1096.イラク戦争の行方と北朝鮮



米国のイラク戦における心理戦と国際査察の両面から考察が必要で
ある。 北朝鮮についても考察。   Fより

米国の嘘を流す機関「戦略的誘導感化局」はできなかったが、それ
と同様なことをしているとラムズフェルド国防長官は、米国の記者
との秘密会談で語ったようである。現在、米軍と米国の外交活動に
ついて、米国報道機関ニュースソースのほとんどが国防省からのブ
リーフですから、戦略的な嘘が多く含まれていると思って、その報
道に接する必要があるのです。

1080.イラク攻撃において、イラクを今にも攻撃するような米
国の報道を国防省の宣伝と評したが、その証拠を佐藤さんが阿修羅
に投稿していただいた。米国タカ派は戦争をしたいのです。

一方、フセインは査察を全面的に今のところは受け入れている。
もちろん、サンケイの「イラク査察 実効性に疑問」や英紙タイム
ズの「フセイン大統領「兵器部品は自宅に隠せ」」のように裏があ
るなどと査察自体を否定した記事が多数出てきている。

がこの報道自体が戦略的嘘の可能性が高い。英米はエシェロンなど
情報機関が全面的協調関係にある。産経の記事もどうせ、米国の
その筋の鵜呑みでしかない。しかし、このような裏があったとして
も、私は、このままイラクは大統領宮殿を含めた全面査察容認で
進行すると思う。この査察をイラクは故意には邪魔しないだろう。
米国が提出文章にクレームを付けて、イラクの妨害とする可能性は
あるが、イラクはそのクレームに対応して修正するはず。このため
、米国はイラク戦争をするために査察違反とは違う理由を探す必要
が出てくる。

リチャード・パールはイラクと戦争をすることは決まっていると言
うが、国際社会が納得する理由も必要である。その理由を探す間に
もう1つの戦争をする可能性がある。
20億ドル以上の戦争資金がある。それを公共事業であるから来年
14年には使わなければならない。

そして、核開発もして、生物兵器も開発している北朝鮮は何もして
いないイラクより悪であることは世界が知っている。現時点では
米国は攻撃しようとしない。この矛盾を大きく欧州やイスラム圏か
ら指摘されることになる。
このため、イラク査察で何もなしとなると、米国は公共事業として
の戦争をする必要があるために、東アジアで戦争モードに移行する
可能性が高い。この意味からも、金正日は北朝鮮だけではなく、東
アジア全体の困り者ですね。一番被害が大きいのが太陽政策をした
韓国である。核攻撃を受けるのは韓国ですから。このように金大中
の失敗も明らかになっている。

その戦争モードに移行する前に北朝鮮は、核開発、化学兵器開発断
念を表明しないと、本当の戦争になってしまう。東アジアでは核戦
争の可能性もある。米朝がお互いに核を持っている。このため、核
の応酬になる可能性を否定できない。このように被害が大きいため
、米国も今までは第2次朝鮮戦争を躊躇してきた。

しかし、北朝鮮が米国の意向を無視し続けると今の米国はハルマゲ
ドン戦争を志向しているキリスト教原理主義者と米国の戦争好きな
覇権実行主義者の政権ですから明確な理由があり、政権内反対派で
もあり、国際協調主義者のパウエルも世界的に納得が行くとなれば
、戦争モードに移行してしまう。この核戦争を止めることが出来る
のは、中国とロシアしかない。しかし、どうもこの2ケ国の言うこ
とも今の北朝鮮は聞かないようである。北朝鮮外務省の高官の発言
も、強気一点張りである。弱い犬は、よく吼えるですかね。
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http://www.asyura.com/2003/war19/msg/542.html
阿修羅より          投稿者 佐藤雅彦 
MEDIA ADVISORY:
The Office of Strategic Influence Is Gone, But Are Its 
Programs In Place?
【「戦略的誘導感化局」はたしかにボツになったが、その心理戦
プログラムはすでに実施か?】

November 27, 2002

The Federation of American Scientists has pointed to a startling
 revelation by Secretary of Defense Donald Rumsfeld that 
mainstream media have missed: In remarks during a recent press 
briefing, Rumsfeld suggested that though the controversial 
Office of Strategic Influence (OSI) no longer exists in name, 
its programs are still being carried out (FAS Secrecy News, 
11/27/02,http://www.fas.org/sgp/news/secrecy/2002/11/112702.html ).

