991.なぜ、日本は衰退しているか



989で企業改革が必要と述べたが、日本衰退の原因をもう少し追
求する必要がある。そして、今日本が緊急にやらねばならないこと
はその対応処置を取る事なのです。
                 Fより

現在の日本では、特に大企業では人間の調整力を持った人たちが、
偉くなる傾向にある。ノーベルを貰える中村さんのような技術者
は、会社としてはたいへん迷惑な存在である。自分を主張する、
自己確立した技術者は自己の思想・理想を持っているため、いい仕
事する可能性が高いが、このような技術者を認めないのが、今の
企業のような気がする。

戦後の混乱期には、本田さんや井深さんなど多彩な異端児でかつ自
己主張する技術者が出て、日本の技術力を高めてきたが、残念なが
らその次の時代以降になるとそのような人を企業は、退けてきてい
る。

企業や日本が順調に拡大している時は官僚タイプの人間の調整力が
重要であった。日本国民全員が拡大の恩恵を受けるのであるから、
仲間内で、けんかをする必要がない。世界的に市場を拡大して、日
本国内では、けんかしないで済んだ方がいいし、技術的にも、井深
さんや本田さんなどが築いた技術の改良をするだけで済んだ方が簡
単である。そして調整者は、なるべく自己の意見を持ってはいけな
い。しかし、全員が調整者になると、議論が進まないことになる。

それと同じことが日本の政治・外交世界でも起こり、吉田茂や田中
角栄が築いた政治路線を、そのままか、少し修正を加えて、乗り越
え、やはり調整者が権力を握っている。しかし、この枠組みができ
て30年以上が過ぎ、この枠組みの改善・改良では対応できない
状態になっているのです。

この戦後成長期のパラダイムが崩れたため、10年間、日本は停滞
したし、今後も、この枠組みを崩さないと永遠に停滞が続き、日本
の過去の蓄積を使い果たしてしまうことになると考えられる。

民間企業を活性化して、日本企業の利便性を高めて、世界的に勝つ
ような施策が、目に見えて減っていっている。そうではなく、山に
ムダなダムを調整能力と称して作り、日本国内調整の結果として、
海外からの投資をしにくい施策を打ち、調整する必要がない民間企
業に高い高速道路料などの負担をかけて、海外企業とのコスト差を
益々広げるようなことを行ってきた。このため、日本企業は海外企
業に負け始めているのです。気が付け日本国民や政治家たちよ。と
叫びたくなる。

このため、民間企業は自衛のため、最新鋭の工場でも中国に作り始
めた。これで、日本の衰退は確定的になっている。それでも、自己
の調整能力という権益を防衛しようとしている政治家がたくさんい
る。長野県の田中知事の脱ダム宣言はりっぱである。しかし、この
知事を大多数の議員が不信任決議を出すという、県民の利益より
自分のリベートほしさに行う行為は県民の支持を得られるとは思わ
ない。

大企業も同じようになっているような気がする。技術的にしっかり
している人でも、ある段階で管理部門になり、技術と離れてしまう
。このため、優秀な人は、管理系になってしまい、高い技術と見通
しを持った人が大企業の技術者にいないことになる。このため、中
小企業や個人企業の技術力に負けている感じがする。大企業が日本
を引っ張っているが、日本の技術的な方向をおかしくしているし、
個人企業の社長は大企業を裏でバカにすることになる。勿論、表で
はおべっかを使い、間違えた政策を誉めているので、大企業の人に
は分からない。

が、大企業には資本力があり、この資本力により、新分野が開かれ
るのですが、この部分がムダになっているような気がする。国家と
同じ構造に企業もなっているかのごときである。

少なくても、米国はほとんど中小企業の集合体であり、優秀な技術
者は、次の会社や独立しようとしているため、技術力・経営力を高
めようと個人でしている。中国も同様だ。日本だけが違うような気
がする。

