拠」開示への国際的関心の高まりか
ら、31日までに、中国と、カメルーンなどアフリカ3か国の計4
か国を除く、11か国の外相の出席が確認されたためだ。

 外相会議は5日午前10時半(日本時間6日午前零時半)に開始
。パウエル長官が「証拠」を示し、全理事国の外相や代表が発言す
る。イラク代表も出席するが、発言の機会は与えられない見通し。
同日午後には、2月の安保理議長国ドイツのフィッシャー外相が昼
食会を主催、これがイラク問題全般を協議する非公開の外相会議と
なる。(読売新聞)
[2月1日11時7分更新]
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米英首脳、対イラクで新決議容認(nikkei) 

 【ワシントン=春原剛】ブッシュ米大統領は31日、ブレア英首相
とワシントンで会談し、イラクに武装解除を迫る武力行使の是非を
巡り、数週間以内に最終決断することで一致した。焦点となってい
る国連での新決議採択について、大統領は「フセイン(イラク大統
領)を武装解除するという意思を示すものなら歓迎する」と、条件
付きで容認する姿勢をみせた。

 ホワイトハウスで会談後、ブレア首相と記者会見したブッシュ大
統領は「この問題は迅速に解決されなければならない」と指摘。同
時に武力行使決断までの期間は「数カ月ではなく、数週間だ」と述
べ、「これを数カ月に遅らせるような企ては米国の抵抗にあう」と
査察継続を求めるフランスなどをけん制した。

 大統領は「国連安保理決議1441号は第二の決議がなくても、我々
に動くことを認めている」とも強調。「サダム・フセインが武装解
除しなければ、他国とともに武装解除させる」として、新決議が早
期に採択されないなど場合によっては、米英による軍事行動もあり
得るとの感触もにじませた。 (10:45) 
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イラク問題:攻撃に9カ国が軍派遣 米国務副長官が明示

 【ワシントン佐藤千矢子】アーミテージ米国務副長官は30日、
上院外交委員会の国連イラク大量破壊兵器査察報告に関する公聴会
で証言し、米軍がイラク攻撃に踏み切った場合に自国軍の部隊を派
遣すると米側に伝えてきている国が9カ国に上っていることを明ら
かにした。また20カ国余りが基地使用や領空通過を許すなどの約
束をしていることも明らかにした。 

 イラク攻撃時の対米協力を約束している国々について副長官は「
リストはあるが、国名は公にしたくない」と断ったうえで、「軍事
行動が必要になった場合、3カ国が基地使用を、22カ国が領空通
過を、9カ国が部隊派遣を、それぞれ約束している」と述べた。ま
た軍事行動が近づけば、協力国はさらに増えるだろうとの見通しを
示した。

 今月25日付の米紙ワシントン・ポストは、米政府が53カ国に
対してイラク攻撃への参加・協力を要請したものの、これまで部隊
派遣に応じた国は、英国、オーストラリア、チェコの3カ国のみで
、他にクウェートなど湾岸4カ国が軍事支援を表明したにとどまっ
ていると伝えていた。

 また副長官は、対イラク武力行使に関する国連の新決議について
「第二の決議は望ましいが、絶対に必要なものではない。過去の決
議がすでにあらゆる手段についての権限を与えている」と述べ、新
決議なしでも対イラク武力行使は可能との考えを強調した。

 ネグロポンテ米国連大使も証言に立ち、同様の見解を示した。

[毎日新聞1月31日] ( 2003-01-31-15:21 )
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イラクの査察妨害手段を米が証明へ 安保理の外相会合で(ASAHI)

米政府は、イラクの大量破壊兵器問題で5日に開かれる国連安保理
の外相級会合で、査察妨害のためにイラク側が「極めて精巧な手段
」を使っていることを機密情報で証明し、査察がこれ以上機能しな
いことを説明する方針であることが1月31日、明らかになった。
米国務省高官が朝日新聞記者に語った。 
 違反を直接示す「決定的な証拠」がなくても、イラク側の非協力
姿勢を裏付ける様々な状況証拠を積み上げ、武装解除に応じていな
いことを証明する狙いとみられる。 

 同高官によると、パウエル米国務長官はイラクの生物・化学兵器
、ミサイル開発計画の存在や、核兵器開発に必要な放射性物質入手
の試みなど、これまでに知られている事実を補強する情報を示す。
そのなかで、イラク側が使っている「さまざまな査察妨害手段」を
説明する意向だという。 

