1019.悪夢



Mondです。
久しぶりに投稿します。

まじなおじさんが、日本の生産設備が世界需要の8割を賄えるなど
と書いてあったことに端を発し、それならいずれは大戦争になるの
ではと妄想をふくらまして書きました。

最近は生産設備の過剰をマスコミでは取り上げなくなったと思いま
すが、考えれば重大なことです。
世界会議を開いて一律に50%廃棄せよなどと決めても絶対にでき
ませんね。

残るはただ二つ。大戦争か、新パラダイムへ早急に移行し、それま
での生産設備を陳腐化することのみ。
たとえば、19世紀の蒸気機関、石炭化学文明から内燃機関、石油
化学文明、電気文明へパラダイムが変化したようにガスタービン、
C1C0科学文明へ急速に変化するなど。
当然経済的にペイすることが大前提ですが。

                        Fさんへ 拝
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悪夢
                                                    Mond
9.11以後世界は変わった。そしてイラク攻撃はさらに重大な転機と
なろう。
アメリカは9.11によって、世界の辺境まで治めないとアメリカの中
枢部も安全でないことを学んだ結果、アメリカは新しい時代を迎え
たのかもしれない。

 ここ数カ月以内に世界は激動期に入る。激動期に必要なことは、
枝葉末節の議論に惑わされず、日本外交の究極的目標は、国民の安
全と繁栄にあり、そのためには日米同盟の維持強化しかないという
座標軸を見失わないことである。(岡崎久彦;産経新聞9.05朝刊)

 世界は、現在、同時不況の中にある。日本もアメリカもそして
西欧もデフレである。世界で繁栄しているのは、中国ただ一国であ
る。作れば作るほど売れまくる、大繁栄の中にある。なぜか。中国
の繁栄している理由は労働者の賃金が世界的にみて圧倒的に低いか
ら、ただそれだけの理由である。世界的に見て同時不況及びデフレ
の原因は、世界的な生産設備過剰においてほかにない。例えば、
日本の生産設備は世界全体の需要の優に8割を生産できるという。
他の国においても、大なり小なり同じことであろう。これだけの
生産設備と労働者を抱えておれば、当然、世界同時不況とデフレー
ションは起こるのである。

 歴史的に考えてこのような、デフレーションの時代は過去にもあ
った。西暦1775年頃、産業革命がイギリスから始まって、19世紀を
通してイギリスは世界の工場とうたわれた。しかし19世紀の半ば以
降、ドイツ、アメリカ、ロシア、フランス、イタリア、日本など、
列強はイギリスの産業革命を模倣し、近代産業社会に脱皮すべく、
生産設備の増強および拡張が始まった。そして世界は生産過剰の時
代となり、デフレが始まった。この1870年から約30数年を、ベル・
エポックという。この時代は、結局、ドイツ帝国のウィルヘルム2
世が、パワーバランスを壊したことにより第一次世界大戦にが勃発
して、生産設備がお互いに破却された結果、アメリカやロシアなど
のヨーロッパ以外の大国へ覇権が移る結果となった。次に第二次世
界大戦であるが、西洋と東アジアでは戦争の原因が違う。西洋では
要するに覇権争いである。東アジアにおいては、日本の発展により
ヨーロッパ各国の植民地支配が動揺し、西欧諸国は植民地が日本経
済に組み込まれることを恐れ、また中国市場などが日本の独占にな
ることに我慢がならず、どうにかして日本を押さえこもうと考え、
罠にかけて戦争に引きずり込んだものだ。それは、敗戦後ダグラス
・マッカーサーはが日本を純農業国に落とし込もうとしたこと、
日本着任時にそのような言動を彼が取っていたことが、事の真相を
明らかにしている。また、マハティール首相の「もし日本なかりせ
ば」演説を読めば真相がわかるだろう。

 結局は、世界中の生産設備が過剰になれば、これを削減せざるを
得ず、そのためには自国優先の論理が働くことは当然のことで、
最終的には敵国の生産設備を破却せしめることに帰着する。戦争に
よる決着である。

