1046.北朝鮮の生き残りについて



北朝鮮の動きを見て、世界情勢を考えよう。  Fより

米国のイラク攻撃が米国上院・下院ともに、大統領に戦争権限を移
譲した。これで国連の決議が不調になっても、米国単独でイラク攻
撃ができる国内的な準備は完了した。

この同じ時期に北朝鮮と米国の協議が行われたが、北朝鮮は米国の
要求が一方的であると、今後の協議を拒否した。この対応をどうす
るのか米国の反応がまだない。今はイラク攻撃のため、北朝鮮に対
応する余裕がないためであろうが、イラク攻撃後、北朝鮮を標的に
する可能性がある。この1ケ月に横須賀基地に攻撃用の上陸艇や
その他の物資が運び込まれている。それも、デルガルシアからです
ので、注意が必要です。

イラクの陸上攻撃が始まれば、2・3ケ月で終了する。イラク軍は
親衛隊を除き、錬度は低いし、忠誠度も低い。それより米国の陸上
攻撃と同時にイラク国内でクーデターが起こる可能性まであるよう
だ。陸上攻撃の前には空爆が数ケ月続くはずであるが。

このため、フセインは金をアルカイダやイスラムテロ集団にばら撒
いている。アフガンでも、オマル師を支持するイスラム集団(タリ
バン)が活動を開始するようだし、アルカイダはフランスのタンカ
ーを炎上させたようなテロ活動を活発化させるみたいである。ワシ
ントン近郊での連続殺人事件も、アルカイダ系のテロに近いような
気がする。どうしてもフセインは世界的な混乱を作りたいのでしょ
うね。

この一環として、イラク攻撃に連動して北朝鮮も騒動を起こしてほ
しいのでしょうし、そうなれば米国は二正面作戦になるが、これは
北朝鮮の破滅になるでしょうね。北朝鮮の瀬戸際戦略はやってはい
けない戦略のように思う。

しかし、北朝鮮は米国とのタフな交渉をせず、交渉が楽な日本・
ロシア・欧州と友好関係を構築しようとしているようだ。これは、
このコラムを金正日は見ているような行動で、欧ロ日のランドレー
ン構築を目指している動きに同調させようとしている。

しかし、現実的には米国の軍事力に欧州もロシアも日本も対応する
方法がないし、この3者を連合しても米国一国にかなわない。
また、今回のイラク攻撃を見ても、わかる通り、米国の意思を止め
ることもできない。

一方、日本国内では拉致問題がエスカレートして、そう簡単に北朝
鮮と国交を結び、経済援助できる雰囲気ではない。日本はロシアと
日本海を横断するパイプラインを引けばいいので、北朝鮮が考える
鉄道による石油輸送ではなくてもいいのです。

北朝鮮の体制を変更して韓国と統一してからという意見も米国の意
向を受けた人からあり、どうなるか明確ではない。時間的な問題が
あり、私の意見は北朝鮮は米国とも交渉しているべきであると思う
。そうしないと、日本との交渉も米国の影響を受けて、上手く行か
ないことになる。勿論、日本の拉致問題に対する譲歩は絶対に必要
なことであるが。

北朝鮮の今年の冬も、例年になく国際的な援助がないため、厳しい
でしょうね。このため、韓国、日本からの食糧援助が必要なはずで
す。そうしないと、軍隊にさえ、食料が配給できないことになる。

そして、北朝鮮のクーデターの可能性が増しているように思う。軍
に拉致やテロの責任を押し付けたために、軍内部に亀裂ができてい
る。求心力は確実に落ちている。
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2002年10月09日(水) 
日本世論沈静化を狙う 早期の正常化へ布石

【北京9日共同】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が日本人拉致
事件の生存者5人を15日に日本へ帰国させることに応じたのは、
生存者の帰国で、拉致事件で真相究明などを求める日本の世論を沈
静化させ、日朝国交正常化交渉を早期に実現するための布石とみら
れる。北朝鮮は生存者の帰国そのものについては日本政府が先月末
に調査を行った際にも「できるだけ早期に帰国を実現させるべく最
大限努力する」と確認している。日朝両政府は今月29、30日に
マレーシアのクアラルンプールで国交正常化交渉の本会談を再開す
ることで合意しており、本会談で正常化への動きを加速させるため
にも、生存者の帰国が必要と判断したとみられる。 
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米国の威圧的な姿勢は「宣戦布告と解釈する」=北朝鮮