 また、移動可能な生物兵器開発用実験室を示す衛星写真や、イラ
ク政府高官の会話、科学者に査察への非協力を求めるイラク政府の
圧力などの機密情報公開を検討している模様だ。 

 同高官は、イラク側がU2偵察機の受け入れを拒んでいることに
ついて、「隠したい兵器開発計画があるからだ」と指摘、「イラク
は安保理決議が求めた2つのテスト、つまり兵器の申告と、査察へ
の協力でともに不合格になりつつある」と述べた。 

 フセイン政権とアルカイダとの関係については、「アルカイダの
メンバーがバグダッドにいると信じている」と述べたうえ、過去の
査察で判明しながら今回、所在不明になっているマスタードガスや
VXガス、サリンなどの生物・化学兵器がスーツケース爆弾などの
形で米国内に持ち込まれ、使用される恐れがあると指摘した。 

 また、イラク国内にテロ組織が拠点を持つことで、大量破壊兵器
開発技術が「不用意に渡る可能性がある」とも語り、双方の関係が
希薄でも技術が移転しかねない、との懸念も表明した。 (04:11) 
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英国人の8割以上、国連決議のないイラク攻撃に反対=調査
  
 [ロンドン 31日 ロイター] 世論調査によると、英国人の
84%が新たな国連決議なしにイラクを攻撃することに反対してお
り、43%がいかなる状況下でもイラクとの戦争に反対している。 
 調査回答者のうち、戦争に英軍が参加すれば英国を対象にした報
復テロが起こる可能性が高いと考えているのは73%。一方、可能
性は低い、と答えたのは2%だった。 
 同調査はICM社が今週28日と29日に実施し、デーリー・ミ
ラー紙が掲載したもの。同紙はイラク戦争に反対の立場をとってい
る。 
 同調査によると、41%の回答者は新たな国連決議があれば戦争
を支持する、としている。また、9%の回答者が国連決議にかかわ
らず英国は参戦すべき、と答えた。 
 一方、この日から、イラク危機をめぐって米英首脳会談が始まる。 
 デーリー・ミラーは、国連査察団が27日に安保理でイラク査察
の報告を行って以来、英国では反戦気運が高まっている、としてい
る。(ロイター)
[1月31日14時56分更新]
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「イラク攻撃、2月下旬の見方」 ロシア軍高官(ASAHI)

 イタル・タス、インタファクス両通信社は30日、ロシア軍参謀
本部高官の話として「米軍のイラク攻撃開始は2月下旬」との見方
を伝えた。この高官は米軍が集結を進めるペルシャ湾岸地域の兵員
が同盟軍も含め15万人に達した時点で「形式的な作戦開始の決定
が行われる」とし、米国は攻撃開始を事実上決定済みとして扱って
いるとの見方を示した。 
 この高官によると、現在湾岸地域に集結している米軍と同盟国の
兵員は10万人を超え、準備の完了に必要なのは「あと2〜3週」
という。 

 高官は、米軍はイラク攻撃に集中するため数週間前からアフガニ
スタンでの実質的な活動を停止していると指摘。「米国はもうアフ
ガニスタンでの対テロ戦のことなど忘れている」と批判した。 
(20:13) 
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CNNライブ・トゥデイ
スコット・リッター氏のインタビュー
放送日時:2002年9月9日 13:20(東部時間) 
訳:勝見貴弘 2002年9月12日訳 

   ・・・途中から導入・・・

スコット・リッター氏(元UNSCOM査察官):
  . . .イラクの干渉についてもそうだが、もっと大切なのは、い
ま我々が話している事。そう、アメリカの干渉について話すことだ
。事実を正確に把握しておこうではないか。イラク政府は昨日、真
実こそが彼らの武器であると言明した。自分について嘘や俗説が広
められているときに、何もしないで座視していられるわけがない。
  最近広められた嘘や俗説の中に、イラクが9-11事件のハイジャッ
ク犯たちと何らかの関わりを持っていて、ハイジャック犯らはサル
マン公園の軍事キャンプで訓練されていたというのがあった。私は
イラク政府に対し、軍事キャンプをメディアに公開するよう勧めた
。そして彼らは実際にそうした。我々はメディアを実際に現場に連
れて行き、 そこが人質の救出訓練を行うキャンプ場であることを見
せた。あの場所は、イラク政府やイラク軍部隊によって過去10年以
上にも渡って占拠されてきた場所だ。このことで、9-11事件のハイ
ジャック犯たちが同施設で特別な訓練を受けたなどという俗説が覆
ることを期待する。 

フィリップス :
  スコット、君はイラク攻撃については合衆国がレトリックばか
りで事実を挙げていないと言うが、合衆国大統領が、サダム・フセ
インが大量破壊兵器を隠し持っておりそれを使おうとしていると言
っているのだよ。君は一般市民となった筈だが、君は合衆国大統領
やそのスタッフよりも確かな情報を持っていると主張するのか? 

