1055.バイオ燃料について



RE: 国際戦略コラムno.1050.農業再興について
静岡県の資源循環の取り組みを読んで一言。
ちょっと話題がそれるかもしれませんが、
先日、EURONEWSというヨーロッパ系列のテレビ番組で、
イギリスでは石油価格高騰で、一般庶民がスーパーで
植物系のサラダオイルを買い漁り、それをガソリン代わりに
使っているということが、報道されていました。

直接的に農業問題と関係があるかどうか分かりませんが、
とりあえず、石油資源の危機に備える庶民の智恵としては、
なかなか面白いものがあると思いました。
実際、こういうアイデアは今後使える面があるかもしれません。

CHOCO
==============================
(Fのコメント)
CHOCOさん、いつも投稿ありがとうございます。
日本でもいろいろな自動車燃料の試みがされています。
バイオマス燃料ができれば、一番いいのですが、まだまだのようで
すね。しかし、天然ガスから自動車燃料はすでにできています。
それがガイアックスです。
それとエタノール、メタノールを自動車燃料にする試みも諸外国で
あります。化石燃料からバイオ燃料になれば、地球のCO2増加が
止まる可能性が高いので、その方向に向けて努力する必要がある。
このバイオ燃料普及のためには、化石燃料に今と同様な高額の税金
を掛けてもらい、バイオ燃料はCO2排出量が小さいので、税金が
少なくなる仕組みを作ればいいでしょうね。
==============================
料理油で燃費をカット ドライバーの“生活の知恵”摘発  
日時 2002 年 10 月 19 日 06:05:36:阿修羅より

☆日本の軽油と灯油の関係みたいなものか。
英国ではガソリンと軽油の値段はあまり変わらないのは合理的だが
、これからは料理用油への課税も始まるカモ?


料理油で燃費をカット ドライバーの“生活の知恵”摘発(10/18)
 【ロンドン=佐藤理恵】英国の道端で警察官が検問している。「
飲酒テストかな?」と思ってドライバーが車を停めると、警官はド
ライバーには目もくれずに給油口へ。ふたを開けると揚げ物のよう
なにおいが立ち昇り、ドライバーはたちまちご用になった。 

 最近、こんな事件があったのは英国ウェールズの南西部、スウォ
ンジー近辺。タイヤやライトの違反を調べようと、検問で停めた6
台の車のうち、5台がディーゼル車用の軽油ではなく、料理用油に
メタノールを混ぜた物を燃料としていたのが発覚した。料理用油は
公道を走る自動車の燃料として課税の対象になっていないため、脱
税行為として摘発された。 

 ドライバーが違法な「アイデア」を思いついたのは、「燃料費を
節約したい」というのが動機のようだ。英国ではディーゼルの値段
は1リットル約75ペンス(約146円)。これに対して料理用の油は、
1リットル当たり30ペンス(約60円)程度。大衆紙ミラーなどは、
逮捕者の話として「車は支障なく動いたし、燃料費は半分になった
と話している」と伝えている。 

 各紙の報道によれば、料理用油のこんな“利用法”は、口コミで
ドライバーの間に広まっているという。大手スーパーのアズダ・ス
ウォンジー店が、事件後に料理用油の販売量を調べたところ、
1リットル32ペンスの自社ブランド料理用油の販売が近隣地域の店舗
よりも大幅に増えていたことがわかった。このため、同店では顧客
1人が買える料理用油の量を制限し始めた。 

 英間接税務局は事件後、「たいへん深刻な脱税行為」とし、厳し
く摘発して行く姿勢を示した。これに対し、デイリー・テレグラフ
紙などは「自動車燃料への課税は環境保護が目的なのに、再生可能
なエネルギーである料理用油を燃料にすると脱税行為になるのはど
こかおかしい」との内容の記事を掲載。英政府の環境政策を皮肉っ
ている。
==============================
http://journeytoforever.org/jp/biodiesel_make.html
ディーゼルエンジンを動物性もしくは植物性の油脂で稼働するには
、少なくとも次の3つの方法がある。この方法は未使用のバージン
オイルでも、料理などに使った後の廃食用油でも同じ。