 そこで、現在アメリカは、対テロ戦争として対イラク戦争を考え
ているが、おそらくその先は北朝鮮であり、その先は中国あるいは
日本であるかもしれない。アメリカがこの際敵対国やNO.2の生
産設備を一挙に破壊しようと戦略発動しないと考える方が合理的だ
ろうか。いったん対イラク戦争が始まり、それだけで済むなら良し
、コントロールを失っていけば国際外交が一挙に流動化したりはし
ないのだろうか。日米同盟の破棄、米中同盟の締結などよからぬ方
向にあれよあれよ流れていき、ことが済んでみると10年後の日本
は人も住まない荒野列島になっていることだって頭の隅に入れて
判断していかなければ大変なことになりかねないと思うがどうであ
ろうか。
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(Fのコメント)
米国にとって、中国の敵としての戦略的な価値がある間は、中国を
利用すると思います。それは台湾や日本・韓国に武器を売るために
敵にする必要があるのです。
日本は米国国債を買わせたり、米国投資資金を出させたり、米国製
武器を買う国であり、世界各地の戦後復興のODAを出させる国と
して利用価値があり、かつ見返りの石油権益を要求しないなど、
米国にとっては非常に政治的経済的支配しやすい国(属国)なので
しょうね。

そして、もう既に米国は軍事産業以外は空洞化しているため、工業
製品のデフレはいいと思っている。それより、米国産業の中心であ
る軍事産業と石油産業を盛り立てる必要があるのです。IT産業を
ブッシュは捨てたように思う。ITに非常に冷たい。このように石
油産業にとっても軍事産業にとっても、中東戦争はこの2つの産業
を復興させるためには一石二鳥の効果なのです。このためイラク攻
撃なのでしょうね。

2003年に需要の一層の落ち込みにより、世界大恐慌になる可能
性が高い。この恐慌のレベルを軽いものにするため、米国は無理や
りイラクを悪者にして戦争をするようである。この恐慌回避という
欧米のトップの認識は、だいたい合ってきたようです。ロシアの認
識も同じであるが、イラク攻撃までは反対のようですね。しかし、
イラクを見捨てるのは時間の問題になってきている。

イラクは世界から見放されることになる。アラブ諸国がいくら反対
しても、ロシア・中国が反対しなければ、イラク戦争になってしま
う。イラクが英米主体の武力行使査察に応じても、結果は同じで、
難癖をつけられて戦争になるでしょうね。

欧米は歴史上何度も、このような戦争を仕掛けているので、手馴れ
たものである。イラクのフセインなどは、手玉に取られているだけ
である。とうとう、イラクのフセインを殺すまで戦いになるのでし
ょうね。

イラクを占領したら、次はサウジかイランか石油の出る所を狙うで
しょうね。北朝鮮の可能性は少し前まであった。イラク攻撃ができ
ない時は、北朝鮮という代替案はかなり前からある。しかし、北朝
鮮を破壊しても、得るものが無い。このため、イラク攻撃が絶望な
時となっていた。
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昨日帰国して、現地(ヨハネスブルク)での体験を反すうしていま
す。

そして、こんなことを思い付きました。

「「持続可能な開発」は、一言でいえば「現在の豊かな生活を維持
しながら、未来の世代の豊かさを奪わない」生活となる。この概念
は、現実をひとまず肯定している点で、反省の機縁が薄い。また
将来の環境保全を議論し約束するという点で、現在の(現在しか取
ることができない)行動にも結びつかない。」

1013で紹介いただいたコネクトの総括と比べてみても、いかが
ですか。現在についての反省と、現在ただちにとるべき行動に欠け
るように思いませんか。

得丸
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(Fのコメント)
将来大きな禍根になる環境問題より現時点の貧困問題を解決しろと
言う声が発展途上国では強いようですね。このため、玉虫色の問題
定義になるのですね。そこが一番の問題であるのでしょう。
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WTCの死者は2500人だったのですか?
事前に知っていた人たちは、出勤しなかったのでしょうか。
情報のアパルトヘイトとでもいえるでしょうか。
得丸
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(Fのコメント)
モルガンなどのユダヤ系企業には、事前に情報が入っていたようだ
ということと、米国企業は朝の早い人は6時ごろから来るし、遅い
人は10時頃とフレックスの幅がある。このため、まだ出社してい
ない人も多かったのでだろうし、もう1つが陰謀説もあるようです
ね。
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お上が変われば全てが変わる
PSIU代表 白鳥 宙

