1047.デフレの実情と政府の行動



金融評論家の中に、現状のデフレの原因を知らないで、株価と地価
を上げろという人がいる。これは危険であるので、ここで考察した
い。    Fより

建設業界は2003年完成の東京都心の汐留、品川、六本木などの
ビルが完成すると、その後の案件が丸の内界隈のビル新築や梅田駅
前以外あまりないのが現状である。もう今後、大きなビルが日本国
内には建たないようだ。ビルが過剰になっている。都心のビルでも
空室が目立っている。

しかし、建築会社はあまり減らない。倒産しても会社更生法でゾン
ビのようにまた、生き返ってしまう。これでは、優良な中堅建設会
社もゾンビのように生き返った大会社に太刀打ちできない。
このため、全体的な価格競争に巻き込まれている。これは、ゼネコ
ンがエンドユーザから60%以上安い価格で受けると、その皺寄せ
は、最後の機器メーカまで行くためで、日本はこの機器メーカが強
いのが力になっていた。この機器メーカが価格競争に巻き込まれて
、工場を中国に移転してやっと、赤字を回避する価格までになって
いる。性能や機器の質の問題以上に価格の低下が問題なのです。
この分野でのデフレは中国製の製品に負けているからではないので
す。

この元は、建築会社同士の過当競争、価格競争である。物件数が少
なくなっているのに、ゼネコンはあまり減らないことが、この底辺
にあると睨んでいる。

この解決は、やはり供給元(ゼネコン)の整理縮小をするしかない。
このやり方はいろいろある(この部分は何べんもこのコラムで議論
している)と思うが、銀行の不良資産整理でもあるのですから、や
るべきでしょうね。

インフレターゲット論があるが、通貨供給量を増やしても、価格が
下落する根本原因を解決しないと、インフレにはならない。デフレ
は止まらない。そこが金融評論家には分からないようだ。

しかし、竹中さんのアナウンスメント効果による株価下落はいただ
けない。政府は黙々と不良債権の処理を銀行に要求して、黙々と、
やって欲しいが、国民に無用な心配を掛けさせないで欲しい。うそ
も方便と心得て、方針は言うにしても、方法は秘密にするべきでし
ょうね。
供給を削減することは、景気を冷やすことになるため、需要の創造
(公共事業)も必要である。両方をしないと、日本経済はもたない。

米国からの声援もあるが、この声援は、日本の銀行が持っている
米国国債を売らないようにしてほしいと言っているように感じる。
銀行が困っているので、公的資金を注入するべきということであろ
う。

そろそろ、日本社会の再設計をする必要が出てきたように思う。
米国流資本主義ではなく、日本の古来の社会体制や欧州の第三の道
なども参考にした社会体制を考える必要がある。スローライフ・安
定的な社会などの価値観を取り入れる。西部先生の保守主義の考え
も参考になる。この観点からの意見をお待ちしたいと思います。

米国流競争社会は、いつも変化が必要であり、最後には変化を起こ
すために戦争が必要になってしまう。このような経済社会体制は、
どこか可笑しい。
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竹中金融相を全面的に支持=緊急対応戦略に期待−米CEA委員長
【ワシントン11日時事】 

ハバード米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は11日、時事
通信など日本の一部報道機関と会見し、「ブッシュ政権は竹中平蔵
金融・経済財政担当相を全面的に支持している」と述べた上で、
包括的な経済政策が日本経済の復活に有益だとし、緊急対応戦略に
期待を表明した。
同委員長はこの中で、小泉純一郎政権による不良債権問題処理の加
速など経済改革の推進を支持し、銀行改革と構造・規制改革、さら
にデフレ対策を盛り込んだ総合的な政策の必要性を訴えた。小泉政
権の内閣改造以来、日本の株価が下落していることについては、「
これまでの経験から、正しい経済政策を策定すれば、(株価などの
)資産価格は上昇が可能だ」と指摘した。
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国内工場の閉鎖・休止が加速(nikkei) 

 今年に入って国内工場の閉鎖・休止を決めた主要企業が100社、
180工場を超えた。昨年のほぼ同時期の調査に比べ工場数で5割上回
る。世界的な価格競争が激しい電機・情報関連メーカーの中国への
生産移転が目立つほか、買収・合併や事業統合により幅広い業種で
工場の統廃合が進む。国内製造業の空洞化が一段と加速、雇用への
影響が広がっている。 

 1月以降に工場閉鎖・休止を打ち出した主要企業(上場企業と売
上高1000億円以上の非上場企業)を独自集計したところ、12日まで
に105社187工場となった。生産ラインの停止や、工場は残すが設備
を廃棄し、生産活動をやめる事例も含めた。 (07:00) 


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