1059.米国のダブル・スタンダード



米国の苦悩が見えてきた。それを、検討しよう。  Fより

25日に中国と米国が首脳会談を開いた。この会談では、北朝鮮と
台湾の取引があったようだ。中国の北朝鮮への関与を期待している
のである。その代わり、クリントン民主党政権時代の台湾政策を
変更しないと約束したのでしょうね。

米国は今、ダブルスタンダードの状況に堕ちいっている。北朝鮮の
核開発は明確化したが、イラクは北朝鮮のような核の開発はしてい
ない。しかし、米国はイラクは攻撃して北朝鮮とは交渉するという
。このため、米国の本心が見えてしまった。イラクの石油がほしい
ということである。もう1つが中東全体の石油権益もほしいという
ことである。
このため、フランスやロシアが米英のイラク国連決議案に拒否権を
行使する可能性が高くなっている。米国は国民になぜ、北朝鮮攻撃
ではなくイラク攻撃かを説明する必要が出てきた。そうしないと、
共和党は11月の中間選挙で民主党に敗北する可能性があり、また
2年後の2004年のブッシュの選挙で落選することも考えられる。
米国国民は論理性を重要視するため、現状の政府の説明では納得し
てしていないようである。

それとアルカイダ系のテロも多発している。チェチェンゲリラも、
モスクワの劇場を占拠するわで、バリ島と合わせて世界は騒然とし
てきた。次はどこかというようになっている。東京の六本木などと
うわさしている人もいる。

これもイラク攻撃という米国の意図を阻止するために、イスラム社
会全体が一丸となっている証拠である。イスラム教指導者やイスラ
ム過激派が緩い連携で動いているように感じる。ワシントンの連続
狙撃事件もイスラム系の犯人であったが、この犯人もイスラムゲリ
ラに共鳴して起きたように思う。

本格的なイスラムとその支援国家対米国・ロシアなどの反テロ勢力
との戦争になったと思った方がいい状況になっている。そのイスラ
ム周辺支援として北朝鮮も動いている可能性がある。北朝鮮が核開
発を認めると、米国はダブル・スタンダードになることを見越して
いたはずである。これにより米国のイラク攻撃がしにくくなる。
この核開発暴露は外交的には成功であるが、北朝鮮にとってはいい
ことではない。まずは現時点で利益は無いが将来の鉄道で利益のあ
るロシアとの関係が悪くなる。

しかし、北朝鮮は米国のイラク攻撃を阻止したら、米朝交渉で核開
発を中止すればいいのであるから、北朝鮮の瀬戸際戦略とは違い、
イラク連携、イスラム連携と見た方が正解のように思う。
そうしないと、北朝鮮の行動が説明できない。もし、ODAの経済
支援を日本から欲しいのであるなら、米国と安保問題を起こせば、
日本からのODA供与は無理なことは知っているはずで、それを先
延ばししてでもイスラム過激派と連携することに利益があると金日
正は考えているようだ。

KEDOが中止されて、50トンの重油も無くなることは核開発を
認めれば起こることも予測可能であるから、それよりも大きな利益
が見返りにあるはずである。イスラム過激派に資金を提供している
のは、サウジであろうから、そことも北朝鮮は繋がっている可能性
がある。このため当面の北朝鮮支援資金はイラクかサウジから来て
いると考える方がいいであろう。

中国も今まではイスラム圏諸国と連携していた。しかし、25日の
会議で米中の連携を合意すると、イスラム連携ができなくなる。
まだイスラム連携している北朝鮮としてはロシアとは違い中国とは
敵対できないためにどうすることもできなくなる可能性がある。
そして、中国は政権交代期にもあるため、この選択は次期政権をも
縛ることになる。中国の動きが今後の東アジアの情勢に大きな影響
を与えることになる。