・油をそのまま使う 
・灯油や軽油と混ぜて使う 
・油をバイオディーゼル燃料にエステル変換させて使う

見た目は1と2の方法が簡単そうだけれど、使い方が難しい。まず
普通の軽油でエンジンをスタートさせ、バイオ燃料に切り替えて走
り、エンジンを止める前にまた軽油に切り替え直す。つまり燃料系
統と燃料タンクを2セット設置するという大改造が必要になる。デ
ィーゼルエンジンの燃料系統は空気が入ると困るから、密閉型の燃
料切り替え装置も必要。とくに植物油100%で上手く稼働しようと思
ったら、燃料系統のあちこちで油を予熱する装置も欲しくなる。

植物油や油と灯油の混合燃料でディーゼルエンジンを稼働させる方
法は、バイオディーゼル燃料でアメリカを横断した「VeggieVan(野
菜車)」による『From the Fryer to the Fuel Tank(フライ鍋から
燃料タンクへ)』という本に詳しい。
http://www.veggievan.org/book.html

ジョン・ニコルソン氏の「Veggiepower」サイトでも、写真や図を使
って、植物油を燃料として使う方法を紹介している。
http://www.veggiepower.org.uk/john.htm

だけど一番良い方法は、植物油も動物脂肪もドロドロの廃食用油も
、エステル交換してバイオディーゼル燃料にすること。バイオディ
ーゼル燃料ならば、普通のディーゼル車を改造しないで、そのまま
タンクに給油するだけで使うことができる。エンジンにとっても、
潤滑性ばつぐん、しかも洗浄力のあるバイオディーゼル燃料が一番
好ましい。

海外のいくつかの国では、市販のバイオディーゼル燃料を手軽に買
うことができる。ヨーロッパの大手自動車メーカーのほとんどが、
純粋バイオディーゼル燃料の使用も保証でカバーしている。

ドイツにはバイオディーゼル燃料を給油できる施設が900ヶ所以上あ
り、値段は軽油より安いほど。農業国でバイオディーゼル燃料の大
生産国であるフランスでは、国内で販売されているほとんどの軽油
にバイオディーゼル燃料が5%加えられている。アメリカでは、
バイオディーゼル燃料の価格は軽油より高いけれど、製造・販売す
る企業は急激に増えている。アメリカのバイオディーゼル燃料の価
格が高いのは、原料に未使用の大豆油から作っていることが多いた
め。貴重なバイオディーゼル燃料の効果をより多くの車で活かすた
めに、軽油にバイオディーゼル燃料を20%加えた「B20」が多く使わ
れている。

最近では、今まで捨てられていた廃食用油からバイオディーゼル燃
料を作る企業も増え、もっと効率的な新しい製造方法の研究もどん
どん進んでいる。だから、アメリカでも今後はバイオディーゼル燃
料の値段が下がり、生産量も普及もぐっと増えるだろうと期待され
ている。

日本でもバイオディーゼル燃料を製造販売している所がいくつかあ
るけれど、生産量も普及率もまだまだこれから。

バイオディーゼル燃料の強みは特別な機械や大きな工場がなくても
、素人が自分で手づくりもできること。簡単な化学薬品と用具と常
識的なセンスさえあれば、台所でディーゼル燃料を「料理」できる
。その作り方とノウハウは、インターネット上にたくさん無料公開
されている。

インターネットでバイオディーゼル燃料の作り方を提供している人
たちが口酸っぱく繰り返すことは「安全対策は万全に! 燃料作り
に使う化学製品は、取扱いを誤ると火傷・怪我・失明・死亡につな
がるもの。もし事故が起きてしまったら、僕たちも悲しいけれど僕
たちに責任はない。あくまで自己責任のもと、充分な情報収集と
学習をした上で燃料作りに挑戦すること」