古い学会でも状況は同じで、技術の見通しが利く、優秀な先生は、
本当に少ない。先生も管理部門に行ってしまうようだ。米国の現状
を正確に論評できる国際政治学の先生を知らない。先生が毎日の
米国状況を追っていないため、米国の過去を知っているだけになっ
ている。しかし、歴史の流れが急に早くなっているように感じる。

陰謀論でロスチャイルドとロックフェラーの戦いをまだ、言ってい
る人がいるが、完全に、今この2者は協力して、米国のネオコンと
の戦いに臨み始めた。イスラエルのシャロン首相と米国ネオコン対
EU、米国共和党保守派、民主党グローバリストの戦いになってい
る。
正確にはユダヤ人が分裂している。タカ派対その他連合派である。
このような見通しを持っている学者・評論家の数もすごく少ない。

しかし、毎日欧米の新聞・コラムを見ていれば、気が付くことであ
る。特にYS・たごさくさんを中心とした人たちが、注目のコラム
や記事を、戦略情報BBSに入れてくれている。しかし、全員素人
集団ですよ。素人の方が、専門家より上という状況に日本がなって
いることに、哀れさを感じる。

もう少し専門家や技術者を大事にしないと調整者だけでは、日本の
企業も社会も外交も、すべての分野で3流になってしまうように感
じる。素人が、日本の知識TOPより世界情勢が分かる事態は、
異常である。
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社説 「敗戦」から何も学び取らない国の悲劇(日経新聞)

挫折から何を学び取るかで人生は大きく変わってくる。国家や社会
も同じで、失敗から何を教訓としてくみ取るかで、まるで違ったも
のになる。太平洋戦争の敗戦から57年が過ぎた。われわれはあの敗
戦から何を学んだだろうか。

 結論からいえば、教訓として学んだものは何もない。というより
は半世紀もの間、何故に日本が戦争への道をひた走ったのか、そし
て何故に敗れたのかを検証することをひたすら避けてきたように思
える。

「第二の敗戦」招く構造
歴史が重要な意味を持つのは、過去から何かを学び取り、これから
起こる、またはいま起こりつつある諸問題に取り組もうとするとき
だ。しかし、敗戦後の焼け野原から立ち上がり、豊かさを追求する
ことにきゅうきゅうとしてきた日本は、過去を振り返らずに今日ま
できた。 

戦争について考えることは、国内的には左右両陣営の不毛の論争に
火をつけるだけであり、外交的にはアジアの隣国から「誤った歴史
観」として非難を浴びる余地を生み出すだけだった。真正面から歴
史と向かい合うことをせず、過去から何も教訓として得ることなく
きた。 

したがって、日本はいまもまた同じような過ちを繰り返している。
太平洋戦争敗戦に至る過程と、今日の日本が「第2の敗戦」とも言
うべき衰退の道をたどっている経緯を比較分析すると驚くほど似て
いる。最近出版されたばかりの永野護著「敗戦真相記」は、終戦1カ
月後に行った講演録の復刻版だが、まるでいまの日本に発した警告
のようである。

永野護は戦前戦後を通じて活躍した実業家・政治家。驚かされるの
は原爆投下直後の広島で、これほど冷静な分析を行った人物がいた
ということである。戦争についての根本的な原因として永野は「日
本の国策の基本的理念が間違っていた」と述べている。すなわち「
日本だけ栄えればいい」という考え方が間違いだったと指摘する。

そのために日本の戦争目的がアジア諸国を納得させ得るようなもの
ではなかった。加えて日本は「有史以来の人材飢饉(ききん)」と
いう不幸が重なったと指摘している。「確固不動の信念と周到なる
思慮を有する大黒柱の役割を演ずるべき1人の中心人物がなく、ただ
器用に目先の雑務をごまかしていく式の官僚がたくさん集まって、
わいわい騒ぎながら、あれよあれよという間に世界的大波乱の中に
巻き込まれ、押し流されてしまった」と書いている。