 [ワシントン 11日 ロイター] 朝鮮民主主義人民共和国
(北朝鮮)は、米政府が対話を拒否した場合は、これを「宣戦布告
」とみなし、武力紛争の準備を進めるとの見解を明らかにした。 
 北朝鮮のHan Song Ryol国連代表部副代表は、ロイター通信との
電話インタビューで、ケリー国務次官補が今月の訪朝で米朝対話の
前提として威圧的な条件を設けた、と述べた。 
 同副代表はこのなかで、核疑惑を含めた安全保障上の懸念を北朝
鮮が解決して初めて対話の状況が整う、と米国に要請された、と指
摘した。 
 そのうえで、「北朝鮮政府はこうした姿勢を、一種の宣戦布告と
解釈している。米国側が武力をもってわれわれのシステムを破壊し
た場合は、われわれは米国との対話に対する関心を失い、もはや
米朝関係の改善を期待する状態ではなくなる」と述べた。
(ロイター)
[10月12日10時19分更新]
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2002年10月12日(土) 
米朝関係打開へ欧州に外交攻勢 北朝鮮(SANKEI)
EUセミナーに高官

 【ブリュッセル11日=藤本欣也】米朝対話が行き詰まりをみせる
中、北朝鮮が欧州への外交攻勢を強め始めた。外務省高官をトップ
とする代表団をブリュッセルに派遣し、欧州連合(EU)との関係強
化を目指して欧州委員会当局者らと協議する。ブッシュ米政権と異
なり北朝鮮関与政策を進めるEUや欧州各国とのパイプを利用し、
米国を牽制(けんせい)する構えだ。

 北朝鮮代表団は崔守憲外務次官をトップに、外務省内の欧州担当
部局メンバーで構成。十五日にブリュッセルで開催されるEU・北
朝鮮セミナーに参加する。同セミナーはアジア政策専門の欧州議会
議員などが企画したもので、今後のEUと北朝鮮の関係のあり方を
めぐり意見交換する。経済・人道援助なども議題となる。

 EU側からは欧州委員会当局者、北朝鮮側からは代表団のほかに
、欧州駐在の外交官も出席する。

 欧州では二〇〇〇年以降、北朝鮮との関係正常化の動きが広がり
、現在、EU十五加盟国のうちフランスとアイルランドを除く十三
カ国が国交を結んでいる。崔外務次官は当時から訪欧を繰り返し、
欧州外交改善の立役者となった人物として知られる。

 EUの基本戦略は、北朝鮮に積極関与し国際社会への参加と国内
改革を促すことにある。これまでに平壌やブリュッセルで政治対話
を五回開催し、日本の拉致問題の情報提供や、北朝鮮に送還された
難民らを処罰しないよう要求してきた。

 北朝鮮は今後、人権問題を改善する姿勢をみせながら経済援助を
欧州から引き出すとともに、EUカードをちらつかせて米朝関係打
開を図る戦略とみられる。
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金正日“責任転嫁”でクーデター勃発も!
求心力低下、軍の一部には不満と反発
 経済協力のカネほしさに拉致を認め、生存者5人の「15日の一
時帰国」を飲むなど、北朝鮮の金正日総書記は巧妙な戦術に出る。
だが、日朝関係筋は「金将軍様(総書記)に拉致の責任を転嫁され
、軍部の一部に強い不満がある」と説明する。独裁者に忠誠を誓い
、手を汚してきただけに、諜報(ちょうほう)機関の一部も臨界寸
前だという。テロ国家は経済改革もカラ回りし、体制崩壊が進む。
専門家は「クーデターがいつ起きてもおかしくない」と警告する。

 9月17日の日朝首脳会談の際、金総書記は拉致を認めた。自分
が指令した犯罪なのに、「妄動主義者や英雄主義者がやったこと」
などと、朝鮮人民軍や朝鮮労働党の部下のせいにした。

 その後の政府調査団の訪朝の際には、北朝鮮側は対日工作を担当
する朝鮮労働党の4部署の一つ「35号室」に所属したチャン・ボ
ンリムの死刑など処分を伝えている。

 どの社会もそうだが、上司から責任を一方的に押しつけられたの
では部下はたまらない。

 日朝関係筋は「軍と党の一部にかなりの不満と反発がある」と証
言する。そこで、北朝鮮での「軍事クーデター勃発(ぼっぱつ)」
の可能性がクローズアップする。

 現代コリア研究所の佐藤勝巳所長は、大胆にこう警告する。

 「いくら閉鎖社会でも、金正日の責任転嫁は内々に軍や党に流れ
る。軍部にすれば突然2階のハシゴを外されたようなもので、テロ
国家では大変な事件だ。まして激情型の人が多いお国柄だけに、明
日、クーデター起きてもおかしくない」

