米国がイラク戦争に向けて、万全の体制をとり始めた。対するイラ クはどうするかの検討。イラク軍の参謀になったつもりで。Fより 米国はイラクの申告書に大きな漏れがあり、国連決議違反であると 言明した。それとともに、ロシアにも協力要請を米国は出し、石油 の既存利権を取引材料にして、交渉しているようだ。ロシアはイラ クから石油の一部利権を剥奪されて、怒っているため、米国の誘い に乗る可能性が大いにある。イラクはロシアを敵に回し、自殺行為 をしたような感じになっている。そして、常任理事国のすべての国 がイラクの申告書に問題ありとしているため、査察が終了する1月 末から2月には米国の攻撃があるという可能性が高くなっている。 米国地上軍が11万人に増強させたこともこれを示唆している。 米国は本気でイラク戦をする体制になったようだ。 それでは、どのような攻撃と防御になるのであろうか? イラクは焦土作戦と都市でのゲリラ戦しかない。米国は都市包囲作 戦で補給を断ち、市民を都市から出すことが重要になる。 都市に攻め込むと、遮蔽物や市民がいるため敵が見えないことによ る被害が出るため、クルド族軍やシーア軍を単発的に都市戦に投入 するが、本格的な戦いはできない。都市戦をすると市民の死者の数 が多くなり、世界世論的に持たない。このため、イラク軍が出てく るのを待つしかない。しかし、このため、都市包囲をやると長期戦 になる。 これに対応するためには、中東全土でゲリラ戦、テロ戦をフセイン はときどき行うことで、石油の供給は中東全体で不安定になる。 間違えても、米国本土でテロをしないことである。これをすると、 米国国民の意志が強固になるため、イラクを潰すまで攻撃を止めな くなる。 そして、世界的な石油の供給が安定しないことになる。それも長期 的に不安定になるのですから、エネルギーの不足が起こることにな る。日本は中東から75%以上依存しているので、どうなるのでし ょうかね。 米国はイラク本土で戦争しているだけでなく、米国の経済と世論と も戦いをして、この2つともに戦争に大きく影響を与える。長期戦 にして、石油のレートを80ドル、かつ戦争費用2000億ドル以 上、恐らく5000億ドル(60兆円)にできれば、イラクが戦争 では負けるかもしれないが、米国に大きな経済ダメージを与えるこ とになる。そうすれば、勝ってもイラク戦争はピロスの勝利になる のです。 これは日本をはじめ世界を大恐慌に落とすかもしれない。北朝鮮は その分、圧力を減るため歓迎でしょうが?? そのような状態で、バクダッドに隠してある化学兵器を米国地上軍 に浴びせて大損害を与えると、イラクに急遽暫定政権を作り、米国 は経済ダメージと世論による撤退となる可能性は少ないがある。 このためには結論として、通常戦をイラクはしないことである。 そして、中東の石油を長期間混乱させ、かつフセイン政権が生き残 れば、米国が作る暫定政権と交渉して、フセイン政権は生き残るこ とができるように思う。これしかイラクが戦争に負けない方法はな い。圧倒的な戦力の前には、相手を自分の知っている地面に引き寄 せて、ゲリラ戦しかない。このとき、民衆が米国軍に内通されると 、ゲリラ戦はできない。このためイラクでのフセインの人気度が問 題になるのです。フセインに人気が無いなら、破滅です。 ============================== イラク戦争はピロスの勝利=中井良則(外信部) 毎日新聞 http://www.mainichi.co.jp/eye/hassinbako/2002/12/20.html 紀元前279年、古代ギリシャ・エペイロスの王ピロス(ピュル ロス)はイタリア・アスクルムの戦いでローマ軍に勝った。だが味 方の損害は大きく友人と将軍をほとんど失った。「もう一度勝った としても、われらは壊滅するだろう」ということばを残す。 この故事により「ピロスの勝利」とは、破滅につながるほど引き 合わない戦勝をさす。米国が世界最強の軍事力でイラクを攻撃すれ ば、親米政権は作れるだろう。だがピロスの勝利に終わるかもしれ ない。 攻撃の理由づけが米国で拡散している。大量破壊兵器ばかりか、 フセイン体制を悪と否定する発言が目立つ。外から武力でイラクに 革命を持ち込むつもりらしい。 私がもどかしいのは、ブッシュ政権のそんな戦略に真っ向から挑 む異論が米国に少ないことだ。民主、自由、市場経済といった米国 の理念を広めるためなら外国に介入できる。元来はリベラル派のそ ういう立場に、保守派の単独行動主義が重なってしまった。反戦は フセイン政権を利する、と遠慮も働くらしい。 プルターク「英雄伝」によると、ピロスは遠征の前、弁論家キネ アスとこんな会話を交わした。「王様、ローマを破れば勝利をいか に使いますか」「イタリア全体を手に入れる」「イタリアの次は? 」「シチリアだ」「それで戦争は終わりますか」「カルタゴだ。わ れらに手向かうものはなくなる」「それでどうしますか」「毎日宴 会をやって、気持ちよく会話できる」「その境地にすでに達してい ますが」 同じ境地にあると思われる米国が、なぜイラクなのだろう。 (毎日新聞2002年12月20日東京朝刊から) ============================== 米軍高官、中東部隊を増派する考え示す(nikkei) 【カイロ20日共同】マイヤーズ米統合参謀本部議長は20日、米軍 が駐留するペルシャ湾岸カタールのアッサイリヤハ基地を訪問、記 者団に対し、米軍は中東の部隊を増派する考えを示した。具体的な 時期や場所には言及しなかった。AP通信が伝えた。同議長は「わ れわれはこれまで(中東)地域に部隊を派遣し、現在も送りつつあ り、(今後も)続ける」と述べた。 さらに、この増派措置は「外交を補強するものであり、イラクの 政権に対し、大量破壊兵器問題への対処は自分たち次第なのだとい うことを教えるためだ」と述べた。 (08:00) ============================== 2002年12月20日(金) 査察への協力以外に道なし 決議違反指摘されたイラク 【アンマン20日共同】イラク攻撃の準備を進める米国政府が、大 量破壊兵器開発計画に関するイラクの申告書について「さらなる重 大な決議違反」があると断定したことで、イラクのフセイン政権は 極めて厳しい状況に追い込まれた。国連監視検証査察委員会 (UNMOVIC)のブリクス委員長も、申告書には遺漏があると 明言しており、今後、国連の査察が一層重要性を帯びてくることは 確実だ。米、英両国の主張に反発するイラクも、攻撃回避には査察 に協力する以外に道はないことを知っており、国連安全保障理事会 に査察結果が報告される来年1月27日までに、米国の主張する「 違反」にイラクがどう対応するかが今後の焦点となる。