リッター:
  私はただ、私にはもっと事実を挙げ、納得の行く分析でその根拠
を挙げることができると言ってるだけだ。騙されてはいけない。合
衆国大統領は嘘をついて戦争を始めようとしたのはこれが初めてじ
ゃないんだ。ベトナムのときに、トンキン湾決議によってどれだけ
深く巻き込まれることになってしまったか、思い出してみてくれ。
私はいま、まったく同じことが起きているんだと思う。
  ブッシュ大統領に確固たる理由があるなら、現政権にイラクに対
して宣戦布告するだけの確固たる理由があるのなら、そろそろその
理由をはっきり示すべきだ。戦争のレトリックはもうたくさんだ。
米軍兵士が戦争に狩り出されるのを見るのはもうたくさんだ。イラ
クに関することでアメリカが言うことに何の根拠もないという理由
で、世界がアメリカのスタンスを否定するのを見るのはもうたくさ
んだ。イラクの兵器開発は懸念している。私はずっとそれを懸念し
てきたからこそ、イラクは国連の査察団の入国を無条件で許し、干
渉のないアクセスを与えるべきだと進言してきた。
 海兵隊をイラクに派遣することばかりではなく、兵器査察官たち
をどのようにしてイラクに戻すかについての話し合いを始めてほし
いものだ。 

フィリップス :
スコット、つまり君はサダム・フセインが言うことを信じると? 

リッター:
すまないが、あたかも私がそう言ったように言うのはやめてくれな
いかな。 

フィリップス :
質問を訊ねてるだけ。ただ質問を訊ねてるだけだよ。 

リッター:
  私は自分の経験を信じる。君は私に質問をしていただけだと言
ったね。ならばこれが私の答えだ。私は私自身を信じる。自分が経
験したことを、私は信じる。自分がこの目でたことを、私は信じる
。現時点で、私はイラクにおける自分の10年以上の実施経験をもっ
てしても、ブッシュ政権がイラクについて語る事の根拠となる情報
をピンポイントできない。
 だから、政府が主張するように新しい情報があるのなら、それを
テーブルの上に出して、アメリカ国民に示してほしい。推測的なレ
トリックをばら撒いている場合ではないはずだ。死ぬかもしれない
米軍兵士を戦争に差し出すというのだ。根拠となる事実がなければ
それを支持できる筈もない。 

フィリップス: 
 しかし、サダムがこれらの兵器をクルド人に対して使用したとい
う厳然とした事実もあるんだよ。これは、誰もが見たことじゃない
か、スコット。 

リッター:
ああ、確かにそれらの兵器は使われたが、それは1988年のことだろ
うに。 

フィリップス: 
つまり、いまではもう存在しないと? 

・・・クロストーク・・・
リッター:
. . .は、サダムにこれらの兵器の保有を明確に禁じた。 

フィリップス: 
つまり、1回は使用したが、それがあまり効果がなかったのですべて
破棄されたと言いたいわけだ。 

リッター:
 参ったな。頼むからちゃんと私の話を聞いてくれないかな。私は
、1991から1998年の間はUNSCOMがイラク国内で活動し、クルド人に
対して使われた兵器の生産工場はそのときに破壊されたと言ってい
るのだ。もしイラクがそれらの兵器を現在も保有しているのだとし
たら、1998年12月に査察団が引き揚げた後にこの工場を修復してい
なければならない。
 ブッシュ政権がイラクが実際に化学兵器を再開発したことを証明
しない限りは、1998年のミスは誰にも咎める事はできない。確かに
あれはその事実自体をなくしてしまいたいほどの酷い過ちだった。
しかし、1998年や1988年に遡ってイラクが当時それらの兵器を保有
していたからといって、いまもそれらを保有しているに違いない主
張することはできない。そんなことを理由にいま戦争に踏み込もう
としているわけではない筈だ。 

フィリップス: 
スコット、イラクへの旅費は誰が払ったんだ? 

