1031.米国・ロシアの石油争奪戦



このコラムの見解に、世界が追いついてきた。しかし、合いも変わ
らなず日本の評論は、石油ではないとおかしい事を言う。その検討
            Fより

中東とカスピ海で米英国と欧州・ロシアの石油争奪戦の様相になっ
ている。
そして、欧米ロ中が絡んだイラク石油の権利争奪戦としてのイラク
戦争ということになりそうである。これは世界の石油の配分を変更
する戦いでもある。それと、その石油輸送も変革しようとしている
のがロシアのプーチンである。ロシアの石油戦略構図がだんだん、
明らかになっている。

30年前の石油会社はセブンシスターズと言って、シェル以外は世
界の供給の全てを米国石油会社が支配していた。しかし、今は米国
の石油会社の供給量は全体の20%まで下がっている。このため、
米国としては石油資源を抑える必要があるのです。そして、世界第
2位の石油埋蔵量のイラクを狙う理由はテロ支援と大量破壊兵器を
製造しているということで理にかなったことになると米国は見てい
る。ツインタワー崩壊の911はリメンバー・ツインタワーと言え
るため、戦争への国民説得になったようだ。国民の支持があれば、
外国への攻撃は、米国軍事力が他を圧倒している今をおいてない。

チェイニー副大統領の主導で作成された「国家エネルギー政策報告
書」にもあるように最初から米国はこれを狙っていたような感じも
する。イラクの石油をである。このため、911の陰謀説の依然根
強い理由の1つになっているのです。

これに対して、イラクはイラク石油の採掘権を英米を外した欧州、
ロシア、中国に譲渡して、米国からの攻撃を防ごうとしたが、英米
のイラク攻撃は安全保障上の問題で経済的な問題ではないとして、
欧州やロシアの反対を押し切っている。米国に対抗できる国家はな
いため、アラブ諸国を含めて、対応に苦慮している。

イラクはとうとう、国連決議と言うハル・ノートを突きつけられよ
うとしている。フセインもこのハルノートには堪忍袋の緒が切れる
であろうから、戦争になり、60年前の日本と同様に長期に占領さ
れ、米国石油資本がイラク国家と石油を独占するであろう。この分
け前を少しは寄越せと欧州は言っているのです。
イタリアやオーストラリアはイラクから現在、石油の権利を貰って
いないか、少しであるため、米国のイラク攻撃賛成になる。その意
味では、日本もイラクから石油を貰っていないため、どうするかで
すね。

このため、欧州とロシアは条件闘争になった。要するに国連決議で
イラク攻撃をしよう。その決議では戦後のイラク石油の権利の配分
を裏で決めようということである。

どうも、その点が日本の報道や国際評論家と称している人たちの不
足している観点になっている。安保と経済の両方を見ないのか不思
議な感じを受ける。

ロシアは、イラクの石油で大きく儲けているので、その見返りを要
求している。それがグルシアへの派兵問題やカスピ海油田の権利を
ロシアに有利にしてほしいと言っている。イラク攻撃反対と言いな
がら自国の利益を追求している。このため、パウエル国務長官も、
ロシアの利益を考慮すると表明した。このため、最後には、ロシア
も国連での決議には棄権するようですね。拒否権を行使しない可能
性が高い。ここで終われば、皆さんもだいたい分かっていることで
あるが、ロシアはこの上を考えている。世界的な石油分配と輸送の
変革である。この全体像は、ここでは述べないが、日本との関係だ
けは述べたい。

日本への石油売り込みを掛けるため、シベリア鉄道と朝鮮の鉄道を
繋げようとしている。これはロシアの石油を鉄道で運ぶことを意味
する。このため、日朝の交渉の仲介もロシアはしている。ロシア石
油を日本に売るには鉄道の貨車輸送でと言っているが、もう1つの
目的はカスピ海石油やイラン石油などの中東の石油を鉄道輸送する
ことである。パイプラインをロシア内部のシベリア鉄道まで引き、
そこから貨物輸送する、将来は日本までのパイプラインを引き、
ロシアに多額の輸送費が入る構図を見ている。

勿論、中国も新シルクロード鉄道で、同様な構想を描いているが、
中国だけではできず時間がかかるため、ロシアの方が優位な位置に
いる。

今まではタンカーで中東の石油をインド洋やマラッカ海峡を通って
、運ぶことしか考えていなかった。このため、日米安保が必要で、
その主な役割は中東の石油を運ぶタンカーを守ることであった。
この役割を無効にすることになる。輸送ルートが海から陸になる。
こうなると、防衛の主役の交代を引き起こす。日本の石油防衛主体
が米国からロシアになるのです。日本にとって、大きな防衛構想の
変革になる。この点をまだ、日本の関係者は気が付いていない。

勿論、こうなると、海軍主体の米国権利の空洞化に繋がるため、
その阻止を米国は仕掛けてくるような気がするので、一直線にロシ
アの構想通りになるようには思えない。北朝鮮問題専門家チャック
・ダウンズ氏の見解が米国の本音でしょうね。日本よ。北朝鮮とは
仲良くするな。

