1102.日米関係の展望



日米関係が今後どうなるかを考察しよう。  Fより

日本の海上自衛隊の装備(特にイージス艦)は、ソ連の太平洋艦隊
に対応するため、米国が日本に圧力を掛けて作らせた。そのソ連が
崩壊して、北朝鮮も崩壊寸前になっている。このため、日本はこの
地域最大の海軍装備になっている。イージス艦を持っているのは、
米国以外日本しかない。日本は攻撃用空母を持てないと内閣が表明
してきたため、イージス艦を米国は属国日本に売りつけたのですが、
あくまでソ連対応だったのです。

米国は現在、中国南下政策による海軍増強を重視している。しかし
今は北朝鮮の核問題で中国と連携して、北朝鮮を包囲する必要から
中国の海軍力増強を、非難できない。中国との友好を演出している
。しかし、中国は中東とのシーレーン確保の対抗上、この地域最大
軍備の日本以上の海軍力整備が必要になっている。もちろん、攻撃
に有利な空母も持つでしょうね。

日本の今までの政府声明はイージス艦の運用は、日本近海だけとし
て、台湾領海は含まないような印象を中国に与えていた。しかし、
今度、インド洋に派遣すると言うことは、台湾海峡をも含む概念に
変更したことを宣言することになったのです。このため、中国は
イージス艦の派遣に反対を表明し、かつ中国シンパの野中さんも、
中国に連動して反対することになる。

中国は、台湾に対して空軍力ではJ10というイスラエルと共同で
開発した新鋭機を台湾の対岸、福建省に集中配備し、かつミサイル
も100機以上配備している。この領域に有事米国空母は配備する
が空母配備のイージス艦以外に日本の4隻のイージス艦は、定点観
測的に使える。このため、米国海軍とのレーダー情報などのデータ
リンクの演習が必要になっている。

しかし、日本の新聞・知識人はインド洋派遣だけを問題とした観点
だけで論評している。このため、その与える国際的影響を分からな
くしている。非常に国際的な視点・視野が狭いのです。

米国は、次の中国対応戦略の展開を目指して日本との連携を模索し
ている。中国への戦略的な視野を米国は持っている。恐らく、中東
イスラム国家群の民主化(米国属国化)が完成したら、中国の民主
化(米国属国化)に着手する展望を持っている。どうして分かるか
と言うと、イラク占領後政策を日本と同様な計画にすると米国は考
えているためです。しかし、日本で成功したGHQの民主化・属国
化の方法が、イラクに適用できるかどうかは分からない。しかし、
日本化を進めるためにも、第2の経済大国・日本を米国属国の見本
として米国としては共同的な作戦を取るしかない。このためにも
日本がある程度の繁栄をしている必要があるのです。米国の忠実な
番犬(属国)としてのですが。

このごろ、米国の機関投資家が東京中心部のビル建設で、その不動
産証券をどんどん買っている。このため、今までは2003年問題
のため、東京にもビルが建たないように感じていたが、そうではな
いようですね。当分、日本の機関投資家たちは、元気が無いので、
米国の投資を日本に呼び込むしか景気浮揚策がない。しかし、米国
はイラク戦を勝利すれば、石油という金の成る木ができる。そして
イラクを属国として民主化が安定するまで10年程度、占領するし
かない。そのイラク復興に日本も石油と引き換えに参加できる。

イラクに米国政権ができると、当分中東は安定しない。このため、
石油価格は上昇して、デフレは収まる。このように米国と当分、
同盟関係にあった方が日本の経済のためにはいいと結論できる。
米国も日本と同盟関係にあることが中東諸国の民主化に必要だ。
結論としては、米国が一国覇権主義ではなく、国際協調主義であれ
ば、日本は米国と同調していた方が経済的・安保的に得になる。
日本の国益が最大になる選択肢であると思うが。
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<イージス艦派遣>慎重な対応求める 中国外務省

 中国外務省の劉建超報道局副局長は5日の定例会見で、日本政府
がイージス艦のインド洋派遣を決定したことについて「日本が引き
続き専守防衛政策を守り、平和と発展の方向へ進むことを希望する
」と述べ、慎重な対応を求めた。劉副局長はまた、「日本の海外派
兵は歴史的な理由から敏感な問題」と指摘した。(毎日新聞)
[12月6日3時21分更新]
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■■世界週報■■ メールマガジン vol.68    
イージス艦は派遣すべきでない
  ――米軍との「リンク16」使用の意味

桃山学院大学法学部教授
松村 昌廣

 イラク攻撃をにらんで、米国は我が国に海上自衛隊のイージス艦
とP─3C哨戒機の派遣を求めてきた。
 これまで米国が、高性能のレーダーと情報処理・通信能力を持つ
イージス・システムを輸出したのは日本だけである。現時点では、
米国と日本だけがイージス艦を保有している。英海軍を筆頭に、
主要同盟国の海軍はイージス艦なしでも米海軍と密接な共同作戦を
行ってきた。米海軍は約50隻のイージス艦を保有している一方、
海自には4隻しかない。米海軍がイージス艦での自己充足能力を持
つにもかかわらず、なぜ海自のイージス艦派遣を要求するのか。
日本の海上部隊のプレゼンスは通常型の護衛艦で十分示せるのだか
ら、米国は我が国にイージス艦を派遣させて、共同作戦活動を行う
こと自体に大きな意義を見いだしていることになる。つまり、イラ
ク攻撃の作戦目的遂行そのものではなく、むしろ、一般的に日米の
海上部隊間の共同作戦能力ないしその体制を高めることを狙ってい
る。我が国はせっかく高性能のイージス艦を保有しているのだから
、派遣すべきと主張する積極派はあまりにもナイーブである。
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1年遅れたイージス艦派遣  
 政府はインド洋へのイージス型護衛艦の派遣を決めた。米英艦へ
の給油に当たる海上自衛隊補給艦の安全を考えれば、高性能護衛艦
を配備するのは当然である。1年前に決まってよかった派遣がここ
まで遅れたのは、与党の一部に政治問題にする必要のない問題を
政治問題化させた感情的議論があったためだった。