リッター:
旅費は自分で払った。請求書や口座をチェックしたいのならばご自
由にどうぞ。 

フィリップス: 
 君がオンエアのうちは何もチェックすることはできないね。だか
ら君の言葉を信じるしかないようだ。
 じゃあ、もう一つ君に質問がある。クリントン元大統領すら、『
ラリー・キング・ライブ』に出演したときにオサマ・ビンラディン
について何ら対策を講じていなかったことを後悔していると言って
いた。そして何が起きたか。サダム・フセインについても、何もし
ないでいられるというのか? 

リッター:
 悪いが、私は1991年からサダム・フセインと戦っている。それか
ら7年間もの間あの国で大量破壊兵器の廃棄に努めて来たんだ。サダ
ム・フセインについては十分色々やってきたと思う。国際社会は、
サダム・フセインの兵器を奪うべきだとした。そして私は、成人し
てからの大部分の人生をそのために費やしてきたんだ。
 君は、サダム・フセインを権力の座から引き降ろさなかったこと
を後悔していないか私に問いたのかな。アメリカ以外でも、そんな
権利のある国が存在するのだとしたらそれを許す国際法が何なのか
見せてほしいもんだ。サダム・フセインがなぜ合衆国にとって脅威
なのかを示す確固たる証拠があるのならば、私は勇んで再び奴と戦
うよ。合衆国が脅威にさらされるのをただ黙って見過ごすつもりは
ない。 
 だが現時点では、サダム・フセインやその政権が合衆国が戦争す
るほどの脅威であることを示すような根拠は誰も示せていない。 

フィリップス: 
 つまり、現在君はサダム・フセインはいかなる大量破壊兵器も保
有しておらず、合衆国やその他の国々に対して大量破壊兵器を使う
ことはないと言い切るんだね。 

リッター:
 頼むから、あたかも私がそう言ったような物言いはやめてくれな
いかな。イラクにおける武装解除は未だ完了したとは言えない。
1998年以降やり残してきたことがあるのも確かだと思う。だが、そ
れを最後までやらせてくれなかった。だから私は抗議して、辞任し
た。 
 それ以来、私は査察官たちをイラクに引き戻すために奮闘してき
た。委員会が定めた目標をすべて遂行することによって、イラクを
武装解除するためだ。サダムをスパイしたり、不安定化させるため
ではない。イラク政府には査察団の受け入れを進言してきた。それ
によって、これを最後に国際社会にイラクの兵器開発プログラムの
実態がすべて明らかにされるだろうと考えたからだ。
 1998年に私はこう証言した。査察団がイラクを離れれば、イラク
は半年の間に兵器開発を再開できる、と。それからもうすぐ4年も経
つ。イラク国内で何が起きているのか、私にはわからない。誰も、
イラク国内で何が起きているのかわからない。イラクが兵器開発を
再開したという根拠となる事実が挙がらない限りは、戦争に突入す
るよりも、査察団のイラク受入れをどのように実現するかをよく考
えたほうがいいと思う。
 戦争を軽視すべきではない。私は軽視しない。私は、12年間に渡
って海兵隊に所属した。私は後輩の海兵隊員たちの命も尊いと思っ
ている。彼らの生命を危険に晒す前に、彼らを犠牲にする前に、せ
めてそれが価値ある目的のための危険であり、犠牲であることを示
そうではないか。

フィリップス: 
 仮に査察団がイラク国内に受け入れられとして、君は本当にイラ
ク国内で彼らが自由に動き回れると思うのか? 

リッター:
 それはイラク政府側の問題だ。国際社会は十分なほどに、イラク
に無条件の査察団受入れと、干渉のないアクセスを与える必要性に
ついて忠告してきた。実際、これは私が先日イラク議会に向けたメ
ッセージと同じである。昨夜はサブリ外相に。そして今朝は、ラマ
ダン副大統領にに進言してきた。
 国際社会の求める事になんら反することは言っていない。イラク
には選択肢がない。それだけは明確にした。査察団を受け入れるか、
破滅を選ぶかだ。後はイラク側の問題だ。査察団を受け入れるのな
ら、国際社会の意向に従うかどうかは、イラクが決める事だ。

フィリップス: 
元UNSCOM査察官のスコット・リッター氏でした。ありがとうござい
ました。 

リッター:
ありがとう。 


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