これまでこのコラムで幾度も述べたように、日本という国はお上が
変われば、全てが変わってしまう国だと見ています。

日本人というのはつくづく不思議な民族で、社会的立場が上の者に
対しては、それが如何に非合理な命令であろうと従ってしまうとい
う特性が下位の者たちにはあります。これを自主性(主体性)のな
さと見ることもできますが、そのようなマイナス面として捉えるの
ではなく、秩序というものを重んずる特性がある民族だという風に
捉えた方が良さそうです。

忠臣蔵のドラマを見るまでもなく、日本という国は今も昔も浪花節
の世界が色濃く残っている世界なのです。それを利用しない手はな
いと思います。

日本は自然に近い民族であるからこそ自然を好むのではないでしょ
うか。例えばサルなどの動物の世界ではボスの権利を握った者には
下位のサルたちは絶対的に服従します。これに近い特性が日本人に
もあります。

昨今の企業等の不祥事は一人で行ったものではありません。必ず上
の者たちの指示があって行われたものです。自分が最終責任を取ら
なくてよいとする安心感から、下位の者たちはあのようなことに荷
担するのでしょう。

自分に代わって責任をとってくれる人がいるーーーーこのことが
ほとんどの日本人にとってたまらない安心感であるのです。

そういう中で日本はこれまで発展してきたのではないでしょうか。
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非追従世論の盛り上がりが怖い

PSIU代表 白鳥 宙(富山県在住)

ブッシュ大統領の演説を聞いていると正にパーフォーマンスそのも
のといった感じです。選ばれている語彙は周到に準備されたもので
しょう。レーガン流のウケを狙ったものだと思われます。

仮に今ここで自分らが名指しするテロ国家を撃ったにしてもいずれ
は第2第3のテロ国家が現われてくることを知りながら、それでも
強引に撃とうとするのは、表向き何と言おうと、武器の在庫処分を
したいからではないでしょうか。とにかく景気を何とかしたい、
その一点の動機だと思います。
他に窮地から立ち直るやり方を発見できないでいるのです。

アメリカが最も恐れている国は、本当は日本だと知らなければいけ
ないと思います。日本の中からアメリカ非追従の世論が盛り上がる
のがアメリカにとって本当は一番まずいことなのです。日本が独自
路線を行こうとすることをアメリカはもっとも恐れているのではな
いでしょうか。

アメリカは日本を同盟国だとして、時におだて、時に恫喝じみたこ
とをしますが、日本のことを真に同盟国だとは思っているわけでは
ないと思います。
日本が変貌するシュミレーションもきっと描いていることでしょう
。それはアメリカにとって悪夢に近いものです。

イギリスに関しては、国際世論がどうあれアメリカのやり方に賛同
するでしょう。また賛同せざるを得ないのでしょう。本家と分家み
たいな関係ですから。

現在はアメリカ以外の極が弱すぎるのです。今の様相を見ていると
、アメリカに主導権を握らせまいとする意識から、ロシアや中国な
どもアメリカの軍事行動に反対しています。国際力学はほとんどす
べて駆け引きです。

そのあたりの事情をよく理解しながら、日本も駆け引きに長けてい
かなけらばならないでしょう。
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件名:分割統治の後遺症  
今はJRと冠を変えた国鉄リニアモーターカーの生みの親、京谷好
泰元国鉄副技師長(七四)は一九六〇年代末、しょっちゅう脱線転
覆事故を起こしていたパキスタン国営鉄道に技術指導にいった。 
 鉄道基地は今は捕らわれの身となっているナワズ・シャリフ首相
の地元、ラホールにある。 

 京谷氏はその操車場に引き込まれた車両の下にもぐって油まみれ
になりながら、脱線の原因の一つが車輪を支える鋼鉄製の板バネに
あることを見つけた。 

 問題の個所を分解しながらパキスタン人技官に一つ一つ説明する
が、作業を手伝うのは下級の作業員。技官たちは白い手袋に乗馬用
の鞭を握って、ふんふんうなずくだけだった。英国植民地時代に見
せつけられた「人の上に立つ者」のポーズをそっくり踏襲している
ようだった。 