さあ、中国はどう出るか??それに関連して北朝鮮はどうなるか??
東アジアの国際情勢が面白くなってきた。この動きにより日本の
外交戦略は変化する。日朝国交正常化交渉もその交渉の様相が違う
ことになる。
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米中首脳、北朝鮮の核開発阻止で一致(日経)  
 
 【クロフォード(米テキサス州)25日共同】中国の江沢民国家主
席とブッシュ米大統領は25日、米テキサス州クロフォードの大統領
私邸で会談、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発を阻止す
るため、対話による平和的解決を目指すことで一致した。 

 また、両首脳は朝鮮半島情勢の不安定化に懸念を示し、半島の非
核化に向け共に努力することで一致した。 

 国連で協議中のイラク問題については、米の新決議案をブッシュ
大統領が説明して理解を求め、台湾問題では大統領が「一つの中国
」政策を堅持し、台湾独立を支持しないと約束した。 

 両首脳は対話を通じて対立を減らし、建設的協力関係の発展を目
指すことをあらためて確認、チェイニー米副大統領が来春訪中する
ことも決めた。 (08:00)  
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件名: やはり“悪の枢軸”か―北朝鮮の核開発  
米で高まる非難と警戒
「沈黙」が示すジレンマ―ブッシュ政権
 やはり「悪の枢軸」だったのか――。今月初めの米朝高官協議で
北朝鮮がひそかに核兵器開発を進めていることを認めた。米国内で
は同国に対する非難と警戒感が広がっているが、その一方で、ブッ
シュ政権は「事態は看過できないが、思い切った行動にも出られな
い」というジレンマに陥っている。現状では、イラクと北朝鮮と
同時に対決する「二正面作戦」は、唯一の超大国・米国をもってし
ても不可能だからだ。(ニューヨーク・池本 拓)

 今月三日から五日にかけ、米国のケリー国務次官補(東アジア・
太平洋担当)が訪朝し、ブッシュ政権発足後初の高官協議を行った。
この際に、核開発の“証拠”を示された北朝鮮は、開き直りともと
れる態度で事実と認めたという。米政府はこれを十六日になって公
表した。

 核拡散防止条約(NPT)や米朝「枠組み合意」(一九九四年)
などに違反しているのは明白で、米主要紙は一斉に対北朝鮮非難の
論陣を張った。

 ニューヨーク・タイムズ紙は十八日付の社説で、「北朝鮮の行為
は正当化できるものではなく、その重大性は軽視できない」「北朝
鮮の指導者は、自らが気まぐれで信頼できないことを再び示したの
だ」と厳しく論評。ワシントン・ポスト紙も、「国際合意の履行に
おいて北朝鮮は信頼できないことが示されたのであり、“アメ”を
再び与えることには意味がない」と断じ、核開発を放棄するか、
外国からの援助を断念して体制崩壊を覚悟するか、のいずれかを迫
った。

 米有力シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)のジョ
エル・ウィット上級特別研究員は、現在の事態を「九四年危機の再
現へと向かいかねない」と警戒する。

 ブッシュ政権はもともと、北朝鮮が「枠組み合意」を完全に順守
しているとは考えていなかった。今回の北朝鮮による暴露も、それ
までの疑惑が証明されただけで、驚くことではなかった。だが、
今後の対応をめぐって同政権はジレンマに陥っている。つまり、事
態は看過できないが、軍事面でも外交面でも実に動きづらいのだ。
このことは、平壌での暴露から国務省の発表までに「沈黙の十二日
間」があったことからもうかがえる。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、米政権はこの間に、事態を
軍事作戦につながりかねない「危機」とは表現しないことを決めた
のだという。これは、目下のイラク問題でさえ同盟国の支持を固め
切れない中で、「(イラクと北朝鮮と同時に対決する)二正面作戦
は軍事的、外交的に不可能」(ウィット研究員)だからだ。また、
武力行使に発展した場合、同盟国である韓国や日本に甚大な被害が
及ぶのは必至だ。