そして、北朝鮮には米朝交渉で米国からの援助を餌に日本・ロシア
の動きをけん制する方向に北朝鮮を向かわせる可能性もある。その
焦点は拉致問題であろう。どうも、米国のケリー国務次官補が北朝
鮮に行くといってから、北朝鮮が強気になったのが気になる。どう
なりますか米朝交渉をこのような観点から見守ろう。
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2002年09月26日(木) 
落としどころ探るロシア イラク問題で微妙な立場に

【モスクワ26日共同】米国のイラクへの一方的攻撃に反対してき
たロシアのプーチン政権が、攻撃不可避との見方が強まる中で、
微妙な立場に追い込まれている。米ロの協調とイラクとの友好関係
などをはかりにかけながら、「落としどころ」を模索し始めている
。「ロシアはイラクへの査察体制を強化する決議に反対とは言って
いない」。イワノフ国防相は23日、米英が主張する新たな国連決
議の採択よりも国連査察再開を優先させるというロシアの立場から
、一歩踏み込んだ柔軟姿勢を示した。ロシアは表向き、査察再開を
優先させ、米国の一方的攻撃は反対という原則的立場を崩していな
い。しかし一方で、イラクとの長期経済協力計画の調印を事実上棚
上げするなど、イラクとの距離を徐々におき始めている。 
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イラク問題で米国務長官「ロシアの利益考慮する」 
韋駄天より

24日のタス通信によると、パウエル米国務長官は23日のインタビュ
ーで、イラクをめぐる問題を解決する過程で、米国はロシアがイラ
クに対して持つ経済的利益を考慮すると述べた。
ロシアはイラクに数十億ドル規模とされる債権や油田採掘契約など
を持ち、イラクに対する米国の一方的軍事攻撃に反対する理由の一
つになっている。発言はロシアの懸念を和らげ、イラク攻撃に理解
を求める狙いとみられる。
国務長官は、ロシアと経済的観点からもイラク問題を協議している
と述べたが「何らかの取引」を意図しているわけではないと強調。
同時に「ロシアが自分の経済的利益よりも、グローバルな問題に注
意を払うようになることを確信している」として、ロシア側に変化
を促した。
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「石油は兵士の血より価値あり」米誌ネーションの分析
(東亜日報)SEPTEMBER 26, 2002 22:40
by 金正眼 (credo@donga.com)

「対イラク戦争は兵士と国民の血を担保にした石油戦争だ」進歩的
な米週刊誌「ネーション」の最新号(10月7日号)は差し迫った
米国の対イラク攻撃の裏面には、中東の石油確保をめぐる米国の
損益計算があるとの見方を示したうえで「第2の湾岸戦争」の正当
性に疑問を提起した。 

米国が対イラク攻撃に踏み切ろうとするのは、日々対外依存度が高
まりつつある石油の安定的な供給先を確保し、ひいては21世紀の
国際エネルギー市場に君臨したいとの意図が隠れているとしている。 

昨年6月、チェイニー副大統領の主導で作成された「国家エネルギ
ー政策報告書」は、2000年現在、米国で消費された石油の半分
が輸入石油であり、2020年になると、輸入石油の比率が
3分の2へと増えるはずだとの認識を示している。米国の石油需要
を充足させるために、石油供給先の多角化が先決条件というのが同
報告書の結論だった。これまで主な石油供給先だったサウジアラビ
アさえ信頼できないほど、米国の石油供給先をめぐる環境が急変し
ている。 

昨年9月11日の米同時多発テロ事件以降、ワシントンのランド研
究所がサウジを「悪の枢軸」と定義付けて以来、米国とサウジの関
係は急冷した。サウジ内では米国との関係を断絶しようとの声が高
まっているなか、サウジ政府がついに米国が主導する西側石油会社
の油田開発への参加を禁止させることを決めるなど、両国関係に
異常な気流が現れつつある。 

サウジに代わる石油の供給先として、米国が選んでいる国がイラク
。こうしたなかイラクのフセイン大統領は、米国を疎外させたうえ
で同盟勢力を作るために、欧州、ロシア、中国などの石油企業に、
440億バレルに達するイラク油田の開発権を分配し始めた。これ
は、米国とカナダ、そして欧州最大の産油国であるノルウェーの
石油埋蔵量を合わせた規模。 

同誌は、ブッシュ米政権が対イラク攻撃に執着する根本的な理由が
、まさにここにあるとの認識を示している。フセイン政権の転覆に
協力しない国は、新政権が樹立されればフセイン政権と締結した
石油供給契約が無効になり得ることに気付くべきだと、イラクの反
体制勢力らが警告したのも、同じ脈絡からだ。 

結局、対イラク攻撃は、新政権のもとで、油田開発計画を米国の
石油大手が掌握するための地ならし作業だということになる。
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2002年09月27日(金) 
露、イランに圧力 カスピ海オイル争奪戦(SANKEI)