バイオディーゼル燃料の作り方は難しくないけれど、化学薬品を扱
って化学反応を起こすのだから、基本的な化学の知識と万全の安全
対策は必要。

だから私たちも警告!!!
燃料作りの作業中は、化学実験に適した防護手袋、防護服、防護眼
鏡を装着すること。作業場は充分に換気し、発生した蒸気は絶対吸
い込まないこと。メタノールは飲み込まなくても皮膚から吸収され
盲目や死をもたらす恐れがあります。水酸化ナトリウムは重度の火
傷や死をもたらす恐れがあります。この2つの物質を混ぜたナトリ
ウムメトキサイドは非常に腐食性のある化学物質です。安全のため
マスクを装着し、全身を保護した服装で臨むこと。半ズボンとかサ
ンダルは絶対ダメ。長袖の上に止められる耐薬品手袋も忘れずに。
万が一のときに薬品を洗い流すため、流水を近くに用意しておくこ
と。小さな子供やペットを作業場に入れないこと。化学物質はそれ
なりの取扱いをしてください。

でもまあ、そんなに心配しなくても大丈夫。化学ド素人の私たちに
だって作れたんだし、世界のあちこちでバイオディーゼル燃料を手
づくりしている人は大勢いるのだから。基本的な化学知識と化学実
験を行う上での注意と「自己責任」さえあれば大丈夫。

まずはインターネットに公開されている情報をみっちり調べて、納
得できるまで勉強する。本格的な作業を始める前に、少量だけ実験
的に作ってみる。それも廃食用油より、新しい植物油を使って燃料
作りを練習した方がわかりやすい。燃料作りは始めから終わりまで
、中断させずに作業する。

化学反応のしくみ
植物油も動物脂肪も、脂肪酸が3個ずつグリセリンで結び合わされ
た「トリグリセライド」という物質。バイオディーゼル燃料を作る
プロセスでは、植物性・動物性油脂の脂肪酸をグリセリンとの結合
から切り離し、別のエステルに変換する。できたグリセリンと石鹸
分は底に沈殿し、上層にバイオディーゼル燃料が分離する。

この化学反応はエステル交換(transesterification)と呼ばれるも
の。水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などを触媒とし、グリセリン
をアルコールと置き換える化学反応。

アルコールとしてメタノールを使うと「メチルエステル」のバイオ
ディーゼル燃料ができる。メタノールは木材などのバイオ原料から
作ることもできるけれど、市販のメタノールは大部分が化石燃料や
ガスなどから化学合成されたもの。合成メタノールから作ったバイ
オディーゼル燃料の排ガスには、有害重金属が含まれる恐れもある
と言われている(軽油の排ガスよりはずっと害が少ないけれど)。

ただ、メタノールを使う方が失敗が少なく作り方が簡単なため、バ
イオディーゼル燃料を手づくりする「バイオディーゼラー」のほと
んどがメチルエステルを作っている。

私たちはできればエタノールを使った「エチルエステル」のバイオ
ディーゼル燃料を作りたいと思って、情報を集めている。エタノー
ルとは別名ウィスキー、ウォッカ、ジン・・・つまりお酒のこと。
エタノールならば自分で蒸留することも不可能ではない。

ただ水分が含まれているとエステル交換をじゃまするため、燃料作
りには純度100%のエタノールが必要だし、手づくりバイオディーゼ
ラーには温度や材料の割合調整が難しくなる。

化学反応の触媒には、水酸化ナトリウム(NaOH 苛性ソーダ)、
もしくは水酸化カリウム(KOH 苛性カリ)を使う。水酸化カリウム
を使うと副産物として化学肥料を作ることもできるけれど、苛性ソー
ダの方が入手しやすいし、使う量も半分ですむ。どのみち私たちは
化学肥料を使わないから雑貨店で苛性ソーダを買ってきた(香港で
はその辺の雑貨店で印鑑なしに苛性ソーダが買えた)。

警告! 
苛性ソーダも苛性カリも強力なアルカリ物質! 触らない、目に入
れない、蒸気も吸わない。食べ物や小さな子供たちの手の届かない
ところで扱うこと。アルミニウムやブリキ、亜鉛などと反応してし
まうので、ガラスかステンレスの容器・器具を使うこと。