 ブッシュ大統領は今年一月、一般教書演説の中で北朝鮮を「悪の
枢軸」の一つに挙げた。
 当時、保守派の間に「イラクとイランに比べると脅威は小さい」
との見方があったのは事実で、「イスラム教国を狙い撃ちした」と
の批判を避けるためにちょうどいい、との指摘さえあった。

 このため政権内では当初、「北朝鮮問題は日本、韓国、中国、
ロシアの周辺四カ国で対処させる」という空気があった。しかし、
ここにきて北朝鮮の核開発計画が確認されたことで、日韓両国との
連携を強め、積極的に関与せざるを得ないところに追い込まれてい
る。
Kenzo Yamaoka
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件名:来月の中国共産党大会  
「胡−温体制」誕生へ準備着々−来月の中国共産党大会
江主席、完全引退へ/側近や長男昇進を条件に決着
側近醜聞めぐり応酬/漁夫の利を得た胡副主席

 中国共産党は十一月八日から第十六回党大会を開き、第四世代を
主軸とした新指導部人事を決定する。五年に一度の大会まで二週間
余り、江沢民総書記(76)が引退し、胡錦涛国家副主席(59)を総書記
ポスト、温家宝副首相(60)を首相ポストに据える若返り首脳人事の
枠組みがほぼ固まった。江氏の留任を求める声が一時高まったもの
の、既定路線である指導部の若返り方針に従った背景には、「三巨
頭」(江沢民、李鵬、朱鎔基)の腹心の醜聞をめぐる激しい駆け引
き、側近昇進などを引き替えに引退後も権力を温存しようとする江
氏の思惑が浮き彫りになっている。(香港・深川耕治)

 江主席は現在、最高権力ポストである党総書記、国家主席、中央
軍事委員会主席の「三権」を掌握しているが、国家主席ポストは
来春の全国人民代表大会(全人代=国会)で任期満了(一期五年、二期
まで)となるのに伴い、引退が確定しており、後任には胡副主席が
就任する予定となっている。

 政治局常務委員会のメンバー七人のうち、引退が決まったのは江
氏、朱鎔基首相(74)、李鵬・全人代常務委員長(74)と尉健行・
中央規律検査委員会書記(71)の四人。留任は胡氏と李瑞環・全国
政治協商会議(政協)主席(68)で、新政治局常務委員には、温副首
相(政治局員)、曽慶紅・党組織部長(政治局員候補)(63)、
李鵬氏の側近である羅幹・国務委員(政治局員)(67)、呉邦国副首
相(政治局員)(61)、李長春広東省党委書記(58)が昇格する見込
み。

 中国共産党は一九九七年の第十五回党大会で行政職指導者の七十
歳定年制を決め、党指導者についてもほぼこれに従う暗黙の合意が
できていた。今回の人事で政治局常務委の平均年齢は七十歳から五
歳以上若返る見通しだ。

 今回の党大会では、「世代交代」の声が内外から強まり、江氏が
党中央軍事委員会主席のポストも退いて党・軍・国家のトップから
全面引退するとの観測も流れており、江氏は訪米から帰国後、最終
的な決断を下すと見られる。

 党総書記ポストについては、八月の北戴河中央工作会議で江氏が
留任案を提出したが、党の最高意思決定機関である党政治局常務委
員会メンバー七人のうち、四人(朱首相、李政治協主席、尉中央規
律委書記、胡副主席)が反対して成立せず、最終的に党の既定路線
である「七十歳定年制」に従って、江氏の党総書記引退が決まった。

 今年五月末までの時点では、胡氏が江政権を引き継ぐことは内外
の中国ウオッチャーの間で定説化していたが、五月三十一日、江主
席が中央党校で「三つの代表」思想に関する講話を行って以後、江
主席支持派による総書記留任の声が高まって雲行きが怪しくなった
。八月の北戴河中央工作会議では江主席の総書記留任提案が猛反発
を招いて会議がまとまらず、その後も江氏の中央軍事委員会主席留
任のみは辛うじて多数派意見となった。

