1060.日本の再設計(2)



前回の再設計は、新しい社会を目指す方向を示したが、今回は労務
集約産業の崩壊があり、それをどうするかを検討しよう。Fより

竹中さんの不良債権処理を金融関係者は非難しているが、それでは
その代わりの案を提案することが銀行首脳しては必要である。銀行
の自己資本の構成は竹中金融相が示した通りで、大部分の銀行は、
自己資金がほとんどないことは明らかで、政府からの資本注入が必
要なことは自明だ。

そして、資本金を銀行に注入すると、資本金のほとんどが政府資金
になるので、役員の人事を政府は決められることになる。竹中さん
が、銀行トップを首にするというなら、それをできることになる。
これは、資本主義の原理である。経営の失敗であるから、銀行の役
員が首になることは、仕方が無いではないか??
それがいやなら、どうして、その資本構成が適正で経営が適正だと
いう反論や復活の具体策を銀行は提示しないのであろうか??

しかし、一度は国有化になるが、再度民営化する時に、新生銀行が
わがままを言っているような条項は契約書に入れるべきではない。
こうすれば、当然、リスクが大きくて外資は買えない。日本企業で
あれば、不良資産のリスクをある程度評価できる。

このため、トヨタ・ソニー・三洋などの優良日本企業が安価に銀行
を買える。甘えている銀行を日本の優良企業トヨタやソニーのよう
な企業に任せるられる。
世界的な企業は銀行のあるべき姿も知っている。今までの銀行は甘
えすぎである。銀行がリスクを取ることを忘れている。トヨタは積
極的に有望なベンチャーに投資している。これが今の銀行には必要
なことであろう。

このように国際競争を勝ち抜いた企業群に、銀行を任せた方がいい
。そうしないと、今の銀行家はリスクテイクをしないため、低リス
ク、低リターンの国債しか買わないことになり、ベンチャーの有望
企業に資金が回らないことになる。そして、銀行が今貸しているベ
ンチャー精神が無くなった古い大企業が潰れる可能性が大いにある
ため、不良債権は今後も増加してしまう。これは企業評価もマトモ
ニできないような事態に今の銀行があるためなのです。

私の知っている超有望なベンチャー企業でも、トヨタからの融資を
受けたというと、銀行は貸してくれるが、それ以前は、いくら有望
なビジネスであると説明しても、銀行は一切貸さないと言っていた
そうである。銀行の企業評価は完全に狂っているとしかいいようが
ない。

私は竹中さんの不良債権処理はいいと思うが、やはり国民は経済的
な沈下を心配しているので、これにはある程度の回答が必要である
と思う。

ここでは、このための方策を考えよう。
この検討には前例がすでにある。1980年代の米国である。この
米国の方法を何べんもこのコラムで述べている。労働集約産業の工
場労働や建設現場の労働からサービス産業の労働へのシフトするこ
とであったのです。そして、このサービス産業を活性化させるため
に規制緩和をしたのです。

このように述べたのですが、それではサービス産業のどこに新しい
産業ができるのかという質問を受ける。
この答えは、サービス産業利用者を考えることが重要になる。
時間と金を持っている人たち、そうです女性と老人になるのです。
子供を持つお母さんもサービスを必要としているので、その人たち
に向けた新しいサービスでしょうね。

たとえば、子持ちのお母さんには少人数を預かる保育園、ベビーシ
ッターのような職業など。老人には介護サービスや老人の生きがい
を作る趣味のサークルなど。女性達には家庭の掃除や洗濯などの
サービス。このような市場を開発して、工場や建設業から人をシフ
トするしかない。すでに福島県の建設業の人たちは、老人介護サー
ビスにシフトしているとも聞く。このようなことをする必要がある。

しかし、サービス産業は労働賃金が、工場労働者や建設労働者に比
べて低いために、貧富の差が拡がることになる。そして、1990
年代の米国でもこのような賃金差が生まれた。そして米国ではその
貧富の差をより大きく広げるような税制になっているため、貧富の
差が実体以上に拡大している。
日本も米国と同様な税制にするべしという米国かぶれの学者や評論
家がいるが、私は大反対である。税制でこの賃金差を縮小させるこ
とが単一民族で構成されている日本の行く道である。米国のような
税制にしてはいけない。ここが米国かぶれの評論家と違う。竹中さ
んとも違うように感じる。

それと、公共事業も実需がある都市近郊の細い道路や首都高という
低速道路を改善することや田舎では当たり前のバイパスを都市に作
れば、そこには車が沢山走るし、都会人の時間も節約されるでしょ
うね。これは経済効果があるということです。田舎の大きな道路に
一時間に数台しか走らないようなことは、絶対に起きない。

こうすれば、都市近郊の地価の下落が止まる可能性もある。そうす
れば、マイナスの資産効果が無くなり、消費がある程度復活する。
要は需要のある所で公共事業をするべきなのである。

羽田空港の拡張や成田空港の拡張も必要であろう。そうすれば、
需要があるため、経済効果が大いにある。間違えても、2度と能代
空港のような無用の田舎の空港をつくらないことです。

