1040.中国の戦略について



Re:歴史についての討論はいいですよね   コスモス 
 Fさんの最新メルマガを拝読して、「ロシアが中国に最新兵器を
売るのは、それしか売るものが無いから、というわけではない」と
いうことにようやく気づきました。なるほど、ロシアは中国から
弱体化している状況で攻め込まれないためには、兵器を売り続ける
しかないのですね。

 どうして中国は、自国の兵器産業の技術向上を図らずに、せっせ
とロシアの兵器を買うのでしょう?
 アメリカとタメを張るとか、そんなことを考えずに、地道に技術
力を高めていった方がいいのに。
ロシアと協調を取るためにしては、軍事的にロシアの傘下にせっせ
と入っているような気がします。中国はロシアの延命を図って、
欧州とともにアメリカに対抗しようとする・・・・それにしては
リスクが大きいような。

 中国は有効な戦闘ヘリを製造できなかった。それだけが、もしか
したら最大の要因のように思えるのですが、いかがでしょう? 
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(Fのコメント)
コスモスさんからの質問があり、中国の戦略を考える必要があると
思います。
地政学的な見方が必要な時代になっている。米国のシーパワーは他
を圧倒しているため、世界の覇権は現在、米国が持っているのです。
そして、かつて覇権を持っていた英国は、ある程度米国の気持ちが
分かるのでしょうね。他の諸国は、世界全体の覇権を持つと言う経
験が無いため、米国の強権的な振る舞いが分からないし、そのよう
な振る舞いに不快感を持っている。

特にロシアはハートランドの中心にいて、リムランドをシーパワー
で抑えている米国に対抗できる位置にいる。この海か陸かで、今の
戦略物資である石油輸送の考え方が違ってくるし、戦略の考え方も
違う。しかし、両方が補完し合えるのです。今回のように、両者以
外が敵であると、この補完関係はベストマッチする。

しかし、中国は上をロシアに抑えられているため、横の中央アジア
に出て、イラン・イラクの石油を持ってこようとしていた。これが
新シルクロード鉄道構想である。
この構想を、米国は中央アジアに駐留して、中国と中央アジアを引
き離したし、中国と深い関係にあったパキスタンを米国に引き戻し
、タリバンは潰した。
このため、中国は石油輸送ルートとして考えていた中央アジアに出
ていけないことになってしまったのです。

この頃の中国の動きを見ると、中央アジアから中東というランドレ
ーンから東南アジアのシーレーン確保に方針を変更したようである。
タイからラオスを通って中国昆明までの道路を作り、東南アジアに
進出する。またインドネシアに中国は武器を売るというし、インド
ネシアと友好関係を築き、南沙諸島に軍事基地を置き、自分の領土
であると主張し始めた。そして、中国海軍の増強をしている。沿岸
防衛から大洋海軍に変身している。しかし、これは米国のシーパワ
ーともろにぶつかる可能性が高い戦略である。
このため、米国は再度、中国の人権を問題視したり、フィリピンと
軍事協定を結び、台湾に中国と紛争一歩手前を演じさせている。

これはすべて、中国の南下政策に対する米国の警告である。それを
中国の政治指導者は知っているのであろうか。もちろん、中国は核
兵器とミサイルを持っているために、米国もそう簡単に中国と紛争
は起こせないが、このまま中国の海軍増強を続けると、米国はどこ
かで、日米台の合同で中国に対応する可能性がある。

北朝鮮もどうも、ロシアと手を結び、中国とは手を切るようですし
、中国は日本とは歴史を問題して、日本ともいい関係になれない。
このため、日本は中国とは経済関係は維持するが、政治的な関係は
不安定のままである。中国の戦略の具合によっては、中・米の紛争
に発展する危惧をしている。その時、中国の味方になる国がいない
可能性が高い。中国封じ込め政策の米国の戦略に中国は嵌っている
ように感じる。

当分の間、中国は軍部が主導している東南アジアへの拡張主義を止
めないと、イラクの次にロシア支配下にある北朝鮮ではなく、中国
を標的にする可能性を米国に感じる。これは東アジアの新しい不安
定要素になってしまう。

中国は、通常戦力より核ミサイルで米国を直接攻撃できる兵器開発
を優先したために、通常戦の兵器はまだまだであるが、ロシアの兵
器を維持メンテし、かつ米国ロッキードの航空機組み立てを行うう
ちに、その開発能力を身に付けるはずである。航空機開発は時間の
問題でしょうね。

