1080.イラク攻撃について



今にも、米国はイラク攻撃をするような日本の新聞論調はおかしい。
この考察をしよう。   Fより

イラクのフセインは議会が受け入れ拒否決議をしたのにもかかわら
ず、国連の完全査察を受け入れた。イラクのフセインとすれば、
欧州、ロシア、中国の意向を受けて生き残ればいいのである。石油
があれば、後でいくらでも、核も生物兵器も買えばいいし、イラン
やシリアに核でも生物兵器でも預かってもらえばいいのだ。

しかし、一方米英はイラクに新政権を樹立しないと意味がない。
仏露中が持っているイラクの石油採掘権を無効にして、米英でイラ
ク石油の採掘権を確保するのがこの戦争の目的なのであるから。
このため、どうしてもイラクが査察の邪魔をしてほしいのです。
もしかすると、難癖を付けて査察を邪魔したことにして攻撃する可
能性もあるのです。米国は石油のための戦争だからです。

しかし、イラクのフセインはフランス・欧州の意向で動いている。
このため、いろいろな文句は言うが、実際的な行動は、査察全面受
け入れになる。このように国連の安保理の欧米調整でできている。
パウエルもアラブも知っている可能性がある。事前に仏イラン関係
を知っていて、安保理の交渉をしている。そうでないと、安保理の
全員が決議賛成にならない。人間がどう考えるかの普遍的な観点か
ら考察してみるべきではないか??

しかし、そのことを今言うと、ネオコンや10ケ月もイラク攻撃準
備に費やした国防省タカ派が反発するために、何も言えない。もし
イラクが査察を邪魔すると、アラブ諸国も参加する国連軍と戦うこ
とになる。これではアラブの大義も何もない。このようなことを
フセインはするはずがない??

このため、米国のマスコミを見るときは米国の報道管制と宣伝戦に
冷静な対応が必要なのです。米国のマスコミはイラク攻撃を今にも
するようなことを言うのです。これは宣伝戦です。

日本もイラク攻撃なしの見通しの上で国連軍参加を表明する必要が
ある。万一、フセインが感情的な判断ミスをしたときに、何のリス
クもなく、戦後の石油分配に影響力を行使できるのですから。
このような外交を国益外交というのである。

このような国際情勢の分析を日本はすることが必要なのである。
そして、その見通しからドイツは米国の攻撃反対から方向転換をし
たのです。日本も見習うべきである。

新聞記者の皆様、米国の情報だけから情勢を判断するのは、非常に
危険ですよ。
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■国連決議受諾――イラクは潔く協力せよ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 イラクが大量破壊兵器の査察と廃棄を決めた国連決議を受諾した。 

 アナン国連事務総長にあてた書簡で、イラクは「我々は決められ
た期限内に査察団を受け入れる用意がある」と述べた。 

 イラクの国連大使は受諾について「条件や留保は何もない」とい
っており、国連査察は4年ぶりに再開される見通しだ。 

 安保理の全会一致の決議であるうえ、アラブ連盟も受諾を促した
ため、フセイン大統領も拒否できなかったのだろう。事態が査察再
開という平和的な方向で動き始めたことをひとまず歓迎したい。 

 しかしイラクの書簡が、米英ばかりか、その圧力に屈したとして
他の安保理諸国をも批判したのは遺憾である。湾岸戦争以来数々の
国連決議に違反し、国連査察を妨害して、問題をこじらせてきた責
任が感じられない姿勢と言わざるを得ない。 

 今回の決議で、査察を担う国連監視検証査察委員会(UNMOV
IC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラ
ダイ事務局長は、過去の査察よりはるかに強力な権限を与えられた。 

 査察は、製造施設や証拠物質の発見だけでなく、計画や開発に携
わった技術者に対する面接や、米国をはじめとする偵察衛星の情報
など、幅広い分野にわたる。 

 抜き打ち査察も可能になった。イラク側が繰り返してきた査察直
前の資料隠しなどは、もうできない仕組みだ。フセイン大統領はそ
のことを肝に銘じ、潔く査察団に全面協力しなければならない。 

 ただ、イラクが求めるイスラム暦への配慮は必要だ。イスラム諸
国では、来月初旬まで神聖な断食月が続く。宗教心を侵害するよう
なことをしてはなるまい。とはいえ、イラクがこれを査察妨害の口
実にすることはもちろん許されない。 

 肝心なのは、イラクが核兵器と生物化学兵器について、これまで
進めてきた計画をすべて明らかにし、隠匿している疑いが濃いこれ
らの兵器を全廃することだ。 

 イラクは今回の書簡で、生物化学兵器に関する疑惑を否定してい
る。しかし、フセイン政権には80年代に化学兵器を対イラン戦や
国内クルド人弾圧に使用し、核兵器工場まで造った過去がある。
書簡で述べられたイラクの主張はとても信じられない。 

 再開される査察は、イラクが大量破壊兵器に依存する軍事的野望
を本当に放棄したかどうかを検証する最後の機会である。そのこと
を自覚して、大転換を図るようフセイン大統領にいま一度念を押し
たい。 

 一方、ブッシュ米大統領には、対イラク戦争の可能性や戦後処理
のシナリオについて声高に語ることを慎んでもらいたい。安保理決
議はフセイン政権打倒を目指したものではなく、あくまでもイラク
の大量破壊兵器を廃棄することが目的である。 

 いまはイラクを挑発するのではなく、安保理決議の完全履行を見
守る時だ。
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2002年11月15日(金) 
査察団、45カ国の精鋭(SANKEI)
兵器生産携わったプロも
 【ニューヨーク14日=内畠嗣雅】イラクが受諾した国連安保理決
議一四四一の案文をめぐっては、イラク攻撃への準備を進める米国
も、査察への同行をひっこめるなど妥協してきた。その背景には、
国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)を率いるブリクス委員長
のワシントンに出向いての直接の説得があったとされる。委員長は
ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らに対し、査察団のメンバ
ーがいかによく訓練されるかを説明、「(イラク側と査察団との)追
いかけっこはやらない」と自信を示したという。

 七年半の査察活動のあと、「あるはずの兵器数」と「廃棄された
兵器数」を一致させられないまま撤退した国連大量破壊兵器廃棄特
別委員会(UNSCOM)は湾岸戦争後の急場に寄せ集められた査察
団だった。UNMOVICは九九年十二月に安保理決議に基づいて
結成され、財源も人道物資購入で認められるイラクの石油輸出の収
益の一部をあてる形で確保されている。

 スタッフは世界四十五カ国から集めた二百数十人。「ロシアやウ
クライナのスタッフは、さすがに自ら大量破壊兵器の生産に携わっ
ただけあって有能」と国連外交筋は指摘する。イラクの石油が、旧
ソ連の兵器にかかわる頭脳流出をささやかながら食い止めるという
構図にもなっているわけだ。

 また、この四年間に査察に必要な商業用機器も大きく進化した。
十三日付の米紙ニューヨーク・タイムズは専門家の話として、化学
、生物兵器の材料探知のための機器が精密化、小型化し、微生物の
分析では従来、研究所に持ち帰り数日かけて分析していたものが小
型機器で瞬時に判定できるようになったことなどを紹介している。
衛星写真でも工場の詳細を知りうるほか、地下のトンネルや施設も
レーダーによって発見できるという。


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