 だが、江主席の完全引退を勧める胡錦涛支持派が、朱首相や尉中
央紀律委書記、党元老らの支持を得て巻き返して多数派となり、
最終的には江主席自らが前党大会で敷いた「七十歳定年制」を断行
すべきだとの政治的圧力から完全引退が確定した。

 特に、江氏の総書記引退の引き金を引いたのは江氏長男、江綿恒
(本名=江民康)中国科学院副院長をも視野に入れた朱首相の汚職
取り締まりへの揺るぎない姿勢だ。

 七月、朱首相は私営企業家らを対象に脱税取り締まりに乗り出し
た。今月に入り、米経済誌「フォーブス」の長者番付で昨年、中国
二位だった欧亜集団の楊斌(ヤン・ビン)会長が脱税などの容疑で
拘束され、同じく三位にランクされた華晨集団の仰融・前会長が九
月下旬、国有資産横領の容疑で警察当局から資産を没収され、本人
は米国へ逃亡。
 七月には中国映画「芙蓉鎮」で主演したことでも有名だった女優
、劉暁慶さんが巨額脱税容疑で逮捕されている。

 その延長線上には、中国科学院副院長や上海連合投資公司総裁、
電信企業のチャイナネットコム理事など複数の企業役員を兼任する
江綿恒氏の汚職疑惑を司直の手にゆだねるため、外堀を埋める狙い
があった。

 香港誌「開放」十月号などによると、江氏や李氏は、自身の引退
と引き替えに、側近の汚職疑惑追及の動きを封じ込めるため、朱首
相の腹心だった朱小華・光大集団元会長を懲役十五年の厳罰に処し
て徹底抗戦。胡氏も北戴河会議で政治局常務委員現職の全員留任を
皮肉たっぷりに逆提案して江主席引退を喚起して漁夫の利を得て、
江氏は自身の懐刀である曽組織部長の政治局常務委員入りや長男・
江綿恒氏の昇格を条件に総書記留任をあきらめ、胡副主席に総書記
ポストを委譲する流れが確定した。

 江主席は完全引退の条件として曽組織部長の政治局常務委員入り
だけでなく、江綿恒氏の党中央候補委員入りを画策し、土壇場で
太子党(高級党幹部の二世)の復活を醸成させる結果となりそうだ。

 江綿恒氏は第十六回党大会の代表に当選したことが明らかになっ
ており、●小平氏の長男、●樸方氏が第十五回党大会で中央候補委
員に就任したケースのように、党大会で党中央候補委員あるいは
中央委員入りする可能性も高まっている。

 今後、水面下で繰り広げられるのが「三巨頭」腹心の汚職疑惑に
よるつぶし合いだ。江主席にとっては、懐刀である曽慶紅氏の政治
局常務委員入りが完全引退後の権力地盤を保証するものだが、曽氏
実弟の補佐役、中国中央テレビの名演出家・趙安氏が収賄容疑で拘
束されており、容疑が曽氏の実弟あるいは曽氏自身にまで及ぶのか
、権力中枢で激しい綱引きが行われている。

 引退確実の李鵬氏は公安、全人代関係の人脈を掌握、特に長年、
電力関係の利権を得ていたが、側近の高厳・国家電力総公司社長が
汚職容疑をかけられ、失跡している。攻め手側の朱首相は、側近だ
った朱小華元会長の汚職による懲役十五年の判決で防戦を迫られ、
曽氏や江綿恒氏の汚職疑惑について踏み込まないことを条件に江氏
の引退が確定、朱首相も引退することで決着を付けた。

 一方、胡氏は支持母体である共産主義青年団の幹部の中に金融ス
キャンダルを持つ人物がいると一部メディアで流れている。江氏の
引き際には、数多くの“爆弾醜聞”が横たわっており、「胡錦涛−
温家宝」体制は不安定要因を抱えての船出となりそうだ。
●=登ヘンにおおざと
Kenzo Yamaoka


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