しかし、中国としてはロシアと友好関係にしておくことを考えると
、ロシア兵器を利用する方がいい。ロシアに攻めないということを
宣言しているような物ですからね。そして、中国は上に出ないとす
ると、横を封鎖されたために下の海に出ることになり、米国と対決
になる方向のようである。

米国もそれと待っている。米国の戦争仕掛け人であるランド研究所
の凄さだ。中国指導部はその手に乗ってはいけない。米国帝国主義
が世界的な反発を生み、欧州・ロシアを中心とした世界的な行動が
出るまで、じっと中国の内部開発に専心することである。米国と敵
対しないことです。そうすれば、核ミサイルがあるため、米国も事
を構えられない。そうすれば、東アジアの平和も維持できる。
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米国債」保有3位 中国脅威論米上院委 敵対的為替操作を警戒 
( 6/24)
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 【ワシントン23日=前田徹】対米輸出で外貨準備高を急増させ
た中国が近年、米国債購入を増やし香港分を含めると日本、英国に
次いで保有高第三位になっており、中国がこうした巨額の国債売買
で為替操作などに一定の影響力を行使する心配があるとする議論が
米上院銀行委員会で起きている。昨年九月の米中枢同時テロ後に強
まった円安・ドル高傾向に反発する中国が今年に入って月十億ドル
単位で保有額を減らしたことなどが疑念の背景になっている。 

 この議論は先月の米上院公聴会でバニング議員(共和党)らが展開
したもので、「中国が巨額の米国債保有を背景に外交政策の一環と
して(米国への)敵対的為替操作をする可能性があるのではないか」
と問いかけ、これに対し同公聴会で証言したオニール財務長官が「
どのような国でも為替市場に介入し、影響を与えることができるほ
どの外貨準備を持っているかは明確でない」と述べ、そうした心配
を否定した。 

 しかし、公聴会では中国の為替政策を研究するシンクタンク研究
員が「中国の貿易・為替政策は中国元を人為的に安くして輸出を図
る重商主義的なものだ」と分析し、「米国は交渉によってそうした
中国の外貨購入中止と通貨の切り上げを迫るべきだ」と主張するな
ど中国に対する厳しい見解が披露されている。 

 こうした中国脅威論が展開された背景には日本経済の不振から昨
年十一月ごろから円安が急進し、米政府もそれに一定の理解を示し
たのに対し、ドル安を望む中国首脳が「外貨準備の運用先としてユ
ーロの比率を増大させるべきだ」などの発言を繰り返してドル売り
を強く示唆した。さらにこうした発言を裏付けるように四月三十日
に公表された米財務省統計では、昨年末まで増え続けていた中国の
米国債保有額が今年に入って月十億ドルという単位で激減しており
、円安・ドル高是正に少なからぬ影響を与えていた可能性がでてい
たからだ。 

 中国の外貨準備高の増大と米国債購入については中国経済の急成
長と対米輸出増とともに顕著になっており、同じ財務省統計による
と、一九九九年十二月に中国と香港を合わせた保有額が九百八十五
億ドルにのぼり、それまで日本、英国に続いて三位の位置にあった
ドイツを追い抜きその後も着実に増え続けている。 

 その傾向を特に示しているのが長期財務省証券の純購入額(昨年)
で、中国の場合、百九十億ドルにものぼり日本の百七十億ドルを超
えて世界最大となった。また、同時テロ後、米経済への不安がでた
ときも中国は七十六億ドルを買い増しており、結果的に米国を金融
面で支えた形になっている。 

 もちろん中国の米国債保有が国際金融市場にどれほど具体的な影
響を与えるのかは不明だが、中国が米経済政策上、無視できない存
在になっているのは確実で、「敵対的為替操作の可能性」という論
議が今後も続くことになるとみられる。 
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2002年09月30日(月) 
武器売り込む中国 国防相、東南アジア訪問
米独占のほころび突く
http://channel.goo.ne.jp/news/sankei/kokusai/20020930/KOKU-0930-03-02-26.html

 【シンガポール29日=大塚智彦】中国の遅浩田・国防相は二十九
日、訪問先のマニラでフィリピンのレイエス国防相と、スプラトリ
ー(中国名・南沙)諸島問題の早期解決や「一つの中国」政策の堅持
、フィリピン軍の近代化への中国政府の協力などを盛り込んだ共同
声明を発表し、カナダ、インドネシア、フィリピン歴訪を終え、帰
国の途についた。

