1026.EUからユーラシアへ



今、ASEMがヨーロッパで開かれている。これに小泉首相も参加
している。ここで、何が話し合われているか推測しよう。それと、
CHOCOさんからの報告も見たい。 Fより

今年のASEMは例年に比べて、重要な会談になりそうである。
ASEMとは、ヨーロッパ諸国とアジア諸国の会合で、米国もロシ
アも参加していない。今までは米国重視の日本は外相が出るが、
あまり重要視していなかった。このため、このコラムでも例年あま
り騒いだことはない。

しかし、今年は違う。ユーラシア横断鉄道ができる可能性が出てき
た。金大中は北朝鮮を併合した時のインフラ投資が、韓国一国では
持たない事を知っている。このため、世界の資金を集めたいと考え
ていたが、手立てが無かった。ところが、北朝鮮の経済状況を見る
と、一刻の猶予も無い状況になっている。助け舟として、ここでプ
ーチンが金大中のシベリア鉄道を介してヨーロッパまでのコンテナ
輸送の構想に飛びついた。このため、北朝鮮を脅して、日朝交渉で
拉致事件を認める譲歩をさせたのです。これにより、日本からの
資金で、北朝鮮の鉄道を整備し、かつ日本も鉄道構想に参加しても
らってヨーロッパへの荷物の量を確保しようとしているのです。

そして、もう1つの好条件ができている。世界的な余剰資金の行き
場が無い。このため、投資先をEU諸国やアラブ諸国は探している
。この良い投資先に、この鉄道整備はなりそうなのです。日本や世
界の資金が投資できる条件は、日本からの荷物と人が本当にユーラ
シア横断鉄道を利用するかということであるが、その最大の阻害条
件は北朝鮮の存在なのです。これが解決すれば、ロシアによっては
、シベリア開発にもコンテナ輸送というビジネスにも非常に有利な
位置にいることになる。世界の資金がシベリア鉄道に投資される可
能性が出てきている。

米国への資金流入がその分減るが、今の米国には良い投資先がない
と世界の機関投資家は見ている。投資案件はほとんど、大損になっ
て、米国から撤退の方向である。このため、米国のダウは大幅に
値下がりしている。

また、中国はこの鉄道を新シルクロード鉄道にしたいようだ。中国
から中央アジアに出て、イランからトルコへ結び、イスタンブール
までの鉄道整備を志向している。こちらのいいことは、歴史的な遺
産が多いため、観光客を見込める。シベリア鉄道は観光としての見
るべきところが無い。冬季は寒くて、観光どころではない。

ヨーロッパも政治経済の中心的な位置を期待できる。日本とヨーロ
ッパが結ばれれば、紛争地域であるアジア・中東の安定に寄与して
、世界の安定が確保できる可能性が高まる。この場合もロシアと
中国は重要な位置を確保することになるが、ヨーロッパは、これを
見越して既に投資先として整備してきた。特に中国には日米がぐず
ぐずしている間に、市場を制覇している。

この構想では米国の経済的な権益があまりないため、米国の動きは
重要であるが、手出しはできないと思う。この面からも米国一国主
義は経済的な面から行き詰まるように感じる。南米の経済トラブル
もあり、米国の経済権益は小さくなるように感じるが、どうか??
イラク攻撃のようなことを、中央アジアやイラン等に対して、行わ
れると阻害要因とはなるが??
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<ロシア・グルジア問題について>

先日の新聞記事、論説でのロシア・グルジア問題に少し欠けている
視点があるように思ったので、モスクワの報道から、読める範囲で
現状を追加したい。

現在、グルジアの内政はかなり混乱した状況。
ペレストロイカの後、ロシアから帰国して、長期に渡り半独裁的な
政権を握ってきた、シュワルナゼに対して、かなり、内部でも反対
勢力があるようだ。

例のパンキシ渓谷の領土問題も、ここ数ヶ月特にチェチェンの傭兵
が行き来している情報があっても、かなり長く否定してきたグルジ
ア側。

しかし、最近になって突然行われた空爆が、実はシュワルナゼが先
導する「やらせ空爆」であったと判明。
「ロシア軍による領空侵犯」のように大袈裟に取りたてて国際問題
にしようと企んでいたことが発覚した。

