1136.イラクと北朝鮮について



北朝鮮とイラクの両睨みの状況になっている。   Fより

このコラムの予想が当たっているとおもいませんか。
1129.イラク戦は国際法違反
1126.2003年激動の世界
の両コラムで述べたようにイラク、北朝鮮、米国、欧州、ロシアは
動いている。このコラムを各国の情報機関が見ているような感じが
するくらいである。このコラム読者の皆様はこのため最新世界の見
通しを精度高く予測できているはずです。

北朝鮮は瀬戸際外交で、かつ1994年の米国との外交実績を持っ
ているため、この活動は強化するでしょうね。国民の半分が餓死し
ても、金正日皇帝一族が豪華な生活ができれば、北朝鮮はびくとも
しないのです。2003年に存在している北朝鮮は、その体制が紀
元3年レベルという古代絶対専制主義国家ですから、そうなるので
す。

この国家に日本拉致解決による経済援助や瀬戸際外交のアイデアを
渡したのがロシアでしょう。が、そのロシアの言うことを古代専制
主義・北朝鮮は聞かなくなったようです。アウト・オブ・コントロ
ールになってしまった。北朝鮮独自に1994年と同様な瀬戸際外
交をし始めている。

ロシアはイラク戦を阻止するために北朝鮮の核問題が必要であるが
、米国が北朝鮮との対話可能まで折れて、かつ2月のイラク開戦(
Dディー)を国連の査察継続で阻止できたために、そろそろ北朝鮮
の核開発問題も終結に向けないと、本当の世界的な問題になり、北
朝鮮難民紛争になると思っているようだ。当面、国連の安保理の俎
上に乗せるのをロシアは中国と日本・韓国と組んで阻止するようで
あるが、いずれ、この問題は北朝鮮が折れないと安保理に上がると
考えている。

しかし、そのプーチンの思惑を北朝鮮の金正日はロシアに騙された
と聞かなくなっているのです。日本の援助資金は入らないし、50
tの重油は無くなるし、踏んだり蹴ったりの状態の責任はロシアの
言うことを聞いてきたからだと思っている。だからといって北朝鮮
は経済封鎖されたら、経済の完全な崩壊になる。このため、経済制
裁なら「宣戦布告」と北朝鮮国連大使はいう。それはそうだ。外貨
獲得のほとんどは日本からの仕送りと韓国からの金剛山観光の代金
しかない。北朝鮮大使館が行っていた覚せい剤や麻薬取引の多くが
阻止され始めている。

ミサイルの材料は全て、日本や中国から輸入するしかない。自国の
工場はほとんど、電気がないため動いていない。このため、外貨が
ないと日本や韓国をミサイルと核で脅せない。石油もないため戦車
も動かせない。恐らく兵器の玉もないか補給ができずに、軍事練習
もしていない。このような軍隊が、まともに米国・韓国軍と戦える
とは思わない。そのことを北朝鮮政府幹部や軍幹部は知っている。

北朝鮮の瀬戸際外交はこのためナンセンスなのである。世界は経済
封鎖をするかどうかなのです。その大きな封鎖で止まる資金源は
日本・韓国で、中国でもない。このため、中国の言うことも聞かな
くていい。
日本と韓国は脅せば、金が出てくると金正日は考えている。ここが
問題なのですが、ロシアは日本や韓国と協議しているため、そのよ
うな脅しは無意味であると思っている。北朝鮮の金正日は大きな
ジレンマに陥っている。

イラクもフセインはフランス・ロシアに騙されたと思っているよう
だ。国連の査察に協力すれば、米国の攻撃はないと言っていたのに
米国は攻撃体制を牽いて、今にも攻め込むような状況になっている。
国連査察の中間結果もイラクの完全な白を宣言していない。どちら
かと言うと、米国寄りのイラクの黒に近い灰色のニアンスになって
いる。

ソラナ欧州外交代表の言い方も変化して、イラク攻撃は兵器開発の
証拠なければ難しいと、一部米国のイラクは大量破壊兵器を持って
いるという主張を織り込み始めた。そして、とうとう国連査察団に
米国は情報を出し始めた。このため、米国のイラク攻撃も2月では
ないと思いがある可能性が高くなっている。

国連は大量破壊兵器を持ちかつ開発製造をしている北朝鮮は黒で、
過去の大量破壊兵器を持っているだけのイラクは灰色と認定するよ
うである。このため、北朝鮮に対する世界の目は厳しいことになる
でしょうね。一方、米国のイラク攻撃は非難されるし、このイラク
攻撃で米国経済と世界経済に与える負の影響は甚大である。戦争に
よる中東の混乱やテロの頻発で世界恐慌になる可能性がある。

ロシアの期待は、イラク攻撃阻止と北朝鮮が安定してロシアのシベ
リア鉄道と韓国・日本の鉄道との接続である。しかし、両方の戦略
が上手く行かない可能性が出てきている。

