1050.農業再興について



国際戦略コラム 様        山崎と申します。

静岡新聞 H14(2002)・10・7(月) 朝刊より
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菜の花資源循環システム
   本格研究に静岡県が着手
       菜種油を燃料に活用
 1年かけ実用化試験  浜名湖花博覧会で運用へ

 県は本年度から菜の花を生かした資源循環システムの本格的な研
究を始めた。二年後の浜名湖花博での事業化を目指す。

 菜の花資源循環システムはリサイクルによる地域資源の有効利用と
環境保護などが期待される。休耕田で菜の花を栽培し、とれた実から
菜種油を搾ってかすを肥料などに利用する。さらに菜種油は家庭での
食用に使い、その後に出る廃油は精製してバイオディーゼル燃料とし
て車や農業機械に再利用したり、菜種油を直接バイオ燃料に精製して
活用することもできる。

 静岡県農業水産部こめ室によると、現在全国では55の自治体や事
業所、NPO団体などが取り組んでいる。外国ではEU全体で1992年
のバイオ燃料生産量は5万トンだったが、2000年には70万トン
まで増加するなど実用化が急速に進んでいる。

 県は関係部局による研究会を設け5月の第一回会合を皮切りに、
活動の意義や県民参加の体制づくり、菜の花栽培、廃油回収と精製の
方法などを9月下旬まで検討してきた。同会がまとめた中間報告によ
ると、システム導入の環境整備として学校教育や花博覧会と連携し地
域の理解を得ることなどを中心に掲げている。

 今後の展開は第一段階として、磐田農高・天竜農場(磐田郡竜洋町
)で試験的に事業を取り入れ、30アールの農場で菜の花の栽培と搾
油を実習するほか、バイオ燃料の農業機械への活用、小中学生との環
境教育などを実施。

 既にバイオ燃料をトラック燃料として実用している県トラック協会
とも連携して活動を広める。第二段階は予算との兼ね合いもあるが、
来年度以降は民間人も交えた協議会を発足させ、モデル地区を設定し
たり花博覧会会場までのシャトルバス、水上タクシーでのバイオ燃料
使用などの具体化に向けて協議していく。

 静岡県内の自治体レベルでは焼津市、磐田市、細江町がいずれも
ゴミ収集車にバイオ燃料を使っている。県こめ室は「活動は始まった
ばかり。このシステムは広がりがあるので、導入しやすい体制を整備
したい」としている。
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国際戦略コラム 様       山崎と申します。

静岡新聞 H14(2002)・10・8(火)朝刊より
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「論壇」  農業蘇生への2つの前提
                   屋山太郎  政治評論家

縮小再生産サイクルに突入
「保護されて栄えた産業はない」といわれるが、日本農業はこの見
本のようなもので、いまや果てしない縮小再生産のサイクルに突入
している。

1910年に官営八幡製鉄所は民間に払い下げられ、やがて世界有
数の鉄鋼メーカーに成長した。日本国有鉄道は1987年に分割・
民営化され、瀕死の経営状態から立ち直り、公共事業としての役割
を回復した。 

コメは59年まで輸出競争力があったが、他産業の所得増に農家の
所得を合わせるという名目で、政府買い上げ米の価格を引き上げた
。この保護政策が裏目に出て、コメ価格はタイの10倍、カリフォ
ルニアの4.5倍にもなった。

コメの販売代金は農協系統組織に流れ込み、農協の組織はひたすら
肥大化し、農民に君臨することになった。肥料、農薬、資材、飼料
すべての資材を独占的に販売することになった結果、農民はアメリ
カに比べて生産資材を3−6割も高く買わされている
(13年度農水省年次報告)。

 自立した農家を育成するためには、規模の拡大が不可欠である。
しかし農地の売買は極端に制限され、農地の流動化はほとんど行わ
れていない。農協にとっては中小農家の数が多いほど農業機械の販
売が有利で、10戸が1戸の大農になれば9台の機械が売れなくな
る。

 マッカーサーによる「自作農創設」の成果を壊すべきではないー
という名目で、いまだに農地の売買には厳しい制限が加えられてい
る。逆にいうと、農業にさまざまな保護が加えられている結果、「
農地は収益が上がらなくても持っていた方が得だ」という風潮が農
村を蔽(おお)っている。

 50年前に得た既得権の上に猛烈な利権が積み重なって、農業は
ますますじり貧の穴に落ち込んでいるのだ。

1950年、農家は均質な小規模農家618万戸で成り立ち、集落
は農家中心、農協は販売、購買において農家にメリットをもたらし
た。50年経った2001年の農家戸数は半分の307万戸。集落
の混在化が進んだ。農協職員は半減して当然なのに一向に減らない
一方、大規模農家は極端な農協離れを起こしている。

米価を優遇するが故に、農民はコメ作りから離れられず、コメの生
産能力は1200万トンを上回る一方、消費は876万トン
(2000年)にまで落ち込んだ。

過剰米処理で3兆円をドブに捨てて学んだ教訓が、減反政策である
。ひと頃は3500億円の助成金を払って生産を調整した。何もし
ないでカネを貰うというのはもはや、産業ではない。福祉政策とも
いえず、農村のモラルを損壊させた。

中核農家に飛躍の機会を
 生産調整の先兵となったのが農協で、農水省も県も農協の意向に
は逆らえなくなった。乱暴に聞こえるかもしれないが、考えた末に
いっていることだと承知願いたいのだが、農業を産業として蘇生さ
せるには、二つの前提を越えなければならない。

 第一は生産調整(減反政策)を4,5年計画で止めることである
。もともと生産調整は育成すべき中核農家に打撃を与えたが、減反
助成金がゼロとなれば、二種兼業農家の農地に対する考え方が根本
から変わってくる。同時に農地の移動を自由にする政策を取り入れ
る。

 売買制限の撤廃、株式会社の参入を認めるなどである。コメの価
格は半減するだろうから、田んぼを持っていても仕方がない。自分
で耕しても損をする。売るとか他人に貸して賃料をとるから、中核
農家が飛躍するチャンスが出てくる。

 第二は農協系統の廃止である。もともと農協の起源は英国のロッ
ジデールで、零細な農民が団結して商品を高く売り、生産財を安く
買う目的で作られた。現在、各地で成功している農協は小規模で経
営センスのあるリーダーがいるところばかりだ。農協の成り立ちは
コメ代金で、コメを自由にした以上、系統農協の存在価値は消える
のである。 
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(Fのコメント)
農林業の活性化は、農林業の自立化によってしかできない。このた
めには、バイオ燃料とか、農協の改革などをしないと蘇生しないの
であろう。

一番注目しているのは、EM利用の有機農業やバイオによる水素発
生など、CO2排出権に絡んだ観点からのアプローチで農林業を再
興するししかないと思っている。

東京や大都市から地方にどう金を回すかでしょうね。その前に、
この大都市がどう金を生み出すかを考える必要があるのです。
このため、2段階で日本を再興するしかないというのが、このコラ
ムでの主張です。理にかなった方法で日本全体を見直す必要がある
のです。


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