1140.得丸コラム



皆様、新年あけましておめでとうございます。

提言フォーラム幹事 得丸です。

*** 国連海洋法における「海洋環境の汚染」の定義 ***

1 海洋汚染の定義

 新年早々硬い話で恐縮ですが、みなさんは、国連海洋法において
「海洋環境の汚染」がどのように定義されているか、ご存じですか。

 国連海洋法条約第1条第1項第4号は、「海洋環境の汚染」を以
下のように定義しています。

「人間による海洋環境(三角江を含む)への物質またはエネルギー
の直接または間接的な導入であって、生物資源および海洋生物に対
する害、人の健康に対する危険、海洋活動(漁獲およびその他の適
法な海岸の利用を含む)に対する障害、海水の性質を利用に適さな
くすること、並びに快適性の減殺のような有害な結果をもたらし、
叉はもたらすおそれのあるもの」

 短くまとめれば、海洋汚染とは、「有害な結果をもたらすか、も
たらすおそれのある」「人間による」「海洋への物質またはエネル
ギーの直接または間接的導入」ということができるでしょう。

 この定義によれば「海洋汚染」は実に広い範囲の人間活動を対象
とすることになります。また、汚染主体も、大企業や国家だけでは
なく、ひとりひとりの人間が海洋汚染を引き起こしていることにな
ります。

 たとえば、個人が自然界に存在しない有機化学物質を使えば、
下水や大気や土壌を通じて、その物質が最終的に海洋に行く可能性
があります。プラスチック類を使用すれば、かならず何%かは故意
か過失によって、海洋に流れ込むことが想像できます。

 またCO2を出さないクリーンな原子力発電所も、温排水によって熱
エネルギーを出しているので、海洋を汚染していることになります
。石油を燃焼させれば、熱が発生しそれが巡り巡って海洋を暖めま
すし、また、硫黄酸化物が大気経由海洋に流入すれば、海洋環境を
汚染することになります。これは個人が自動車を運転すれば、海洋汚
染につながりかねないということです。

 こんななんでもかんでも海洋汚染として定義したって、どうせ人
間がおかまいなしに生産、消費、廃棄を行なって、汚染を続けてい
るのだから、海洋法条約なんて意味がない、と思われる方もいるか
もしれません。そんな厳しいことを言っても、誰も守らないよ、と
思いますか。

 さて、どうでしょうか。皆さんはどう思われますか。

2 海洋法は人間の意識が改まるのを待っている
 まず確かめておきたいのは、国連海洋法の定義は、科学的な真理
である。有害物質であるかぎり、どんなに少量であっても、それが
海洋環境に投入されれば、それは海洋汚染である、ということです。

 さらに、この定義は、客観的(絶対的)である。人間の主観がそ
れを汚染と認めようと、認めまいと、人間が汚染の事実を自覚して
いようと、認知していまいと、海洋
環境中に物質やエネルギーが導入すれば、それは汚染である。

 つまり、国連海洋法の定義は、科学的かつ客観的(絶対的)であ
る。このことと、人間が現実には、国連海洋法などおかまいなく、
海洋汚染を続けている、汚染物質の製造や使用を全廃していないこ
とを、どのように結び付けて考えればよいのだろうか。

 私は、国連海洋法は、人間の意識が海洋法の次元にまで高まるの
を待っているのだと思う。海洋法に定める海洋汚染を一切行なわな
くなる日に、人類が戻ることを期待しているのだと思う。

 60億人の人間が、この地球上で好き勝手に汚染をまき散らせば
、有限な海洋はすぐに汚染されてしまい、生物が住めない環境にな
る。現在の人類が、その事実を認めていようと認めていまいと、国
連海洋法は真理を語っている。

 そんな事態は食い止めなければならない。問題は、人類が国連海
洋法を理解し、海洋法で定める海洋汚染を一切しないように心を改
めるかどうかなのである。

 人類が意識改革(ミッシェル・ボーは「文化革命」と呼んでいるが
)を行えるかどうかが、人類あるいは地球上の生物の未来にとって、
重大な意味を持つであろう。

 環境教育が大切であるということだ。できるだけ早急に、人類の
意識を高めること、人類が環境を汚染しなくなるように、行動を自
己規制するようにしつけることが、環境教育に求められている。

以上
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僕の古巣の日商岩井がこの春ニチメンと合併するんだそうな。総合
商社日商岩井の給料を八年三ヶ月いただいて今日の自分があるので
、名残惜しい気がする。

とはいえ、僕が日商岩井にいた1983年はすでに商社冬の時代と呼ば
れていた。だから来るものがついに来たのだと思う。日商岩井だけ
ではない。他の総合商社だって、一様に大変なのだと思う。

思うに、総合商社が比較優位をビジネスの世界で保っていたのは、
テレックス(アルファベットと数字を使った電信による通信システム
)という通信手段を、専用回線を国内と世界各地にはり巡らすことに
よって社内通信手段として取り入れ、日本国内の本支店と世界各地
の支店をネットワークしたところにあった。

