1155.文化という観点での、日露比較



文化という観点での、日露比較。

個人的なことになりますが、やはり長期にロシアのような国にいて、
突然、日本に帰国すると、どうしても一種の違和感を隠すことがで
きません。
それは生活のいろいろな面で現れてきますが、とにかく、やはり
大陸の余裕というのでしょうか。たとえ、収入が300ドルに満た
ない庶民でも、ロシア人というのはなにかのんびり暮らしていて、
彼らには金で買えないものを大切にし、友情、愛情、義理人情など
を大事にする古風さがある気がするのです。
そしてまた、文化や芸術に対する態度も、なにかとても真摯なもの
がある。

もちろん、日本国内で得られるロシアに関する情報を集めてみれば、
とてもじゃないですが、あんな国が文化的に見ると、日本よりも
かなり高いレベルを維持しているなんてことは、単なる偶然の産物
みたいに思える方が多いのではないでしょうか。しかし、そうでは
ないと思うのです。
お金で買えない、数字で表せない、経済効率には出てこないものが
文化であるから、そこに見返りを求めるべきでないということを、
ロシア人は非常によく理解しているのです。

実際、ロシアに長く住んで、非常に強く感じたのは、文化を守るた
めに、国家として、人間としてロシアが行っていることは  もしか
すると、日本よりもずっと利害を考えない、情熱と一種の信念のな
せるわざではないか、と。
ロシア人というのは、アメリカ人のように上手に宣伝をしないので、
なかなか伝わってこないのですが、彼らの人生観は、いわゆるドス
トエフスキーやトルストイの作品に代表されるような、濃い深いも
のがあるのです。

そして、その世界は舞台芸術の世界にも根強く、受け継がれていま
す。芝居そのものが、ロシア人のひとつの自己表現であり、また、
自己の文化的、歴史的な自意識であり、舞台というのは、役者だけ
のものでなく、観客と一体になって作り上げるもの、そういう当た
り前のことを、どれだけ普段から感じさせてくれる、
そういう大小の劇場をもち、毎日の芝居に通う観客のいる景色を見
て、そこに居合わせてはじめて、ロシアの生の文化生活を味わった
気持ちでした。

大体、あのゴルバチョフをして、
「芝居のない人生は、私にとって考えられるものではなかった!」
と言わしめ、また、多くのロシア人が実際に、シベリアのような僻
地の都市においても、地元で養成された人材による、オーケストラ
、バレエ団、劇団などがあります。
しかも、それぞれが高いレベルで、決して首都に劣ることはないほ
どです。

よって、愛好家ならば、毎シーズン新しい演目を逃すことなく、
優雅な観劇生活を送って、あの極寒の冬のロシアを楽しんで暮らし
ているわけなのです。
しかも、安月給で暖房すらきかない地域であっても、そういう娯楽
を欠かすということはロシア人にとっては、ほとんど考えられない
ことであり、日常の中に観劇が含まれることは、贅沢でもなんでも
ない、ごくごく小さな楽しみだなんて、まさか、外国にいるものに
は知るよしもないわけですが。
(このように、採算の合わない地域の劇場が運営できるのは、たい
ていは国家、地域予算からの援助および、地元企業の献金などがほ
とんどです)

実際、不景気といわれる現在の日本で、特に私のおります関西など
を例にとってみましても、まず、採算の合わない芸術、文化部門か
ら、どんどんと閉鎖、縮小されていき、ただでさえ少なかった小劇
場等の演劇スペースは、大阪などでも次々に姿を消していく有様で
す。

もちろん、ロシアだって、演劇の世界のみならず、オーケストラで
も、オペラでも、バレエでもよっぽどの有名劇場や、海外で法外の
料金で見せるなどという例外を除き、あの手の世界は慢性的な赤字
で、ほとんど、まず儲かるなんてことを前提にして、やっていける
世界ではありません。

でも、ロシアという国の凄いところは、そういうことは「当然」と
して受け入れ、国家がほとんど、役者だろうと、バレリーナだろう
と、公務員のような扱いで、少ないながらも給料を出し、養成学校
では、試験を通ってきた優秀な生徒たちは全額無償の教育で5年は
みっちり仕込み、さらに奨学金まで出して、劇場からは税金を取ら
ず、むしろ、光熱費などは無料、多くの面で優遇措置をとり、新し
い演目のための補助金を出して、あの過酷なペレストロイカ以降の
時代も劇場が増えることはあっても、減る事はない、というような
、文化が自主的に活発であることができる状態を、常に維持してき
たということです。

それを考えると、もちろん、日本にも伝統芸能という素晴らしい演
劇があるわけですが、ほとんど国家的な援助を受けず、そのために
、かなり一般の観客からは敷居の高い世界になってしまって、まず
愛好家の世界。また、いわゆる現代劇に関しては、一種流行性のエ
ンターテイメントになってしまっている。また、その多くがたいて
い同じ世代や、同じ趣味の観客くらいしか動員することができず、
不特定多数の観客の心をつかむ域に達していない。
いつまでも、本格的な演劇人の教育の統一性もないままに、テンデ
バラバラにやっている状況。果たして、このままでいいのかと思う
お寒い現状です。