永野の主張の特徴は敗戦の最大の責任は軍部よりもむしろそのよう
な方向へと導いていった官僚機構全体にあるとしている点だ。結論
として日本は米国が当時指摘したように「科学無き者の最後」とな
ったと述べている。広島への原爆投下の直後、日本の専門家たちは
「技術的にできるはずがない」と信じようとしなかったという。 

哲学者和辻哲郎も著書「鎖国」の中で同じように指摘する。戦後す
ぐに書かれたこの書の中で和辻は「科学的精神の欠如」について指
摘している。「合理的な思索を蔑視(べっし)して偏狭な狂信に動
いた人々が、日本民族を現在の悲境に導き入れた」と述べている。
この背景には「直観的な事実にのみ信頼を置き、推理力による把捉
を重んじないという民族の性向がある」と付け加えた。和辻によれ
ば日本が鎖国している間に欧米では新しい科学が生活の隅々まで浸
透していった。この落差がいまに至るまでそのまま残っている。 
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件名:経座学と投資  
酒井くん(富士銀行OB)からのメール。ご参考まで、転送させて頂き
ます。 
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容積率については、過去何回も変更されてきたように記憶します。
容積率UP=都心集中化という印象がつきまとう。同時に地主さん
の付加価値UPと言うこと?!
それにしても都心以外は大分地価下落が止まないようです。高校同
期の本間君が不動産鑑定士ですが、横浜のある地域の地価公示価格
の算定委員(正式な名称は知りませんが)の委嘱を受けているそう
で、これは1〜2年前に聞いた話ですが。

地価公示制度の導入の頃は、お役所が「最低値保証価格」を示して
いたが、現在は「最高値保証価格」の意味合いを持つようになって
きている。つまり何とかして地価下落にならないように、表面価格
を高めに維持しようとしている制度=それが今の「地価公示制度」
になっている。と皮肉を言ったところ、「本音を言えば、あたらず
と言えども遠からずだ。余り低い価格=実勢価格で出すと、なるべ
く高めにして欲しい、と言うお役所からの要請が、アウンの形で出
されてくる」そうです(ここだけの話)。

何れにしろ日本の先行きの経済拡大動向を見れば、巨大オフィスが
林立すれば、古い中小ビルはもぬけの殻になり、ゴーストタウン街
を形成するやも知れない。と思うのは素人の浅はかさ??

住宅地などは、今の調子で戸数増加が図られれば、少子化であと
20年もしない内に、住宅地でさえ空き家・空き地のゴーストタウ
ンになってしまう。今でさえ私の周辺は大半が老人、初老の所帯に
化してきている。現に拙宅でも3人の子供が、今年になってそれぞ
れ自分の家を確保。従って我が女房と2人暮らしになったこの家は
、やがて廃墟になる運命になることが決定した次第。既にこれに
先行して、田舎では無縁墓地が大変多くなっているそうです。

こう言う分野は、私などが心配する必要はなく、山岡さんの業界な
どが専門とするところ。
商売上とは別に、住宅・不動産業界の、損得抜きの「本音」の展望
も、機会があれば拝聴したいと思うことしばしばです。

それにしても今の日本の風景は、拝見させて頂いたポルトガルの写
真のように、末永く姿形を残して、諸外国からの未来の旅行者に、
「素晴らしい日本の風景」として写真に納められ、思い出にして貰
えるのだろうか。心配でもあります。
それではまた。
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酒井  
Kenzo Yamaoka
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件名:金銭教育で人間を変身させる!!  
酒井くん (富士銀行OB) からのメール、ご参考まで転送します。
----------ここから原文----------
先日の高々会の際、五十嵐兄が、学校教育で「お金のことを教育」
すべきだと言っていたのには敬服いたしました。