 与党内でイージス艦派遣に反対したのは、主に公明党であり、
自民党では野中広務、古賀誠氏らごく少数だった。
反対論者は第一に、イージス艦が集めた情報が米軍に提供されれば
、米軍の武力行使と一体化し、集団的自衛権の行使を禁じた政府の
憲法解釈に抵触すると指摘した。

 私たちは集団的自衛権や一体化論などの政府見解を適切とは考え
ないが、政府見解を前提にしても、この議論には無理がある。レー
ダー探知距離が現在派遣している護衛艦のように半径100キロメート
ルなら許容され、500キロメートルのイージス艦ではなぜいけないか
が説明できないからだ。問題が起こるとすればイージス艦の能力で
はなく、活動内容であり、それは基本計画で既に決まっている。

 第二に、反対論は朝鮮半島情勢を根拠にしたが、これも理由にな
らない。海上自衛隊には4隻のイージス艦があり、1隻は常にドッ
クに入り、3隻が稼働する体制にある。1隻をインド洋に派遣して
も他の2隻で日本周辺の情報はつかめるし、朝鮮半島情勢がそれほ
ど軍事的に緊迫しているのであれば、反対論者からこそ有事法制関
連法案の成立推進論が出てくるはずだが、それがない。

 第三に、想定されるイラク戦争での米軍に対する間接支援に当た
るとの反対論もある。間接支援論に立てば、例えば米軍が地球上の
どこかで戦闘を始めれば日本政府の在日米軍経費負担も戦費の一部
提供になる。カネに色はないからだ。それを避けようとすれば、米
軍がどこかで戦闘を始めるたびに日米間の安全保障協力を止める必
要がある。それは同盟関係とは呼べない。米国は日本防衛の義務を
果たさなくなり、日本自身の安全が脅かされる結果になる。

 イージス艦派遣反対論には合理性がない。それを学んだ1年と考え
れば、派遣の遅れは時間の無駄ではないのだろうか。 日経・社説
Kenzo Yamaoka
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2002年12月05日(木) 
米国はイスラム諸国の民主主義移行支援に一層努力=国務省

 [ワシントン 4日 ロイター] 米国は、イスラム教世界での
民主主義普及に一段と力を入れていく方針を明らかにした。 

 国務省の政策企画担当者のリチャード・ハース氏は、外交評議会
で講演し、米国は政治体制の変更の方法を強制することはしないが
、各国と個別に協議しながら、現存する権威主義的な制度から徐々
にその国の独自の代表者選出制度を編み出していきたい、と述べた。 

 同氏は、永年にわたり、民主主義の普及の優先度を十分高くして
こなかったことは過ちだった、との認識を示し、「そのため(イス
ラム教)諸国がより安定的で繁栄し、より平和でグローバル化の
ストレスに強い国家となるよう援助する機会を逃してきた」と述べ
た。 

 そのうえで、「(それゆえ)米国は、イスラム教諸国の人民や
政府と協力し、これら諸国における民主主義実現を促進すべく、努
力を強化していく」と語った。 

 同氏は、民主主義促進のプロセスとして8つの指針を提示。その
1つは、数カ月以内にパウエル国務長官が発表する新たなパートナ
ーシップで、これはアラブ諸国への支援を現在の年間10億ドル
からさらに増額し、特に教育、経済、政治改革の三つの分野におい
て発展を促すという。
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自民野中氏、イージス艦派遣なら公明・保守と友情捨てる 
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20021202AT1EI00B101122002.html
自民党の野中広務元幹事長は1日、岡山県総社市内で講演し、イー
ジス艦のインド洋への派遣問題に関し「公明、保守両党と政策や選
挙協力を行う責任ある立場ではないが、1人の政治家として、この
人たちが派遣に同意するなら友情は捨てなければいけない」と両党
の対応を強くけん制、改めて反対する姿勢を強調した。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から帰国した拉致被害者5人
に関しては「日本人だ。拉致していったのを(再び北朝鮮に)帰せ
というのは無理がある」と強調した。 (18:27)
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[野中広務氏] 宗教法人課税に言及 公明のイージス艦黙認けん制 
2002 年 12月 6日 
http://news.msn.co.jp/articles/snews.asp?w=302207
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イージス艦派遣決定を「黙認」した公明党幹部への当てつけか――
。自民党の野中広務元幹事長が5日の同党税調小委員会で、固定資
産税見直し問題について「宗教法人への課税を含めて、聖域を設け
ないで議論する場があっていい」と述べた。非課税となっている
宗教法人への課税も検討するべきとの考えを示したものだ。

 宗教法人への非課税措置の見直しは、地方税財源拡充論者の野中
氏の以前からの主張。ただ、この時期に野中氏が宗教法人課税に言
及するのは、イージス艦派遣を公明党が黙認したことを受け、支持
母体・創価学会をけん制するためとの見方が自民党内には強い。
[毎日新聞12月6日] ( 2002-12-06-03:26 )


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