【要旨:ラムズフェルド国防長官は先日の記者会見で、すでにボツ
になったはずの「戦略的誘導感化局(OSI)」は、この局名では現在
存在していないが、(心理戦の)プログラムは相変わらず実施され
ていることを、ほのめかした。】

The OSI came under scrutiny last February, when the New York 
Times reported (2/19/02) that the new Pentagon group was "
developing plans to provide news items, possibly even false ones, 
to foreign media organizations." The news was met with outrage, 
and within a week the Pentagon had closed down the OSI, saying 
that negative attention had damaged the office's reputation 
so much "that it could not operate effectively" (AP, 2/26/02).
【要旨:今年2月に、国防総省内の新たな集団“戦略的誘導感化局
”が「海外メディア機関むけに虚偽情報をふくむニュース素材を配
給する計画を練っている」とニューヨーク・タイムズが暴露した。
これは猛烈な非難をあび、同局は閉鎖されたことになっていた。】

The plan was troubling for many reasons: It was profoundly 
undemocratic; it would have put journalists' lives at risk 
by involving them in Pentagon disinformation; and it's almost 
certain that any large-scale disinformation campaign directed 
at the foreign press would have led, sooner or later, to a 
falsified story being picked up by U.S. media. (See Extra! 
Update 4/02, "Behind the Pentagon's Propaganda Plan,"
 http://www.fair.org/extra/0204/osi.html .)


At the time, Rumsfeld claimed that he had "never even seen 
the charter for the office," but Thomas Timmes, the OSI's 
assistant for operations, said that Rumsfeld had been briefed 
on its goals "at least twice" and had "given his general 
support" (New York Times, 2/25/02).
【要旨:ラムズフェルドは同局の「設置憲章を目にしたこともない
」と公言していたが、局員が「(国防長官はOSIの設置目的について
)少なくとも2度」演説していたし、「全般的な支援も受けていた
」と証言している。】

Now, in remarks made at a November 18 media briefing, Rumsfeld 
has suggested that though the exposure of OSI's plans forced 
the Pentagon to close the office, they certainly haven't given 
up on its work. According to a transcript on the Department 
of Defense website, Rumsfeld told reporters:
【11月18日に国防長官は記者会見で、OSIは設置計画が発覚したので
閉鎖する羽目になったが、その(心理戦)業務は諦めていない、と
述べた。】

"And then there was the Office of Strategic Influence. You 
may recall that. And 'oh my goodness gracious isn't that 
terrible, Henny Penny the sky is going to fall.' I went down 
that next day and said fine, if you want to savage this thing 
fine I'll give you the corpse. There's the name. You can have 
the name, but I'm gonna keep doing every single thing that
 needs to be done and I have."

A search of the Nexis database indicates that no major U.S. 
media outlets-- no national broadcast television news shows, 
no major U.S. newspapers, no wire services or major magazines
-- have reported Rumsfeld's remarks.
【こうした記者会見をしていたのに、メディア関係のデータベース
を調べてもこの件についての報道が一切されていないようだ】

Rumsfeld's comments seem all the more alarming in light of 
analysis presented by William Arkin in a recent Los Angeles 
Times opinion column (11/24/02), in which he argues that 
Rumsfeld is redesigning the U.S. military to make "information 
warfare" central to its functions.
【LAタイムズによれば、ラムズフェルドは米軍が「情報戦争」の
中枢を担えるように再編する思惑を持っているという。】

This new policy, says Arkin, increasingly "blurs or even erases 
the boundaries between factual information and news, on the 
one hand, and public relations, propaganda and psychological
 warfare, on the other."
【このLAタイムズコラムによれば、新たな米軍の広報政策は、「“
報道”対策としては虚偽情報とニュースの境界を曖昧にした情報を
メディアに配給し、一方で民衆宣撫工作・組織的宣伝“布教”工作
・心理戦争を実施していく」ものである。】

Arkin adds that "while the policy ostensibly targets foreign 
enemies, its most likely victim will be the American electorate."