 で、京谷氏はグリースにまみれた部品をぽんと技官たちに投げわ
たし、白手袋を汚されて憮然とする彼らに、技術の前に身分の上下
なんてないこと、上に立つ者が率先して動かなければ、事故は防げ
ないことをじっくり教え込んだ。JR西日本のトンネル崩落事故に
も通じる説教だが、おかげで、ここでは高級技官の白手袋が消え、
その後は技術的な原因での事故はほとんどゼロになったという。 

 ラホール操車場には今、京谷氏の指導を顕彰する碑が立っている
が、そうした指導を受けた教え子の一人が、京谷氏に「英国植民地
政庁の鉄道で働いていた父」の話をした。 

 あるとき、英国人技官が蒸気機関車を指さして、お前らにはこう
いう高度なメカを作る能力が備わっていない、と。 

 「父は仲間と語らい、機関車を分解しては部品を精密にスケッチ
し、それをもとに製図を引き、わずか一カ月で十分の一の縮尺モデ
ルを完成させました」 

 父は得意になって英国人技官を呼んで動かして見せた。「でも、
返ってきたのは彼らの冷たい視線だった。それから間もなく父とそ
の仲間はそろって機密を盗んだ罪で処刑されました」。インド独立
が目前に迫ったころだという。 

 英国の植民地経営の手法をうかがわせるエピソードだが、もう一
つの手法がディバイド・アンド・ルール、分割統治である。宗教や
人種の違いをあおり立て、宗主国への風当たりをそらす手口で、
インドでは一九〇五年に行われたベンガル分割令が最も新しく、最
も露骨な例だろうか。 

 この地方のイスラム教徒の反英機運に手を焼いた英国はイスラム
の強い東ベンガル(今のバングラデシュ)とヒンズーの強いビハー
ル州など西ベンガルをひとまとめの行政区にし、両者の対立をあお
り立てていった。期待通りの殺し合いが続いたという。 

 こうした分割政策はやがて独立を迎えたインドの分裂の引き金に
なり、ジンナーの率いるイスラム国家と、ネルーのヒンズー・イン
ドに割れてしまう。 

 ジンナーは新たなイスラム国家となる州、パンジャブ、カシミー
ル、シンドのイニシャルと、四番目の州バルチスタンの末尾をつな
いで「パキスタン」という国名をつくった。
  

 新国家はインドに比べて国土では四分の一になるが、実際は砂漠
でしかないバルチスタンとスレイマン山脈の不毛の地が大半を占め
、実質的には人口と同じに十対一ぐらいの小ささだった。 

 つまりパキスタン国民にとってインドは常に「今にも呑み込まれ
てしまいそうな」巨大な脅威として存在してきた。 

 そのおびえを象徴するのが、例えばカラチの海軍総司令部前に飾
られる潜航艇である。インドが海軍力を増強した、という情報で建
造された潜航艇は二隻つくられ、一隻がめでたく進水式を行った。
一九八〇年代の話だ。 

 しかし進水した潜航艇は二度と浮上しなかった。それでもう一隻
は飾り物にされたわけだが、ことほど左様、この国は常にインドの
影におびえ、それは最近の核開発競争にも現れている。 

 ◇ 

 そのパキスタンでクーデターが起きた。発端はパキスタンの国名
の一部にもなっているカシミール問題だ。インドは分裂したさいの
シムラ合意で決められた国境線を「大きく侵食している」とパキス
タン側は信じている。 

 それで昨年、その侵食部分への補給路カルギリを攻撃した。静観
していれば残りの州も呑み込まれるという不安からだった。 

 しかし、シャリフ首相は米国の非難に応じてあっさり撤兵し、
インド首脳とも親密な友好を確認したのである。 

 おびえる国民や軍部は驚く。おまけに首相の身内がニューデリー
に貿易会社をもち、インド首脳とも親しい間柄という事実が暴露さ
れて、さらに不信を高めた。「国民期待のクーデターだった」とい
われるゆえんである。 

 はた目には異常にも見える強迫観念だが、その根をたどると英国
の長年の植民地政策にたどりつく。あのとき蒔いた不和の芽は、今
は核兵器も打ち込みかねない巨大な憎しみに成長してきたのだ。 