 元内閣安全保障室長で危機管理評論家の佐々淳行氏も、「具体的
な情報はないが、北朝鮮をウオッチしてきた経験から、これじゃ軍
部は収まらない。金総書記の政治的な立場は極めて危うくなった」
と解説する。

 今回の謝罪は、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」批判に対する米国
向けのポーズに加え、日本から早期に経済協力を取りつけるための
戦術転換なのは明らかである。

拉致や韓国閣僚爆殺の通称ラングーン事件、大韓航空機爆破テロ…。

 平壌ウォッチャーたちは、金総書記が国際テロの首謀者で、直接
指令で実行されたとみる。
 そのうえで、「軍や党に責任を押し付ける言い訳をしたことから
、謝罪が軍や党とのコンセンサスなしで行われた可能性が高い」と
注目する。

 一枚岩の両輪「朝鮮労働党中央委員会」と「朝鮮人民軍」がい
ま、揺らいでいるのは確か。金総書記は、父親の故金日成国家主席
が生存中の平成3年に軍最高司令官、5年には軍統帥権を持つ国防
委員会委員長に就任している。

 社会主義なのに、「3軍で110万人」とされる人民軍をバック
に父の権力を世襲してきた。

 9年に党総書記へ推挙された際にも、「党は軍隊で、軍隊は党」
という独創的な軍重視思想を打ち出したとされる。

 一方、対日や対南(韓国)スパイ工作やテロに向けた諜報活動を
担当し、金総書記が直轄する党中央委の対外連絡部や統一作戦部、
作戦部、35号室を重用してきた。

 最近では軍の反乱を恐れ、絶対忠誠を誓う国家保衛部工作員を軍
内部に潜入させて監視するなど、金総書記の軍部に対する不信感を
象徴する情報も漏れてきている。

 軍事評論家の神浦元彰氏は「人民軍は食糧配給などで優遇されて
いるが、軍とは名ばかり。大半が豚を飼ったり、農作業をしたり、
道路を作ったりといった仕事に従事している」と説明する。

 「もちろん人民軍に不満分子は存在し、移動中の金総書記の特別
列車が狙撃される暗殺未遂事件が起きたこともある。今では沿線警
戒には、信用できる直轄の最精鋭部隊のみを起用し、他の兵士や駅
員は沿線から遠ざけて警備に当たらせているとか」(神浦氏)

 昨年には59歳の誕生日前日の2月15日に、信頼していたはず
の護衛官に執務室で発砲されたとの報道も流れた。
 護衛官は人民軍所属ではなく、金総書記直轄の中央委護衛部の所
属だった。平壌ウォッチャーたちは金総書記の求心力低下を指摘す
る。

 前出の佐藤所長は「金正日が米国の顔色をうかがい、軍へのケア
を怠るようだと暴発する危険性が高まる」と話す。
 「打倒・金正日のクーデターや暗殺よりも可能性が高い」と神浦
氏が予想するのは、民衆のコメ一揆(いっき)的な暴動である。

 北朝鮮は旧ソ連の崩壊や中国の改革開放化政策で貿易が衰退した
。90年代の水害や干ばつ以来、多数の餓死者を出すほどの食糧不
足。今年度も約130万トンの食糧が不足するとみられている(世
界食糧計画調べ)。

 「(国家主席への個人崇拝を中心とする)主体(チュチェ)思想
の教育が徹底しており、一般民衆は社会体制や思想への反発よりも
、『ハラいっぱいメシを食いたい』ということで動くのではないか
」(神浦氏)

 ヤミ市で公定価格の数百倍の値段で食料品などが流通するように
なり、金総書記は7月から経済改革に着手した。
 配給制廃止と食糧不足で通貨ウォンの価値が下がる。米の価格も
急騰するなど超インフレが進行し、改革は失敗した。

 目先のカネとコメに血道を上げる金正日体制。軍の一部がクーデ
ターで蜂起しても、「人数は多いものの装備も練度も低く、支援国
家もない。日本の直接の脅威にはならないはず」(神浦氏)
 佐藤所長も「どの事象を取っても北が崩壊に向かっているのは確
か。コトが起これば一気に加速する」と締めくくる。

ZAKZAK 2002/10/12

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