おそらく、芝居や舞台というものが、ごく普通の庶民生活から、
ほぼ完全に隔離されてしまった戦後の日本では、「演劇なんかに金
を入れたところで、どうなるわけでもなし、ロシアみたいに直接の
見返りのないことにばかり金を入れるのは馬鹿馬鹿しいことだ」と
いう風に考える人も少なくないのでしょう。

しかし、この不条理なもの、利益にならず、金銭的な収支において
表しきれないものにこそ、文化があり、伝統があり、そこにその国
の国民の喜怒哀楽があり、人生がある、ということを、大きな声で
主張できる環境があってこそ、おそらく、本物の文化を維持してい
き、その国の心意気を後の世に語り継いでいく、そういうことを、
日本も忘れてはならない気がするのです。

その意味では、ロシアという国を決して侮ることなかれ。
また、戦後、特にアメリカの洗脳の下に、自国の歴史や文化を卑下
し、物質主義に染まったままで、自国の伝統を疎かにすることがあ
っては、まさに、隣国ロシアでは笑っているだろう、と私には思え
てなりません。
(悪い意味ではなく、彼らが日本の伝統を愛し、尊敬するがゆえに)

笑い話(アネクドート:ロシアの小話)ではありませんが、実際に
、ロシアの熱狂的なサムライファンで、一部のむくつけきロシア人
の男たちは、真剣にこう語り合っているのです。

「日本にはもう、本物のサムライはいない。だからこそ、俺たちが
サムライの心を受け継がなければならないのだ!」と。

正直言って、この純真さ、単純さ、一途さ、そういう今時お目にか
かりにくいものが、もしかすると、素顔のロシアなんじゃないかと
私は思うのです。
だからこそ、この隣国と真剣に付き合うことが、
今後の日本にも、非常に大きな影響を与えるのではないかと思うの
です。

神戸より CHOCO
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http://www.nmt.ne.jp/~gaen/
事後承諾ですが、リンクしましたので御報告しておきます。
これから宜しくお願いします。

GAEN/雅閻の門
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(Tより)
リンク4に相互接続マーク付きで、掲載しました。
こちらこそ、よろしくお願いします。
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久しぶりに又投稿お願いしますkiyo4です
出来れば「F氏」のコメントをお願いしたいものですが。
宜しく。

臨時国会も開催されましたが毎回つまらない答弁で見ているのがつ
らい思いです、「見なければ良いのだが」?

小泉総理はいよいよ駄目ですねなにお言っておるのやら
おそらく後で自分の言動に恥ずかしい思いを抱いているのでは無い
だろうか実に情けない「私はそれ以下だが」

日本の考えている「世界に対して」の言動が対北朝鮮問題
対イラク問題等々いくら日本がアメリカの属国と言われようが世界
の目が「ブッシユ」の言動に「駄目」と言っている「アメリカ国内
」でも「イキリス国内」でも戦争の反対を堂々と世界に発信してい
る小泉総理は日本を代表してなぜ其の事を発信出来ないのかいくら
「ブッシユ」の小使でも日本は世界で只一国の原爆被害国である「
ブッシユ」に遠慮することなく戦争反対世界に原爆所持国全てに
この際、原爆を破棄を今の日本が小泉総理が世界を代表して声高ら
かに訴えるべきではないのか「ブッシユ」にどこまで遠慮するのか。

最近の自民党内閣「公明党・他」はどの様な政策をするつもりなの
か小泉総理に任していては駄目駄目だ一国の政治を預かる内閣なら
国民に対して「恥」を知ってほしい恥は
分かるかな無礼を承知で恥を知らない政治家特に今の内閣
を、しいて「撫ちょく」して見る。「小泉よ怒ってみよ」  
       2003.01.24.pm20.00. kiyo4
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(Fのコメント)
小泉さんには、奇策ではなく、王道を行って欲しいと思っているが
、とうとう抵抗勢力に屈した対応をするようになったようだ。
国民からの支持がなくなり、弱気になっているような気がする。
小泉首相の欠点は、丸投げでもいいが、人を選ばないといけないと
思う、この人選に難点がある。王道を行く経済学者、経済実体を知
る実務家の支援が必要であるようだ。

日本は反米という選択肢はない。米国の一国主義には欧州・ロシア
と協調して反対するべきであるが、日本だけで反米的な主張は止め
た方がいい。イラク戦は石油獲得戦争であり、米国石油資本がその
根源にある。日本は米国に国連で認められたら、一緒に行動し、か
つ戦後の復興も手伝いますと言うべきでしょうね。イラクが化学兵
器を隠していることも事実のようですから、米国の懸念も当たって
いるのですよ。北朝鮮の方が懸念レベルは高いが??


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