It is essential that media follow up this story, particularly
 now, as the country faces a possible war with Iraq and 
reporters rely even more heavily than usual on Pentagon information.
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フセイン大統領「兵器部品は自宅に隠せ」・英紙(nikkei) 

 29日付の英紙タイムズは英政府高官の話として、イラクのフセイ
ン大統領が科学者、公務員、バース党員、農民に対し、大量破壊兵
器の主要部品や兵器に関する重要情報が保存されているパソコンな
どを自宅に持ち帰って隠すよう指示した、と報じた。

 イラクの通信傍受などで得た情報で、農民は化学物質をドラム缶
に入れ、肥料倉庫に隠しておくよう指示されているという。

 27日から活動を開始した国連査察団は軍事関連施設の査察だけで
なく、科学者や当局者から事情聴取したり民家を捜索する権限も与
えられている。しかし、この指示が事実とすれば、そうした作業を
どこから始めてよいか分からなくなるだろう、と同紙は指摘した。
(ロンドン=共同) (12:00) 
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イラク査察、対象地域を大幅拡大へ

 【カイロ30日=秦野るり子】イラクの大量破壊兵器の開発疑惑
の解明をめざす国連査察団は30日、バグダッド郊外の軍需工場、
軍施設などを抜き打ち査察した。査察は前日の休日をはさんで3日
目。

 査察団の植木安弘報道官によると、査察官の移動や査察現場の監
視に使われるヘリコプターが1日に到着する予定で、バグダッド周
辺に限られていた査察地域が近日中に大幅に拡大される見通しとな
っている。

 現地からの報道によると、核関連の査察を担当する国際原子力機
関(IAEA)の査察官はバグダッドの南約10キロのアルユセフ
ィーヤ地区の兵器開発工場と、かつて核開発に使われていた施設を
査察した。

 兵器開発工場では、敷地内に入ろうとしたイラク政府の車両を工
場の警備担当者が追い返す一幕もあった。査察中は対象施設への出
入りを禁じるとした国連安保理決議をイラク側が順守する姿勢を見
せた形だ。(読売新聞)
[12月1日1時39分更新]
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2002年12月01日(日) 
イラク査察 実効性に疑問(SANKEI)
軍需工場など3カ所抜き打ち
 【カイロ30日=村上大介】イラクの大量破壊兵器開発を調べる
国連査察団は三十日、バグダッド南約十五キロのアル・ユースフィ
ーヤにある「すべての戦いの母」と名付けられた軍需工場と、同北
約八十キロのバラドにあるミサイル関連とみられる基地など三カ所
を抜き打ち査察した。

 二十七日に開始された査察は二十九日の休日を挟んで三日目。
査察団は最初の二日間についてはイラクの妨害はないとしている。

 一方、イラク外務省は二十九日付地元各紙に声明を発表、「米英
のうそが暴かれた」と強調した。

 査察団は二十八日、バグダッド南郊アッダウラの家畜ワクチン工
場を査察したが、米英両国が公表した情報機関の報告書は、同施設
での生物兵器開発疑惑を指摘、特に英国は炭疽(たんそ)菌培養にま
で踏み込んでいた。

 しかし、査察後に施設内への立ち入りを許された記者団によると
、ほこりをかぶった機器や書類が散乱していた。

≪能力 乏しい専門知識/中立性確保“足かせ”≫
 イラクで活動中の国連査察団は、最新の検査機器を備えるなど高
い査察能力をもつとされる。だが、査察官個人の資質と事前情報の
収集面における問題点が浮上しており、専門家の間には査察の実効
性に対する懐疑的な見方も出ている。

 中東経済研究所の立花亨・主任研究員によると、査察が効果的に
行われるかどうかの分かれ目は、査察官の能力に加え、イラクの兵
器開発に関する事前情報が、査察官の出身国の情報機関からどの程
度もたらされているかという点にある。

 十一月二十八日付の米紙ワシントン・ポストは、米バージニア州
出身の国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の査察官(五三)が
二十年以上前に、海兵隊員として爆発物処理に携わっただけで専門
資格をもたず、現在はSMクラブを経営していると報道。
UNMOVICもこの男性を含め査察官の経歴調査を行わなかった
ことを認めたという。

 UNMOVICには査察官に採用される際、出身国での公職を辞
めなければならないとの規定がある。これは前身の国連大量破壊兵
器廃棄特別委員会(UNSCOM)がスパイ活動をしていたとイラク
から指摘され、査察官の中立性を確保するための措置だが、同紙は
「このような規定があれば有能な査察官は応募できない」との元
UNSCOM査察官の批判も紹介した。