「手づくり企画」のバイオディーゼル燃料

バイオディーゼル燃料を大量生産して儲けるつもりなど根っからな
かった私たちは、その辺の道具を使い家の台所でバイオディーゼル
燃料を作ってみた。

まずは近所のマクドナルドを訪ね、ドロドロの廃食油を60リットル
ほどもらってきた。マックを選んだ理由は、衛生水準が高くすべて
がマニュアル化されているマクドナルドなら、世界中どこでも同じ
ように品質管理された廃食用油が入手できると思ったから。

オイル缶に4缶もらってきた油は、揚げ油にビーフやチキンの油が
混ざった物。2缶の油はほとんど固体状態、残り2缶はドロドロの
半液体だった。これをカネのバケツに入れてコンロの火にかけ摂氏
50度くらいにまで暖め、液状になったところで細かい金網で濾し、
さらにコーヒー・フィルタで濾過した。食べかすはほとんどなく、
さすがマクドナルド! 随分きれいな廃食用油が用意できた。

それから近所のスーパーで、一番安い食用油を10リットル買ってき
た。原産地も原料も表示していない怪しげな「クッキング・オイル
」だったけれど、まあ食べるわけじゃないからこれで良しとした。

新しい植物油からバイオディーゼル燃料を作る
香港では純度の高いメタノールがなかなか見つからず、結局化学薬
品の卸業者からメタノール5リットルを6,000円くらい払って買って
きた。バイオディーゼル燃料作りに使うメタノールは99%より純粋
なもの(198 proof)が必要。

材料の割合は、植物油10リットルに対しメタノール2リットル、触
媒として純粋苛性ソーダの粉末を35グラム(油1リットルにつき
3.5グラム)。

水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を買うときは、入れ物を振り、
中身が湿気て固まっていないことを確認する。買った後もしっかり
密封しておく。

苛性ソーダは空気に触れると、ものすごい勢いで吸水してしまう。
バイオディーゼル燃料作りに水分は禁物! 化学反応のときに水分
があると、エステル交換ではなく「ケン化」の化学反応が起こり、
燃料のかわりに石鹸がどっさりできてしまう。

苛性ソーダは密閉容器から出したら素早く必要な量を計り取り、素
早くメタノールと混ぜてナトリウムメトキサイドにしてしまうこと
。気温30度、湿度80%の亜熱帯香港の真夏日に、これは至難の業だ
った。

私たちは2リットルのメタノールを丈夫な耐熱ガラス瓶に入れ、急
いで計り取った35グラムの苛性ソーダを加え、中身が飛び散らない
ように充分注意しながら電動ドリルに取り付けた攪拌棒で10分間ほ
どかき混ぜた。

メタノールと苛性ソーダは、発熱しながら合成し、ナトリウムメト
キサイドになる。ナトリウムメトキサイドは強烈なアルカリ性物質
。皮膚に触れると知らない間に深部まで腐食してしまうので、取扱
いはくれぐれも要注意すること!!! 


台所で温度を調べながら油を暖めている緑 
その間に、カネのバケツに「クッキング・オイル」10リットルを入
れてコンロにかけ、40度くらいに暖めた。ここで油を暖めるのは
化学反応が起こりやすいように油をサラサラにするためなので、
予熱する温度は厳密でなくてもOK。ただあまり熱くしないこと。

コンロの上にキースが木材で作った台を備え付け、もう一つの電
動ドリルに付けたペンキかき混ぜ棒がバケツの真ん中に来るように
万力で設置した。

電動ドリルのスイッチを入れ、かき混ぜられている油の中にナトリ
ウムメトキサイドを静かに加える。化学反応がたちまち始まり、黄
色がかったバイオディーゼル燃料が上の方に、茶色いグリセリンが
下の方に分離し始めた! 温度を保ったまま1時間ほど攪拌し、
化学反応を完了。その後バケツを静かなところに一晩置いて、グリ
セリンを底に沈殿させた。

翌日、上の層に分離したバイオディーゼル燃料10リットルほどをサ
イフォンで吸い出した。バケツには、2リットルくらいのグリセリ
ン石鹸が残っている。ひとまず、バイオディーゼル燃料のできあが
り!


