1095.日本の外交について



日本の外交が変わろうとしている。この検討。  Fより

外交タスクフォースが、日本の外交を理念外交から国益外交に変え
、民間人を中心とした安保戦略会議の設置を提言している。
これは日本の外交官僚に、拉致問題で分かったように国民の生命・
財産を無視するという日本の国益概念が無いと思われているためで
ある。このため、北朝鮮の言いなりになったり、国益に反して米国
の圧力(外圧)に屈したような印象を与えたりした。そのことによ
り、米国陰謀主義者の勢いを増して、何でも米国の陰謀と言う人た
ちに対応・収拾できなくなっている。

日本の政治家と官僚が、対米交渉を秘密主義にして、国民の合意形
成をせずに行ってきた交渉の結果である。半導体制限の交渉などは
、米国陰謀論者に日本をダメにしたと言われても、仕方が無い。

国民を信用しない、バカにしているため、官僚は国民に知らせるべ
きことも秘密にする。この状態は将来に禍根を残すと思っていたが
、もう秘密主義は日本外交の限界に来ている。世論を形成して、
国民合意形成をした外交をするべきで、そのためには、世界の状況
を正確に把握して、この状態を国民に知らせる必要がある。

このコラムでは、過去に将来、中東戦争が起きるから、シベリアの
天然ガス開発をするためにも、ロシアとの平和交渉を早めて、備え
るべきであると主張した。また、日本の評論家より相当早く、米国
内部が国際主義のパウエルと一国主義のチェイニーに分裂している
と警告して、米国の動向に注意するべきだし、日本や欧州の国益を
考えると、パウエルを応援するべきだと主張した。

もし、一国主義を米国が取るなら、日本は欧州と協調して、米国に
反対するべきであると主張した。このような主張の裏には、YSさ
んとその日欧米にいる仲間たちが米国、欧州の情報とその他世界の
情報を集め、その分析を毎日しているのである。この情報と分析を
私も知って考察している。

このため、このコラムの予測はほとんど大枠では、外れていないは
ずです。国内問題も、この日本と同じ状況にあった1980年代後
半の欧米の対応と政策を調査しているために、当たる可能性が高い
のです。情報収集と分析が重要であるということです。

もう1つ、日本外交が普通の国の外交、国益中心の外交にする必要
がある。しかし、この意味が十分わからない人たちがいる。国益と
は国民の富を生み出す経済的な利得と国民の生命・文化を守る安保
の両面での損得を議論の中心にするべきですなのです。しかし、
どうもイデオロギーや国民感情を持ちだす人たちがいる。

これでは国益外交はできないし、もうイデオロギーは時代遅れであ
る。その国の好き嫌いで判断するのも止めるべきである。中国は
経済的な面では、日本は損な面と得な面がある。しかし、安保面で
は懸念事項である。すると、国益外交では、この懸念事項を無くす
努力と経済面で得な方向を追求することが重要になる。

北朝鮮は、日本人拉致問題が解決すれば、日本のいる北朝鮮に親近
感を感じる朝鮮総連系の人たちが騒動を起こさないようするだけで
関わりが無い。国益面では日本は得をほとんどしない。このため、
無視でいいのである。

核問題は、万景峰号以外工作船でも使わないと、日本に運ぶ手段が
ない。ミサイルに詰めるほどには核兵器が小型していない。このた
め、万景峰号の寄港を禁止して、工作船の監視をすれば防げること
になる。それよりは細菌兵器や化学兵器や通常兵器の方が怖い。

このように情報を知れば、脅しに対する対応策も簡単にできること
になる。この面では米国の助けを必要としている。ミサイル防衛が
できるまで、北朝鮮がミサイル発射準備をしたら、先制攻撃して
ミサイルの破壊しかない。これは当然、戦争になるでしょうから、
悪の大国は、米国の航空攻撃で簡単に潰れるのである。北朝鮮は
そのことを知っているため、暴走をしないはず。