テレックスだけでは十分なコミュニケーションはできない。海外支
店の駐在員がそのテレックス電文を読み解くことによって、顔の見
えるビジネスを海外で展開したことも大きい。

1983年に入社したときの導入研修では、赤坂の本社二階のかなりの
面積を占めていたテレックス室を自慢げに見せてもらったことを思
い出す。今でこそ、インターネットとe-mailのおかげで世界のどこ
とでも簡単に通信ができるが、わずか20年前にはNICOMEX(日商岩井
コミュニケーションシステムの略称)の威力はやはりあった。

職場では、テレックス当番の女性が毎朝各部ごとに設置されたテレ
タイプに出力されるテレックス電文を切り分け、各課に配っていた
。課では、オリジナルはファイル、第一コピーを課内回覧に、第二
コピーを各担当者に配っていた。(部によって3枚カーボンまたは4枚
カーボンのテレタイプ印字ロール紙を使っていた)

カーボンコピーの課内回覧には、ブレティン機能もあった。若い担
当者が苦境に陥っていたり、稚拙な電文を打電していることは、課
内回覧でわかったため、先輩社員が適宜指導していた。テレックス
は教育効果も持っていたのである。

テレックスと駐在員による通信分野での比較優位は、すぐにFAXや
e-mailによって失われていった。それと同時に、FAXやe-mailでは、
カーボンコピーによる情報共有や後輩教育システムも失われた。

古いシステムは、古いというだけの理由で、それが持っていた長所
が顧みられることなく、新しいシステムにとって変わられることが
ある。総合商社におけるテレックスシステムは、時代の流れとして
、深く考えられることなく消えていった。だがそれは、会社自体が
なくなることの予兆であったのである。
(得丸久文、2003.01.07)
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人口のピラミッドパワーよ今一度!
得丸久文 
2003年、今年最初に驚いたのは、いわゆる老人病院だった。存在は
知っていたが、実際に足を踏み入れたのは初めてだった。

90何才になる妻のおばあちゃんが、昨年12月から青梅の老人病院に
入院したというので、お正月にお見舞いにいったのだ。不動産屋だ
ったおじいちゃんが、遺産をきちんと残してくれたおかげで、月額
50万円という個人負担が払えるのだという。雲の上の話だが、ま、
子孫に美田を残すよりはいいか。

青梅線の駅から病院の送迎バスでついたところは、病院とは名ばか
り(保険診療のための便宜上病院であるのか?)、実際は高級老人ホ
ームだった。

ロビーや廊下には生花が活けられていて明るい。看護婦さんたちも
笑顔を絶やさず、部屋からロビーに出ていくおばあちゃんの髪をと
かしつけてくれたり、唇にリップクリームを塗ってくれるだけの余
裕がある。家族が介護できないから、それを国民医療費と個人負担
で代わってくれているのだろうが、老人一人に相当のお金がかけら
れていることが伺い知れた。

普通の病院との違いは、入院患者が全員老人であり、そのほとんど
が車椅子がなければ移動できないというところ。入院患者に医者の
回診がないことも、実質は病院でないことの証左かもしれない。昼
下がりの病室を覗いてみると、「患者」はみんな枯れ木のように眠
りこんでいて、静かだった。

一方で、昨日見たクローズアップ現代という報道番組では、小児科
医が足りなくて、救急医療を受けられずに亡くなる赤ちゃんがいる
ということだった。国民経済的に、あるいは民族として、私たちは
正しい資源配分をしているのだろうか、と問いたい。

人口ピラミッドという言葉がある。かつて人類は、生まれた子供の
何割かが乳幼児期に死亡し、また、病気や事故で亡くなる人が多か
った。そのため男女別年令別の人口を横向きの棒グラフで表すと、
乳児が最大の人口で、だんだんと人口が減少していきピラミッドの
ような形になっていた。

もしかすると、そのような人口構成こそが、生物としてもっとも健
全なのではないか。それに資源の無駄遣いがおきない気がする。
そして、もっとも健康な子孫を未来に残せるのではないだろうか。

私たちの周囲に、もっとたくさんの人間の死があれば、私たちは生
命の尊厳に気づき、他の生き物の命にも心を配れると思う。それが
自然ではないか。

人口ピラミッドよ、正しくピラミッド型であれ。そのようになれば
、ピラミッドパワーによって、民族に、人類に、地球に、活力が戻
ると思う。
(得丸久文, 2003.01.08)
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普通に生きる      ピラミッドパワー縄文人   

普通に暮らして、普通に結婚して、普通に子供を産めば、人口ピラ
ミッドになる。こうならないのは根本が病んでいる。

今多い中高年の自殺。昨日も今日も関西では、飛び込みで列車ダイ
ヤの混乱。
無意識のうちに、人口ピラミッドに近づこうという不思議な力。

ここが、怖い。 
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得丸久文 
Re:  国際戦略コラムno.1133.CHOCOさんが帰国
CHOCOさん、おかえりなさい。

あなたの心の中にある現代ロシア人の心で、日本の現状について忌
憚なく批判してください。


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