廃食油からバイオディーゼル燃料を作る
バージンオイルを使うより、廃食用油からバイオディーゼル燃料を
作る方がずっと魅力的。そのまま捨てたら環境を汚染する廃食用油
を減らせるし、資源をリサイクルし原料コストも安くなる(上手く
いけば)。だけど廃食用油からバイオディーゼル燃料を作るのは新
しい油よりちょっと複雑になる。

まずは廃食用油から水分を取り除く下ごしらえをする。調理に使わ
れた油には、かなりの水分が含まれている。化学反応のときに水分
が存在していると、エステル交換ではなくケン化が起こり、バケツ
いっぱいのドロドロ石鹸ができてしまう(失敗もしました、私たち)。

原料となる廃食用油を100度以上に加熱し、水分がすべて沸騰蒸発
するまで加熱を続ける。火傷しないように! あぶくがでなくなっ
たら、火を止めて油を冷ます。

もう一つ、廃食用油からの燃料作りに追加される作業。
廃食用油からバイオディーゼル燃料を作るときには、新しい植物油
から作るときより多くの触媒が必要になる。しかも油の使われ方や
使われた期間によって、必要な触媒の量はそのつど違ってくる。

そのため、原料の廃食用油を「滴定」し、その時の原料をエステル
交換させるために必要な触媒の量を算出する。正確な滴定結果を得
るためには、デジタルpHメーターなど厳密なpHが測定できる装置を
使った方がベターだけれど、そんな高価な物を持っていない私たち
は、まずは原始的なリトマス紙で挑戦! でも正確なpHが測れず、
失敗してしまった(バケツいっぱいの石鹸・・・)

赤キャベツの汁でpHを測定しようかとも考えた(自然のリトマス紙
についてはこちら)けど、インターネットで調べ直して、今度は
フェノールフタレン液を使って挑戦。pH指示薬のフェノールフタレ
ン液は、pH 8.3で無色透明からピンク色に変わり始め、pH10.4で赤
に変わる。

キース、滴定しているところ 
1リットルの蒸留水に1グラムの苛性ソーダを溶かし、0.1%の水酸
化ナトリウム溶液を作る。

別の容器に、イソプロピルアルコール10ミリリットルを入れ、原料
の廃食用油1ミリリットルを溶かし、フェノールフタレン液を2滴加
える。

この「廃食用油+イソプロピルアルコール+フェノールフタレン液
」の溶液をしっかり攪拌し、この中に0.1%の水酸化ナトリウム水溶
液を注射器などで一滴ずつ数えながら滴下する。一滴滴下するたび
に、全体をしっかり攪拌する。液体がピンク色に変わり、10秒たっ
てもピンク色が消えなくなったところで止める。

計算の仕方は:
(滴下した水滴の数÷20)+3.5=触媒として必要な苛性ソーダの
グラム数

あとは新しい植物油からバイオディーゼル燃料を作るときと同じ。
苛性ソーダを素早く計り、メタノールと混ぜてナトリウムメトキサ
イドを作る。苛性ソーダの量が増えた分だけ、ナトリウムメトキサ
イドの発熱量も危険度も大きくなるから気を付けて!

予熱した油に、ナトリウムメトキサイドを静かに流し込み、1時間
ほど攪拌する。

私たちは廃食用油からのバイオディーゼル燃料作りに5回挑戦。
3回は焦げ茶色のバイオディーゼル燃料を取り出すことに成功し、
あとの2回はバケツいっぱいのドロドロ石鹸ができてしまった。