始めて3%の消費税が導入される際に、教育評論家と称するご婦人
が、1000円のものを買った子供に、別に30円税金がかかるな
どとはとても言えないので消費税などとんでもないと言い張ってい
た。
これに対して、民間人が、子供の頃から、社会は税金という国民の
負担で成り立っていると言うことを、キチンと教育する絶好の機会
であり、お金の大事さ、使い方、価値等を、子供の時からキチンと
教えるべきである、と言っていた。
しかし残念ながら消費税反対意見に押され、この意見は少数派でし
かなかった。と言う記憶が鮮明に残っている。

何時だったか、横尾兄の「お化けの---」の受信者意見に、サラ金の
テレビコマーシャルに対して批判意見を少し書いて置きましたが、
たまたま25日の新聞に、「テレビから頻繁に流れる消費者金融の
コマーシャル」に対する問題意識が特集記事にされていた。

このサラ金CMは、昨年1年間で19,840本が放映され、10
年前の4倍になっているそうである。そしてサラ金の融資残高は
1999年で9兆円、今では10兆円を超えているらしい。一般庶
民は、テレビでやっていると、「一流の信用ある会社」だから、全
く後ろめたさを感じない=だから借りても全く問題はない、と言う
感覚になってしまうのが実態であろう。

つまりバブル崩壊後、元気のいい業界は、サラ金・商工ローンの正
に高利金融業界と言うことになっていると言える。
同時に自己破産者は139千件(H2)で、殆どが無担保融資をす
るサラ金がからんでいるとの日弁連の話。因みに金利は29.2%
迄公認だそうである。

このサラ金の融資残高10兆円を、単純に計算してみると、一人あ
たり100万円の借入とすると、国民の内1000万人が、50万
円で2000万人の人が、サラ金から借りていると言う計算になる。
こうに見ていくと、最早自己破産予備軍は、150万人から200
万人になりつつあると言う憶測が成り立っていく。

つまり借金とは恐いもの。五十嵐兄が言うように、小学生からお金
の功罪、金利・利息の恐ろしさを、それこそしっかり教育しないと
、人間破滅に陥る。テレビ・新聞その他マスメディアは、公共性を
言い張るなら、安易にコマーシャルは回避すべきと言えよう。

以上、昨今の借金への無神経世相を見るに付け。
それではまた。
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酒 井
Kenzo Yamaoka
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件名:: 経済対策・所見  
鈴木くん(足利銀行OB)からのメール、ご参考まで 転送します。

----------ここから原文----------
最近の経済対策についての所見。
政府や殆どの経済学者が口を揃えて金融機関の不良債権の解消が
景気対策の目玉のように云ってます。日本人の単細胞の悪い癖で何
か一言があると全部が右に習えとなってしまう。
小泉さんの構造改革もそうです。構造改革というとすぐに他のこと
を忘れてしまうのが日本人です。
今徹底してやることは規制緩和です。この規制緩和も殆ど終わって
いません。日本の経済力の強さははかりしれません。しかし、あら
ゆる規制のために力が発揮されていません。
成熟経済の日本は活性化させることが最も効果のある対策です。仮
に1夜にして日本の銀行の不良債権が解消したとしたら翌日から景
気がよくなるのでしょうか?そんなことはありません。
世界の経済の40%がアメリカと日本です。政府がどうのこうのし
て景気が良くなるほど日本の経済は小規模単純ではありません。
政府でなく経済界の力で日本の経済を活性化させることが必要です。
思いつくまま書いたのでわかりにくくて申し訳ありません。
明日は鬼怒川温泉で栃木県の全市町村の収入役さんにペイオフの話
をします。来年4月より金融機関のペイオフが解禁されます。個人
の方は1人10百万円で、夫婦名義にすれば2千万まで保証されま
すが、企業や公金担当者は大変です。何億という大金を1金融機関
に預けているわけですからね。それでは又。
エコノミスター  鈴木
Kenzo Yamaoka


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