しかし、つい最近の北朝鮮外交政策は余りにも稚拙で酷い。金正日
外交は大失敗で自分の墓穴を掘っている状態になってしまった。
日本から多額の経済援助を受けられる寸前にあるのに、なぜ核開発
を白状するのか、それも北朝鮮に敵対的な米国に、その敵対の根拠
を明確にするようなことをする。これは理解しがたい。あまりにも
バカな行為で世界を甘く見すぎている。このため、日本も一切の援
助ができないことになっている。

韓国とは経済的な関係が有るため、日本は関与する必要があるが、
太陽政策は破綻している。北朝鮮の核開発で分かる。このことを
韓国に理解してもらう必要があると思う。
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「外交政策」「安保戦略会議」創設を提言 首相の私的懇談会 

2002 年 11月 28日 
http://news.msn.co.jp/articles/snews.asp?w=293592
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 小泉純一郎首相の外交に関する私的懇談会「対外関係タスクフォ
ース」(座長・岡本行夫内閣官房参与)は28日、「21世紀日本
外交の基本戦略」と題する報告書を首相に提出した。首相官邸に中
長期的な外交政策を構想する「外交安全保障戦略会議」(仮称)を
創設するよう提言。外務省中心の外交政策立案からの転換を求めた
。北朝鮮政策では「急激な体制転覆が目標ではない」「政治経済体
制を段階的に変質させるべきだ」と指摘し、正常化後の経済協力を
「有力な手段」とした。

 報告書は、これまでの政府の外交について「外務省をはじめとす
る関係省庁の前例主義、漸進主義、縦割り行政などが災いし、果断
な政策を取らない場合が多かった」と強調。そのうえで、極超大国
化する米国、経済発展がめざましい中国、統合が進む欧州連合
(EU)など国際情勢の変化を踏まえ、「日本外交の優先順位も
当然再検討されるべきだ」と提起し、外交安保戦略会議創設の必要
性を強調している。

 同会議は(1)保秘義務を負う有識者で構成(2)事務局を内閣
官房に設置し、関係閣僚とも随時懇談する――が柱。「外交の最終
決定者である首相に、外務省とは異なる政策オプションを提示でき
る機関」(岡本参与)と位置付けている。

 また、国連を含めて11地域との外交戦略を提言。「21世紀初
頭の最重要テーマ」とする日中外交では歴史問題の解消に加え、
環境や国連平和維持活動(PKO)分野での協力、北朝鮮問題など
連携強化を提唱。台湾問題の平和的解決を改めて求めた。
 【中西拓司】

●報告書の要旨
 小泉純一郎首相の私的懇談会「対外関係タスクフォース」が28
日、首相に提出した報告書の要旨は次の通り。

1日本を取りまく国際情勢=略
2日本の地域別課題
 1米国 安保関係を総合的に再検討すべきだ。
 2中国 「歴史の呪縛」から抜け出し、未来志向の関係を目指す。
 3朝鮮半島
 (1)韓国 民主主義、市場経済、米国との同盟の3つの基本体
    制が共有されれば、日韓の価値観や国益は接近する。
 (2)北朝鮮 日本の目的は北朝鮮の体制転覆ではなく、政治経
    済体制の段階的変質。
 ▽4東南アジア、太平洋地域▽5南アジア=略
 6中東、中央アジア イラクのフセイン大統領が大量破壊兵器破棄
  を完全に実施し、フセイン体制が自然解体に向かうことが望ましい。
 7ロシア 対話のパイプを強化し、領土問題についても種々の角度
  から議論を行うべきだ。
 ▽8欧州▽9中南米▽10アフリカ=略
 11国連外交 分担金は経済力に見合った15%程度への引き下げ
   のため、強い決意で当たる。

3日本の分野別課題
 1安全保障 対米同盟関係は今後、強化する必要性はあっても弱ま
  ることは予想されない。
 ▽2世界の中の日本経済▽3東アジアの経済統合=略
 4持続可能な開発と人道支援 ODA(政府開発援助)効率化のた
  め、優先して援助を行うべき地域と分野の重点化を図るべきだ。
 ▽5エネルギー問題▽6環境問題▽7学術文化交流=略