 一方、立花氏はこの規定により査察官と出身国のつながりが絶た
れ、必要な情報が得られない可能性があると指摘する。UNSCOM
の場合、たとえばイラクがどこの工場でどのような兵器を開発して
いるかなど、米国の偵察衛星によって得られた情報を含む諜報
(ちょうほう)情報は、米国の査察官を通じUNSCOMにもたらさ
れ、こうした事前情報をよりどころに査察が実施されてきたからだ。

 UNSCOMは七年間で二百七十回もの査察を行ったが、そのうち
抜き打ち査察に成功したのは十回程度。立花氏は「事前情報に基づ
く査察でも成果はこの程度で、事前情報を欠けばまず成功しない。
イラクのスパイ排除要求に応じたことで、査察団は手足をしばられ
れかねない」という。(浅井正智)

≪判定 申告書の「欠陥提示」がポイント≫

 イラク情勢の行方はひとえに、同国が八日までに提出しなければ
ならない大量破壊兵器の情報に関する申告書の内容と、査察結果に
かかっているが、その内容の「判定」をめぐっては曲折も予想され
る。

 査察団は査察着手から六十日後の一月二十七日に、国連安保理に
査察結果を報告するが、妨害行為などで「クロ」の判定はできても
、「シロ」の判定は不可能だという。核査察では、ある場所に設置
された機器が一定期間反応しないことが条件となるなど、「一年は
必要で、それでもシロに近いといえるだけだ」(査察関係者)という。

 イラクの大量破壊兵器関連情報の申告書に、虚偽や報告漏れがあ
れば、決議違反となり、申告書には兵器転用可能なすべての部品、
材料が含まれなければならない。申告書は数千ページに及ぶとみら
れ、UNMOVICのブリクス委員長はイラクにCD−ROMでの
提出を求めている。

 フセイン政権打倒を目指す米国は、申告書の提出後、ただちに「
欠陥探し」に着手することになろうが、「だれもが納得できる欠陥
を提示できるかどうか」(国連外交筋)がポイントになる。欠陥は
査察団による証明が必要で、査察団が狙いを絞った活動に出た場合
、イラク側が妨害とみられる行為に出て、事態が混乱する可能性も
ある。(ニューヨーク 内畠嗣雅)

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11月29日
悪夢のバグダッド市街戦=中井良則(外信部) 

http://www.mainichi.co.jp/eye/hassinbako/2002/11/29.html

 イラク戦争が始まれば、どれぐらいの人が死ぬのだろう。欧米で
は専門家が軍事シナリオを次々に発表している。それらを読むと、
すさまじい殺し合いになりそうだ。 

 「少なくとも1万人のイラク市民が死ぬ」。そう予測した英ブラ
ッドフォード大、ポール・ロジャーズ教授に聞くと悲観的だった。
「米国はイラクの政権を終わらせると決意し、イラクは生き残ろう
と決意する。とすれば、バグダッドで激しい市街戦になるだろう。
1万人の推定は低すぎるかもしれない」 

 米軍の攻撃は新型爆弾を使った猛烈な空爆で始まり、南北から地
上部隊が進撃する。イラクは共和国防衛隊など精鋭8万人で対抗し
、長期戦に持ち込む戦略をとる。人口500万人のバグダッド市内
にイラク兵は分散し、米兵を首都に引きずり込む。難民があふれ街
は大混乱。イラクは生物・化学兵器を使い、米兵は重装備の防護服
を着用するため動きが鈍る。 

 米ブルッキングス研究所も「死者数はイラク兵1万人、イラク市
民数万人、米兵2000人」と報告した。 

 想像もしたくない惨状だが、これだけで終わらない。核戦争の危
機がある。「米兵に多くの犠牲が出れば、米国は核兵器使用が合法
と考えるかもしれない」(同教授)。英国の医療専門家組織「メド
アクト」は「米英かイスラエルが核で報復すれば最悪で360万人
死亡」と見積もる。 

 こうした悪夢のシナリオの予測は失敗に終わってほしい。ロジャ
ーズ教授はいう。「これは恐ろしく危険な戦争となる。戦争に代わ
る道を見つけるべきだ」。まだ間に合うはずだ。 

(毎日新聞2002年11月29日東京朝刊から) 


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