 英国がこの歴史にどう落とし前をつけるのか、あるいは知らんぷ
りするのか、もうひとつの見ものである。
 (帝京大学教授 高山正之)
Kenzo Yamaoka
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件名:「宗教的狂信主義」の時代  
「宗教的狂信主義」の時代
同時テロで米国は大きく変わったか、「よく引き合いに出される
真珠湾攻撃(一九四一年十二月七日)は太平洋の真ん中で起こり、
標的は米海軍で相手がだれかも分かっていた。
9・11では米国最大の都市が狙われ、普通に暮らしを営む市民が
犠牲になった。人々は気弱になり、いつ何が起きるか分からないと
心配するようになった。
だが、人間とはこうした心配でつぶれる程弱い存在ではない。第二
次大戦の契機となった真珠湾はどの影響はなかったと思う」ーだが
、米国はテロとの戦争を開始した。

「テロは断固として排除しなけければならず、これに異論をはさむ
人はいない。だが、現状を戦争と呼ぶには語弊がある。私は、麻薬
との戦争や貧困との戦争など、「戦争」という言葉が安易に使われ
すぎだと懸念している。戦争とは主権国家同士の戦いだ。

犯罪組織であり殺人株式会社のアルカーイダを退治するのは警察の
仕事で、戦争と称して大物扱いする必要はない。タリバンとの戦い
は戦争だった。アルカーイダ幹部を捕まえるには軍事行動も必要だ
。だが、テロを排除するために必要なのは、他国との情報交換であ
り、国内の捜査機関の協力であり、入国管理をしっかりしテロリス
トの資金を断つことだ。
ましてや、イラクとの戦争などではない」ーイラクとの戦争には反
対か「サダム・フセイン(イラク大統領)は悪いやつだ。自国民に
対して毒ガスを使った。フセインが同時テロに関与したとは言い切
れない。フセインは世俗的なイスラム教徒で、原理主義を軽蔑して
いる。イラクの大量破壊兵器開発が世界平和を脅かす可能性がある
というが、私はこのような”予防的な戦争”に反対する。
真珠湾がまさに予防的な戦争行為だった。日本は、やらなければ
米国にやられると考えたのだ。フランクリン・ルーズベルト大統領
が攻撃を「卑劣な行為」と呼んだことを忘れてはならない。イラク
を攻撃すれば、理論的にはインドがパキスタンを、中国は台湾を
予防的に攻撃できることになる」

ー米国の軍事力は圧倒的だ「タリバン打倒は容易だった。イラクも
たぶんそうだろうという気分がある。フセインは人気がないからす
ぐ倒れるかもしれない。だが、こんな気分をあてにはできない。
フセインを排除すれば、(力の空白を埋めるため)長期にわたって
米軍駐留が必要になる。第二次大戦後の日本やドイツの復興をみて
、世界は国創りに楽観的になりすぎた。アフガニスタンは絶望的だ
。民主主義や工業の歴史がなく、民族間、部族間の敵意に満ち、
戦闘に慣れているが、シーア派とスンニ派の対立、クルド人問題を
抱えている。
戦後の立て直しをどうするのか。米国民の多くはそうした責任を背
負い込みたくないと考えている」米国は大英帝国のような世界統治
には乗り出せないということか。

「米国はローマや大英帝国を目指したことはないし、これからもそ
うだ。世界を自分たちの望むようにしたと思っているのはワシント
ンのごく一握りの人たちだけだ。
米国は経済的にも文化的にも世界帝国だといえる。映画やポップス
やハンバーガーは世界の人々支持を得ている。だが、政治的な世界
帝国となると、その代価そ払わなければならない。夫や父や兄弟や
息子を喜んでイラクに送ろうという人はいない。大半の米国人は相
変わらず、世界とはかかわりたくないと思っている」

9・11は二十一世紀の始まりだという人もいるが「二十世紀は
世俗的な狂信主義と全体主義と共産主義の時代であり、もっとも
殺戮にあふれた世紀だった。二十一世紀は宗教的狂信主義の時代と
なると思う。ウサマ・ビンラーディンはイスラム原理主義者で、
サウジアラビアの米軍駐留は信仰の封じ込めだと考えた。中東、
カシミール、インドネシア、フィリピンなど、宗教が違うという
理由で殺戮が行われている。宗教は平和をもたらすものではなかっ
たのか」
(アーサー・シュレシンジャー氏)
Kenzo Yamaoka


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