隣接国と協定、孤立化図る
 【モスクワ26日=佐藤貴生】石油など天然資源の宝庫とされる
カスピ海をめぐり、ロシアのプーチン大統領がイランに無言の圧力
を加えている。周辺五カ国のうち、カザフスタンに続いてアゼルバ
イジャンとも海底資源の領有権を定めた協定を締結、イランの領有
部分をなし崩し的に制限する戦略で、米国の動きをにらんだカスピ
海のオイルマネー争奪戦は、さらに白熱化しそうだ。

 カスピ海の海底資源の領有権をめぐって四月末に行われた五カ国
首脳会議が決裂した後、プーチン大統領の動きは早かった。五月に
カザフスタンと領有権を画定する協定を結んだのに続き、今月二十三
日にはアゼルバイジャンのアリエフ大統領とも同様の協定を締結。
軍事面の協力でも合意するなど抱き込みを図っている。

 この協定で三カ国が合意した領有分割案は、カスピ海上に南北に
中間線を引いて国境線を延長したものだが、この方式だと全体の14
%にとどまるイランは強硬に反発。五カ国による共有もしくは20%
ずつの均等分割を主張し、アゼルバイジャン政府と協議するなど懸命
の綱引きを展開している。残るトルクメニスタンも反対の立場を崩
していない。

 一方、今月十八日にはアゼルバイジャンの首都バクー近郊で、
グルジアのトビリシを経由しトルコの地中海沿岸のセイハンに抜け
るパイプラインの起工式が行われた。式典にはエーブラハム米エネ
ルギー長官も出席、「このプロジェクトは米国にとって最も重要な
エネルギー確保手段のひとつ」と強調するなど、この地域における
米国の関心の高さと“存在感”を改めて印象づけた。

 建設費用は三十億ドル、二〇〇四年には全長千七百六十キロの
パイプラインが完成し、年間約四億バレルの原油が送られる予定だ
が、このパイプラインについては、西側の石油会社から「コストを
度外視している」との指摘も出ている。

 米国を尻目に、ロシアの石油最大手「ルクオイル」はこのプロジ
ェクトに参加しておらず、米国に対するロシアの冷ややかな姿勢が
浮き彫りになってもいる。
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北朝鮮問題専門家チャック・ダウンズ氏に聞く
日朝交渉開始は金正日政権後に

 【ワシントン25日=古森義久】米国歴代政権の国防、国務両省
で朝鮮半島問題を担当した北朝鮮専門家のチャック・ダウンズ氏は
二十四日、産経新聞のインタビューに応じて、日朝首脳会談や今後
の日朝関係についての見解を語った。ダウンズ氏は日本が金正日政
権下の北朝鮮との国交正常化を進めるのは間違いであり、同政権後
により民主的な新政権が登場するのを待つべきだと述べた。

 ▼「謝罪で善行のふるまい、許されぬ」

 北朝鮮の交渉戦略に関する本の著者としても知られるダウンズ氏
はまず金正日総書記が日本人の拉致を認め、謝ったとされることに
ついて「外国の子供たちを組織的に親から奪って殺すという最も冷
酷な犯罪を働いておきながら、謝罪と称する一片の言明で自分があ
たかも善行を施すようにふるまうことは人道的にも許されるべきで
はない」と述べた。

 そのうえで同氏は(1)金総書記の「謝罪」は密室での会合で
表明されたと日本側が主張するだけで真相はわからない(2)金氏
は自分は拉致に無関係と称するが、実はラングーンの韓国閣僚爆殺
や大韓航空機爆破に責任があるうえ、亡命者の証言で日本人拉致の
決定にも深く関与したことが判明している(3)金氏は拉致した罪
のある人間をすでに処罰したと宣言するが、金氏こそ最も厳しく処
罰されるべき人物だ(4)北朝鮮での拉致は赤軍の容疑者たちの
花嫁獲得を金日成主席が命じたことから始まった−などと語った。

 ダウンズ氏はまた金正日政権について「この世で最も閉鎖的、
弾圧的な政権であり、開放的で自由な日本とは対照的」だと述べ、
「その崩壊の兆しがある」として、金氏の護衛要員や政治エリート
の国外脱出が続いていることを挙げた。ダウンズ氏はそのうえで
(1)弾圧的な金正日政権は国民を代表せず、日本側としてはこの
政権との間で国交正常化の交渉を続けることは適切ではなく、金以
後のより民主的な政権との間で交渉すべきである(2)国内の経済
破綻(はたん)と米国の強硬姿勢による安保上の劣勢で金政権こそ
日本との国交正常化を急速に果たし、巨額の援助を得たいとしてい
るが、その姿勢は近来になく弱い−と強調し、日本の北朝鮮に対す
る過去への謝罪については「金正日側は日本の贖罪(しょくざい)
意識を利用して事実上の補償をとろうという戦術だ」と述べた。


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