4「外交安全保障戦略会議」の創設を

 首相には、外務省からだけでなく異なった視点や選択肢が提示さ
れ、官邸によって総合的に調整するプロセスが必要。「外交安全保
障戦略会議」を創設し、首相に中長期の外交指針を建言していくべ
きだ。
[毎日新聞11月28日] ( 2002-11-28-21:44 )
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件名:日本の対外交渉・目立つ消極姿勢  

『リスク軽減最優先・孤立に弱く』
米国政府の研究機関「米国平和研究所」は十五日までに、日本政府
の対外交渉の特徴についての研究結果をまとめた報告書「日本の交
渉方法」を公表した。

同報告書は1970年代から90年代にかけてのコメ輸入、FSX
(次期支援戦闘機)決定など日米間の四交渉での日本側の態度を詳
しく調べた結果、(1)受け身の対処が多くなる(2)自国の決定
でも「外圧」のせいにする(3)根回しに時間をかけ過ぎる(4)
裏のチャンネルでの取引を好む(5)全体に交渉のペースが遅い
(6)交渉自体の多くの部分を秘密にしたがるーことなどを特徴と
して列記した。

報告書『日本の交渉方法』は(1)1977、78年のオレンジ輸
入交渉(2)86ー93年ののコメ輸入交渉、(3)85ー89年
のFSX交渉、(4)91−九六年の日米安保関係の再規定交渉ー
について、ハーバード大学のエズラ・ボーゲル教授や元国防総省日
本部長のポール・ジアラ氏らが研究し、分析している。同報告書は
その結果として日本の交渉方法の特徴を以下のように総括した。

(一)『受け身の対処』
 日本政府代表たちは対外、とくに対米交渉ではメンツを失わなこ
とを最重視し、とにかくリスクを減らすことに努めるため、姿勢が
一貫して受け身となる。日米安保関係の再定義というような日本側
にとっても積極的に取り組む必要性が明白なテーマでも米国の要求
や主張にどう対応するかを最大の課題とし、全体として消極的な姿
勢をとる。譲歩や妥協をするときもいつも少しずつの漸次主義とな
る。

(二)『外圧』を利用
 日本側が交渉のプロセスで立場を変える場合は「外圧」が理由だ
とされる。日本はとくに「国際的に孤立する」という圧力に弱く、
コメ市場開放でも開放しなければ米国を先頭にコメ問題を多国間で
争点にする構えをみせると、日本は急に譲歩した。 

(三)根回しを重視
 四例とも日本側はコンセンサス形成を重視した。そのために事前
や最中での根回しがいつも進められ、実際の交渉過程で日本側各組
織間の根回し調整がなされることも多い。
 このため日本側にとっては対米交渉そのものは米国と主張をぶつ
け合うためよりも、自国側の各機関への説明の機会となる。
 
(四)裏チャンネル
 日本側は政府同士の正式交渉でも米国と非公式なチャンネルを使
いたがる。この種の裏取引は米側の意向を探り、日本側の事情をア
ピールするために進められるが、コメ輸入交渉の際のように、そう
した裏チャンネルの意志疎通が当時の細川首相、クリントン大統領
というレベルでの合意までもたらすことがある。
  
(五)ペース遅く・・・
 日本政府代表は交渉の妥結を急がない。米側代表は政治任命で任
期が決まっており、その期間内の妥結を強く求めるが、日本側には
その種の動機がない。
  
(六)秘密傾向強く
 日本側は、交渉の全体の妥結が確実となるまで細部は一切秘密に
する傾向が強い。米側は逆に自国の主張の細部や具体的部分を公表
することが自国側での一般の支持を得やすいとみて、一部をもらす
ことが多い。「ワシントン=古森義久・産経新聞」
Kenzo Yamaoka
E-Mail king@guitar.ocn.ne.jp


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