 遅浩田・国防相の今回の歴訪では、各国と中国の軍事面での協力
や関係強化で基本的に合意したが、特にインドネシアとフィリピン
では中国製武器の購入を国防相自ら積極的に働きかけ、中国政府が
武器市場として東南アジアに強い関心を抱いていることを改めて示
した。

 フィリピンでは、同国軍が台湾から中古のF5戦闘機の購入を検
討していることに中国が反対を表明しているが、遅浩田・国防相は
「軍の近代化に政府として協力する用意がある」とレイエス国防相
に伝え、中国製戦闘機の導入を促した。

 また、インドネシアでもメガワティ大統領との会談(十九日)で遅
浩田・国防相は中国製武器導入を直接打診し、同大統領も前向きに
検討することを約束した。

 フィリピンは陸海空軍の大半が、そしてインドネシアは陸空軍が
主要装備を米から導入しており、いわば米武器産業の独占市場だっ
た。

 しかし、両国とも武器の近代化に迫られながらも高額な米の最新
鋭武器を購入する経済的な余裕がなく、フィリピンは中古市場から
、またインドネシアは欧州やロシアからの調達を模索するなど“米
離れ”をみせていた。

 インドネシアは、東ティモールでの軍の人権侵害を理由に、米国
が一時「武器禁輸」を決めたこともあり、メガワティ大統領は「武
器調達先を拡大し、リスクを回避する」との方針を打ち出していた
。こうしたことから武器売り込みをはかる中国の思惑と一致した。

 中国の東南アジアへの武器市場拡大には、経済的な関係緊密化と
ともにフィリピンのケースのように台湾への対抗心も見え隠れして
いる。
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中国・昆明〜タイ・バンコクへ、最短ルート実現。ラオス国内の資
金調達。(サンケイ 10月3日 朝刊)
http://www.kamiura.com/new.html
[要約]中国の昆明からバンコクまでの最短道路が実現することにな
った。このコースは中国南部の雲南省の省都・昆明から、ラオスを
通って、タイのチェンライ県からバンコクに通じる道である。タイ
と中国側は整備が終わっていたが、ラオスのボケオ県の250キロ
が資金不足で未整備であった。しかし工事費の9千万ドルは、中国
とタイが各3千万ドル(無償援助と超低利融資)を負担し、残り
3千万ドルをラオスがアジア開発銀行(ADB)から借り入れるこ
とが決まった。これはメコン川流域総合開発計画の目玉プロジェク
トのひとつ。工事は中国の建設会社が行い、2007年には完成さ
せるという。

[コメント]数日前に、私の5月のカンボジア取材に同行したI君か
らメールが届いた。今はラオスに滞在して、中国からメコン川を南
下してくる中国の船や貨物、それに人々を撮影(取材)しているとい
う。そして驚き情報として、2ヶ月前にメコン川から船で中国に入
国できると伝えてきた。しかし入国審査など不明な点も多く、これ
から情報を集めますというメールである。そこにバンコク発のこの
ニュースだ。これで中国の東南アジア進出はさらに加速されるだろ
う。21世紀に中国は、北はシベリア一帯に、南は東南アジアに爆発
的に拡大していく。13億人の国家が膨張するということが、いか
に凄いことか、日本人はまもなく信じられないものを目撃するよう
になるだろう。海軍力の弱い中国は、陸路で東南アジアに進出する
という予測通りである。I君は今もラオスやタイ北部で取材中であ
る。数日おきに、インターネットカフェーでこのホームページを読
んでいるそうだ。
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中国の人権改善見られず・米議会特別委報告書(NIKKEI) 

 【ワシントン2日共同】中国の人権問題などを監視する米議会の
特別委員会「中国に関する議会・政府委員会」(議長・ボーカス上
院議員)は2日、中国の経済改革が深化する一方、政治、市民的自由
の進展がほとんど見られないと批判する初の年次報告を発表した。 

 報告書は、中国政府が気功集団「法輪功」を厳しく取り締まり、
新疆ウイグル自治区ではテロとの戦いを「口実」にイスラム系住民
の宗教活動に制限を加えているなどと指摘。「国際的に認められた
基本的人権を侵害している」とした。ボーカス議長らは同日、ブッ
シュ大統領に書簡を送付、今月の米中首脳会談で、江沢民国家主席
に人権状況の改善を要求するよう申し入れた。報告書は、チベット
自治区でも宗教活動への厳しい取り締まりが続いており、僧や尼僧
など約200人の政治犯が収容されているとも指摘。また、全国的に、
刑事事件の捜査過程で拷問が広く実施されているとしている。
 (16:13) 


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