1116.イラク戦争へ



米国がイラク戦争に向けて、万全の体制をとり始めた。対するイラ
クはどうするかの検討。イラク軍の参謀になったつもりで。Fより

米国はイラクの申告書に大きな漏れがあり、国連決議違反であると
言明した。それとともに、ロシアにも協力要請を米国は出し、石油
の既存利権を取引材料にして、交渉しているようだ。ロシアはイラ
クから石油の一部利権を剥奪されて、怒っているため、米国の誘い
に乗る可能性が大いにある。イラクはロシアを敵に回し、自殺行為
をしたような感じになっている。そして、常任理事国のすべての国
がイラクの申告書に問題ありとしているため、査察が終了する1月
末から2月には米国の攻撃があるという可能性が高くなっている。
米国地上軍が11万人に増強させたこともこれを示唆している。
米国は本気でイラク戦をする体制になったようだ。

それでは、どのような攻撃と防御になるのであろうか?
イラクは焦土作戦と都市でのゲリラ戦しかない。米国は都市包囲作
戦で補給を断ち、市民を都市から出すことが重要になる。
都市に攻め込むと、遮蔽物や市民がいるため敵が見えないことによ
る被害が出るため、クルド族軍やシーア軍を単発的に都市戦に投入
するが、本格的な戦いはできない。都市戦をすると市民の死者の数
が多くなり、世界世論的に持たない。このため、イラク軍が出てく
るのを待つしかない。しかし、このため、都市包囲をやると長期戦
になる。

これに対応するためには、中東全土でゲリラ戦、テロ戦をフセイン
はときどき行うことで、石油の供給は中東全体で不安定になる。
間違えても、米国本土でテロをしないことである。これをすると、
米国国民の意志が強固になるため、イラクを潰すまで攻撃を止めな
くなる。

そして、世界的な石油の供給が安定しないことになる。それも長期
的に不安定になるのですから、エネルギーの不足が起こることにな
る。日本は中東から75%以上依存しているので、どうなるのでし
ょうかね。

米国はイラク本土で戦争しているだけでなく、米国の経済と世論と
も戦いをして、この2つともに戦争に大きく影響を与える。長期戦
にして、石油のレートを80ドル、かつ戦争費用2000億ドル以
上、恐らく5000億ドル(60兆円)にできれば、イラクが戦争
では負けるかもしれないが、米国に大きな経済ダメージを与えるこ
とになる。そうすれば、勝ってもイラク戦争はピロスの勝利になる
のです。
これは日本をはじめ世界を大恐慌に落とすかもしれない。北朝鮮は
その分、圧力を減るため歓迎でしょうが??

そのような状態で、バクダッドに隠してある化学兵器を米国地上軍
に浴びせて大損害を与えると、イラクに急遽暫定政権を作り、米国
は経済ダメージと世論による撤退となる可能性は少ないがある。

このためには結論として、通常戦をイラクはしないことである。
そして、中東の石油を長期間混乱させ、かつフセイン政権が生き残
れば、米国が作る暫定政権と交渉して、フセイン政権は生き残るこ
とができるように思う。これしかイラクが戦争に負けない方法はな
い。圧倒的な戦力の前には、相手を自分の知っている地面に引き寄
せて、ゲリラ戦しかない。このとき、民衆が米国軍に内通されると
、ゲリラ戦はできない。このためイラクでのフセインの人気度が問
題になるのです。フセインに人気が無いなら、破滅です。
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イラク戦争はピロスの勝利=中井良則(外信部) 毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/eye/hassinbako/2002/12/20.html

 紀元前279年、古代ギリシャ・エペイロスの王ピロス(ピュル
ロス)はイタリア・アスクルムの戦いでローマ軍に勝った。だが味
方の損害は大きく友人と将軍をほとんど失った。「もう一度勝った
としても、われらは壊滅するだろう」ということばを残す。 

 この故事により「ピロスの勝利」とは、破滅につながるほど引き
合わない戦勝をさす。米国が世界最強の軍事力でイラクを攻撃すれ
ば、親米政権は作れるだろう。だがピロスの勝利に終わるかもしれ
ない。 

 攻撃の理由づけが米国で拡散している。大量破壊兵器ばかりか、
フセイン体制を悪と否定する発言が目立つ。外から武力でイラクに
革命を持ち込むつもりらしい。 

 私がもどかしいのは、ブッシュ政権のそんな戦略に真っ向から挑
む異論が米国に少ないことだ。民主、自由、市場経済といった米国
の理念を広めるためなら外国に介入できる。元来はリベラル派のそ
ういう立場に、保守派の単独行動主義が重なってしまった。反戦は
フセイン政権を利する、と遠慮も働くらしい。 

 プルターク「英雄伝」によると、ピロスは遠征の前、弁論家キネ
アスとこんな会話を交わした。「王様、ローマを破れば勝利をいか
に使いますか」「イタリア全体を手に入れる」「イタリアの次は?
」「シチリアだ」「それで戦争は終わりますか」「カルタゴだ。わ
れらに手向かうものはなくなる」「それでどうしますか」「毎日宴
会をやって、気持ちよく会話できる」「その境地にすでに達してい
ますが」 

同じ境地にあると思われる米国が、なぜイラクなのだろう。 
(毎日新聞2002年12月20日東京朝刊から)
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米軍高官、中東部隊を増派する考え示す(nikkei) 

 【カイロ20日共同】マイヤーズ米統合参謀本部議長は20日、米軍
が駐留するペルシャ湾岸カタールのアッサイリヤハ基地を訪問、記
者団に対し、米軍は中東の部隊を増派する考えを示した。具体的な
時期や場所には言及しなかった。AP通信が伝えた。同議長は「わ
れわれはこれまで(中東)地域に部隊を派遣し、現在も送りつつあ
り、(今後も)続ける」と述べた。

 さらに、この増派措置は「外交を補強するものであり、イラクの
政権に対し、大量破壊兵器問題への対処は自分たち次第なのだとい
うことを教えるためだ」と述べた。 (08:00) 
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2002年12月20日(金) 
査察への協力以外に道なし 決議違反指摘されたイラク

【アンマン20日共同】イラク攻撃の準備を進める米国政府が、大
量破壊兵器開発計画に関するイラクの申告書について「さらなる重
大な決議違反」があると断定したことで、イラクのフセイン政権は
極めて厳しい状況に追い込まれた。国連監視検証査察委員会
(UNMOVIC)のブリクス委員長も、申告書には遺漏があると
明言しており、今後、国連の査察が一層重要性を帯びてくることは
確実だ。米、英両国の主張に反発するイラクも、攻撃回避には査察
に協力する以外に道はないことを知っており、国連安全保障理事会
に査察結果が報告される来年1月27日までに、米国の主張する「
違反」にイラクがどう対応するかが今後の焦点となる。 


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