当然、ロシア側は最初から、ロシア軍が空爆した、という事実を否
定していたが、数日たってから、グルジアの軍隊関係者が内部告発
したため、ほぼ、事実関係が明るみに出たといえよう。

さらに、「チェチェンからのテロリストをかくまっている」という
ロシアの主張に近い事実を、ロシアの報道機関に対し、グルジアの
関係者が伝えてきているという。

そんなこともあってか、ロシアはロシアで、いきなり、今ごろにな
って、ソ連時代に外相だったシュワルナゼが、アメリカと締結した
ベーリング海域の漁業権の条約によって、ロシアが現在も年間、何
万トンかの漁業資源の損害を受けているという事実を取り上げ、裁
判沙汰にする構えまで、打ち出している。

このようなグルジア、ロシア間の緊張した関係に加えて、最近、
こちらで政治的問題になっているのが、ベラルシアのルカシェンコ
独裁政権が、ぎりぎりになって二国間の共同国家体制(通貨等の統
一など)を、キャンセルしてきた。

これは、かなり相手側の一方的な都合によるものだ。
その後、プーチン大統領が提案した三つの選択肢も蹴って、あくま
で、ベラルシア側の不利になるようなことはできない、との一点張
り。

しかし、実際には言論弾圧に始まって、独占的にガス資源などの
価格操作していることなどを、隠してきたルカシェンコが、ロシア
と共同国家になっては、自分の権力基盤が揺らぐことに、恐れをな
したのであろう。

さらに、隣国のウクライナでも、レオニド・クーチマの独裁政権を
倒せ!という動きが活発化している。
数日前には、首都キエフと、西側の都市リヴィウに、合計4万人近
い国民が結集して、デモを行った。

だが、国営放送はじめ、ウクライナ国内では、テレビがこの中継を
放映するのを一方的に拒否しており、いかにこの国が、独裁的に
統治されているかを、見せ付けてくれた。

そのような背景もあってか、最近のロシアは全体的に急激な右翼化
が進んでおり、先日もアンチ・グロバリストと称する過激派の青年
たちが、警察と衝突。

また、昨日はサンクト・ペテルブルクで、ネオナチ、スキンヘッド
と呼ばれる、外国人排斥主義、国粋主義を洗脳されている、14−
18歳前後の少年たちが集団で、アゼルバイジャン人のスイカ屋台
の男性を襲って、殺害。
この様子をビデオに収めるという残虐行為をはたらいた。

また、かの悪名高い元KGB本部のあるルビャンカ広場に、何万人もの
人を収容所送りにした、ゼルジンスキーの銅像を再建しようという
モスクワ市長の目論見が明らかになり、反対運動が起こっている。
が、これも元KGBのプーチンへのおべっか使いであるという見方もあ
る。

そんなわけで、ロシア政治家、知事などは、もうこの時点において、
全体的に、次期選挙のプーチン独走態勢を見込んで、いかに権力者
にこびを売って、自分の地位を確保するかという方策に出ているよ
うだ。

要するに、このロシアを巡る旧ソ連圏の現在状況は穏やかでない。
したがって、この駆け引きは、国家的というより、むしろかなり個
人的な政治家による、ある意味、個々の独裁政権が、自らの保身を
狙った上での、外敵との小競り合いに近い気がするのである。

以上 モスクワより    CHOCO
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mag2の「インド・パキスタンの情勢」を読ませていただきました。
ありがとうございます。
    インドは言わずと知れた多民族・多宗教国家です。いわゆる
「世俗国家(secularism)」を国是としています。インドがカシミー
ル問題をインド国内問題として解決出来ない場合、インド政府は
インド国内のヒンドゥー教徒以外の国民をまとめられなくなる、と
言う危険性を孕んでいると考えますが、このような視点を説明して
いる報道・コメントはありませんか? 
    次にパキスタンの民政移管プロセスの問題ですが、地方自治体
選挙が公正に行われているかどうかについての報道やコメントはあ
りませんか?特に、政府の選挙公正化に向けての具体的な動きと、
地方選挙レベルでの汚職はないか、と言った情報はありませんか?
汚職があるやに聞いております。   (名古屋、山田)


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