1038.米国のジレンマ



米国は、国連でイラク攻撃決議をしようとしているが、ロシアと
フランスがこの決議を阻止している。それなら、この2ケ国を排除
すればいい。しかし、特にロシアの排除ができない。その検討。
                 Fより

ロシアは石油生産量がサウジアラビアを抜いて、世界1位になって
いる。それと、OPECに加盟していない。このため、石油減産指
示を出すOPECの制約を受けない。その原油価格は20ドル以下
にしてOPECの石油価格30ドルより安くしている。

これと、米国はイラク攻撃に伴い、サウジアラビアなどの産油国の
混乱やマハティール首相が提案するイスラム圏での石油の武器化で
、石油の供給が不安定になるため、米国や世界は大きなダメージを
受ける。このダメージを緩和するには、ロシアの石油が、どうして
も米国としては必要なのです。

しかし、一方で米ロでのカスピ海や中央アジアの石油の取り合いも
起こっている。
アゼルバイジャンの首都バクー郊外で九月十八日、同国のカスピ海
沿岸からグルジアを経由してトルコのジェイハン(地中海沿岸)に
至る石油パイプラインを主に米国資本で作り、ロシア本土のパイプ
ラインを使わずに、海に搬出できることを考えている。このため、
ロシアのグルシア派兵に米国は反対するのです。もう1つが、ユノ
カルが進めていた中央アジアの石油、天然ガスのカラチへのパイプ
ラインの建設です。これも、海への輸送し、そこからタンカーに載
せて運ぶ。米国はシーパワーを持つ海になるべく早く積み出すこと
を考え、ロシアはロシア内部のパイプラインに繋げることを考える。
これはランドレーンのロシア対シーレーンの米国の対決である。

これは石油輸送のコストが大きなビジネスになるためで、米ロの取
り合いになっているのです。もちろん、パイプラインの方が儲けは
大きいが。

しかし、今は米国としても、日本もロシアの石油は非常に重要な位
置を占めている。しかし、一方でイラク、イランの石油にロシアは
大きな権益を持っている。イラン・イラクの石油も取り合いを欧米
ロ中でしている。このため、ここでの調整できずに米国のイラク攻
撃での国連決議ができない理由になっている。しかし、米国も手荒
なことができないのは、イラク攻撃中の石油確保ができるかどうか
という問題があり、ロシアを無視しては、石油の補給ができないた
め、ロシアの意向も聞く必要があるのです。

まあ、しかし最後には、米国はイラク攻撃をするでしょうね。それ
に英国はストローの調停空しく、米国に同調するようです。もうま
もなく、イラク攻撃ですね。米国がどれだけ早く勝利するか?
どれだけイラク国民を抹殺するかを見ようではないですか??
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◎イスラム国は石油を武器に=団結を訴える−マハティール首相 

2002 年 10月 3日 
http://news.msn.co.jp/articles/snews.asp?w=225024
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【クアラルンプール3日時事】「イスラム教徒が持つもので唯一世
界が必要としているのは、石油だ」−。マレーシアのマハティール
首相は3日、イスラム諸国が団結し、石油を「武器」として活用す
るよう訴えた。

国営ベルナマ通信によると、同首相は原油供給量を決定できるイス
ラム諸国が減産すれば、「イスラム教徒への敵対的な態度はやむだ
ろう」と指摘。しかし、各国が内輪もめを繰り返している上、「一
部が減産しても、他が一方的に増産してしまう」ことから、結果的
に武器として活用できていない現状を嘆いた。

同首相は、石油輸出国機構(OPEC)には、非イスラム国が参加
しているほか、OPEC非加盟のイスラム産油国もある実態を踏ま
えて「イスラム国家が何をするかだ」と強調。これまで米国のテロ
との戦いを支持していた同首相だが、イスラム寄りにシフトした形
だ。

また、現実味を帯びるイラク攻撃が米国による石油支配が狙いとの
見方について首相は、「イラクは産油国。より重要なのはアフガニ
スタンだ。中央アジアからパイプラインを通すのに反対したのが、
アフガン攻撃の理由だとの見方もある」と指摘した。(了)
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ロシア迂回ルートに着工 地中海へのパイプライン  外経77

 【モスクワ18日共同】タス通信によると、アゼルバイジャンの
首都バクー郊外で十八日、同国のカスピ海沿岸からグルジアを経由
してトルコのジェイハン(地中海沿岸)に至る石油パイプラインの
起工式が行われた。                     
 起工式にはアゼルバイジャン、グルジア、トルコの首脳が出席。
アリエフ・アゼルバイジャン大統領は「三カ国を経済、政治の両面
で結びつける」と計画の意義を強調した。           
 このルートはロシアを迂回(うかい)することから、ロシアの影
響力排除を狙った米国が計画を主導。建設が順調に進めば、カスピ
海から国際市場に向けた大動脈がつながるが、完成までには曲折も
ありそうだ。                        
 ロシアのイワノフ外相は同日、滞在先のニューヨークで新ルート
着工について「採算性がなく、ロシアを締め出そうとする試みなら
受け入れられない」とくぎを刺した。             
 パイプラインは全長約千七百六十キロ。カスピ海の石油を年間五
千万―六千万トン輸送する能力を持つ。総工費二十九億五千万ドル
で、二○○五年の開通を目指す。               
 ロシアは従来、国内を通るバクー―ノボロシースク(黒海沿岸)
間のパイプラインの輸送能力を増強する方が低コストだと主張して
きた。しかし、米中枢同時テロ後、米国と石油需給関係の強化で合
意。カスピ海の油田開発でも協力を模索しつつある。      
(了)  020918 2105              
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ロシア→米国 石油を大量輸出 エネルギー分野でも協力本格化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020711-00000015-nnp-int
 【モスクワ10日山田新】ロシア第二の石油会社「ユコス」は十
日までに、石油二百万バレルを米国に輸出した。ロシアから米国へ
の本格的な石油輸出は初めて。石油輸入の中東依存度を軽減したい
米国と、市場を拡大したいロシアの思惑が一致した形で、エネルギ
ー分野でも米ロ協力が本格化してきた。