こうなると、金王朝を倒すべく、中国情報機関とロシアKGBは北
朝鮮の不平分子を炊きつけるようなことをするはずです。このため
金一族がクーデターで倒れることによる朝鮮半島の混乱になる。
難民も発生するでしょうから、ロシア、中国、韓国は当事者として
対応策を検討しているでしょう。日本もこれにどう対応するのかを
考えておくことが必要なのです。ここは神浦さんのコメントと同じ。
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中国外交部「朝鮮と頻繁に接触」 [人民網日本語版]

外交部の章啓月報道官は9日の記者会見で、朝鮮民主主義人民共和国
(朝鮮)の核問題に関する中国の立場について「中国は、朝鮮を含
む関係各方面と頻繁に接触、交渉を行っている。外交活動は、水面
下での交渉も含め、多方面にわたっている」と述べた。 
「人民網日本語版」2003年1月10日 
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「説得役」の中国、北朝鮮の強硬姿勢に手詰まり感(ASAHI)

北朝鮮が核不拡散条約(NPT)の脱退を表明したことで、関係各
国から「説得役」を期待されている中国は手詰まり感を深めている
模様だ。米国が北朝鮮との対話姿勢を打ち出し、平和解決への光が
見えかけた直後だけに、説得の効果に悲観的な見方も出ている。
とはいえ、地域の安定を保つうえでは「兄貴分」としての役割も放
棄できないという苦しい立場だ。 
 核開発問題の表面化以来、中国は日米韓など関係国から北朝鮮へ
の影響力発揮を要請されてきた。これに対し中国側は「北朝鮮とは
密接に接触し協議し続けている」(章副局長)としている。 

 しかし中国筋は10日、「北朝鮮は中国の説得にも耳を貸さなく
なっている。経済支援をしているとはいえ、すべて面倒を見ている
わけではない。影響力は限られる」と説得の難しさを語った。「ト
ップが全部決める国なので、その下のレベルと協議しても役に立た
ない」とも指摘する。 

 こうした状況を反映してか、中国政府は従来の「対話による平和
解決」という主張を一歩進め、米朝2国間による努力の必要性をよ
り強調し始めた。唐家セン外相は9日のドビルパン仏外相との会談
で「北朝鮮の核問題を解決する最良の方法は米朝が直接対話し、双
方が94年の枠組み合意を守り続けることだ」と指摘。米朝が膠着
(こうちゃく)状態から抜け出すことが「事態の悪化を防ぐ鍵だ」
と述べた。 

 ただ中国にとっても、朝鮮半島の不安定化で北朝鮮から難民が流
出する事態となれば、自国の経済発展や治安にも大きな障害になる
。「北朝鮮の変化には時間がかかるが、辛抱強く対応するしかない
」(中国社会科学院世界経済政治研究所の王逸舟・副所長)という
姿勢は今後も崩せない。 (20:34) 
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「世界の安全保障に大損害」 ロシア一転、北朝鮮を非難(ASAHI)

 北朝鮮がNPTから脱退を宣言した問題で、ロシア政府は10日
朝、「脱退の意図について重く憂慮する」とする声明を発表した。
同国の核開発をめぐり友好国のロシアは欧米の厳しい態度とは一線
を画してきたが、今回は一転し、強い調子で北朝鮮を批判した。 
 声明によれば、「朝鮮半島の緊張を高めるのは疑いなく、世界と
地域の安全保障に大損害を与える」と非難した。一方でロシアのイ
ンタファクス通信によれば、外務省高官は「北朝鮮の立場にはこけ
おどしが含まれている。分別を示せ」と指摘し、脱退を見直すよう
求める考えを示した。 (19:32) 
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イラク攻撃、兵器開発の証拠なければ難しい=ソラナ代表
  
 [パリ 10日 ロイター] 欧州連合(EU)のソラナ共通外
交・安全保障上級代表は、イラクが秘密裏に大量破壊兵器計画を進
めているという証拠が見つからなければ、同国への攻撃を正当化す
るのは難しいとの認識を示した。
 同代表は仏紙ルモンドに「証拠がなければ戦争を始めるのは非常
に難しい。戦争開始の正当性については、国連安保理が判断する」
と述べた。
 国連査察団は9日、安保理への中間報告で、イラクが1カ月前に
提出した大量破壊兵器に関する申告書は数ある疑問点に答えていな
いとしながらも、同国で行った査察で決定的な証拠は発見されなか
ったことを明らかにしていた。
 ソラナ代表は、フセイン大統領が大量破壊兵器を使用できること
が戦争開始の理由にはならないとの見方を示した。
 その上で、決定的な証拠が最後まで発見されなかった場合には、
国連が新決議の採択を検討することを希望する意向を示した。
(ロイター)[1月10日22時41分更新]
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国連安保理は北朝鮮問題に取り組む必要=ドビルパン仏外相