成功へのポイントは、
1)水分をとにかく取り除くこと
2)正確な滴定結果を出すこと

廃食用油10リットルからできるバイオディーゼル燃料は8〜9リッ
トルと、製造比率は少し少な目になる。

バイオディーゼル燃料を市販するつもりなら、できた燃料を洗浄・
精製してグリセリンや石鹸分、その他の不純物を取り除く必要があ
る。でも自分で使うだけなら、手間をかけて燃料を洗うか洗わない
かは、本人次第。「絶対精製するべき」というバイオディーゼラー
もいれば、「燃料にちょっとくらい石鹸が混ざっていたって、エン
ジンを傷めはしないさ」という人もいる。

私たちは、手づくりバイオディーゼル燃料は洗浄して精製してから
使うことをお勧め。バイオディーゼル燃料に水を加え、かき混ぜ、
数時間静なところに置いて燃料と水を分離させ、水を流し出して燃
料のpHを調べる。燃料のpHが6〜7になるまでこれを数回繰り返す。

洗浄した後、燃料が曇ってきたら、今度は水が含まれている証拠。
燃料を加熱して水分を蒸発させる。

簡単で効果的なアイダホ大学開発の「泡洗浄」など、バイオディー
ゼル燃料の精製についてマイク・ペリーのレセピ で紹介している。

手づくり燃料で車を走らせる!
普通のディーゼル車は無改造で、そのままバイオディーゼル燃料を
使うことができる。それがバイオディーゼル燃料の大きなメリット
。ただ快適なバイオ運転のために、チェックするべきポイントはい
くつかある。

まず、燃料のインジェクション・タイミングを2〜3度遅らせるこ
と。バイオディーゼル燃料は軽油よりセタン価が高いため。これで
燃焼温度も低くなり、NOxの排出も抑制される。

バイオディーゼル燃料はすぐれたクリーナーなので、軽油が燃料系
統の節々にため込んだ燃料カスを、ごっそり大掃除してくれる。車
にとって嬉しいニュースだけれど、そのままにしておくとカスが
インジェクターなどを詰まらせてしまうので、バイオディーゼル燃
料を使い始めた時は燃料フィルタをこまめに取り替えることを忘れ
ないように。

燃料系統にゴム部品が使われている場合は、取り替える。最近の車
両には少ないと思うけど。詳しくは「プラスチックの耐久性」を参
照。

いろんな注意事項が述べられているわりには、トラブった話はあま
り聞かない。だけど用心するにこしたことはないから、あくまで自
己責任で判断してください。

役立ちバイオディーゼル
バイオディーゼルは、とにかく役立つ万能オイル。「こんな貴重な
物を燃やすなんて、もったいない!」とバイオディーゼル作りの
ベテラン、マイク・ペリーは言う。大工職人のマイクは家の装飾を
ウッド・インテリアに替えたとき、家中の木材製品を床から家具ま
で全部バイオディーゼルで塗装した。頭が痛くなるような臭いはゼ
ロ。ほのかな芳香もすぐに消え、素敵なインテリアに仕上がった。

潤滑油としてもバイオディーゼルは超一品! 石油系の機械油より
ずっと潤滑性があるし、イヤな臭いも有害物質もない。畑や田圃で
使う農機具の油差しや錆止めに最適なオイルだと思う。特に、有機
農で使う機材にお勧め。その他の一般工具の手入れにも最高なので
、私たちも家中でバイオディーゼルを使い始めた。バイオディーゼ
ルなら、手についてもそれほど気にならない。

有害な硫黄分を除いた代わりに潤滑性に欠ける低硫黄軽油に、潤滑
性向上剤としてバイオディーゼルを加えることも効果的。ディーゼ
ル・エンジンは燃料が燃焼しながらエンジンを潤滑もする仕組みに
なっている。硫黄分が低く押さえられた分、500ppmの低硫黄燃料で
はエンジン寿命が縮まる傾向がすでに見られ始めている。これが15
 ppmの超低硫黄軽油なったらことさら。排ガスがきれいになっても
(それでも硫黄分はまだある)、エンジンの買い換え回数が増える
と、環境コストが余計にかかってしまう。バイオディーゼルなら軽
油に1%加えるだけで、潤滑性を65%良くすることができるから
一石二鳥!


コラム目次に戻る
トップページに戻る