もう1つが、米国の完全な市場資本主義は、ITバブル崩壊後の
企業汚職で証明されたように、不完全である。金融の規制緩和、企
業会計の規制緩和はしてはいけない。これがわかった。それとオフ
シェアー金融市場があると、テロ資金の居場所としてや、マネーロ
ーダリングなどに利用されてしまい、テロ資金になり世界を不安定
にさせてしまう可能性がある。このためにも、金融の自由化はほど
ほどにするしかない。

よって、ヨーロッパのような管理された市場経済主義がいいという
ことになる。しかし、日本の国際評論家が言っている反グローバリ
ズムとか「金融鎖国」は行き過ぎである。
==============================
大手7行首脳、竹中案に反対声明 (nikkei)

 大手銀行7行の首脳は25日夜、竹中平蔵経済財政・金融担当相が
検討を進めている税効果会計見直しなどの金融安定化策に全面的に
反対する共同声明を出した。金融安定化策が性急で「行政手続きの
観点から問題がある」と判断したためだ。会見で全国銀行協会の
寺西正司会長(UFJ銀行頭取)は、主張が受け入れられない場合
は国を相手取った行政訴訟も辞さない構えを示した。 

 竹中氏は金融界が猛反発している税効果会計の厳格化については
、当初の原案を見直す意向を固めている。しかし不良債権処理促進
へ向けた資産査定の強化や、資本不足に陥った銀行への公的資金の
活用方針についてはすんなりとは譲らない構え。このため竹中氏と
大手銀行7行の首脳は28日午前に再協議する。 

 7首脳は、竹中経財・金融相が主催する二回目の意見交換会に出席
。しかし、「建設的な話し合いはできなかった」(寺西氏)として
25日夜に緊急会見し、同相の安定化策に反対する声明の公表に踏み
切った。 (01:16) 
==============================
与野党、竹中金融相に集中砲火、出せぬ対案、力量不足の裏返し
(プリズム)2002/10/25【日経金融新聞】

 臨時国会の審議で竹中平蔵経済財政・金融担当相が与野党双方か
ら集中砲火を浴びている。厳しい政治判断を迫られる金融担当相に
民間人を据えるという賭けをした小泉純一郎首相もそれほど援護せ
ず、竹中氏を憎まれ役にしてしまった。不良債権処理の加速策の議
論も空転している。
 二十四日の衆院予算委員会。竹中金融相は「大きすぎてつぶせな
い銀行はない」と報じた米誌の会見記事の釈明に追われた。柳沢伯
夫前金融相の時は金融行政の不備を突く野党と与党・金融相の対立
の構図が目立ったが、今国会では自民党など与党議員も「反竹中」
に回っている。
 本来は二十二日に竹中金融相の検討チームが不良債権処理で中間
報告を提示、それをたたき台に国会審議が進むはずだった。ところ
が与党側が土壇場で竹中案の「独断専行」を強く批判、公表を見送
った。予算委審議の冒頭はテレビでも中継され国民の注目が集まる
舞台だが、不良債権問題を巡る議論はいっこうに進展しない。
 ただ、与野党も説得力のある対案を示せるだけの準備が整ってい
ない。竹中金融相に対する与野党の厳しい態度は、政治の力量不足
を覆い隠す方便にもなっている。
 「経済学を勉強した人間としてグローバルなマーケットから評価
される政策論議を堂々としたい」。九月三十日の金融相就任会見で
竹中氏は民間閣僚が金融担当となることについてこう述べていた。
 しかし国会では、個人攻撃に終始して建設的な政策論議がない状
態。不良債権処理の最終報告に向けて、水面下の調整がまたぞろ始
まるのかもしれない。
==============================
件名:Fwd: 高額納税者の発表は廃止する!?  
徳江さんからのメールを転送します。
----------ここから原文----------
★NHK9時のニュースにスイッチをいれたら、
      「こんばんは、ニュース無いんです。---」 ??
==政府税調
が、長者番付を廃止方向で見直し---プライバシーに配慮のため。
政府税制調査会(首相の諮問機関)は、高額納税者「長者番付」発
表の存廃を議論。事由は「社会的に貢献している人が迷惑を被ると
いうマイナス面がある」。
よってプライバシー保護の観点から廃止の方向で見直す方針とのこ
と。2001年分では8万人が公示対象になった。==因みに公示対象者
は「年間納税額が1,000万円以上」。但し2/15日〜3/15
日までの法定申告期限内の申告者のみが対象。よって納税額1億円
であっても、3/16以降の申告期限遅延者(2/14日以前の申
告は納税額がある人は受け付けられない)は、公表されない。
この制度を悪用する者が多く、現状は正直者が馬鹿を見ていると言
えるのかも知れない。高級官僚(含むOB)などは、大方これを悪
用しているらしいと言われている。3/15日を過ぎた遅延申告は
、延滞税を取られるが、1週間や10日位は、高額納税者にとって
は痛くも痒くもなく、公示されて世間から騒がれるより、公示され
ない方が遙かにメリットがあるのがその事由。
==主要国ではフランス以外に公表している例がないそうだ。
Kenzo Yamaoka


コラム目次に戻る
トップページに戻る