 [上海 10日 ロイター] フランスは、核拡散防止条約
(NPT)から脱退するとした北朝鮮の決定を非難し、国連安全保
障理事会は行動を取る必要がある、との見解を示した。 
 フランスのドビルパン外相は、「フランスは、北朝鮮のNPT脱
退決定を非難する。この決定は深く懸念されるものだ」とする声明
を発表した。 
 同相は、「われわれの目標は明らかだ。すなわち、核拡散防止の
公約を北朝鮮に確実に順守させなければならない」とし、「これは
、朝鮮半島、アジア地域、そして世界の安全保障と安定にとって、
重大な条件である」と述べた。 
 同相は、「国連安保理は、この新たな事態に取り組まなければな
らない」と語った。(ロイター)[1月10日18時5分更新]
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米の年間軍事費が十数年で58兆円にも=テロとの戦いや近代化で
――議会予算局が試算 2003 年 1月 10日 

【ワシントン9日】米国の軍事支出はテロとの戦い、軍の近代化、
軍人給与の引き上げなどで今後十数年に年間4800億ドル
(約58兆円)にも達する可能性があるとの試算を米議会予算局
(CBO)が最近公表した。この試算はブッシュ大統領が昨年議会
に提出した長期軍事力増強計画に基づいて計算したもの。

増強計画にはレーダー衛星、無人の作戦機および偵察機、新型水上
艦、ハイテク戦闘車、精密誘導兵器など、全く新しい世代の兵器が
ずらり並んでいる。計画を実施すると、現会計年度に認められた
3590億ドル(約43兆円)の軍事支出が2007年には
4080億ドルになり、08年には4260億ドル、15年には
4300億ドルに膨らむ。

作戦コストと投資がこれまでの調子で上がった場合、2015−20
年には支出が年間4800億ドルに達するとCBOは計算している。
〔AFP=時事〕
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2003年01月11日(土) 
米、査察の継続に含み(SANKEI)

 【ワシントン10日=土井達士】フライシャー米大統領報道官は九
日、イラクの大量破壊兵器問題に関して国連監視検証査察委員会
(UNMOVIC)のブリクス委員長が国連安全保障理事会へ中間報
告を行ったことを受け、「米国はイラクに大量破壊兵器があること
を事実として知っている」と述べ、イラクの大量破壊兵器保有を確
信しているとの米国の立場を強調した。
 フライシャー報道官は、報告がイラクによる大量破壊兵器の申告
状況の不備を指摘したことに関して「米国が懸念している問題に複
数言及している」と評価した。

 米国などによる対イラク軍事攻撃については、国連査察団が査察
結果に関する報告書を国連安全保障理事会へ提出する今月二十七日
が次の大きな山場となる。

 米国はここにきて地上部隊や空母をはじめ、B1長距離爆撃機な
どもイラク周辺に増派し、軍事攻撃を視野に入れた“フセイン包囲
網”の構築を急いでいる。ただ、フライシャー大統領報道官は
「二十七日は重要な期日だが、ブッシュ大統領は(武力行使決断の)
期限を定めたことはない」と述べ、ホワイトハウスとして米国が査
察団の報告直後に武力行使を決めない可能性に初めて言及。現時点
ではイラクの大量破壊兵器保有・開発を裏付ける明確な証拠がない
中で、米国のイラク政策は査察の進展や国際世論の動向などもにら
み、複雑な対応を迫られる可能性も出ている。

 ブッシュ大統領は、査察団による報告の翌日にあたる二十八日に
、今年の施政方針を明らかにする一般教書演説を議会で行う予定に
なっており、最も早い場合にはこの場でイラク攻撃に対する明確な
見解を打ち出す可能性も指摘されていた。しかし、ここにきてパウ
エル国務長官がワシントン・ポスト紙とのインタビューで、「
(二十七日過ぎに)次の対応を決めねばならないのは確かだが、その
日がDデー(決定的な期限)というわけではない」などと発言。証拠
が見つからなかった場合の査察継続について「その時点で決めるこ
とだ」(フライシャー報道官)とするなど、証拠が見つかっていない
場合には継続を認めることにも含みを残している。
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○経済制裁なら「宣戦布告」=北朝鮮大使 
2003 年 1月 11日 

【ニューヨーク10日時事】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の
朴吉淵国連大使は10日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、
核拡散防止条約(NPT)の即時脱退宣言について、「米国による
核の脅威」によって決定を余儀なくされたとの主張を繰り返すとと
もに、安保理で経済制裁が決定されれば、「宣戦布告と受け止める
」と述べた。

朴大使は同日発表された北朝鮮政府の声明を読み上げた後、記者団
の質問に答え、「米国は対話してもいいと言いながら、交渉しない
と言っている。これは誠実な態度とは言えない」と米国の対応を批
判した。

朴大使はまた、「朝鮮半島の核問題は、共和国(北朝鮮)と米国の
間での交渉を通じ、平和的な手段で解決されるべきだ」と強調。現
時点で同大使と米当局者による会談は予定されていないとした上で
、「要請があれば、(会談を行うことに)異存はない」と述べた。
(了)
朴吉淵(パク・ギルヨン)


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