 ロシア産の石油はこれまでも細々と米国に輸出されてきたが、輸
送コスト高に加え、エネルギーのロシア依存を嫌う米国の意向で、
大量取引には至っていなかった。

 しかし、ブッシュ米政権は、昨年九月の米中枢同時テロ以降の中
東情勢悪化や対テロでのイラク攻撃も念頭に、世界最大級の産油国
であるロシアに注目。プーチン・ロシア大統領も「エネルギーの安
定供給に努める」と急速に欧米寄りに傾き、五月の米ロ首脳会談で
両国のエネルギー協力をうたった政治宣言に調印。大量取引に道を
開いた。

 プーチン政権はさらに、石油輸出国機構(OPEC)との協調減
産も拒否。欧米とのエネルギー枢軸を構築し、OPECと対抗する
姿勢を明確にし、これが先の主要国首脳会議で、四年後のロシアの
G8正式メンバー入りにもつながった。

 問題はコスト削減。ロシアには大型タンカーが接岸できる港がな
く、今回の輸出は、黒海沿岸の港から小型タンカーで分割輸送し、
トルコの港で大型船に積み替える手法で、採算を度外視した実験的
なものだった。

 ロシアでは現在、東欧を経てアドリア海に至るパイプライン整備
や、ロシア北部のムルマンスク港を整備し、そこに至るパイプライ
ンを建設する計画が浮上している。(西日本新聞)
[7月11日2時13分更新] 
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2002年10月01日(火) 
ロが石油の戦略備蓄検討 OPEC体制に打撃も(SANKEI)

【モスクワ1日共同】石油輸出大国として国際市場に台頭してきた
ロシアが、石油危機に対応する戦略備蓄の検討に入った。障害は多
いが、実現すれば石油輸出国機構(OPEC)の市場支配を突き崩
す武器となり得る。1日から米ヒューストンで開催の「米ロ・エネ
ルギーサミット」でも議題に上る見込みだ。ロシア石油業界筋によ
ると、プーチン政権は2001年の年間輸出量の約3分の1に当た
る5000万トン規模の戦略備蓄を本格的に検討。インフラ整備に
は200−250億ドルが必要と見積もっているという。後押しす
るのは、エネルギー分野でロシアと「新パートナーシップ」を結び
ながらイラク攻撃の機をうかがう米ブッシュ政権。市場で需給が逼
迫(ひっぱく)した緊急時に、米ロが備蓄分の放出など機動的に対
応できれば、OPECの影響力は確実に低下する。ロシアにも市場
を直接動かす手段を得ることになり、魅力的なアイデアだ。 
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 ■■世界週報■■ メールマガジン vol.51    
ロシアン・メジャーの野望
ロシア石油企業の新グローバル戦略

大阪商業大学総合経営学部教授
中津 孝司(なかつ・こうじ)

 ロシアの産油量は、今やサウジアラビアを上回ってしまった。ロシアはOP
EC(石油輸出国機構)には加盟していない。元来、OPECの盟主であるサ
ウジとは対立軸にある。サウジは1バレル25ドルの水準を死守しようと躍起に
なっている。しかし、それでも25ドルという水準は高い。だから、OPEC非
加盟産油国はどうしても増産へと走ってしまう。石油消費国は代替エネルギー
(特に天然ガス)への転換を図る。当然、これは石油価格の低下要因となる。
そこでまた、OPECが減産する。OPECは今、この悪循環に陥っている。
 一方、ロシアの石油企業は20ドルの水準でも十分に利益を確保できる。無論、
消費国にとっては安いに越したことはない。この点において、ロシアと石油消
費国の思惑が一致する。
 ロシアは6月のカナナスキス・サミットで正会員入りを果たした。その約1
カ月前、ロシアとアメリカは新エネルギー・パートナーシップを宣言した。こ
れまで外交面で譲歩を繰り返してきたロシアであるが、石油という重要なカー
ドを握ることになった。今のところ、ロシア産石油の輸出市場は欧州に限られ
ている。だが、ロシア産の石油がアメリカに安定供給されるようになれば、ア
メリカとしては輸入先をサウジからロシアにシフトできる。
 昨年のテロ以降、アメリカとサウジとの関係は正常化していない。アメリカ
国内にはイスラム過激派の温床はサウジだとの見解がある。ペルシャ湾岸産油
国は今もって外資の対油田参入を拒んでいる。結果、欧米メジャーの投資はロ
シアやカスピ海に向かう。ロシアとアメリカの利害がここで一致する。欧米系
メジャーによる本格的な対ロシア投資に今後拍車が掛かる。ロシアの石油企業
もそれを期待している。両者は共存共栄の関係にある。
 ただ、アメリカとしては、ロシア産の石油が中国に輸出されるのを阻止した
いところであろう。だが、ロシアは市場拡大を狙う。中期的には米ロ中の3カ
国が石油を巡って複雑な関係に陥ってしまうかもしれない。
 あるいは今後、ロシア、カスピ海産石油を巡って、米中によるグレートゲー
ムが展開されていくかもしれない。中国では石油消費量が確実に伸びていく。
ロシアはアメリカ市場と中国市場とを同時に掌握することになる。これがまさ
しくロシアン・メジャーの野望であり、21世紀のグローバル戦略なのである。


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